循環器系薬

ミネブロの特徴【セララと比較しながらわかりやすく解説】

今回のテーマはミネブロ!

一般名はエサキセレノン。ミネラルコルチコイド受容体(MR)ブロッカーです。

ミネブロはどのような特徴がある薬なのか?

同じMRブロッカーであるセララと比較しながら解説します。

ミネブロを理解する3つのポイント

ポイントは、以下のとおりです。

  1. ミネラルコルチコイド(MR)受容体拮抗薬とは!?
  2. ミネブロの臨床的な位置づけは?
  3. 副作用が少ない!?

ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬

MRに作用する薬は3種類ある!

成分名と薬効分類名は、以下のとおりです。

  1. スピロノラクトン…抗アルドステロン性利尿・降圧剤
  2. エプレレノン(セララ)…選択的アルドステロンブロッカー
  3. エサキセレノン(ミネブロ)…選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー

スピロノラクトンはMRへの選択性が低いので、臨床ではカリウム保持性利尿薬というあつかいです。

一方で、選択性の高いセララとミネブロはMR拮抗薬と呼ばれています。MR拮抗薬という名も、少しずつ注目されるようになってきたけど、ARBやACE阻害薬に比べるとまだまだ影の薄い存在です。

ターゲットはMR受容体!

ミネブロはアルドステロンが核内にあるMRに結合するのをブロックします。

補足)アルドステロン

・アルドステロンは副腎皮質から分泌され、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の下流にあるホルモンです。腎臓におけるNaの再吸収とKの排泄を促し、循環血液量(心拍出量)を増加させて、血圧を上げる作用があります。

アルドステロンの働きを妨げて血圧を低下させるのが、ミネブロの作用機序です。

適応は高血圧のみ!

適応は一つだけです。セララと違う点ですね。

同効薬のスピロノラクトンやセララは高血圧に加えて、心不全の適応があります。両剤ともに心保護効果のエビデンスが確立しているからです。

・スピロノラクトンはNYHA分類のClassⅢまたはⅣの心不全患者を対象としたRALES試験において、プラセボ群に比べ死亡リスクを30%低下させました。(N Engl J Med. 1999;341:709-17.

・セララはNYHAII度の比較的軽症の心不全患者を対象としたEMPHASIS-HF試験で、心血管死+心不全による入院をプラセボ群に比べて37%リスクを低下させることが示されています。(N Engl J Med. 2011; 364: 11-21.

ミネブロの適応は、高血圧のみです。

アルドステロンの過剰な働きは、心臓や血管、腎臓などの組織を障害するので、MR拮抗薬は臓器保護作用が期待できますが、ミネブロは現時点でエビデンスが確立していません。

規格は3種類ある!

1.25mg、2.5mg、5mgの3種類あります。

通常用量は、1回2.5mgを1日1回、MAX5mgです。

では、1.25mgの出番は?というと下記です。

  • アルブミン尿を認める2型糖尿病患者
  • 中等度腎障害のある方への初回投与量
  • あるいは投与中のカリウム値上昇時

高カリウム血症のリスクを軽減するために、減量するときの用量ですね。

ミネブロは選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー。腎臓でアルドステロンの作用と拮抗し、循環血漿量を減らします。適応症は高血圧症のみです。

有効性と臨床的な位置づけ

まずはミネブロの有効性から。

ミネブロの降圧効果はセララと同等!

本態性高血圧症患者を対象にミネブロとのセララとの比較した試験です。

  • 対象…20歳以上のⅠ度・II度の本態性高血圧症患者 1001例。
    (※I度:収縮期血圧140以上160未満かつ/又は拡張期血圧90以上100未満)
    (※II度:収縮期血圧 160以上180未満かつ/又は拡張期血圧100以上110未満)
  • 方法…エサキセレノン(ミネブロ)vs エプレレノン(セララ)
  • 主要評価項目…座位血圧の変化量(収縮期血圧/拡張期血圧)

▽結果は以下のとおり

  • エサキセレノン2.5mg群…(−13.7/−6.8mmHg)
  • エサキセレノン 5mg群…(−16.9/−8.4mmHg)
  • エプレレノン 50mg群…(−12.1/−6.1mmHg)

→ミネブロ2.5mgはセララ50mgに対して非劣性が示されました。

降圧効果は同等ですね。力価はミネブロ2.5mgはセララ50mgに相当すると考えられます。

続いて、臨床的な位置付けを見ていきますね。

難治性の高血圧に使用

高血圧症ガイドライン2019におけるMR拮抗薬の位置付けは下記です。

積極的適応にMR拮抗薬は出てこない

ガイドラインにおける主要な降圧剤は以下の5種類です。

  1. ARB
  2. ACE阻害薬
  3. Ca拮抗薬
  4. 利尿薬
  5. β遮断薬

適応ごとに積極的に選択すべき薬剤が決められており、禁忌や慎重投与となる疾患を考慮して個々の患者にあった降圧剤を選択します。

たとえば、以下のように。

  • 心筋梗塞後なら①、②、⑤
  • 頻脈があるなら、非ジヒドロピリジン系の③、⑤
  • 狭心症であれば、③、⑤(冠攣縮に注意)
  • 左室肥大なら①、②、③
  • LVEFの低下した心不全なら①、②、サイアザイド系の④、⑤
  • 蛋白尿、微量アルブミン尿のあるCKDなら①、②

