栄養管理・NST

パレプラス輸液はビーフリード輸液の上位互換!?【共通点と相違点から考察】

今回のテーマはパレプラス輸液!

末梢静脈栄養に用いる輸液です。発売日は2014年11月、今までスルーしていたんですが、改めて特徴を調べてみるとなかなか良い製品であると感じました。

世の中的には、まだまだネームバリューのせいか、ビーフリード輸液を使ってる施設が多い印象ですが、使いやすさはパレプラスの方が優れていると思います。ある意味、上位互換といえるレベルかも!?

では、一体何が優れているのか?

同効薬ビーフリードと比較しながら、パレプラスの魅力に迫ります。

パレプラスとビーフリード:比較

まずは、パレプラスとビーフリードの比較から。ざっと以下のようになります。

製品名パレプラスビーフリード
規格500・1000mL500・1000mL
1日用量500〜2500mL500〜2500mL
カロリー210kcal210kcal
糖質37.5g37.5g
アミノ酸15g15g
分岐鎖アミノ酸30%30%
必須/非必須アミノ酸1.441.44
脂質0g0g
電解質Na+,K+,Mg2+,Ca2+,Cl,SO42-,Acetate,Lactate,Citrate3-,P,Zn   Na+,K+,Mg2+,Ca2+,Cl,SO42-,Acetate,Lactate,Citrate3-,P,Zn    
ビタミン水溶性ビタミン9種ビタミンB1
NPC/N比6464
薬価¥432¥388
開通漏れ防止の工夫開通確認シール、未開通防止装置開通確認器具
パレプラス輸液、ビーフリード輸液、添付文書

各項目の数値は500mLバッグのものになります。薬価を除きほぼ変わりません。一方で、マーカーをつけた部分が異なる箇所です。

ここからは共通点と相違点について具体的に見ていきます。

パレプラスとビーフリード:共通点

パレプラスとビーフリードの共通点は大きく3つあります。

  1. 末梢静脈栄養輸液
  2. 栄養・電解質の含有量
  3. 脂肪を含まない

順番に見ていきましょう。

末梢静脈栄養

パレプラスとビーフリードはどちらもPPNに用いる輸液です。静脈栄養の方法は以下の2種類があります。

  • 末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition)
  • 中心静脈栄養(TPN:Total Parenteral Nutrition)

どちらを選択するか?期間によって決まります。

  • PPN…2週間まで
  • TPN…2週間以上

PPNの適応場面は?

たとえば、腸閉塞や手術の前後などで消化管が使えず、一時的に静脈栄養(2週間以内)を行う場合です。また、消化管が使えても経口摂取が安定するまで、1日の不足カロリーを補うためにPPNが適応になります。キーワードは【短期間】と【補助的】ですね。

一方で、TPNはどうか?2週間以上の【長期間】、1日に必要な栄養を【全体的】にまかなう時に選択します。PPNとは対照的ですね。

しかし最近では、食事や経腸栄養とTPNを併用する場面も見かけます。必要エネルギーの60%未満をTPNで補う場合をSPN(Supplemental Parenteral Nutrition:補完的中心静脈栄養)と呼ぶそうです。参考までに…。

パレプラスを販売する陽進堂のTPN輸液についても、下記にまとめていますので、合わせてご覧くださいね。

ワンパル1号・2号輸液の特徴【製剤のメリットと投与時の注意点を解説!】 今回のテーマはワンパル1号・2号輸液! アミノ酸糖・電解質ビタミン微量元素 上記の栄養素をワンバッグに収めた高カロリー輸液...

このように、パレプラスとビーフリードの分類はPPN輸液です。2週間を目処に短期間、補助的に栄養管理を行う場面で使います。

栄養・電解質の含有量

2つ目の共通点。パレプラスとビーフリードの基本組成はほぼ変わりません。少しくらい違うのかなと思っていたけど、予想が外れました。

500mLあたり

  • カロリー:210kcal
  • 糖質:37.5g(7.5%)
  • アミノ酸:15g(3%)
  • NPC/N比:64

と同じです。ちなみに糖濃度7.5%、アミノ酸濃度3%は浸透圧の関係で、末梢から投与できるギリギリのラインになります。また、NPC/N比が低めなので、腎機能障害のある人ではアミノ酸負荷による高窒素血症に注意が必要です。

