【新人薬剤師向け】処方監査における腎機能チェック!習慣にすべき4つの理由!

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今回のテーマは腎機能チェック!

投与量が腎機能にあっているかを確認するためのものです。私たち薬剤師が調剤の前に行う処方監査の一部ですね。

ここで問題提起です!

腎機能チェックって意外と忘れてませんか

そう思うのは、実際に過量投与のケースが少なくないからです。以前にリクシアナが30mg/日が目安のところ、60mg/日で処方されている人が入院され、慌てて主治医へ報告後、減量してもらった経験があります。

腎機能チェックは安全な薬物療法のために欠かせません!
それなのに、見落とされるのはなぜか?

おそらく意識が薄かったり、ルーチン業務になっていないのが原因だと感じています。

腎機能チェックを習慣にすべき!

そんな思いを記事にまとめました。特に新人、若手薬剤師の方にお役立て頂けたら嬉しいです♪

目次

腎機能チェックの手順

まずは、腎機能チェックのやり方。

私は以下の手順で行なっています

STEP
処方箋を見て

まず、腎排泄型薬剤をピックアップします。

参考までに

代表的な腎排泄型薬剤は以下のとおりです。

  • レボフロキサシン
  • ファモチジン
  • レボセチリジン
  • バラシクロビル
  • アシクロビル
  • プレガバリン
  • アマンタジン
  • アロプリノール
  • ジゴキシン
  • メトホルミン
  • ダビガトラン

他にもいっぱいあります。腎臓病薬物療法学会のホームページから参照できる【腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧】も合わせてご確認くださいね。私も日常業務で参考にしています。

STEP
検査値を見て

次に、投与量が適切かどうかの評価です。

eGFRやCcrをもとに、投与量の目安を調べて、患者さんにあっているかを確認します。

腎機能チェックの方法は?

別記事にまとめているので合わせて確認して下さいね。

eGFRとCcrの違いは?

どちらも腎機能の評価に用いる指標です。相違点を下記にまとめています。

患者さんの自覚症状もチェック!

これも大切!腎機能の指標と添付文書の投与量を見比べるだけでは、判断を見誤る可能性があります。eGFRやCcrはあくまでも推測値だからです。eGFRの正確度は、実測値の±30%の範囲に含まれる人の割合が75%程度とされています(CKD診療ガイド2012)

あくまでも目安に過ぎません。だから、検査値に加えて患者さんの自覚症状もあわせて評価した方がよいと思います。

  • 尿量
  • 排尿回数
  • 浮腫
  • 倦怠感など

調剤薬局では、検査値の確認が難しい?

処方箋に印字されていないケースが多いからです。どうすればいいのか?

  • 患者さんに聞く(検査結果控えを持っている場合もある)
  • 又は医療機関に問い合わせる

この2つの方法が考えられます。処方箋に検査値を載せるのが当たり前になる日が待ち遠しいですね。

STEP
必要に応じて

下記の対応を検討します

疑義照会
処方提案
服薬後のフォロー

疑義照会や処方提案の記事も書いています。参考にしていただけると幸いです。

もし、腎機能チェックを見逃すとどうなるのか?

期待した効果が得られないばかりか、思わぬ副作用が出現する可能性があります。過少投与や過量投与につながるからです。これは何としても避けなければなりません。

じゃあ、どうすればいいのか?