MR拮抗薬の名前は出てきません。残念ながら……。

積極的な適応がない場合には4剤併用療法で使用

上記の積極的な適応を除いた病態には以下を選択します。

  1. ARB、ACE阻害薬
  2. Ca拮抗薬
  3. 利尿薬
  4. MR拮抗薬
  1. まずは、①②③のいずれか一剤を選択。
  2. 効果不十分な時には続いて、併用療法を検討(①+②、①+③、②+③)
  3. それでも、効きが悪い場合には、①+②+③
  4. 3剤で効かない時に、①+②+③+④。MR拮抗薬の出番です。

ミネブロの推奨はかなり後の方で、積極的適応がない高血圧の難治例に併用療法で使うのが基本です。

原発性アルドステロン症に伴う高血圧症に使う

MR拮抗薬は治療抵抗性の高血圧症に加えて、二次性の高血圧である原発性アルドステロン症に対して推奨されています。

原発性アルドステロン症は副腎からの過剰な分泌により、腎臓でのNaの吸収が高まって高血圧を合併する病態です。

薬物治療を選択する際には、アルドステロン拮抗薬が使われます。セララ同様に、選択性の高いミネブロはよい適応です。

アルブミン尿を認める2型糖尿病患者にも!

ミネブロは、セララが禁忌であった患者さんにも使える!

セララの添付文書には以下の記載があります。

▽禁忌

微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者[高カリウム血症を誘発させるおそれがある。]

セララ添付文書

ミネブロは、国内臨床試験でプラセボに比べてアルブミン尿を認める2型糖尿病患者に安定した降圧効果が示されています。

セララが使えなかった例に使えるのは、ミネブロの利点です。

中等度の腎機能障害がある患者にも使える!

同じく、セララが使えなかった患者さんに使えます。

▽禁忌

中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)のある患者

セララ添付文書

セララは上記の患者さんには使えません。

一方、ミネブロはセララが禁忌であった「eGFR30〜50mL/min/1.73㎡」の中等度腎機能障害を認める高血圧患者さんにも使用できます。

ミネブロは高血圧しか適応はないものの、同適応においては、セララよりも広い患者層に使える。ここが、ミネブロのいい点ですね。

高血圧の薬物療法において、MR拮抗薬ミネブロの出番はそれほど多くなさそうです。現状は、難治例やセララが使いにくいアルブミン尿を認めるDM患者、中等度腎機能障害患者、原発性アルドステロン症などに選択する薬剤になります。

副作用が少ない!?

非ステロイド骨格で、MR受容体への選択性が高い!

ミネブロはステロイド骨格ではありません。

ステロイド骨格を有するスピロノラクトンやセララと違う点ですね。各受容体への親和性は以下のとおりです。

▽ミネブロの各レセプターに対するIC50値
・MR…9.43×10¯9
・AR…未検出(>1×10¯5)
・PR…未検出(>1×10¯5)
・GR…未検出(>1×10¯5)

▽セララの各レセプターに対するIC50値
・MR…7.13×10¯7
・AR…未検出(>1×10¯4)
・PR…未検出(>1×10¯4)
・GR…3.06×10¯6

▽スピロノラクトンの各レセプターに対するIC50値
・MR…3.57×10¯8
・AR…1.33×10¯7
・PR…1.20×10¯6
・GR…7.64×10¯7

※IC50:受容体の50%阻害濃度(低いほど親和性が高い)
※AR:アンドロゲン受容体
※PR:プロゲステロン受容体
※GR:グルココルチコイド受容体

ミネブロはセララと同様にMRへ選択性が高いのが特徴です。スピロノラクトンのように、グルココルチコイド、性ホルモン受容体への作用がほとんどないのが優れた点ですね。

女性化乳房、月経困難などが起こりにくい

ミネブロはセララと同様に、性ホルモンに起因した副作用が少ないです。

スピロノラクトンで女性化乳房や月経困難などの副作用が問題となる患者さん、ときどき見かけます……。

高血圧で使用している場合には、ミネブロが代替薬になりますね。

高カリウム血症は依然として注意が必要!

