【MRA】ケレンディア錠の特徴は?押さえておきたい5つのポイント!

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今回のテーマはケレンディア錠!一般名はフィネレノン、国内4番手のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA:Mineralocorticoid receptor antagonist)です。

・どのような特徴があるのか?
・従来のMRAとの違いは何か?

勉強がてら調べたので、共有したいと思います。

目次

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の種類

はじめに基本情報の確認から。国内で使用できる経口ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は4種類です。ケレンディアは2025年12月に慢性心不全の適応が追加されました。

スクロールできます
一般名フィネレノンエサキセレノンエプレレノンスピロノラクトン
商品名ケレンディアミネブロセララアルダクトン
分類名非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー選択的アルドステロンブロッカー抗アルドステロン性利尿・降圧剤
国内販売年2022年6月2019年5月2007年11月1978年4月
適応・2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
・慢性心不全
高血圧症・高血圧症
・慢性心不全
・高血圧症(本態性、腎性等)
・心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、悪性腫瘍に伴う浮腫および腹水、栄養失調性浮腫
・原発性アルドステロン症の診断および症状の改善
用法用量
eGFRの単位はmL/min/1.73m2
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
eGFR>60
20mg
eGFR<60
10mg
4週間後を目安に20mgへ

慢性心不全
eGFR>60
20mg
4週間後を目安に40mgへ
25≦eGFR<60
10mg
4週間後を目安に20mgへ
1回2.5mg
1日1回
(最大5mg)
高血圧
1回50mg
1日1回
(最大100mg)

慢性心不全
1回25mg
1日1回
(最大50mg)
1日50〜100mg
を分割投与
腎障害患者への投与
eGFRの単位はmL/min/1.73m2
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
末期腎不全(eGFR15未満)
透析患者
適応外

慢性心不全
eGFR<25
禁忌
重度の腎機能障害eGFR<30
禁忌
高血圧
腎機能障害
(Ccr<50)
禁忌

慢性心不全
重度の腎機能障害(Ccr <30)
禁忌
急性腎不全
禁忌
各電子添文より作成

セララとミネブロの違いは別記事にまとめているのであわせてご確認くださいね。

ケレンディアの薬効分類

ケレンディア
(フィネレノン)
ミネブロ
(エサキセレノン)
セララ
(エプレレノン
アルダクトン
(スピロノラクトン)
構造非ステロイド非ステロイドステロイドステロイド
選択性選択的選択的選択的非選択的

ケレンディアは
非ステロイド型選択的)ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬です

キーワードは2つ。①非ステロイド骨格であり②MRに対する選択性に優れます。メリットは性ホルモン関連の副作用が軽減できる点です。月経困難や女性化乳房などの発現リスクが軽減されています。

各種受容体に対する親和性
ケレンディ錠 インタビューフォーム

受容体に対する親和性が低いほど数値が大きくなります。ケレンディアはアンドロゲン受容体(AR)、グルココルチコイド受容体(GR)、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ER)への作用がほとんどありません。

(作用機序)

フィネレノンは非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であり、アンドロゲン、プロゲステロン、エストロゲン及びグルココルチコイドの各受容体には結合しない

ケレンディア錠 電子添文

ケレンディアの作用機序

ケレンディア
(フィネレノン)
ミネブロ
(エサキセレノン)
セララ
(エプレレノン
アルダクトン
(スピロノラクトン)
作用機序ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

ケレンディアは
MRに結合し、アルドステロンの過剰な働きを抑制します

アルドステロンが過剰に活性化すると何が問題なのか?

大きく2つあります

  1. 腎臓の障害…糸球体障害、ポドサイト障害、尿細管間質線維化など
  2. 心臓の障害…心肥大、心筋線維化など
ケレンディア錠 インタビューフォーム

ケレンディアは過剰なアルドステロンの働きを抑えて、腎臓と心臓の保護作用が期待できます。作用機序は従来のMRAと同様ですね。

ケレンディアの適応

ケレンディア
(フィネレノン)
ミネブロ
(エサキセレノン)
セララ
(エプレレノン
アルダクトン
(スピロノラクトン)
高血圧
慢性心不全
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
浮腫
原発性アルドステロン症

ケレンディアは
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病と②慢性心不全に用います

慢性心不全の適応は左室駆出率が保たれた又は軽度低下した方が対象です

  • HFpEF(50%以上) …適応
  • HFmrEF(41〜49%)…適応
  • HFrEF(LVEF40%以下)…適応外

左室駆出率の低下した慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の保たれた又は軽度低下した慢性心不全患者に投与すること。

