腎機能チェック

【eGFRとは?】薬剤師がマスターすべき使い方は2種類ある!

腎機能が良いのか、それとも悪いのか?

評価するための指標がeGFRです。日常的によく見かけますよね。

実は大きく2つの活用法があるのをご存知ですか?

・その両方がわかってこそ、安全管理ができる!というもの

今回のテーマはeGFRの使い方。薬剤師がマスターしておきたい2種類の方法を解説します。

記事の最後に「確認問題」を用意しているので、eGFRマスターを目指してじっくり読んで下さいね^_^

eGFRとは?

eGFRとは、糸球体ろ過量の推測値のことです。

(※estimated glemerular filtration rate:eGFR)

腎機能を評価するときの指標である糸球体ろ過量(GFR)を計算で求めた推算値のこと。

GFRは1分間あたりに腎臓の糸球体でろ過される血液量がどのくらいなのか?をあらわします。単位はmL/minです。

「GFRの数値が高いと腎機能が良く、逆に低いと腎機能が悪いと評価できます」

臨床でよく見かけるのは、GFRではなくeGFRです。

なぜかというと、実測値であるGFRは、求める検査が煩雑で時間もかかるからです。臨床では推測式から簡易に算出できるeGFRが汎用されています。

eGFR:2種類の使い方

そんなeGFRの使い方はおもに2パターンあります。

  1. CKDの診断…mL/min/1.73㎡
  2. 薬物の投与設計…mL/min

単位に注目しながら、順番に見ていきましょう。

1)CKDの診断に活用!【使い方①】

まず一つ目は「慢性腎臓病(CKD)の重症度を評価する」方法です。

eGFRの単位は?【使い方①】

・単位は【mL/min/1.73㎡】

eGFRといえば、通常1.73㎡がついてる値です。

血液検査に載っているのもコレですね。この1.73㎡がポイントです。

1.73㎡って一体何なの?

初めて見る人はこう思いますよね。1.73㎡は体表面積です。

普通eGFRというと、体表面積1.73㎡で補正された糸球体ろ過量を指します。

補正が必要な理由

体格による差をなくすためです。

糸球体ろ過量(GFR)は腎臓の大きさに比例します。つまり、体格の大きい人は腎臓が大きい分GFRも高くなり、逆に体格の小さい人は腎臓が小さくGFRも低くなるのです。

もしも、ですよ。

患者さんごとのGFR値をもとに診断すると、下記の不都合が起こります。

  • GFRが低い小柄な人は、体格に見合った機能であってもCKDと診断されやすい
  • GFRが高い大柄の人は、体格に見合った機能がないにも関わらずCKDの診断が見逃される

体格による差をなくすために、標準体型1.73㎡で補正したeGFR値を診断に用いるわけです。

ちなみに、標準体型1.73㎡というのは、身長170cm、体重63kgが目安になります。

これが平均?って感じですよね。この目安はeGFRを使う場面で役立つので、覚えておきましょう。

CKDの診断基準は?

CKDと診断されるeGFR値はいくらでしょうか?

診断基準は以下のとおりです。

・尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在
eGFR < 60( mL/ min/1.73㎡ )
→①,②のいずれか,または両方が3カ月以上持続する場合をCKDと診断

参考文献)エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018

CKDはタンパク尿の存在とeGFRから判断します。診断基準となるeGFR値は60未満です。

eGFR値の目安

血液検査票にはeGFR◯◯と具体的な数値が書いてあります。一方で、添付文書の禁忌には「重度腎機能障害」とか「中等度腎機能障害」という記載です。

eGFRに換算するとどのくらいなのか?

おおむねの目安は下記です。

  • 中等度腎機能障害…30≦eGFR<60
  • 重度腎機能障害…eGFR<30
  • 透析患者…eGFR<10

ちなみに、腎機能が正常な健常者はeGFRが100くらいです。大まかな数値は処方監査の時に活用できるので覚えておくといいと思います。

まとめ【使い方①】

この人は腎機能が良いのか悪いのか?

