糖尿病薬

SGLT2阻害薬の特徴と使い方は?血糖を下げる以外の効果も注目!

SGLT2阻害薬が注目されています。

以前は、それほど見かけなかったはずなのに、今では処方箋によく登場する薬になりました。

今回は、いま脚光を浴びている

SGLT2阻害薬をテーマに特徴と使いかたを解説します。

SGLT2阻害薬の基本的知識

SGLT2阻害薬とは

腎臓における糖の再吸収を阻害して、血糖値を下げる薬です。

SGLT2はsodium-glucose cotransporter2の略。腎臓の近位尿細管にあるトランスポーターです。糸球体でろ過された血液に含まれるグルコースをもう一度体内へ戻すのが役割ですね。

SGLTはサブグループがあります。小腸に発現しているSGLT“1”です。食物に含まれるグルコースを体内へ吸収する機能があります。

つまり、SGLTは発現している場所が違うにせよ、エネルギー源を無駄にせず有効利用する、生体に欠かせない機能担っているわけです。

その機能を逆手にとったのがSGLT2阻害薬!トランスポーターを介した糖の再吸収をブロックして、体外へグルコースを排泄する血糖降下薬です。

血糖値を下げる以外の効果が期待できる

SGLT2阻害薬の効果は大きく3つです。

  • 血糖降下作用
  • 利尿作用
  • 体重減少作用

SGLT2を阻害すると利尿効果が期待できます。グルコースだけではなくて、Naと水も一緒に排泄されるからです。

また、体重を減少させる優れた効果もあります。尿糖を排出する代償として、脂肪の燃焼を促すためです。内臓脂肪が減り、血圧や血中脂質などへの好影響もあり、生活習慣病の改善効果も期待されます。

SGLT2阻害薬は血糖降下作用以外のメリットを生かして、肥満患者さんや若年者には良い適応です。

一方で注意すべき副作用も

SGLT2阻害薬で中止すべき副作用は下記です。

  • 脱水症状
  • 皮膚障害
  • 尿路・性器感染症
  • ケトアシドーシス

過剰な利尿作用にともなって脱水症状をきたす恐れがあります。特に高齢者では脳梗塞のリスクにつながるため、投与中は適度な水分摂取が欠かせません。

発売当初は、薬疹を疑う紅斑などの皮膚障害が発現することが話題になりました。

さらに、尿路や性器の感染症にも要注意!尿中の糖濃度が上昇するので、細菌や真菌による感染症の危険性が高くなるためです。

脂肪の燃焼が進むことは体重減少のメリットです。しかし、痩せ型の高齢者やインスリン分泌能の低い人では相対的に脂質代謝が過剰になり、ケトアシドーシスが起こることもあります。もともと痩せ型の高齢者ではサルコペニアが進行するリスクにも注意が必要ですね。

SGLT2阻害薬は、高齢者やインスリン分泌能が低下した人には、慎重に投与すべきです。当然、作用点が腎臓なので腎機能低下例では、十分な効果が期待できないことも押さえておきましょう。

国内で使用できるSGLT2阻害薬は?

現時点で以下のように、6種類7規格です。

  1. イプラグリフロジン(スーグラ)
  2. ダパグリフロジン(フォシーガ)
  3. ルセオグリフロジン(ルセフィ)
  4. トホグリフロジン(デベルザ、アプルウェイ)
  5. カナグリフロジン(カナグル)
  6. エンパグリフロジン(ジャディアンス)

たくさん種類があります。覚えるのが大変ですね(^_^;)

ここからは、SGLT2阻害薬の臨床での位置付けを見ていきます。

SGLT2阻害薬の位置付け

糖尿病の治療薬にはいろんな種類があります。国内における歴史が古い順に並べると下記です。

  1. インスリン製剤
  2. BG薬
  3. SU剤
  4. αグルコシダーゼ阻害薬
  5. チアゾリジン系
  6. グリニド薬
  7. DPP-4阻害薬
  8. GLP-1受容体作動薬
  9. SGLT2阻害薬

一番新しく、今話題のSGLT2阻害薬は臨床ではどのような位置付けなのか?

順番に見ていきますね。

海外におけるSGLT2阻害薬の位置付けは?

2018年、下記学会から合同声明が出されました。
・ADA(米国糖尿病学会)
・EASD(欧州糖尿病学会)

その中で、SGLT2阻害薬は、以下のリスクがある2型糖尿病患者さんへの投与が推奨されています。

  • アテローム動脈硬化性疾患(ASCVD)
  • 心不全(HF)
  • 腎機能障害(CKD)

大前提として、

「2型糖尿病の初期治療は、メトホルミンの単剤投与と生活習慣の改善が基本です」

第一選択薬はメトホルミンですね。

治療を始めてもHbA1cが目標値をクリアできないときに、併用薬の検討に入ります。

ASCVDかCKDの既往があるか?