ケレンディア錠 電子添文
ケレンディアの有効性

心血管・腎臓障害の発症と進展抑制
心血管死と心不全による緊急受診・入院のリスク抑制です

FIDELIO-DKD試験

  • 対象…2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者5,674例(うち日本人415例)
    ①尿アルブミン/クレアチニン比30~<300 mg/g、eGFR 25~<60 mL/分/1.73m2,および糖尿病性網膜症の既往歴、②尿アルブミン/クレアチニン比300~<5000 mg/g、eGFR 25~<75mL/分/1.73m2
    ※ACE阻害薬又はARB等による標準治療を受けている
  • 方法…標準治療に加えてフィネテノン10mg又は20mgを1日1回投与
  • 比較…プラセボ

結果は以下のとおり

  • 腎複合エンドポイント…HR0.83(0.73-0.93)P=0.001
    ※腎不全の発症、4週間以上持続するベースライン値から40%以上の持続的なeGFR低下、腎臓死
  • 二次エンドポイント…HR0.86(0.75-0.99)P=0.03
    ※心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心不全による入院

2型糖尿病を合併した慢性腎臓病患者において、フィネテノンはプラセボに比べてCKDの進行と心血管イベントのリスクを抑制した

N Engl J Med. 2020; 383:2219-2229.

ケレンディアは心不全診療ガイドライン2025改訂版においてHFpEF患者の心血管死、心不全増悪イベントの抑制を目的として投与することが推奨されています。

心不全診療ガイドライン2025改訂版

ケレンディアは腎障害や心血管アウトカムの改善効果が期待できます。長期予後を良くするのが処方目的です。特にHFpEF患者に対する有効性を示している点は押さえておきたいですね。

ケレンディアの投与方法

2型糖尿病を合併する慢性腎臓病慢性心不全
投与前血清K値測定
5.5mEq/L超は禁忌
4.8mEq/L以下は開始4週後に再度測定(4.8mEq/L超は開始4週前に再度測定)
eGFRを測定
25mL/min/1.73m2未満は慎重投与
末期腎不全、透析患者は適応外
血清K値測定
5.5mEq/L超は禁忌
5.0mEq/L以下は開始4週後に再度測定(5.0mEq/L超は開始4週前に再度測定)
eGFRを測定
25mL/min/1.73m2未満は禁忌
初回投与量eGFR≧60
20mg
eGFR<60
10mg20mg(増量
eGFR≧60
20mg40mg(増量
25≦eGFR<60mL
10mg20mg(増量
用量調節血清K値とeGFRをもとに血清K値とeGFRをもとに
中止基準血清K値5.5超の場合血清K値6.0以上の場合
減量基準
なし
血清K値5.5以上6.0未満の場合
20mg10mg(減量
10mg中止
増量基準血清K値4.8以下の場合
10mg20mg(増量
前回からeGFRが30%を超えて低下していない場合に限る
血清K値5.0未満の場合
20mg40mg(増量
10mg20mg(増量
前回からeGFRが30%を超えて低下していない場合に限る

ケレンディアは腎機能によって初回投与量が決まります。「通常量」か「半量スタート」かはeGFR60が基準です。単位が mL/min/1.73m3 であり標準体型で補正された数値を用います。通常、検査表に書いている数字ですね。ここでは補正を外して投与設計を行う場面ではありません。ケレンディアは腎機能に応じて投与量を調節する薬剤ではない(尿中未変化体排泄率は数%)からです。eGFRの読み方や使い方は別記事でまとめているのでご確認くださいね。

なぜ、eGFR60未満で減量が必要なのか?調べてみると、高カリウム血症とeGFR低下のリスクを軽減するためでした。eGFR60未満の人では、カリウム値の上昇や腎機能の低下が起こりやすいことを踏まえて、臨床試験における用量が設定されました。eGFR60未満の場合に半量(10mg)からスタートし、血清K、腎機能を見ながら4週を目安に20mgに増量するというふうに。

(用法及び用量の設定経緯・根拠)

本剤20mg群において、顕性アルブミン尿を呈し、かつeGFRが 60mL/min/1.73 m2未満の集団では、高カリウム血症及び初期のeGFR低下のリスクが高くなる傾向がみられたことから、この集団では20mg1日1回投与が忍容性を認める最大用量と考えた

2型糖尿病を有する糖尿病性腎症患者を対象とした海外第Ⅱ相試験:ARTS-DNの結果より

ケレンディア錠 インタビューフォーム

2型糖尿病又は中等度CKDを有するHFrEF患者を対象とした海外第Ⅱ相試験(ARTS-HF)の部分解析においても、eGFR60未満の方では同様のリスクがあることが示され、初回投与量が決定された経緯があります。

末期腎不全又は透析施行中の患者を適応外!

