抗血栓薬

【DOAC】プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナの特徴と処方監査のポイント

抗凝固薬DOACは、処方箋で見かける機会が増えてます。

ワルファリンにとって代わる?!
ことはないにせよ、代用できるケースはかなり多いです。

現時点で使用できるDOACは4種類!作用機序はほぼ同じだし、さすがに用法用量は違うにせよ共通点が多く、一括りにできそうな気もします。

・しかし、適応症や投与量を確認したり、相互作用や腎機能をチェックしたりと、それぞれに個性があって特徴や処方監査のポイントは微妙に違うのです。

そこで、今回は「DOAC」をテーマにそれぞれの特徴と処方監査のポイントを解説します。

4種類のDOAC、それぞれの特徴

DOAC(ドアック)とは?
直接作用型経口抗凝固薬のことです。Direct Oral Anti Coagulantの略ですね。発売当初はNOACと呼ばれてました。※新規経口抗凝固薬:novel oral anticoagulant

以下の4種類があります。

  1. ダビガトラン(製品名プラザキサ)
  2. リバーロキサバン(製品名イグザレルト)
  3. アピキサバン(製品名エリキュース)
  4. エドキサバン(製品名リクシアナ)

作用点の違いは

抗トロンビン薬と第Ⅹa阻害薬のどちらかです。

①は抗トロンビン薬、②〜④は第Ⅹa阻害薬になります。

凝固反応の最終段階は、フィブリノーゲンからフィブリンへ変換される部分です。その反応を進めるのがトロンビンですね。①は凝固カスケードの最終地点をブロックして抗凝固作用を示します。一方、②〜④のターゲットはトロンビンを活性化する第Ⅹa因子です。

つまり、トロンビンを直接阻害する(①)か間接的に阻害する(②〜④)かの違いですね。

適応症の違いは

DOACといえば、心房細動の患者さんが飲んでるというイメージが一番でしょうか。

適応は3つあって、以下のように薬の種類によって違います。

  1. 非弁膜症性心房細動(NVAF)による脳梗塞の予防→①②③④
  2. VTEの治療と再発予防→②③④
  3. 人工関節置換術など整形外科術後のVTE予防→④

VTE(静脈血栓塞栓症)は深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)を合わせたものです。

共通してるのは、NVAFによる脳塞栓症の予防!
トロンビン阻害薬①ダビガトランはNVAFのみの適応です。

第Ⅹa因子阻害薬は2種類以上の適応がある。
②リバーロキサバン、③アピキサバン、④エドキサバンは全身性の静脈血栓症の治療と再発予防にも使用できます。

適応が3つあるのが④エドキサバン!
整形外科術後の血栓症予防にも使用できます。

こんな風に、種類によって適応が異なるDOAC。ややこしい……ですね。

DOACの使い分けは?

臨床上、DOACはどのよう使い分けるのか?たとえば、ワルファリンから切り替える場合を考えてみます。

想定されるケースは大きく3つです。

  1. 脳梗塞の二次予防など、効果を重視する場合
    ワルファリンよりも有効性に優れたDOACの出番です。出血リスクが低い人には高用量ダビガトラン、高齢者やCKD患者など出血リスクが高い場合にはアピキサバンが使いやすいです。
  2. 高齢者やCKD患者など安全性に配慮する場合
    ワルファリンよりも安全性に優れたDOACが使いやすいです。アピキサバンやエドキサバン、低用量ダビガトランなど。中でも腎排泄率の低いアピキサバンとエドキサバンは腎機能低下例にオススメです。
  3. コンプライアンス低下や嚥下困難がある場合
    投与回数が1日1回の製剤が適しています。錠剤が小さく細粒もあるリバーロキサバン、OD錠があるエドキサバンなど。嚥下機能に合わせた薬剤選択が必要ですね。

DOACの有効性と安全性に注目して、投与回数や剤型の違いを考慮して目の前の患者さんに最適な処方提案を行うことが大切です。

ワルファリンとの臨床成績の比較は下記記事にまとめています。

DOACとワルファリンの使い分けは?薬剤師がスッキリと解説します!ワルファリンを見かける機会が減りました! 抗凝固薬DOAC(ドアック)の登場で、「納豆、青汁、クロレラ」の3つのキーワードを説明す...

DOAC処方監査のポイント

処方箋でDOACを見つけたときに、どのように処方監査をすれば良いのか、手順を考えてみますね。

チェックポイントは大きく以下の4つです。

  1. 適応疾患
  2. 禁忌
  3. 減量基準
  4. 相互作用

①適応疾患のチェック

まずは適応疾患を確認!

  • NVAF(非弁膜症性心房細動)
  • VTE (静脈血栓症)
  • 術後VTE予防

DOACは適応疾患ごとに投与量や投与期間が決まっています。

処方目的がわからないと、使い方が適切なのか判断ができません。処方箋でDOACを見かけたら、まず3つの処方目的のうち、どれに当たるのかをcheckです。

心房細動で飲んでいるケースがほとんどだと思いますが…ときどきVTEの場合もあります。術後VTE予防は入院中に飲むことがほとんどですね。

②禁忌のチェック

適応を確認したら、次のステップは腎機能(eGFR)のチェックです。

・eGFR30(mL/min)を超えているか?