CKDの診断は、標準体型に補正したGFRをもとに評価します。eGFRの単位は【mL/min/1.73㎡】です。

eGFR(mL/min/1.73㎡)…CKDの診断(重症度評価)

ここで、注意があります。

eGFR(mL/min/1.73㎡)は標準体型に補正した数値です。だから標準から外れた体格の人のGFRをあらわしているわけではありません。

つまり、「薬の投与量」と「糸球体ろ過量GFR」が合っているのか薬物の投与設計に1.73㎡つきのeGFR値は使えないのです。

そこで登場するのが「未補正eGFR(mL/min)」

次に進みますね。

2)薬剤の投与設計に活用【使い方②】

続いて、2つ目の使い方。「患者さんごとの薬剤投与量を設計する方法」です。

eGFRの単位は?【使い方②】

・単位は【mL/min】

CKDの診断に使うeGFR(mL/min/1.73㎡)と違います。

1.73㎡の姿が見当たりませんね。

eGFRの単位は体表面積の補正がはずれた 「mL/min 」で、未補正eGFRと呼びます。患者さん個々の糸球体ろ過量GFRをあらわした値のことです。

未補正eGFRの求め方

血液検査結果に書いている標準体型補正のeGFRを、未補正eGFRに変換するのはどうすればいいのか?

症例を通して説明します。

腎機能障害がある方の投与量について医師から相談されることは多いですよね。たとえば下記です。

「ねえ、薬剤師さん、S状結腸癌の手術後に尿路感染を起こした人がいます。経口投与でレボフロキサシンを使おうと思っているんだけど、もともと基礎疾患にCKDがあってですね。今日の採血結果ではeGFRが54.0だったんだけど投与量の目安はどのくらいですか?」

どう回答すれば良いのか?

レボフロキサシンはニューキノロン系の抗菌薬。尿中未変化体排泄率が約90%と高く、腎機能に応じて投与量調節を行う代表的な薬剤です。

クラビット錠の添付文書によれば、減量基準は以下のとおり。

腎機能別投与量Ccr(mL/min)
①Ccr≧50 …500mgを1日に1回投与
②20≦Ccr<50 …初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与
③Ccr<20 …初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与

投与量は①〜③のどれになるでしょうか?

ここでは便宜上CcrをeGFRに読み替えて考えます。eGFRが54.0なので、単純に数値だけを見ればとなる投与量は①で、減量は必要なさそうですね。

しかし、これは間違いです。

血液検査結果のeGFRは1.73㎡で補正された数値だからですね。標準体型の人でない限り、この数値をそのまま当てはめることはできません。

まずは患者さんの体表面積をもとに、未補正eGFRを求めます。

計算式を下記です。

・未補正eGFR = eGFR × 個々の体表面積/1.73㎡

例えば 、70歳女性、身長145cm、体重40kg、体表面積1.27㎡の小柄なおばあちゃんであったと仮定します。

数値を入れて計算すると、未補正eGFR=54.0×1.27/1.73で、答えは39.6。

投与量の目安は1段階減量した②が正解になります。

ここで補足です。

添付文書ではeGFRでなく、ほとんどがCcrと記載されています。CcrもeGFRと同様に、糸球体ろ過量GFRをあらわしているわけですが、計算方法が異なるので通常、同じ値にはなりません。しかし、CKD診療ガイド2012によれば、『添付文書におけるCcr別投与量はGFR別投与量とみなしてよい』とされています。

・添付文書における Ccr (mL/min) ≒ 未補正eGFR (mL/min)

薬物投与設計においては、個々のGFR、つまり未補正eGFRを用います。単位は「mL/min/1.73㎡」ではなくて「mL/min」ですね。

未補正eGFRを求めるのは簡単ではない

日常業務で未補正eGFRを求めるのは容易ではありません。

というのも、計算に手間と時間がかかるからです。しかも、体表面積がわからないケースも多いし、求めるにせよ身長と体重wp測っていない(わからない)場合もよくあります。

慌ただしい調剤業務の中で、どこまで時間を割くことができるのかという問題もありますよね。

でも、少しだけ安心してください。

実は、未補正eGFRの代わりに、eGFRをそのまま用いることが可能なのです。

・未補正eGFR ≒ eGFR(mL/min/1.73㎡)と近似できます。

もちろん、平均的な標準体型の場合に限ってですが……、この方法を活用しながらであれば、多忙な日常業務の中でもなんとかなります。

ただ、ですね。

患者さんを見渡してみると、身長170cm体重63kgくらいの人は少ない……ですよね?