さらに、アミノ酸の種類とそれぞれの含有量も全く変わりません。添付文書を並べて、順にロイシン、イソロイシン、バリン……と見比べましたが、表示順も同じだし、量もまるっきり一緒でした。

だから、

  • 分岐鎖アミノ酸(30%)
  • 必須/非必須アミノ酸(1.44)

も同一です。これはTEO基準にあたるもので、従来の基準に比べて筋タンパク分解の抑制、合成作用があるロイシンやバリン、イソロイシンなど分岐鎖アミノ酸が強化されています。

では、電解質の方はどうか?

  • Na+
  • K+,
  • Mg2+
  • Ca2+
  • Cl
  • SO42-
  • Acetate
  • Lactate
  • Citrate3-
  • P
  • Zn   

種類はまったく同じ。含有量は酢酸、乳酸やクエン酸の量に少し差がある程度で、それ以外は変わりません。亜鉛は創傷治癒過程や各種酵素反応で働く微量元素ですね。

このように、パレプラスとビーフリードの基本組成はほぼ変わりません。PPNのメニュー設計において、パレプラス=ビーフリードに相当します。ちなみに用法用量は以下のように共通です。

通常、成人には1回500mLを末梢静脈内に点滴静注する。投与速度は通常、500mL当たり120分を目安とし、高齢者、重篤な患者には更に緩徐に注入する。なお、年齢、症状、体重により適宜増減するが、最大投与量は1日2500mLまでとする。

パレプラス輸液、ビーフリード輸液、添付文書

脂肪を含まない

3つ目の共通点です。パレプラスとビーフリードは脂肪が入ってません。熱量は糖質とアミノ酸のみです。

ここはあえて、共通点にあげました。PPNメニューに脂肪乳剤を加える重要性を意識して欲しいと思ったからです。まだまだ、無脂肪のPPNが大半ですからね。

先述のように、PPNでは浸透圧の関係でどうしても薄い輸液しか投与できません。だから、カロリーが不足しがちです

具体的に体重が40kgの人で考えてみましょう。①必要エネルギーと②アミノ酸量は下記のように計算できます。

①必要エネルギー
②アミノ酸量
  • 800〜1000kcal/日

※20〜25kcal/kgで計算

  • 40g〜60g/日

※1.0〜1.5g/kgで計算

パレプラスの投与量は1日2000mL(840kcal、60g)くらい必要ですね。

添付文書の範囲内だけど、実際には不都合があります。ご高齢の方では水分オーバーになるからです。健常な若い人なら全然問題ないけど、心機能や腎機能が弱った人では輸液量が過剰になります。

だから、1000mLとか1500mL(これでも多い)に減量せざるを得ません。カロリーを入れたくても水分量を考えると、1日420〜630kcal程度しか投与できないわけです。

そうなると、栄養状態の悪化が懸念されます。実際にPPN管理中に栄養の指標であるアルブミンなどが低下するケースは少なくありません。NSTの回診でいつも話題になっている施設は多いのではないでしょうか。

じゃあ、どうすればいいか?

答えは簡単です。脂肪乳剤を活用することですね。

脂肪乳剤を組み合わせると、PPNにおいて輸液量を抑えながら十分なエネルギーを投与できます。パレプラスとビーフリードには脂肪が入ってない!まずはココを意識して欲しいです。だから、あえて共通点に上げました。

2020年12月に脂肪乳剤入りのPPN輸液が登場したのはご存知ですか?使い勝手がよくない部分もありますが、脂肪乳剤の必要性がもっと広まる機会になればいいなと思っています。

別記事でエネフリード輸液のメリットとデメリットについて解説しているので、合わせて読んでいただけたら嬉しいです。

エネフリード輸液の特徴【メリットとデメリットも考察】 今回のテーマはエネフリード! アミノ酸・糖・電解質・脂肪・水溶性ビタミンを含む栄養輸液です。 注目すべきは脂肪を含む点ーー...

