腎機能チェック

腎機能チェックは薬剤師がはじめに習得すべき業務!4つの理由を語る!

薬剤師になったら、まず習得すべきことは何か?

「まずは調剤に決まってるでしょ!」
「いや、患者さん対応から学んだほうがいいよね」
「いやいや、専門分野(がん、感染、緩和等)を若い時から学ぶのがオススメだよ」

と、人によって意見や考え方はさまざま。間違ってるわけじゃないけど、優先順位をつけるなら経験からして、これしかありません。

・処方監査業務における腎機能チェック!

今回のテーマです。腎機能チェックは薬剤師ならみんなマスターしておくべきもの。はじめに習得すべき4つの理由について熱く語ります。

腎機能チェックは薬剤師業務の骨格をなす

腎機能チェックは薬剤師が仕事をやっていく上で、なくてはならない業務の一つになります。なぜなら、安全な薬物療法を保証するために欠かせないものだからです。

処方箋を見て、棚からクスリを集めてくる。それだけが薬剤師の仕事ではありませんよね。

「はじめにやるのが処方監査」

処方箋の内容が正しいのか、安全性は問題ないのか?調剤の前に通るべき関門のようなものです。

安全性のチェック項目は、いくつかあります。

  • 適応症
  • 禁忌
  • 慎重投与
  • 薬効の重複
  • 投与量
  • 相互作用

もちろん、どれも大事。しかし、腎機能に応じた投与量であるかのチェックは処方監査業務のベースになる確認項目です。

もし、腎機能チェックを見逃すとどうなるのか?

期待した効果が得られないばかりか、思わぬ副作用が出現する可能性があります。つまり、過少投与や過量投与につながるわけです。

「せっかく薬を飲むんだったら、自分にあった量を安心して飲みたい」

と、思うのが患者さんにとって当然の感覚ですよね。

腎機能チェックは、患者さんが安心して治療を受けるために不可欠なもの。薬剤師がやるべき業務のかなめであるといえます。

ここでいう腎機能チェック業務とは下記です。

  • 処方箋から腎排泄型薬剤を峻別して
  • 患者さんの腎機能から適切な投与量であるかを評価して
  • 安全な薬物療法をサポートする

そのために必要なスキルは、詳しく記事にまとめているので合わせてチェックして下さいね。

腎機能チェック、習得すべき4つの理由

大きく4つあります。

  1. 社会のニーズが高い
  2. 疑義照会の定番である
  3. 医師とのコンサルテーションに応用できる
  4. 医師との信頼関係を築く、起点となる

順番に見ていきますね。

1)社会のニーズが高い

腎機能チェックは社会が求める薬剤師がやるべき業務の一つです。過去の安全性情報から伺い知ることができます。

適正使用情報は大きく3種類です。

  • イエロー(緊急安全性情報)
  • ブルー(安全性速報)
  • シロ(適正使用のお願い)

【重要度・緊急度】が最も高いのがイエロー。その次がブルーです。腎機能に関連したものをピックアップすると下記のようになります。発行年月の新しい順です。

  • シベンゾリン…2012年7月シロ
    →心停止のリスク
  • プレガバリン…2012年7月シロ
    →めまい、傾眠、意識消失のリスク
  • メトホルミン…2011年12月シロ
    →乳酸アシドーシスのリスク
  • ダビガトラン…2011年8月ブルー
    →重篤な出血のリスク
  • エダラボン…2002年10月イエロー
    →急性腎不全のリスク

いずれも重篤な副作用のリスクから、投与前と投与中の腎機能チェックの重要性が説かれています。投与量の遵守が繰り返し述べられているわけです。

「とくに、プラザキサ(ダビガトラン)は要注意!」

市販後直後調査の結果、出血による死亡15例、うち13例は腎機能障害あり、そのうち6例はeGFR30未満(禁忌)でした。

プラザキサは尿中排泄率が約80%と高く、腎機能障害のある方への過量投与は、容易に重篤な出血を招きます。腎機能チェックを見落とすと危険な代表薬の一つです。

適正使用情報から、以下の強いメッセージが読み取れます。

  • 腎機能チェックは大事!
  • だけど見逃されやすいという側面もある
  • だからしっかりと確認するように!