ここからが本題です。腎機能チェックを習慣にすべき4つの理由を解説します。

腎機能チェックを習慣にすべき4つの理由

なぜ、腎機能チェック習慣にすべきなのか

理由は大きく4つです。

  1. 適正使用のニーズが高い
  2. 処方監査で投与量を最適化できる
  3. コンサルテーションにも活用できる
  4. 日常的に知識を増やせる

順番に見ていきますね。

適正使用のニーズが高い

ご存知のとおり

安全性情報により腎機能チェックの必要性が何度も説かれているからです

私たち薬剤師は、腎機能チェックを通して安全な薬物療法に貢献することが求められています。

適正使用情報は大きく3種類です。

  1. 緊急安全性情報(黄色)
  2. 安全性速報(青色)
  3. 適正使用のお願い(白色)

緊急安全性情報(イエローレター)は重要度・緊急度が最も高く、その次が安全性速報(ブルーレター)ですね。腎機能に関連したものをピックアップすると下記です。

一般名種類過量投与のリスク発行年月
エダラボン急性腎不全2002年10月
ダビガトラン重篤な出血2011年8月
メトホルミン乳酸アシドーシス2011年12月
プレガバリンめまい、傾眠、意識消失2012年7月
シベンゾリン徐脈、心停止2012年7月
PMDA、医薬品に関する緊急安全性情報及び安全性速報、一覧より

いずれも過量投与のリスクから、投与前と投与中の腎機能チェックの重要性が説かれています。投与量の遵守が繰り返し述べられているわけです。

とくに、ダビガトランは要注意!

プラザキサは尿中排泄率が約80%と高く、腎機能障害のある方への過量投与は、重篤な出血を招く危険性が高いからです。市販後直後調査の結果、出血による死亡15例、うち13例は腎機能障害あり、そのうち6例はeGFR30未満(禁忌)であったことが明らかになっています。腎機能チェックを見落とすと危険な代表薬の一つです。

適正使用情報から、以下の強いメッセージが読み取れます。

  • 腎機能チェックは大事!
  • しかし、見逃されやすい…
  • だから、漏れなく確認するように!!

薬の種類は違っても、言っていることは変わりません。腎機能チェックの重要性を何度も訴えているのです。

裏を返せば、

それだけ腎機能に見合わない投与量が選択され、見逃されている実態があること。薬剤師はこの適正使用情報に込められた要請に応えなければなりません。もちろん医師もですが、薬剤師は最後の砦という意味で、より責任が求められているといえます。

腎機能チェックを習慣にすることは、安全な薬物療法を保証すべき使命を果たすためのはじめの第一歩です!

処方監査で投与量を最適化できる

続いて、2つ目の理由。

腎機能チェックを通して投与量を最適化できるからです

腎機能チェックは処方監査の場面でめちゃくちゃ役立ちます。処方箋の疑義は薬効重複や相互作用などさまざまですが、中でも腎機能に合わない投与量に関するものは多いからです。

薬剤師

Aさんの件ですが、腎機能からすると、◯◯という薬の投与量は△△mgが目安です。減量は可能でしょうか?

もはや定型句ですよね。

「薬剤師によるチェック機構をどれだけ信用してるのか」と思うくらい腎機能をオーバーした処方に出会うし、「これで何回め」っていうくらい同じ先生が同じ薬を投与量オーバーで処方することも珍しくありません。

腎機能別投与量」と「実際の投与量」の乖離は、疑義照会の定番ですよね。

腎機能チェックを習慣にすれば、日常行う処方監査の場面で投与量の最適化が漏れなくできます!

過量投与のリスクも覚えておこう!

排泄遅延による血中濃度上昇に伴う具体的なリスクも併せて理解しておくと、疑義照会の場面で役立ちます。

  • アシクロビル…意識障害、けいれんなど
  • リリカ…ふらつき、不動感、めまい、転倒など

なぜ減量が必要なのか?と医師に問われて、「添付文書にかいてあるから」ではなくて、具体的に「○○の危険性があるので減量が望ましい」と伝えられるからです。服薬後のフォローや副作用のモニタリングにも活用できます。

コンサルテーションにも活用できる

続いて3つ目の理由。

習慣により得られた

腎機能チェックの知識医師からの相談にも活用できるからです

腎機能チェックで使う知識はコンサルテーションにも応用できます。腎機能別投与量については医師からよく聞かれるからです。日常茶飯事といえるくらい(^-^)

医師

かなり腎機能が低下してる人がいて○○という薬を使いたいんだけど、どのくらいの量を投与したらいいですか?eGFRは30くらいなんですけど…

こんな感じで、よく質問を受けます。特に一般医からCKDや透析患者さんに対する投与量の問い合わせは本当に多いです。

なぜ、コンサルトが多いのか?

