フォゼベル錠の特徴【リン吸着薬との比較しながら解説】

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今回のテーマはフォゼベル錠!

一般名はテナパノル、高リン血症の治療薬です。

注目すべきは、NHE3阻害薬というニュークラスの作用機序。

どのような特徴があるのか?
従来のリン吸着薬との違いは何か?(ここ気になる!)

フォゼベル錠の特徴について、リン吸着薬と比較しながら解説します!

目次

フォゼベルの基本情報

製品名フォゼベル錠
発売2024年2月20日
一般名テナパノル
規格5mg、10mg、20mg、30mg
作用機序NHE3阻害薬
適応透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
用法用量1回5mg(開始用量)を1日2回
朝食直前と夕食直前に服用
適宜増減、最大30mg×2
禁忌2歳未満の患者
過敏症の既往歴のある患者
機械的消化管閉塞又はその疑いがある患者
重大な副作用重度の下痢
薬価5mg:¥234.1/錠
10mg:¥345.8/錠
20mg:¥510.9/錠
30mg:¥641.8/錠
フォゼベル錠、電子添文等より作成

ここからは5つのポイントを見ていきます。

  1. 作用機序
  2. 適応
  3. 投与方法
  4. 副作用
  5. 臨床の位置付け

フォゼベルの作用機序

フォゼベルリン吸着薬
間接作用
(リンと結合しない)
直接作用
(リンと結合する)
NHE3阻害作用により、
消化管のリン吸収能を低下
リンと結合し、
糞便とともに排泄

※NH3:Na+/H+ exchanger isoform 3(Na+/H+ 交換輸送体3)

ここがポイント

フォゼベルはリンと結合しません

以下のように、NHE3というNa+/H+交換輸送体の働きを妨げます。これにより、細胞内が酸性に傾き、傍細胞経路を介したリンの透過性が低下するという機序です。リンの吸収は電気化学的勾配に依存しており、NHE3の阻害により、その勾配が小さくなるという理解だそうです(この部分、私には難しくてピンときません^_^;)

フォゼベル錠、製品情報概要

一方で、リン吸着薬は消化管内で物理的にリンに結合して、吸収を阻害します。ここはイメージしやすいですよね。以下のように、結合様式は様々ですが、リンをくっつける点は同じです。

製品名分類結合様式
カルタン遊離イオン型Caイオン+リン酸イオン
ホスレノールLaイオン+リン酸イオン
リオナ鉄イオン+リン酸イオン
ピートル非遊離型多核性の酸化水酸化鉄(III)+リン酸イオン
レナジェル高分子のセベラマー+リン酸イオン
キックリン高分子のビキサロマー+リン酸イオン

フォゼベルの適応

下記患者における高リン血症の改善

保存期慢性腎臓病血液透析
フォゼベル
カルタン
ホスレノール
リオナ
ピートル
レナジェル
キックリン

ここがポイント

フォゼベルの適応は透析施行中の高リン血症のみです

保存期の慢性腎臓病の患者には使用できません。現時点では、従来のリン吸着薬(レナジェルとキックリン除く)に比べて適応が限られています。今後、適応が追加されるのか注目ですね。

フォゼベルの投与方法

製品名投与回数投与時点
フォゼベル2朝夕食直前
カルタン3食直後
ホスレノール3食直後
リオナ3食直後
ピートル3食直前
レナジェル3食直前
キックリン3食直前

ここがポイント

フォゼベルは1日2回型の製剤です

ここはフォゼベルに優位性があります。従来のリン吸着薬よりも1日の投与回数が少なく、患者さんの服薬負担が軽減できるからです。1日の服用回数を減らすことでアドヒアランスの向上が期待できます。基本的には朝夕に飲みますが、午前透析の方は下痢の副作用を考慮して、透析後(昼)と夕食時に服用することも可能です。

血液透析中に排便を催すことが懸念される患者には、透析直前での投与を控え、朝夕以外の食直前に投与してもよい。

フォゼベル錠 電子添文
フォゼベルはなぜ食直前投与なのか?