ケレンディアは2型糖尿病を合併する慢性腎臓病で使用する場合、末期腎不全(eGFR15未満)や透析患者さんには使用できません。臨床試験の対象に含まれず(使用経験がない)、また高カリウム血症の発現、腎機能低下のリスクが高いからです。慢性心不全で用いる場合は、eGFR25未満は禁忌であり、より投与制限が厳しく設定されています。

両試験の対象患者には末期腎不全又は維持透析中の患者は含まれておらず、使用経験がないこと、腎機能の低下に伴い本剤投与による高カリウム血症の発現リスクが上昇すること、本剤投与後早期にeGFRの低下も認められていること等を踏まえ、投与対象から除外することとした。

ケレンディア錠 インタビューフォーム

ケレンディアは投与前にeGFRと血清K値を測定し、投与の可否、初回投与量を判断・決定します。投与後は、同様に検査値を見ながら投与量の調節を行うかたちです。適応によって、基準が異なるのがやや煩雑ですね。

高カリウム血症はなぜ起こるのか?

アルドステロンの働き(集合管におけるNaの再吸収とKの排泄)を妨げるからです。カリウムの排泄が阻害された結果、高カリウム血症を引き起こします。

腎機能低下はなぜ起こるのか?

添付文書やインタビューフォームを調べましたが、明確な記載は見つけられませんでした。おそらく、アルドステロンの働き(Naの再吸収→水分貯留)を妨げることにより、循環血漿量が減少して、糸球体ろ過量を低下させるからだと考えられます。

ケレンディアの相互作用

ケレンディア
(フィネレノン)
ミネブロ
(エサキセレノン)
セララ
(エプレレノン
アルダクトン
(スピロノラクトン)
CYP代謝CYP3A
CYP2C8
CYP3ACYP3A4
併用禁忌ありありありあり
強いCYP3A、CYP3A4阻害薬併用禁忌併用注意併用禁忌なし
MRA併用注意
スピロノラクトン
トリアムテレン
カンレノ酸カリウム
エプレレノン
エサキセレノン
併用禁忌
スピロノラクトン
トリアムテレン
カンレノ酸カリウム
エプレレノン
併用注意
フィネレノン
併用禁忌
スピロノラクトン
トリアムテレン
カンレノ酸カリウム
エサキセレノン
併用注意
フィネレノン
併用禁忌
エプレレノン
エサキセレノン
併用注意
フィネレノン
カンレノ酸カリウム
トリアムテレン
カリウム製剤併用注意併用禁忌併用禁忌
慢性心不全で使用する場合は併用注意
併用注意

ケレンディアは相互作用のチェックが欠かせません。ポイントは大きく3つです。

  1. 強いCYP3A阻害剤と併用禁忌
    CYP3Aの基質であり、阻害作用が認められるからです。中程度・弱い阻害剤、強力・中程度の誘導剤とは併用注意。1回40mgの投与時は、タクロリムス、シクロスポリン(CYP3Aの阻害作用あり)、パクリタキセル(CYP2C8の阻害作用あり)、レパグリニド(両方あり)等が併用注意に加わります。ここは盲点かもですね。
  2. 他のMRAと併用注意
    ここは従来のMRAとの相違点です。基本的には切り替えて使用することがほとんどだと考えられますが、ループ利尿薬服用中等で低カリウム血症の既往があり、その予防でカリウム保持性利尿薬を使用している例では併用する可能性もあるとのこと(審議結果報告書)。併用する場合には、カリウム値のモニタリング強化が求められます。
  3. カリウム製剤と併用注意
    ここも従来のMRAとの相違点ですね。他のMRAは併用禁忌(スピロノラクトンやセララを慢性心不全で使用する場合は併用注意)となっています。

ケレンディアは①CYP3Aを介した相互作用と②カリウム上昇の可能性がある薬剤との併用に注意すべき点は留意しておきたいですね。

まとめ

今回はMR拮抗薬のケレンディア(フィネレノン)について特徴をまとめました。記事を書きながら印象に残ったのは、従来薬と位置付けが異なる点。ケレンディアは2型糖尿病でCKDを合併した人、慢性心不全(左室駆出率の保たれた又は軽度低下した)の方において長期予後を改善する効果が期待できます。最近ではSGLT2阻害薬が話題ですが、どのような使い分けをするのか?使用動向に注目していきたいです。

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