というと、薬の排泄経路に詳しい医師は少ないからです。もちろん、腎臓の専門医や使い慣れている薬は別ですが、排泄経路にやたら詳しい先生はほとんどいません。

腎機能チェックの知識は、以下のようにコンサルテーションに使えます。

医師

この前も聞いたけど、A(という薬)は腎機能が悪い人には減量したほうがいいの?eGFRは40くらいです

薬剤師

そうですね。Aは腎排泄率が高いので、減量が必要になります。腎機能から考えると、初日は500mgで翌日から250mgが投与量の目安です(※Aはレボフロキサシン、標準体型と仮定して)

という具合に。上手くいけば、コンサルテーションの機会が次第に増えていきます。最初は腎機能がらみの相談だったのが、気づけば他の領域まで聞かれるようになるからです。日々の積み重ねにより、信頼関係も築かれていきます。

実を言うと医師との信頼関係を築くためには、何も腎機能チェックにこだわる必要はなく、日常的に正しく答えられる領域なら何でも構いません。循環器薬や抗がん剤、抗菌薬などの知識でもいいわけです。

でも、一番よく聞かれることを得意分野としておく方が効果的だと思います!なぜなら苦手分野を聞かれて、きちんと答えられないと医師の信頼は逆にダウンするし、普段あまり聞かれない分野だと、信頼関係を築くのに相当時間を要することが予想されるからです。

だから、医師の相談が多い分野(腎機能チェック、腎機能別投与量など)の知識を身につけることは、コンサルテーションを円滑に進め、信頼度を上げる近道に他なりません。処方提案や疑義照会の受け入れが良くなり、薬剤師の仕事を患者さんに届けやすくなる効果も期待できます。

腎機能チェックの知識は医師からの問い合わせやコンサルテーションにも活用でき、信頼関係の構築にも繋がります。

日常的に知識を増やせる

最後に4つ目の理由。

日常業務の中で

汎用薬から優先的に、一つずつ着実に覚えられるからです

腎機能チェックを習慣にすれば無理なく自然と知識が身に付きます。

一方で、一気に全部覚えるのはおすすめしません。腎排泄型薬剤は種類が多く、記憶力にも限界があるし、仮にがんばって全部覚えたとしても、日常的に役立つのはほんの一部でしかないからです。使わない知識はしばらくすると忘れてしまうのがオチですよね。

目指すゴールは

処方箋を見て腎排泄型薬剤がどれなのか、瞬時に判断できることです。いちいち添付文書を見なくていいので、日常業務もはかどります。

新人の頃から、腎機能チェックを習慣化し、少しずつ知識を増やしていきましょう!

おすすめの書籍

腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK 第4版

白衣のポケットに収まるサイズ。腎機能に応じた投与量をサッと検索できて、とても便利です!

まとめ

今回は、腎機能チェックを習慣にすべき理由を述べました。

4つの理由は下記です

  1. 適正使用のニーズが高い
    (習慣にすることは)安全な薬物療法を保証するための出発点!
  2. 処方監査で投与量を最適化できる
    (習慣にすれば)腎機能別投与量を逸脱した処方を漏れなく是正できる
  3. コンサルテーションにも活用できる
    (習慣にすれば)医師からの相談にスムーズに対応できる
  4. 日常的に知識を増やせる
    (習慣にすれば)汎用薬から効率的に着実に知識が身につく

腎機能チェックは薬剤師業務の骨格になります。新人の頃から習慣とし、コツコツと知識を積み重ね有効で安全な薬物療法をサポートしていきましょう♪

目次