これは薬剤を選択する上で重要なポイントです。ある人は、続いてASCVD、CKD、HFのリスクについて評価し薬剤を選択します。

  • ASCVDのリスクが優勢
    →SGLT2阻害薬 or GLP-1アナログ製剤
  • CKD、HFのリスクが優勢
    →SGLT2阻害薬を選択(使用できないときにGLP-1アナログ製剤を考慮)

SGLT2阻害薬は、ASCVD、HF、CKDのリスクが高い2型糖尿病患者の治療において、メトホルミンの次に選択する薬剤という位置付けです。

では、なぜSGLT2阻害薬が推奨されているのか?

SGLT2阻害薬を飲むことで得られるベネフィット

SGLT2阻害薬は、血糖値やHbA1cを低下させる以外に、いくつかの優れた効果が注目されています。

その中でも、注目度の高い効果は以下の3つです。

  • 心血管イベント、死亡の抑制
  • 心不全による入院の減少
  • 腎機能悪化の防止

しかし、ですね。

  • この効果はすべてのSGLT2阻害薬に認められるのか?
  • どのような患者さんにもベネフィットがあるのか?

まだはっきりとしないところもあって、議論の最中です。ここでは、3つの大規模臨床試験の結果から現状を整理しておきます。

3つの大規模臨床試験の比較

現時点における主要な臨床試験は、発表された順に以下の3つです。

  1. EMPA-REG OUTCOME試験…エンパグリフロジン(ジャディアンス)
  2. CANVAS試験…カナグリフロジン(カナグル)※国内未承認用量
  3. DECLARE-TIMI58試験…ダパグリフロジン(フォシーガ)

いずれの試験も、2型糖尿病で心血管疾患の既往がある又はハイリスクの患者を対象に、SGLT2阻害薬とプラセボについて、一次エンドポイントである心血管死、総死亡の発生率を比較した試験です。

ただし、対象患者さんの層に違いが見られます。

  1. EMPA-REG …心血管疾患の既往がある7,028例(二次予防100%)
  2. CANVAS…心血管疾患のリスクが高い10,142例(二次予防65%)
  3. DECLARE…心血管疾患のリスクが高い17,160例(二次予防41%)

EMPA-REGは二次予防のみです。ほかの2つの試験は一次予防を一定数含んだ試験ですね。ここはポイント!

これらを踏まえて、以下の結果を確認します。

  • MACE
  • 心血管死
  • 心不全による入院
  • 腎機能障害の進行

SGLT2阻害薬は心血管イベントを抑制できるのか?

結果は以下です。

▽MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)

  • EMPA-REG…エンパグリフロジン群は14%抑制
    【ハザード比0.86(0.74-0.99)】
  • CANVAS…カナグリフロジン群は14%抑制
    【ハザード比0.86(0.75-0.97)】
  • DECLARE…プラセボと非劣性
    【ハザード比0.93(0.84-1.03)】

→EMPA-REGとCANVASで有効性が実証されました。

MACEのうちの心血管死はどうだったのか?

▽心血管死

  • EMPA-REG…エンパグリフロジンの方が38%抑制
    【ハザード比0.86(0.49-0.77)】
  • CANVAS…プラセボと非劣性
    【ハザード比0.87(0.72-1.06)】
  • DECLARE…プラセボと非劣性
    【ハザード比0.98(0.82-1.17)】

→EMPA-REGのみ総死亡を抑制しました。

つまり、心血管イベントと総死亡を抑制できたのは、二次予防のみを対象としたENPA-REGのみ。一次予防を35%含むCANVASでは、総死亡を抑制できず、一次予防を59%含むDECLAREでは心血管イベント、総死亡ともに抑制できないことがわかりました。

心血管イベントの抑制…エンパグリフロジンとカナグリフロジン。二次予防には有効だが、一次予防では、効果がはっきりとしない。

心不全による入院、腎機能の低下に対する効果は?

