バフセオとダーブロックの特徴【共通点と相違点から読み解く】

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今回のテーマはバフセオとダーブロックの違い!

どちらもHIF-PH(ヒフ・ピーエイチ)阻害薬です。先行発売のエベレンゾに続き、2020年6月29日に同時承認されました。

バフセオダーブロックはどのような特徴があるのか?

共通点と相違点を比較しながら解説します。

目次

バフセオとダーブロックの共通点

HIF-PH阻害薬!

バフセオ、ダーブロックはいずれもHIF-PH阻害薬に分類されます。

HIF-PHとは、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(Hypoxia Inducible Factor Prolyl Hydroxylase)の略で、HIFの分解酵素です。

HIFは低酸素状態で応答する遺伝子に働く転写因子。エリスロポエチンの産生や鉄の吸収、利用を促す働きがあります。HIF-PH阻害薬は、HIFの安定化により造血機能を高め腎性貧血を改善する薬です。

参考までに

国内で使用できるHIF-PH阻害薬は5種類あります。

製品名一般名販売日
エベレンゾロキサデュスタット2019年11月
ダーブロックダプロデュスタット2020年8月
バフセオバダデュスタット2020年8月
エナロイエナロデュスタット2020年12月
マスーレッドモリデュスタット2021年4月

透析患者に加えて保存期にも使える!

バフセオとダーブロックは保存期のCKD(慢性腎臓病)患者さんにも使用できます。エベレンゾは透析患者のみの適応です。ココが違う点ですね。

ちなみにエベレンゾも今後、保存期の適応取得を予定しています。現時点でバフセオとダーブロックは適応の広さが魅力です。

2020年11月27日追記

エベレンゾは保存期CKDにも使えるようになりました!今では適応による差はなくなりましたね。

透析と保存期では治療開始基準が異なる!

HIF-PH阻害薬は、複数回の採血で下記基準を満たす場合に治療を始めます。

  • HD…Hb値10g/dL未満
  • PD…Hb値11g/dL未満
  • 保存期CKD…Hb値11g/dL未満

※HD:血液透析、PD:腹膜透析

治療目標Hb値も異なる!

下記基準を目安に用量調節を行います。

  • HD…Hb値10〜12未満
  • PD…Hb値11〜13未満
  • 保存期CKD…Hb値11〜13未満

参考文献)慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン2015

臨床の位置付け

バフセオとダーブロックはどのような患者さんが適応なのか?

HIF-PH阻害薬が、ダルベポエチン等のESA製剤に比べて優れている点は下記です。

※ESA製剤(erythropoiesis stimulating agent 赤血球造血刺激因子製剤)

HIF-PH阻害薬のメリット

  • 感染リスク、侵襲の軽減
  • 身体的負担を減らせる
  • 抗EPO抗体陽性赤芽球癆

HIF-PH阻害薬の選択は、注射に伴う感染リスクや患者さんへの侵襲が軽減できます。

抗EPO抗体陽性赤芽球癆の副作用が問題にならないのも利点

特にPDや保存期CKDの方には有用です

長期投与が可能になれば、ESA製剤投与のための通院回数も減らせるからですね。

透析患者さんではメリットが少ない!?

ESA製剤を透析回路から投与でき、経口剤のメリットはそれほど大きくないからです。服薬コンプライアンスが悪いと、かえって貧血治療に支障がでる可能性もあります。

今後、HIF-PH阻害薬とESA製剤の棲み分けがどうなるのか注目ですね。

臨床効果

バフセオとダーブロックの臨床試験、結果は以下のとおりです。

バフセオ、ダーブロックともにESA製剤との比較において非劣性が示されました。有効性は注射製剤とほぼ同じということですね。

同じ効果が期待できるなら、新規処方はもちろん、ESA製剤からの切り替えも進みそうです。

バフセオとダーブロックの相違点

ここからは相違点を見ていきますね。大きく3つあります。

  1. 投与方法
  2. 注意すべき副作用
  3. 代謝・相互作用

投与方法

まずは投与方法を比べて見ましょう。

ダーブロックの投与方法は煩雑でわかりにくい!

