腎機能チェック

eGFRとCcrの違いは?わかりやすくポイントを解説!

今回のテーマはeGFRとCcrの違いです。

添付文書を見るとたいていCcrという文字が飛び込んできます。一方で、血液検査票には決まってeGFRの記載です。

どちらも腎機能を評価するための指標であることはわかります。

でも一体、何が違うのか?

と聞かれると、はっきりとした答えが見つからず口ごもる人も多いのではないでしょうか?

今回は、「eGFRとCcr」の違いに注目!わかりやすくポイントを解説します。

eGFRとCcrの共通点から

eGFRとCcrの違いの前に、類似点を確認しておきますね。

大きく2点です。

  1. どちらもGFRをあらわす指標
  2. どちらも計算で求める推定値

1)糸球体ろ過量(GFR)をあらわす指標

どちらも腎機能の指標であるGFRを求めたものです。

GFRとは腎臓の糸球体から1分間にろ過される血漿量(mL)のこと

GFRが高くなると腎機能が良く、GFRが低くなると腎機能が悪いと評価します。

eGFRはGFRが名前に入っているので、わかりやすいです。一方でCcrは一見GFRだと気づきません。しかし、クレアチニンという物質を使ってGFRを求めたものものです。

イージーエフアール、シーシーアール(クレアチニンクリアランス)と、名前や呼び方は違います。でも、腎機能の良し悪しを評価するGFRをあらわしている点は共通です。

2)計算で求める推定値

eGFRの頭文字についてる「e」はestimated(推定された)という意味。わかりやすいですね。Ccrも通常は推定値です。(実測の場合は実測Ccrと区別するのが一般的)

GFRやCcrは実際に測定することができますが、患者負担が大きく、時間と手間もかかるので、推測式で計算した値を用います。

計算式は下記です。

▽eGFRの計算式
・194×血清クレアチニン-1.094×年齢-0.287(女性の場合は×0.739)

▽Cockcroft & Gault の式(CG式)
・男性:(140-年齢) x 体重(Kg) /(72 x 血清クレアチニン(mg/dL) )
・女性:0.85 x 男性の値

CG式の方は比較的簡単ですよね。少し時間をかければCcrを求めることができます。

一方で、eGFRの方は無理!血清Creのマイナス1.094乗、年齢のマイナス0.287乗なんて計算機がないと不可能ですね。

といっても、最近ではeGFRやCcrを自動で計算してくれるサイトがあって、自力で計算せずとも簡単に数値をはじき出すことができます。

それにわざわざ、計算しなくても、血液検査結果にCreやBUNに加えてeGFRが記載されるようになってきましたよね。

eGFRとCcrの共通点まとめると以下の2点です。

eGFRとCcrの共通点
  • 腎機能の良し悪しを評価するGFRをあらわす指標
  • 年齢や性別、体重、血清Creなどをもとに計算した推定値

ここからは、違いを見ていきましょう。

eGFRとCcrの相違点

違いは大きく3つです。

  1. 推測精度の違い
  2. 単位の違い
  3. 使える場面の違い

1)推測精度の違い

eGFRの方が糸球体ろ過量GFRを正確に反映します。なぜなら、GFRのゴールドスタンダードであるイヌリンクリアンスから作成された推測式だからです。

順番に説明します。

まず、GFRを測定する方法は大きく2つです。

  • イヌリンクリアランス
  • クレアチニンクリアランス

イヌリンクリアランスは真のGFR値あらわす

「イヌリンクリアランス=GFRです」

測定に用いるイヌリンは尿細管での再吸収や分泌がなく、投与したすべてが糸球体ろ過によってのみ排泄されるからです。

つまり、イヌリンクリアランス(Cin)はGFRとイコールになります。CinがGFRのゴールドスタンダードといわれる理由ですね。

eGFRは日本人男女の「イヌリンクリアランス」をもとに作成された、比較的新しい推測式です。推測精度が高くGFRをより正確に反映するといわれています。

クレアチニンクリアランスはGFRより高めになる

「クレアチニンクリアランス=GFR×1.2〜1.3です」

測定に用いる生体内物質のクレアチニン(Cre)は糸球体ろ過に加えて、尿細管で分泌されるからです。CcrはCinよりも20〜30%くらい高めになります。

つまり、Ccrは糸球体ろ過量に尿細管分泌分を足したものとイコールなのです

CcrはCockcroft Gaultの式で求めます。カナダにおける白人男性の「クレアチニンクリアランス」から作成されたもので、eGFRよりも高めの数値になるのが特徴です。

推測精度の違い
  • eGFR…イヌリンクリアランスから導かれた式(GFRを反映する)
  • Ccr…クレアチニンクリアランスから導かれた式(GFRよりも2〜3割高めに)

2)単位の違い

eGFRとCcrは、単位が違います。知ってましたか?