「標準体型のはずなのに、どうしてーー」と思いたくなります。

標準体型を下回るケースでは、安全な薬物療法のためとあきらめて仕事(未補正eGFRの計算)を全うするしかありません(>_<)

まとめ【使い方②】

「薬の投与量」が「糸球体ろ過量」に合っているのか?

腎排泄型薬剤の処方監査や投与量設計では、個々のGFRが問題になります。eGFRの単位は【mL/min】です。

eGFR(mL/min)…薬物投与設計・処方監査に用いる

eGFRのピットフォール

eGFRは腎機能を評価するときに欠かせない指標ですが、使用にあたり注意点があります。

2つ紹介しますね。

  1. eGFRを使うのが不適切なケース
  2. eGFRはあくまでも推測値

1)eGFRを使うのが不適切なケース

筋肉量の低下した人です。検査値をチェックするとeGFRが軽く100を突破してる人、見たことありますよね。

「高齢なのに、めっちゃ腎機能がイイねーー」

と、考えてはダメです。

もちろん、若い健常人では大丈夫。でも、高齢のおばあちゃんやおじいちゃんでeGFR100以上の時は要注意です。

eGFRの数値が誤っている可能性が高いからですね。

eGFRは、年齢と性別、血清クレアチニン値(Cre)から求めることができます。尿細管分泌の影響を受けないイヌリンクリアランスから、日本人のデータをもとに作成された式で推測精度に優れているのが特徴です。

しかし、血清Creは腎機能だけでなく筋肉量や食事によっても変動します。そのため、血清Cre値が極端に低い「寝たきりで筋肉がやせ細った患者さん」では、eGFR値が極端に高くなる現象が起こってしまうのです。

腎機能を過大評価(メッチャ良いと誤解)するリスクがあるわけですね。

・必ずしも「eGFRが高い=腎機能が良い」とは限りません。

eGFRが100を軽々超えている時には、腎機能がすごく良いのか、それとも単に筋肉量が少ないのかという視点が必要です。

寝たきりで筋肉量が少ないにも関わらず、eGFRが100を突破している人は、eGFRを用いた腎機能の評価が適切でないことを覚えておきましょう。

eGFRが軽く100を超えている高齢者や筋肉量が少ない人では、24時間の蓄尿により実測値を測定するか、筋肉量の影響を受けないシスタチンCによるeGFRcysを用いるなどの方法で、GFRを評価します。

2)eGFRはあくまでも推測値

eGFRは推測値です。正確度は下記とされています。

”実測値の±30%の範囲に含まれる人の割合は約75%”

参考文献)CKD診療ガイド2012

eGFRは簡易に求めることができる一方で、推測精度にも限界があります。「eGFRはあくまでも目安で過信は禁物!」である点、心に留めておいた方が良さそうです。

誤った解釈や過信は腎機能の過小評価や過大評価につながるので、患者さんの状態も合わせて総合的に腎機能を評価することが大切だと思います。

たとえば、eGFRに加えて下記の自覚症状や検査値なども合わせて評価する形ですね。

  • 尿量の変化
  • 手足のむくみ
  • Cre、BUN、Kなどの検査値

eGFRの使い方 確認問題

最後に、eGFRの使い方について確認問題を作りました。おさらいをしますね。

eGFRの使い方は、単位の違いによって2種類でした。

  1. eGFR(mL/min/1.73㎡)
  2. 未補正eGFR(mL/min)

臨床上どのように使い分けるのか?

