医師に頼られる薬剤師になるために実践すべき3つのステップ!

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医師

(薬剤師の)◯◯さん、いる?
⬜︎⬜︎という薬のことで相談したいんだけど…。

と医師が薬剤部(薬局)に訪ねてくるケース、時々見かけますよね。

薬剤師は他にもいるのに、
先生の相談相手はいつも◯◯さんと決まっている
これって、どこの施設でもあると思います。

先生は◯◯さんを頼りにしているわけですよね。

今回のテーマは、医師に頼りにされる薬剤師です!
◯◯さんのようになって薬物療法をサポートしたい!
そう思ってる新人薬剤師の方に向けて書きました。

医師と信頼関係を築くためには、下記3つのステップを実践することが近道になります。

  1. 広範囲の知識を身につける
  2. 疑義照会では対立を避ける
  3. 薬物療法の問題解決を常に考える

順番に見ていきましょう。

目次

広範囲の知識を身につける

まずは一つ目のステップ!

スペシャリストよりもジェネラリストに軸足を置こう!

理由

広範囲な知識がないと、各診療科医からの様々な質問・相談に対応できないからです。経験上、特定の領域を強化したスペシャリストよりも、浅くても幅広い知識を身につけたジェネラリストの方が医師から頼りにされると思います。

ジェネラリストを勧める理由は
医師の質問内容を分析すると明らかです。

順に説明します。

①まず、医師は薬のことなら「何でも」聞いてきます

「薬剤師は世の中にある薬、全般に詳しい」と思っているからです。病棟に上がると、突然呼び止められて、「◯◯の薬(マイナーな薬)を持ってきた人がいるんだけど、何の薬?」と聞かれたり、「最近出た△△という薬って、腎機能が悪い人にも使えるの?」とか「血清カリウム値が下がった人がいるけど、⬜︎⬜︎という薬の影響?」と尋ねられたり。こちらの事情(知識の有無)に関係なく、薬のことなら容赦なくいろんな質問を投げてきます。

②特に質問が多いのは医師の非専門分野です

たとえば、抗菌薬の使い方。私の病院ではそうだし、感染症専門医のいない施設では同じだと思います。抗菌スペクトルや投与量についての相談窓口は主に薬剤師です。「◯◯という抗菌薬で効果がないんだけど、次は何に変えたらいいの?」と、難易度が高めの相談も少なくありません。あと、CKDや透析患者さんの投与量や、併用薬の相互作用についてもの問い合わせも多いですね。

一方で、専門分野は聞かれません。たとえば、感染症医が抗菌薬について、整形外科の先生が痛み止めの使い方を薬剤師に聞いてくることはまずないし、循環器内科の医師が、わざわざ不整脈薬の選択について質問することもありません。逆に聞かれたら怖いですよね。「もしかして、試されている」とさえ思えてきます。イジワルな先生は稀なので大丈夫なはず(^ ^)

③医師の非専門分野だけ知っておけばいいのか?

というとそうではありません。A医師の専門分野はB医師の非専門分野だからです。A先生に聞かれなくてもB先生に聞かれるというわけ。たとえば、循環器科の薬(循環器医の専門分野)は整形外科医や外科の先生の非専門分野であり、実際に術後とかに聞かれることも普通にあります。

結局

働く環境によりますが、複数の診療科がある病院や、多岐にわたる診療科からの処方箋を扱う薬局では、医師の非専門分野をカバーするために、幅広い薬の知識が要求されるわけです。

\ つまり、こういうこと! /

薬のことなら何でも知っている薬剤師=頼りにされる薬剤師

ジェネラリストに軸足を置いておくと、いろんな薬の質問や相談に対応しやすく、医師の信頼を得やすくなります。

ところで、広範囲な知識といっても、何から勉強したらいいのか?