  • eGFR…mL/min/1.73㎡
  • Ccr…mL/min

どちらもGFRの指標でありながら、よく見ると単位が異なります。要するに1.73㎡が入ってるかどうかという違いですね。

eGFRは、標準の体表面積1.73㎡で補正

だいたい170cm、63kgの体格に合わせた値になっています。

つまり、血液検査票のeGFR値はその人のGFRを表しているわけではありません。

「標準体型なら○○ですよ」と教えてくれているのです。

その証拠にeGFRの計算に個人の身長や体重は不要です。以下の項目を入力すれば計算できます。

  • 年齢
  • 性別
  • 血清Cre

Ccrの方は個別のGFR

こっちは、

「あなたのGFR値は〇〇ですよ」と言っています。

その証拠に、CG式には年齢や性別、血清Creのほかに個人の体重が必要です。

  • 年齢
  • 性別
  • 血清Cre
  • 体重

まとめると、標準の体格1.73㎡で補正してるのがeGFR、補正がなく個人ごと(体重ごと)のGFRをあらわしてるのがCcrということですね。

単位の違い
  • eGFRは標準体型で補正した数値…mL/min/1.73㎡
  • Ccrは個別の数値…mL/min(計算式に体重が入ってるから)

3)使える場面の違い

臨床において、どのような場面で使うのでしょうか?

糸球体ろ過量GFRが必要となる場面は大きく2つです。

  • CKD(慢性腎臓病)の診断
  • 腎排泄型薬剤の投与設計

CKDの診断には

eGFRを用います。

CKDの診断基準は以下のとおりです。

・ 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在
eGFR < 60( mL/ min/1.73㎡ )
→1、2のいずれか,または両方が3カ月以上持続する場合をCKDと診断

参考文献)エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018

eGFRが明記されていますね。

CKDの診断には、標準の体表面積1.73㎡で補正したeGFRを用います。GFRは腎臓の大きさ、つまり体格に比例するので、体が大きな人ほどGFRが高く、体が小さな人ほどGFRは低くなってしまうからです。

体格による差をなくして腎機能が良いのか悪いのかを評価します。

ちなみにCcrの出番はありません。

薬物投与設計では

eGFRとCcrどちらも使えます。

薬物投与設計の場面では、投与する患者さんのGFRが必要です。そのため、個別のGFRを求めたCcrはそのまま使えます。添付文書の腎機能別投与量にCcrが書いてあるのも納得ですね。

一方で、eGFRはそのままでは使用できません。標準体型面積で補正された値だからです。

もし、eGFRを使ってしまったら以下の不都合が生じます。

  • 標準体型より体格が小さい人→腎機能を過大評価し過量投与に繋がる危険
  • 体格の大きな人→腎機能を過小評価し、過少投与につながる可能性

これでは、有効性、安全性の点でよくないですよね。

じゃあ、どうすればいいのか?

というと、標準体型による補正をはずせばいいだけです。以下の式に当てはめて計算します。

・未補正eGFR = eGFR × 個々の体表面積/1.73㎡

標準体型で割って、個別の体表面積をかければ、個別のGFRをあらわした未補正eGFRのできあがり。eGFRはCKDの診断に使えるし、未補正eGFRとすることで薬物投与設計にも使えるわけです。

使える場面の違い
  • eGFRはCKDの診断と薬物投与設計(未補正eGFR)に使える
  • Ccrは薬物投与設計に使う

eGFR、Ccrの注意点


腎機能の評価は、安全な薬物療法に欠かせません。

でも、誤った解釈をするとかなり危険です。気をつけたい点をざっくりと説明しますね。

Ccrの注意点

Ccrは肥満患者には使いにくい!

体重が計算式に入ってるので、肥満患者さんではCcrの値が大きくなって、腎機能の過大評価につながります。

体重が増えたからといって、腎臓の大きさ(腎臓の機能)は変わらないですからね。

高齢者では、Ccrが低くなってしまう!

Ccrの式は年齢の影響を受けやすく、高齢者では低くなる傾向が強いです。

最近の知見から、加齢による腎機能の低下は意外と少ないことが分かっています。

年齢の影響を強く受ける高齢者ではCcrを用いることに限界があり、正しく評価できない可能性があることを覚えておきましょう。

eGFRに比べて高めになる

実測Ccrは実測GFRよりも2〜3割程度高めになります。

先述したとおり、CG式も同じで、CcrはeGFRに比べてやや高めの数値になることが多いです。高齢者は低くなる場合も(年齢の影響を強く受けた場合)。

実測のCcrまたは推測Ccrは下記の方法でGFRとして評価する方法があります。

  • 実測Ccr×0.715=GFR(※CKD診療ガイド2012)
  • 推測Ccr×0.789=GFR(腎臓薬物療法学会ホームページeGFR、Ccrの計算)

実測でなくても良いなら、Ccrより精度の高いeGFRを使った方が良さそうですね。

Ccrのピットフォール
  • 肥満患者では過大評価につながる
  • 高齢者では過小評価につながる
  • クレアチニンクリアランスのためGFRより2〜3割高めにでる

eGFRの注意点

寝たきりで筋肉量の少ない人には使いにくい点です。過大評価の危険性があります。

下記の記事に理由も合わせて解説しているのでご覧くださいね。

まとめ

eGFRとCcr、ポイントは以下のとおりです。

▽eGFRとCcrの違い

  • 推測精度の違い
    ・Ccr…クレアチニンクリアランス
    ・eGFR…イヌリンクリアランス
    →より正確にGFRを反映するのはeGFR。
  • 単位の違い
    ・eGFR…【mL/min/1.73㎡】
    ・Ccr…【mL/min】
  • 使う場面の違い
    →①CKDの診断or/and②薬物投与設計
    ・eGFRはそのまま①に、未補正として②もOK
    ・Ccrはそのまま②に。

今回は、腎機能を評価するための指標であるeGFRとCcrの違いに注目、押さえておきたいポイントを解説しました。

処方監査や処方提案など、日常業務でよく登場する2つの指標。正しく使って安全な薬物療法をサポートしましょう♪

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