以下のA〜D、4つの場面で適切な方を選んで下さいね。

  • A. CKDの重症度を診断
  • B. 腎排泄型薬剤の投与設計と処方監査
  • C. 重度腎機能障害患者へのNSAIDs投与の可否
  • D. 抗腫瘍剤の投与設計と処方監査(ゼローダやTS-1等)

正解はわかりますか?AとBは簡単ですよね。

A. CKDの重症度を診断

正解は①eGFR(mL/min/1.73㎡)ですね。

これは簡単!CKDの診断は体表面積1.73㎡で補正された値を用います。

B. 腎排泄型薬剤の投与設計と処方監査

②未補正eGFR(mL/min)が正解です。

投与設計や処方監査は個々のGFRをもとに行います。

CとDは少し応用問題です。順番に見ていきますね。

C. 重度腎機能障害患者へのNSAIDs投与の可否

NSAIDsは「重篤な腎障害のある患者」への投与が禁忌です。

では、重度腎機能障害をGFR30未満とした場合、その評価に使うのは①eGFRと②未補正eGFRどちらなのでしょうか?

正解は①です。理由を順番に説明します。

NSAIDsは腎臓の悪い人には投与できません。なぜなら、プロスタグランジン(PG)の阻害作用により、腎臓の血流低下を招き、急性腎障害を引き起こす可能性があるからです。

もちろん、健常な人はNSAIDsを投与できます。代償的にPG産生が増えて腎血流量が維持されるからです。恒常性が働いてくれるわけですね。

一方で、CKD患者や高齢者ではすでに代償作用が働いた状態です。NSAIDsによるPG産生低下作用を相殺できず、健常者に比べ腎障害を起こすリスクが高くなります。

だから、重篤な腎障害のある患者にはNSAIDsの投与が禁忌なのです。

NSAIDs投与の可否は、①eGFR(mL/min/1.73㎡)の数値で判断されます。

ちなみに、NSAIDsは肝代謝なので②未補正eGFR(mL/min)をもとに投与量を調節する必要がなく、②の出番はありませんよね。

D. 抗がん剤の投与設計と処方監査

腎臓から排泄される抗がん薬は腎機能が悪い人に投与すると排泄遅延による血中濃度上昇で、副作用が強く出る恐れが高まります。処方前の投与量設計と処方監査が欠かせません。

では、この場合に使うのは①eGFRと ②未補正eGFRどちらなのか?

普通に考えると、投与設計の場面なので②が正解と判断しがちですが、①eGFR(mL/min/1.73㎡)の場合もあります。

たしかに、薬物投与設計では②が正解になるわけですが、例外があります。

投与量の表記が以下の場合です。

  • 体表面積あたり(mg/㎡)
  • 体重あたり(mg/kg)

がん薬物療法時の腎障害ガイドライン2016によれば、投与設計の方法は、以下のように記載されています。

・体格にかかわらず固定用量が定められている薬剤については、1.73m2あたりの体表面積補正をしないクレアチニン・クリアランス(Ccr)ないしeGFR (mL/分)に応じた用量調整を行う。
・体格に応じ,体表面積あたりで用量が定められている薬剤では,体表面積補正 (1.73m2あたり)を行ったCcrあるいはeGFR(mL/分/1.73m2)を用いることが合理的である。

要するに下記です。

  • 投与量が1日○mgと記載された薬剤
    →②未補正eGFR(mL/min)
  • 体表面積△.△△未満の場合□mgと記載された薬剤
    →①eGFR(mL/min/1.73㎡)

もし間違えて、体表面積あたりの投与量が記載された薬剤に、②未補正eGFRを使うとどうなるのでしょうか?

簡単にいうと、体表面積を2重に考慮した投与量が計算されます。たとえば、体格の大きい人は投与量がより多くなり、体格の小さい人は投与量がより少なくなるという事態を招くわけです。

このような投与設計では、過量投与や過小投与になる可能性があり、有効性と安全性の面から適切ではありませんよね。

体表面積あたりで投与量が定められている抗がん剤では①eGFR(mL/min/1.73㎡)、投与量が1日○mgと固定された薬剤は②eGFR(mL/min)が正解です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、eGFRをテーマに、薬剤師がマスターしておきたい2つの使い方について紹介しました。

eGFRの使い方は2パターンです。

  1. eGFR(mL/min/1.73㎡)
  2. 未補正eGFR(mL/min)

CKDの診断や処方監査、薬物投与設計など、場面ごとに使い分けて安全な薬物療法をサポートしましょう♪

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