開始用量が保存期CKDと透析で異なるからです。

ダーブロック保存期CKD透析
開始用量2mgまたは4mg4mg
維持用量1〜24mg1〜24mg
ダーブロック錠、添付文書より

参考までに

保存期の開始用量は2通り、4mgを選択するのは下記の場合です。

  • ESA製剤からの切り替え
  • Hb 9.0g/dL未満

逆にいうと、ESA製剤未使用でHb9.0g/dL以上の場合は2mgからスタートします。

維持量は8段階の設定です

  1. 1mg
  2. 2mg
  3. 4mg
  4. 6mg
  5. 8mg
  6. 12mg
  7. 18mg
  8. 24mg

増量タイミングは同一用量を4週間投与してからです。ダーブロックの用量設定ははかなりややこしい印象ですね……。でも、裏を返せば細やかな用量調節ができるのがメリットといえるかもしれません。

一方で、バフセオの方がシンプルでわかりやすいです。


血液透析、腹膜透析、保存期CKDの患者さんいずれも用法用量は共通だからです。もちろん、ESA製剤から切り替えの有無に関わらず、300mgから始めます。

バフセオ保存期CKD透析
開始用量300mg300mg
維持用量150〜600mg150〜600mg
バフセオ錠、添付文書より

維持量は4段階の設定です

  1. 150mg
  2. 300mg
  3. 450mg
  4. 600mg

増量幅は150mgずつ。増量のタイミングは4週以上の間隔をあけてからです。バフセオはわかりやすい用量設定が魅力ですね。

注意すべき副作用

バフセオとダーブロック、注意すべき副作用は何か?大きく5種類あります。

  1. 血栓塞栓症
  2. 心血管イベント
  3. 高血圧症
  4. 網膜出血
  5. 悪性腫瘍

どのような機序で起こるのか?

①血栓塞栓症と②心血管イベントは貧血の改善による血液粘稠度の上昇が、③高血圧症は組織低酸素状態の是正により拡張していた末梢血管の収縮が主な原因と考えられます。

④網膜出血⑤悪性腫瘍はHIF経路の活性化によるVEGFの発現亢進、血管新生の促進などと関係があります。

参考文献)慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン2015

国内臨床試験において、有害事象の発生頻度はESA製剤と大きく変わらないという結果でしたが、両者の違いをあえていうなら、下記の2点です。

  • バフセオは肝機能障害により注意!
  • ダーブロックは心血管イベントにより注意!

順番に見ていきますね。

バフセオは肝機能障害により注意!

バフセオは上記5つの副作用に加えて、肝機能障害に注意が必要です。添付文書で以下のように注意喚起が行われています。ダーブロックと違う点ですね。

重要な基本的注意
本剤投与により肝機能障害があらわれるおそれがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。

バフセオ錠 添付文書

国内外の臨床試験、統合解析の結果、約4500例中21例で、副作用の可能性が高いと判断され、そのうち17例は重篤な肝障害でした。死亡や劇症肝炎の報告はないものの、投与中は肝機能のモニタリングが欠かせません。

ちなみに国内臨床試験では

肝機能障害に関連する有害事象はESA製剤と大きく変わらない結果でした。

バフセオネスプ
保存期CKD4.0%2.6%
血液透析1.9%3.7%

※バフセオ群でそれぞれ1名が副作用と断定

バフセオは肝機能障害に注意が必要です。投与中の肝機能チェックが必要な点は押さえておきましょう。

ダーブロックは心血管系イベントにより注意!?