薬の種類は違っても、言ってることは変わりません。腎機能チェックの重要性を何度も訴えているのです。

「裏を返せば、それだけ腎機能に見合わない投与量が選択され、見逃されている実態があるということ」

薬剤師はこの適正使用に込められた想いに応えなければなりません。もちろん医師もですが、薬剤師は最後の砦という意味で、より責任が求められているといえます。

腎機能チェックは、薬剤師免許を手に入れて、調剤業務にあたる時点で、最初にできるようになりたい業務の一つです。それができないと安全な薬物療法を保証すべきという社会のニーズを満たすことはできません。

2)疑義照会の定番である

腎機能チェック業務は日々の疑義照会で活躍します。処方箋の疑義は薬効重複や相互作用などさまざまですが、中でも腎機能に合わない投与量に関するものが多い印象があるからです。

「Aさんの薬の件ですが、腎機能からすると、◯◯という薬の投与量は△△mgが目安です。減量は可能でしょうか?」

もはや定型句ですよね。

「薬剤師によるチェック機構をどれだけ信用してるのか」と思うくらい腎機能をオーバーした処方に出会います。

「これで何回め」っていうくらい同じ先生が同じ薬を投与量オーバーで処方することも珍しくもありません。

対象となる薬もだいたい決まっています。

代表的な腎排泄型薬剤
  • レボフロキサシン
  • ファモチジン
  • レボセチリジン
  • バラシクロビル、アシクロビル
  • プレガバリン
  • アマンタジン
  • アロプリノール
  • ジゴキシン
  • メトホルミン
  • ダビガトラン

…など、ほかにもいっぱいありますよね。

「腎機能の指標と投与量の乖離は疑義照会の定番です」

腎機能チェック業務をマスターしておけば、日常業務がはかどります。若手、新人薬剤師の方は最初に身につけておくのがオススメです。

3)医師のコンサルテーションにも応用できる

腎機能チェックで培った知識と考え方は、医師からの相談にも活用できます。腎機能別の投与量について聞かれることは日常茶飯事だからです。

「かなり腎機能が低下してる人がいて○○という薬を使いたいんだけど、どのくらいの量を投与したらいいですか?eGFRは30くらいなんですけど…」

こんな感じで、よく聞かれます。特に一般医からCKDや透析患者さんに対する投与量の問い合わせは本当に多いです。

なぜ、コンサルトが多いのか?

というと、薬の排泄経路に詳しい医師は少ないからです。もちろん、腎臓の専門医や使い慣れている薬は別ですが、排泄経路にやたら詳しい先生はほとんどいません。

おそらく医師は、腎機能に関する投与量は薬剤師に聞けば良いと思っています。

「薬の選択は医師、投与量の設計は薬剤師」

みたいなものがあって、暗黙のうちに役割分担がされているようです。

腎機能チェック業務は薬物動態に詳しい薬剤師が得意とするところ。医師からの問い合わせにも応用できるので、できるだけ早い段階で自分のものにしておきましょう。

4)医師と信頼関係を築く、起点となる

腎機能チェックを通して医師との信頼関係が築けます。投与量の問い合わせや疑義照会など、日々の積み重ねが信頼度アップにつながるからです。

腎機能チェック業務が板につくと、注意すべき薬の種類と腎機能別の投与量が頭に入ってくるのでだんだんとスピーディに、正確に対応できるようになります。

医師「この前も聞いたけど、このAというクスリは腎機能が悪い人には減量したほうがいいの?eGFRは40くらいです」

薬剤師「そうですね。Aというクスリは腎排泄率が高いので、減量が必要になります。腎機能から考えると、初日は500mgで翌日から250mgが投与量の目安です。」

という具合に。※Aはレボフロキサシン、標準体型と仮定して

上手くいけば、コンサルテーションの機会が増えます。最初は腎機能がらみの相談だったのが、気づけば他の領域まで聞かれるようになります。

実を言うと医師との信頼関係を築くためには、何も腎機能チェックにこだわる必要はありません。日常的に正しく答えられる領域なら何でもオッケーです。循環器薬や抗がん剤、抗菌薬などの知識でもいいわけ。

でも、一番よく聞かれることを得意分野としておく方が効果的です。

なぜなら苦手分野を聞かれて、きちんと答えられないと医師の信頼は逆にダウンするし、普段あまり聞かれない分野だと、信頼関係を築くのに相当時間がかかることが予想されるからです。

だから、医師の相談が多い分野(腎機能チェック、腎機能別投与量など)を得意とすることは、コンサルテーションを円滑に進め、信頼度を上げる近道になります。

「信頼関係が築けたら、薬剤師の仕事を患者さんに届けやすくなる」

処方提案や疑義照会の受け入れが良くなるからです。

腎機能チェック業務は、医師との信頼関係を築くための起点になります。薬物療法に介入しやすくなる効果が期待できるので、習得しない手はありません(^-^)

腎機能チェックは若い頃からトレーニングを!