悩みますよね。新人薬剤師の方は、代表的な8疾患の薬から学ぶのがおすすめです。

  1. がん
  2. 高血圧症
  3. 糖尿病
  4. 心疾患
  5. 脳血管障害
  6. 精神神経疾患
  7. 免疫・アレルギー疾患
  8. 感染症

この中から、優先順位をつけます。職場でよく質問されることを分析して、その領域の薬から少しずつ勉強していくかたちです。

また、医師に頼りにされるためには、「日々の情報アップデート」も欠かせません。新薬や新しいエビデンスについて聞かれることも少なくないからです。ここで、正確な情報提供ができれば、次も「◯◯さんに教えてもらおう!」ってなります。

おすすめは、医療情報サイトです。役立つ情報を毎日メール等で教えてくれるので、日常のスキマを利用して、知識のアップデートが簡単にできます。

薬剤師におすすめの医療情報サイト

中でもおすすめはm3.com

薬剤師が1番登録している、超有名な医療情報サイトだからです。

m3.com:薬剤師にうれしい5つの機能
  1. 最新医療ニュースをまとめてチェック!
  2. 薬剤師限定のコミュニティで意見交換もできる!
  3. 商品券と交換可能なポイントが貯まる!
  4. 業務に役立つ医療情報が満載!
  5. 薬剤師向けの専門家コラムはスキルアップに活用できる!

通勤時間やお昼休憩のちょっとした合間をうまく使って、最新の知識に更新しておきましょう。

\ 薬剤師の情報アップデートに最適! /

1つ目のステップで、

広範囲な知識を身につけたら、医師から頼りにされる土台が完成します。次のステップはその土台を崩れないようにすることです。ここが難しい…(^_^;)

疑義照会では対立を避ける

疑義照会では医師との対立できるだけ避けましょう

理由

「煙たい存在」のレッテルを貼られると、信頼関係がいとも簡単に崩れ去るからです。俺の処方に口出しするな!と言われたり「そのままで」と軽くあしらわれたり、疑義照会の失敗は薬剤師と医師の対立を招きます。

経験上、医師から頼りにされる薬剤師は、疑義照会をスマートにこなします。皆さんの周りにもきっといるはずです。処方の問題点を上手く伝え、先生の機嫌を損ねることなく処方変更を行います。

じゃあ、せっかく築いた、
信頼関係にヒビを入れないためにはどうすれば良いか?

ポイントは3つです。

  1. 基本の型を意識する
  2. 処方の必要性を理解する
  3. 疑義照会は極力避ける

①疑義照会を上手くやるコツがあります。「問題点のクリア化」と「代替薬の準備」です。処方の何が問題なのか?患者さんごとに評価し、医師にわかりやすく伝えます。加えて、目の前の患者さんに最適な代替案まで提案できるのが最低求められるスキルです。

続いて2つ目は、疑義照会を円滑に進める丸秘テクニックです(^ ^)

②処方の必要性に理解を示すと、「そのままで」と言われる確率を減らせます。私がいつも使っているテクニックです。詳細は下記にまとめているのでぜひご覧くださいね。

最後に3つ目。

③疑義照会は制度上、対立の可能性をゼロにできません。だから、できるだけ避ける工夫も大切だと思います。処方後(疑義照会)よりも、処方前の関わり(処方提案)で安全な薬物療法をサポートするアプローチです。こちらも詳細を記事にまとめているので読んでいただけたら幸いです。

疑義照会は、諸刃の剣つるぎだといえます。うまくやれば、安全な薬物療法と医師の信頼を得られますが、対立すると「煙たい存在」のレッテルが貼られ、信頼から遠ざかるからです。

\ つまり、こういうこと! /

疑義照会が下手な薬剤師→頼りにされない薬剤師

上手くこなして、薬剤師としての仕事を全うしつつ、医師から頼られる存在になりましょう!