結果は以下のとおりです。

▽心不全による入院

  • EMPA-REG…エンパグリフロジンの方が35%抑制
    【ハザード比0.65(0.50-0.85)】
  • CANVAS…カナグリフロジンの方が33%抑制
    【ハザード比0.67(0.52-0.87)】
  • DECLARE…ダパグリフロジンの方が27%抑制
    【ハザード比0.73(0.61-0.88)】

▽腎機能の悪化、腎不全、腎死

  • EMPA-REG…エンパグリフロジンの方が46%抑制
    【ハザード比0.54(0.40-0.75)】
  • CANVAS…カナグリフロジンの方が40%抑制
    【ハザード比0.60(0.47-0.77)】
  • DECLARE…ダパグリフロジンの方が47%抑制
    【ハザード比0.53(0.43-0.66)】

心不全による入院、腎機能の低下によるリスクは、EMPA-REG、CANVAS、DECLAREともに抑制することが示されました。これは一次予防、二次予防に関わらずに認められたSGLT2阻害薬の効果だといえますね。

心不全による入院、腎機能低下によるリスク…エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジンで抑制。一次・二次予防ともに。

▽参考文献
・N Engl J Med. 2017 ;377:644-657.
・N Engl J Med 2019; 380:347-357.
・Zelniker TA, Wiviott SD, Raz I, et al. SGLT2 inhibitors for primary and secondary prevention of cardiovascular and renal outcomes in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of cardiovascular outcome trials. Lancet 2018.

海外での位置付けを再度チェック!

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者において以下の有効性が確認されています。

  • 6心血管イベント、死亡の抑制
  • 心不全による入院の減少
  • 腎機能悪化の防止

ADA/EASD2018においても、ASCVDとCKDの既往があるときにはSGLT2阻害薬がメトホルミンとの併用で推奨されています。

記載されている薬は下記です。

  • エンパグリフロジン
  • カナグリフロジン

ダパグリフロリジンがない?のは、まだDECLARE試験の結果が反映されてない…からだと思います。

また、疾患のリスクによる優先順位は下記です。

  • ASCVD…エンパグリフロジン>カナグリフロリジン
  • HF/CKD…エンパグリフロジン=カナグリフロリジン

ASCVDではエンパグリフロジンの方が、エビデンスレベルが高く設定されてます。今後のガイドラインの改訂にも注目ですね。

日本でのSGLT2阻害薬の位置付けは?

発売当初の位置付けはかなり限定的でした。

SGLT2阻害薬は低血糖だけでなく、脱水症状に伴う脳梗塞や尿路・性器感染症、皮膚障害、ケトアシドーシスなど広範囲な副作用に対する懸念があるからですね。

メトホルミンと同じく、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を参考に、副作用に十分注意しながら使用しないといけません。

それは今でも変わらないのですが、先ほどの大規模臨床試験が発表されたのを受けて、SGLT2阻害薬は、血糖値を下げる以外の作用が注目されて少しずつ処方が増加傾向です。

では、日本ではどのような位置付けなのでしょうか?

糖尿病治療ガイドを見ると、2型糖尿病の病態に合わせた薬剤の選択が横並びに推奨されています。

  • インスリン分泌不足→SU剤、DPP-4阻害薬、グリニド薬
  • インスリン抵抗性→ビグアナイドやチアゾリジン系薬
  • 食後・空腹時高血糖→αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬は、インスリンの分泌能や抵抗性とかに関係なく高血糖症状を是正できる薬剤に位置付けられています。(海外のように、明確にASCVDの人に推奨されているわけではありません)

・ただし、急性・慢性心不全診療ガイドライン2017では、エンパグリフロジンとカナグリフロジンが心血管病既往のある2型糖尿病患者に対する心不全の予防、治療で推奨されています。

現時点では 、処方箋を見る限り、メトホルミンとDPPー4阻害薬が第一選択薬で効果が不十分な場合に、SGLT2を追加することが多い印象がありますが…。

今後はもっと、CVDやHF、CKDに対する効果についてエビデンスが集積されてSGLT2阻害薬の選択基準が決定されるかもしれないですね。どのように変わっていくのか、注目したいです。

まとめ

ポイントだけを再確認すると下記です。

◆SGLT2阻害薬を飲むことで得られるベネフィット

  1. 心血管イベント、死亡を抑制できる…二次予防
  2. 心不全による入院を減らす…二次予防 and 一次予防
  3. 腎機能の低下を防ぐ…二次予防 and 一次予防

→対象患者さんの違いによって得られるベネフィットの幅が異なります。広く認められるのは、心不全による入院減少効果と腎保護作用。心血管イベントと死亡の抑制効果は二次予防の人だけですね。

◆SGLT2阻害薬の臨床上の位置付けは?

  • 海外では、ASCVD、HF、CKD患者にメトホルミンに併用する形で推奨
  • 日本では、病態に合わせた薬剤選択が推奨、高血糖状態の是正に使うのが基本

→なお、日本循環器学会の急性・慢性心不全診療ガイドライン2017では、SGLT2阻害薬の推奨記載あり。

今回はSGLT2阻害薬をテーマに、特徴と使いかたを解説しました。日常業務に活用して頂けたら嬉しいです♪

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