ダーブロックはMACE(主要心血管イベント)および死亡の発現割合がESA製剤に比べて高い傾向が認められました。

国際共同第Ⅱ相臨床試験の結果は以下のとおり

ダーブロックESA
MACE4.3%1.7%
死亡1.7%0.8%

理由は、日本人に比べて欧米人の方が心血管イベントの発現リスクが高いこと、国際共同HD用量探索試験では心血管系疾患を合併する被験者割合に両群間で不均衡があったこと等が考えられています。

一方、国内臨床試験では

MACE(主要心血管イベント)の発現割合が同程度であることが示されました。

ダーブロックESA
保存期CKD2.7%3.3%
血液透析1.2%1.5%

慢性腎臓病は心筋梗塞、脳卒中、心不全等の心血管系事象や死亡のリスクを上昇させるため、バフセオ、ダーブロックどちらも注意すべきです。

しかし、海外の臨床試験において、ダーブロックは心血管イベントの発生頻度が高い傾向が認められた点で、今後注視していく必要があるといえます。

RMPの比較

バフセオとダーブロックを比較すると下記です。

バフセオダーブロック
重要な特定されたリスク・血栓塞栓症
・高血圧
肝機能障害
・血栓塞栓症
・高血圧
重要な潜在的リスク・心血管系事象(血栓塞栓症を除く)
・悪性腫瘍
・網膜出血
・常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)患者における病態の進行
・心血管系事象(血栓塞栓症を除く)
・悪性腫瘍
・網膜出血
・常染色体優性多発性嚢胞腎患者における病態の進行
重要な不足情報該当なし該当なし
バフセオ錠、ダーブロック錠、RMPより

違いは明らかですね。バフセオは肝機能障害が重要な特定されたリスクに設定されています。そのほかは共通で、上記5つの副作用に加えて、ADPKDが記載されています。

代謝・相互作用

薬物相互作用に違いがあります。下記のように代謝過程が異なるからです。

バフセオ
ダーブロック
  • グルクロン酸抱合(OAT1及びOAT3の基質、BCRP及びOAT3に対して阻害作用あり)
  • CYP2C8により代謝

バフセオは相互作用が多め

併用注意薬は以下のとおり

  • キレート形成…カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等を含む製剤
  • OAT1及びOAT3阻害…プロベネシド
  • BCRP阻害…ロスバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、サラゾスルファピリジン等
  • OAT3阻害…フロセミド、メトトレキサート等

薬物トランスポーターを介したものと消化管でのキレート形成による相互作用があります。

特に鉄剤とのキレート形成には注意です

以下のようにAUCまたはCmaxが約50〜90%低下します。軽視できない数値のため基本的には、服用時点をずらした方が良いですね

バフセオ錠 添付文書より

ダーブロックは相互作用が少なめ

併用注意薬は以下のとおり

  • CYP2C8阻害…クロピドグレル、トリメトプリム等
  • CYP2C8誘導…リファンピシン

併用の機会が多いクロピドグレルは注意!

併用時はAUCが約2.5倍ほどに上昇します。ただし、ダーブロックはHb値により用量調節を行う薬剤なので、過剰な薬効が発現したときには減量で対応可です。

本薬とクロピドグレルの併用により、本薬未変化体のCmaxは1.79 倍AUCは 2.65 倍増加すると推定された。

ダーブロック錠 審査報告書

バフセオとダーブロックは代謝の違いから注意すべき相互作用が異なります。ココが両薬剤の大きな違いですね

まとめ

今回はHIF-PH阻害薬バフセオとダーブロックについて、共通点と相違点から特徴をまとめました。

記事を書いていて思ったのは、それなりに個性があること。

最初はどちらも保存期に使えるHIF-PH阻害薬の括りで、特徴がはっきりせずよく似た薬剤という印象でした。しかし、両者を比べると少しずつ違いが見えてきたのです。

個人的に使い勝手が良いのはバフセオですね。

とにかく用法用量が分かり易い!

2規格で、維持量も150、300、450、600の4パターン。ダーブロックの4規格8パターンに比べると大きな違いですよね。

ただし、相互作用は多いのがやや難点。特にキレート形成です。CKDの方は薬の種類が多く、コンプライアンスが悪い人が多い印象なので、やや扱いにくいかも知れません。

そうなると、ダーブロックの方が望ましいケースも出てきます。

発売後はどのように使い分けがされるのか、注目していきたいです。ESAからの切り替えがどれくらいあるのかも気になりますね(^_^)

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