一方で、高カリウム血症には注意が必要です。

ミネブロは腎臓でNaの再吸収とKの排泄を阻害するので、体内にKが貯留して高カリウム血症を起こす危険性があります。

・国内臨床試験では、セララよりも高カリウム血症の割合が多いという結果でした。

▽J301試験
・ミネブロ2.5mg…4.5%(15/331)
・ミネブロ5mg…3.0%(10/338)
・セララ群…1.8%(6/332)

ハイリスク例では低用量からスタートするのが基本です。

中等度の腎機能障害がある人、アルブミン尿やタンパク尿を認める糖尿病患者さんには下記のように減量して使用します。

中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)のある患者及びアルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者では、1.25mgを1日1回投与から開始し、血清カリウム値など患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に2.5mgを1日1回投与へ増量する。効果不十分な場合は、5mgまで増量することができる

ミネブロ添付文書

ミネブロは、セララが使えなかったケースに使えるものの、高カリウム血症のリスクが高い場合には低規格の用量から開始する点に注意が必要ですね。

ミネブロで注意すべき副作用といえば、高カリウム血症。セララと同様に注意が必要です。

ミネブロ:適正使用のポイント

相互作用のチェック!

カリウム保持性利尿薬、MR拮抗薬、カリウム製剤は併用禁忌!

ミネブロは、併用禁忌の薬剤があります。

カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン、カンレノ酸カリウム)、アルドステロン拮抗剤(エプレレノン)又はカリウム製剤(塩化カリウム、グルコン酸カリウム、アスパラギン酸カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸カリウム)を投与中の患者

ミネブロ添付文書

併用により高カリウム血症の危険性が高まるので、相互作用のチェックが欠かせません。セララも同様に上記の薬剤との併用は禁忌になっています。

“実は他院で服用していた”ということもあるので、服薬歴の聴取、お薬手帳の確認が大切です。

ARBとACE阻害薬は、併用注意!

ミネブロはARBやACE阻害薬を併用することが多いです。

禁忌ではないので併用は可能ですが、高カリウム血症のリスクが増加するので、K値のモニタリングが欠かせません。

CYP3A4で代謝される薬剤との併用に注意!

ミネブロは肝代謝酵素CYP3A4により代謝されます。以下の薬剤との併用に注意が必要です。

▽強いCYP3A阻害剤
・イトラコナゾール
・クラリスロマイシン
・サキナビル等
ミネブロの血中濃度が上昇(高カリウム血症のリスク↑)

▽強いCYP3A誘導剤
・リファンピシン
・フェニトイン
・カルバマゼピン等
・セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
ミネブロの作用減弱(できるだけ併用しないように)

セララもCYP3A4で代謝されるので、併用注意、併用禁忌薬があります。詳細は添付文書をご確認ください。

ミネブロは併用注意薬や禁忌薬が結構あるので、相互作用のチェックを忘れないようにしましょう。

処方監査とモニタリング!

カリウム値をチェック!

ミネブロは高カリウム血症の方に禁忌です。

目安として投与前のカリウム値が5.5以上の場合には、使用できません。投与中は、以下の基準で減量または中止を行います。

  • K値5.0〜5.4…減量を考慮
  • K値5.5〜5.9…減量または中止
  • K値6.0以上…中止

投与前は高カリウム血症(5.5以上)で禁忌、投与中は5.5〜5.9では減量して投与することは可能です。投与前と投与中で基準が違うのでややこしいですね。

血液検査のタイミング

投与中は、高カリウム血症の早期発見、モニタリングが大切です。

血液検査のタイミングは、以下のようになっています。

  • 投与開始前
  • 開始後2週間以内
  • 開始後1ヶ月時点
  • その後は定期的に測定
  • ハイリスク例ではより頻回に!

高カリウム血症があらわれることがあるので、血清カリウム値を原則として投与開始前投与開始後(又は用量調節後)2週以内及び約1ヵ月時点に測定し、その後も定期的に測定すること。特に、中等度の腎機能障害のある患者、アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者、高齢者、高カリウム血症を誘発しやすい薬剤を併用している患者では、高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがあるため、より頻回に測定すること

ミネブロ添付文書

ミネブロを見たらカリウムチェック!がパッと連想できるようになっておきたいですね。

まとめ

  1. 選択的ミネラルコルチコイドブロッカー
    →アルドステロンの働きを妨げる。腎臓におけるNaの吸収とKの排泄を阻害→循環血液量を低下(降圧効果)。適応症は高血圧のみ!
  2. 有効性と臨床的な位置づけ
    →有効性はセララと同等。難治性の高血圧に他の降圧剤と併用するのが基本。セララが禁忌であった中等度腎機能障害例やアルブミン尿を有する2糖尿病患者にも使用可。原発性アルドステロン症にも推奨!
  3. 副作用が少ない!?
    →性ホルモン受容体への作用がほとんどなく、女性化乳房や月経困難などの副作用が少ない。一方で、高カリウム血症はセララ同様に注意が必要。投与前、投与中のKチェック、相互作用の確認が不可欠!

今回は、ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー。ミネブロについて特徴を解説しました。日常業務でお役立ていただけたら嬉しいです。

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