薬物療法の問題解決を常に考える

最後のステップは、信頼関係をより強固なものとするための取り組みです。

薬物療法における問題点の抽出と解決積極的に行おう

理由

医師との接点が増え、問題解決の度に信頼度が増すからです。医師からの相談が多い薬剤師は、薬物療法の問題点をいつも考えて行動している印象があります。

お世話になっている先生が言うには、相談に対する薬剤師の対応は2パターンあるとのこと。

あなたはどっちの薬剤師?
  1. 聞かれたことに答えるだけの薬剤師
  2. 想像力を働かせ、問題点の解決に努める薬剤師

もちろん、目指すは後者の薬剤師です!
難易度は高めですが、医師からの信頼は日に日に高くなっていきます。

聞かれたことに答えるだけの薬剤師=メーカーのDI担当

聞かれたことに答えるだけの薬剤師はいつまで経っても、信頼関係を築けません。ある意味、メーカーDI担当と同じだからです。

例①

△△という薬を使おうと思っているけど、どうやって使えばいいの?

普通の薬剤師

通常量は100mgで1日1回です

最近発売された頻脈に使う薬は何だっけ?

普通の薬剤師

⬜︎⬜︎という薬です

実際には、挨拶や相槌などがあるので、ここまで無愛想な会話にはならないものの、会話の骨格だけを抜き出すとこんな感じです。

このやりとりって、メーカーのDIと同じですよね。
正しい回答はしてるけど、

・この薬剤師さんはできる人だなあ!
・この薬剤師さんに問いあわせしてよかった!
・次もこの薬剤師さんに教えてもらおう!

とまで、好印象を与えることはできません。正しく解答するのって当たり前だからです。

想像力を働かせ、問題点の解決に努める薬剤師=頼りになる薬剤師

何が問題なのか?想像力を働かせ行動できる薬剤師は頼りにされます。医師にとって心強い存在になるからです。

◯◯の症状に対して△△という薬を処方したいけど、どうやって使うの?

頼りになる薬剤師

通常量は100mgで1日1回です

ここまでは一緒、ここからが違いです!

頼りになる薬剤師

患者さんの腎機能はどうですか?腎排泄型薬剤なので、投与量の減量が必要になります

さらに続きます。

頼りになる薬剤師

・患者さんはどんな薬を併用していますか?相互作用で注意すべき薬がいくつかあるので……(後で確認しておきますね)
・年齢はいくつですか?カプセルが大きいので高齢者では飲みにくいかも知れません、その際には◇◇が代替薬になります
・水分制限とかないですか?消化器症状が出やすいので、コップ一杯の水で飲んだ方がいいと思います

投与量だけでなく、処方時の注意点、チェック項目等を補足した回答内容です。もちろん、間髪入れずに話し続けるのではなくて、相手の反応を見ながら答えます。

このやりとりは、医師に好印象を与えるのではないでしょうか?質問に答えるだけでなく、背景にある患者さんの問題点を把握し、解決に努めてくれるからです。頼もしく感じるはず!

さらに、想像力を働かせ、問題点の解決に努める薬剤師は、能動的に継続的な関わりができます。質問や相談を起点に処方提案や服薬後のフォローに繋がるからです。

\ つまり、こういうこと! /

聞かれたことに答えるだけの薬剤師
想像力を働かせ、問題点の解決に努める薬剤師
  • メーカーDI
  • 受動的
  • 一時的な関わり
  • 現場のパートナー
    頼りになる存在
  • 能動的
    介入起点が増える
  • 継続的な関わり
    処方提案、服薬後のフォロー

現場で働いているのに、メーカーDIと同じ対応は避けたいですよね。目の前の患者さんを想像し、問題解決に取り組む習慣を身につけましょう!

まとめ

今回は頼りにされる薬剤師になるために実践すべき3つのステップを解説しました。

本記事のポイント

頼りにされる薬剤師になるための3ステップ
  1. 広範囲な知識を身につける
  2. 疑義照会では対立を避ける
  3. 薬物療法の問題解決を常に考える

医師との信頼関係があれば、質問や相談から患者さんの薬物療法に介入できる機会が増えます。それだけではありません。「◯◯さんが言うのなら…」と、日常業務の要である疑義照会や処方提案等も、通りやすくなる効果も期待できます。

新人の頃から上記3つのステップを実践し、医師の信頼を勝ち取りましょう!

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