パレプラスとビーフリード:相違点

ここからは相違点です。大きく3つあります。

  1. 水溶性ビタミンの種類
  2. 未開通防止装置
  3. コスト

順番に解説しますね。

水溶性ビタミンの種類

パレプラスとビーフリードでは含まれるビタミンの種類が異なります。

パレプラス
ビーフリード
  • チアミン
  • リボフラビン
  • ピリドキシン
  • シアノコバラミン
  • アスコルビン酸
  • ニコチン酸アミド
  • パンテノール
  • ビオチン
  • 葉酸
  • チアミン

パレプラスには水溶性ビタミンが9種類含まれています。一方で、ビーフリードはビタミンB1のみです。ここが一番の違いですね。

では、水溶性ビタミン9種を配合するメリットは何か?また注意点は何か?順番に見ていきましょう。

パレプラスのメリット

大きく2つあります。

  1. 水溶性ビタミン欠乏症リスクを低減できる
  2. 混注操作に伴う労力、細菌汚染リスクの低下
①水溶性ビタミン欠乏症リスクの低減!

パレプラスは水溶性ビタミンの欠乏症を防ぐことができます。ここがメーカーの売りですね。

PPNではB1はもちろん、水溶性ビタミンの投与が推奨されています。脂溶性ビタミンと異なり、短期間で欠乏しやすいからです。(静脈経腸栄養ガイドライン第3版)

種類が増えただけでなく、以下のようにビタミンB1の量も強化されています

ビタミンB1含有量(500mLあたり)
パレプラス
1.91mg
ビーフリード
0.96mg

約2倍ですね。静脈栄養ではブドウ糖の負荷によりビタミンB1の需要が高まります。B1はブドウ糖の代謝経路で、ピルビン酸をアセチルCoAへ変換する際の補酵素だからです。欠乏状態では容易に乳酸アシドーシス(ピルビン酸が乳酸へ代謝)を引き起こします。

パレプラスは水溶性ビタミンを8種追加、ビタミンB1の増量により、PPNに伴う水溶性ビタミンの欠乏症リスクを低減できる製剤です。特に長期間に及ぶ場合はより安全に使用できます。

②混注操作に伴う労力、細菌汚染リスクの低下

通常、パレプラスは水溶性ビタミン剤の追加投与が必要ありません。全部入っているからですね。

一方で、ビーフリードは必要に応じて混注します。仮に8種類(B1以外)を加えるとなれば、大変な労力をかけなければなりません

たとえば、下記の混注方法です。

  • 単剤7種(ニコチン酸アミドの注射薬なし)
  • 単剤2種(B12、葉酸)+シーパラ(B1、B2、B6、VC、パンテノール、ビオチン)

毎回となると、結構な手間ですよね。こんなのやってられない…と現場から聞こえてきそうです(^_^;)

また、混注に際して針の抜き差しによる微生物汚染のリスクもあります。特にビーフリードは細菌が増殖しやすいため注意が必要です。感染対策の観点から混注を禁止している施設もあるくらい…。

パレプラスは混注操作に伴う労力、細菌汚染のリスクを低減できます。現場に優しく安全に使用できる製剤ですね。

パレプラスの注意点

一方で、9種の水溶性ビタミンを含むことによる注意点もあります。大きく3つです。

  1. 遮光カバーが必要
  2. 血友病の人
  3. レボドパ製剤との相互作用
①遮光カバーが必要!

基本的に、パレプラスは遮光カバーをかぶせて投与します。水溶性ビタミン(特にB2、B6、B12、VC)が光により分解を受けて含量が低下する可能性があるからです。

一方で、ビーフリードの場合、遮光カバーは通常の条件であれば必要ありません。添付文書の記載を比較すると下記です。

パレプラス
ビーフリード

ビタミンの光分解を防ぐため、遮光カバーを用いるなど十分に注意すること。

ビタミンB1の光分解は短時間では起こりにくいが、状況に応じて遮光カバーを用いる等、注意すること。また、その他ビタミン剤等を混合した場合には、ビタミンの光分解を防ぐため、遮光カバーを用いる等、十分に注意すること。

ビタミンB1だけなら遮光しなくても大丈夫だけど、ほかの水溶性ビタミンを加えたときには遮光が必要という理解ですね

②血友病の人

パレプラスは血友病の患者さんに使用できません。これは盲点ではないでしょうか。私は記事を書くにあたって知りました(^_^;)