腎機能チェックは薬剤師業務の骨格をなす仕事!

では、いつから始めたらいいのか?

答えは今ですねーー。^_^
できれば若い時から始めた方がいいです♪

理由は2つあります。

  1. 腎排泄薬剤かどうか、峻別できるまで時間がかかる
  2. 患者さんをみる習慣が身につく

1)腎排泄型薬剤を峻別できるまで時間がかかる

腎排泄型の薬は山ほどあります。数えたわけじゃなく体感ですが…間違いないはず。

一気に全部覚えるのは正直言って無理です。記憶力にも限界があります。

仮にがんばって全部覚えたとしても、日常的に役立つのはほんの一部でしかありません。使わない知識はしばらくすると忘れてしまうのがオチです。

では、どうすればいいのか?

「よく目にする薬から、一つずつ着実に覚える」

日常的にあつかう薬から始めて、少しずつ知識を増やしていくのがオススメです。優先順位が高いものから頭に入るので効率的だと思います。

ゴールは処方箋を見て腎排泄型薬剤がどれなのか、瞬時に判断できること。でもそれまでには時間がかかるものです。

新人の頃から、少しずつ知識を増やしていきましょう。記憶スペースが十分あるときに頭に叩き込んでおくと、ベテランと呼ばれる時期になっても、ちゃんと覚えてるはずです。

2)患者さんを見る習慣がつく

腎機能チェックは患者さんを見ないと正しく行えません。腎機能の指標と添付文書を見比べるだけでは、判断を見誤る可能性があるからです。

「eGFRやCcrはあくまでも推測値」

eGFRの正確度は、実測値の±30%の範囲に含まれる人の割合が75%程度とされています。過信は禁物です。

とくに減量ライン付近の場合は要注意!下記のチェックも必要になります。

  • 検査値…K(カリウム)、Cre(クレアチニン)、BUN(尿素窒素)
  • 自覚症状…むくみや尿量など

腎排泄型薬剤と腎機能別投与量だけを覚えればオッケーではないのです。

さらに疑義照会で意識したいのは、過量投与のリスク!排泄遅延による血中濃度上昇に伴う具体的なリスクを理解しておくことが大切です。

たとえば、下記ですね。

  • アシクロビル…意識障害、けいれんなど
  • リリカ…ふらつき、不動感、めまい、転倒など

なぜ減量が必要なのか?と医師に問われて、「添付文書にかいてあるから」ではなくて、具体的に「○○の危険性があるので減量が望ましい」と伝えることができるか、が重要なのです。

目の前の患者さんの状態を見て、具体的なリスクを想像して行うのが腎機能チェック業務!若いうちから、その視点を身につけておくと、薬剤師としての職能が先々大きく開花するはずです。

まとめ

今回は、「腎機能チェック」をテーマに薬剤師が初めに習得すべき4つの理由について解説しました。ポイントは以下のとおりです。

  1. 社会のニーズが高い
    →腎機能チェックは安全な薬物療法をサポートするべく、社会が求めている、薬剤師がまず身に付けたい業務の一つ。
  2. 疑義照会の定番である
    →腎機能をオーバーした処方の遭遇率は高め。一つでもスルーしないように、漏れなくキャッチできるようにマスターしておきたい。
  3. 医師とのコンサルテーションにも応用できる
    →薬の排泄経路までわかっている医師は少ない。投与量の相談にスムーズに対応できるよう得意分野にしておこう。
  4. 医師と信頼関係を築く、起点となる
    →日々の積み重ねが信頼関係構築につながる。処方提案や疑義照会の受け入れが良くなり、薬剤師の仕事が患者さんに届きやすくなる。

腎機能チェックは薬剤師業務の骨格になる仕事です。若いうちから、コツコツと知識を積み重ねていきましょう♪

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