DOACは腎機能に応じた投与設計が必須!

なので、eGFRのチェックが欠かせません。ここで気をつけたいのがeGFRの単位です。

投与設計には未補正eGFR【mL/min】を用います。血液検査結果に載っているeGFR値は単位が【mL/min/1.73㎡】なので、そのままでは使用できません。標準体型(170cm 63kg)で補正された値だからです。

投与量は患者さんごとの糸球体ろ過量GFRで決まる!

標準体型(1.73㎡)で補正した値をそのまま使用すると、体格の小さい人では腎機能を過大評価してしまい、過量投与のリスクに。逆に、体格の大きい人の場合、腎機能の過小評価によって投与量が不足するといった事態に……なってしまいます。

投与量が適切なのか?腎機能は未補正eGFR値を確認しましょう。求め方は以下の計算式を使います。

未補正eGFR = eGFR(mL/min/1.73㎡)× 個々の体表面積/1.73㎡

eGFR30未満かどうかは、投与の可否を判断する指標

DOACは基本的にeGFR30未満では禁忌ですが、30未満でも15以上であれば使えるケースもあります。ここがややこしい…(><)

禁忌の基準をまとめると、以下のようになります。

一般名 適応症ごとの禁忌基準(Ccr)
ダビガトラン <30
リバーロキサバン NVAF<30、VTE<15
アピキサバン NVAF<30、VTE<15
エドキサバン NVAFとVTE<15、術後VTE<30

適応疾患によって、腎機能による禁忌の基準が異なるので、処方目的と腎機能のチェックは処方監査において必須です。

ここまでの内容はOKでしょうか?続いては、投与量のチェックです。

③減量基準のチェック

DOACは腎臓から排泄される薬剤なので、【腎機能に応じた投与量の調節】が必要です。

薬剤ごとに以下の基準があります。

一般名 減量基準
ダビガトラン eGFR<50、P糖蛋白阻害薬の併用、70歳以上、消化管出血既往、のいずれかに該当
リバーロキサバン eGFR<50
アピキサバン 80歳以上、60kg以下、血清Cr1.5以上の2項目に該当
エドキサバン eGFR<50、60kg以下、P糖蛋白阻害薬の併用

種類によって減量基準もさまざまです。

eGFRのチェックだけでなく、年齢や体重に加えて併用薬の確認も必要なクスリもあって、ほんとうにややこしい・°°・(>_<)・°°・。

慣れるまでは、添付文書を毎回確認する作業が続きます。

ここで補足です。添付文書を見ると、腎機能の指標にクレアチニンクリアランス(Ccr)が用いられていますが、CKD診療ガイド2012によれば、「Ccr別投与量」は「GFR別投与量」とみなしてよいとされており、この記事ではeGFRを用いた記載としています。

④薬物相互作用チェック

最後に薬物相互作用のチェックです。

DOACはP糖蛋白とCYPの影響を受けます。

  • おもにP糖蛋白…①ダビガトラン、④エドキサバン
  • CYP3A4とP糖蛋白の両方…②リバーロキサバン、③アピキサバン

併用禁忌は以下のとおりです。

  • ダビガトラン…イトラコナゾール
  • リバーロキサバン…HIVプロテアーゼ阻害剤、アゾール系抗真菌薬、コビシスタットを含有する製剤など

特にリバーロキサバンは併用薬の影響を受けやすいので、相互作用のチェックが欠かせません。

また、心房細動の患者さんによく併用される抗不整脈薬。P糖蛋白阻害薬のベラパミルやアミオダロン、ジルチアゼムなどにも目を光らせておきましょう。

DOACは併用注意薬も多い!

相互作用の影響は小さいものの、注意すべき薬がたくさんあります。しかも、代謝経路の違いから、薬剤ごとに相互作用のあるクスリのバリエーションも豊かで、ここでは紹介しきれない…ので、詳細は各添付文書をご覧くださいね。

DOACの処方監査には4つのチェックポイントがあります。薬剤ごとにチェック内容も違うので、この機会に整理しておきましょう。

処方監査のポイント!

①適応疾患→②禁忌→③減量基準→④薬物相互作用

最後に

今回は4種類のDOACについて、特徴と処方監査のポイントを解説しました。

同じように見えて、それなりに個性があるDOAC。処方監査、処方提案など日常業務にお役立ていただけたらうれしいです。

最後にDOACの処方監査で意識したいこと。

わずかな疑問でも、STOP!調剤です。

・きっと、医師はわかってこの量にしているのだろう?
・まあ、この程度であれば問題ないかなあ?

など、自分の都合のいいように解釈してしまうと大変な事態に発展してしまうことも。気を引き締めて安全な処方監査を心がけましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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