禁忌:血友病患者出血時間を延長することがある(パンテノール含有のため)]

パレプラス輸液 添付文書

理由ははっきりしないそうですが、パンテノールが出血時間を延長させるそうです。血友病の方には、ビーフリードの選択が望ましいといえます。ケースはそれほど多くないですが、押さえておきたい知識ですね。

機序は明確にされていないが、外国の成書に、出血時間を延長することがあるので出血傾向のある患者には投与しないことと記載されている 

パントール注射液 インタビューフォーム
③レボドパ製剤との相互作用

パレプラスはパーキンソン病薬であるレボドパ製剤との相互作用があります。ビタミンB6がレボドパの代謝を亢進させるのが機序です。

併用は可能ですが、投与中は神経症状のモニタリングが必要ですね。

併用注意:パーキンソン病治療薬、レボドパ、

レボドパ単剤投与の場合、その作用を減弱させるおそれがある。本剤に含まれるピリドキシン塩酸塩は、レボドパの脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減弱させる。

パレプラス輸液 添付文書

ちなみに、レボドパ単剤投与で問題になるだけで、ドパ脱炭酸酵素阻害剤であるベンセラジドやカルビドパ配合の製剤は大丈夫です。

このように、水溶性ビタミンが9種入ってるからといってメリットばかりではありません。注意すべき点があるのは覚えておきたいところですね。

未開通防止装置

続いて2つ目の相違点。パレプラスとビーフリードはダブルバッグ製剤です。開通漏れ防止に対する工夫がそれぞれで異なります。

パレプラス
ビーフリード
  • 開通確認シール(吊り下げ穴)
  • 未開通防止装置(排出口全体)
パレプラス輸液 製剤写真
  • 開通確認器具(吊り下げ穴)
  • なし
ビーフリード輸液 製剤写真

医療安全の点ではパレプラスの方が優れています。開通操作なしに未開通防止装置を取り外すことができないからです。無理やり外そうと思えばできるかも知れないけど…。

一方で、ビーフリードは点滴棒の吊り下げ穴にプラスチックの開通確認器具がついてるけど、開通操作なしに取り外すことができます。実際に、下室だけを投与したインシデントはコンスタントに起こっている印象です。

もちろん、未開通で投与した場合を想定して、上室と下室に電解質(カリウム等)を配分し安全性に配慮しているものの、下記の副作用が問題になります。

  1. 高血糖、電解質異常
  2. 悪心や嘔吐(アミノ酸急速投与)

参考)大塚製薬工場 ビーフリード輸液の製品Q&A

安全使用の視点から開通漏れ防止対策は重要です。ここはパレプラスに軍配が上がりますね。

コスト

相違点の3つ目、パレプラスとビーフリードは以下のようにコストに差があります。

薬価の比較(500mLあたり)
パレプラス
¥432
ビーフリード
¥388

パレプラスの方が1本あたり、薬価が44円高いです。水溶性ビタミンが追加された分ですかね。

もし、ビーフリードに8種類のビタミンを追加(便宜上各1A)すると下記の追加費用がかかります。

  • シーパラ配合注…¥57/アンプル
  • シアノコバラミン注1mg…¥84/アンプル
  • フォリアミン注15mg…¥96/アンプル

全部で237円!さらに、混注に伴う労力や必要物品(シリンジ、注射針、アルコール綿等)を考えると、パレプラスの方がコスパが良いといえるかもしれません。

まとめ

今回は、パレプラス輸液の魅力について、ビーフリードと比較しながら解説&考察しました。

では、タイトルに書いたように、パレプラスはビーフリードの上位互換といえるのか!?

そう、いえると思います。

水溶性ビタミン欠乏症や開通漏れのリスクを考えると、パレプラスの方が優れているからです。

特に長期(2週間程度)に及ぶPPNでは、水溶性ビタミンが9種配合されているのは安心ですよね。開通確認シール、未開通防止装置は医療安全の観点から欠かせません。

もちろん、コストや相互作用、血友病の方に禁忌などの注意点は軽視できないけど…、それ以上の価値があると思います。うちの施設でもビーフリードからパレプラスへ切り替えを検討しようかな?と記事を書きながら思いました♪

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