糞便中のNa、P排泄量は空腹時投与、食後投与に比べて食直前が最も大きかったからです。もっとも効果が得られるのが食直前投与という理解ですね。

フォゼベル錠、審議結果報告書

フォゼベルの副作用

ここがポイント

フォゼベルは下痢の副作用に注意が必要です

下痢の頻度と程度は?

国内臨床試験において約60%(単剤投与試験70.7%、併用投与試験58.3%)の頻度で認められています。重症度はほとんどが軽度または中等度であり、高度の下痢を発現したのは2例です。投与中止後に症状の回復が見られています。

フォゼベル錠、電子添文、審議結果報告書

なぜ下痢が起こりやすいのか?

これは作用機序から説明可能です。NHE3阻害により消化管腔のNa濃度が上昇し、水分量の増加を招き、下痢を引き起こすと考えられています。ちょうど浸透圧性下剤のような作用ですね。参考までに、海外ではIBSの治療薬として承認されています。

フォゼベル、臨床の位置付け

フォゼベルはどのような場面で使うのか?大きく3つのケースが考えられます。

  1. 新規処方
  2. リン吸着薬からの切り替え
  3. リン吸着薬に追加

新規処方

まずは、新規処方として。特にフォゼベルの特性を活かせるアドヒアランスに問題を抱える患者さんに有用だと考えられます。既存薬に比べて「1日の服薬回数」や「1回に飲む錠数」を最小化できるからです。フォゼベルは1日2回型の製剤であり、4規格のラインナップを活用すれば、増量時でも服薬錠数は1錠に抑えることができます。

フォゼベル単独投与試験

フォゼベルは、血液透析施行中の高リン血症患者を対象とした国内第Ⅲ相単剤投与試験において、プラセボと比較して有意な血清リン濃度の低下効果が認められています。

投与後8週時点の血清P濃度の変化量
プラセボ0.05mg/dL、フォゼベル−1.89mg/dL

国内第Ⅲ相単剤投与試験(血液透析施行中の高リン血症患者)

リン吸着薬からの切り替え

2つ目のケースはリン吸着薬からフォゼベルへの切り替えです。アドヒアランスの悪い人や副作用の出現時、リスクの考慮等で、従来薬の忍容性に問題がある場合の代替薬として有用だと考えられます。

リン吸着薬の副作用、注意事項等
分類商品名副作用、注意事項等
カルシウム製剤沈降炭酸カルシウム高Ca血症、血管石灰化、胃酸分泌低下剤との併用で効果減弱、キレートを介する相互作用等
ポリマー型セベラマー、ビキサロマー便秘や腹部膨満等の胃腸障害、腸管穿孔や腸閉塞のリスクも等
ランタン炭酸ランタン嘔気、嘔吐等の消化器症、骨組織への沈着の影響
クエン酸第二鉄水和物、スクロオキシ水酸化鉄下痢等の消化器症状、鉄過剰及び鉄蓄積による肝炎の悪化等

リン吸着薬と併用

3つ目はリン吸着薬の効果不十分時に併用するケースです。フォゼベルは新機序を有し、従来薬との併用により、上乗せ効果が期待できます。血清リン値のコントロールに難渋しているケースでは、リン吸着薬の増量に加えて、併用の選択肢が増えるかたちですね。

フォゼベル併用投与試験

リン吸着薬でコントロールが難しい(P6.1mg/dL以上)血液透析施行中の高リン血症患者を対象とした国内第Ⅲ相併用投与試験において、フォゼベル群(リン吸着薬と併用)はプラセボ群(リン吸着薬単独)に比べて有意な血清リン濃度の低下効果が認められています。

投与後8週時点の血清P濃度の変化量
プラセボ群−0.24mg/dL、本剤−2.00mg/dL

国内第Ⅲ相併用投与試験(リン吸着薬による血清リン濃度の管理が困難な血液透析施行中の高リン血症患者)

まとめ

今回は高リン血症治療薬フォゼベルの特徴について、従来薬のリン吸着薬と比較しながら解説しました。

記事を書きながら思ったのは、

フォゼベルは使い勝手が良い製剤である点!

特に、服用回数が1日2回なのは魅力ですね。リン吸着薬は昼食時の飲み忘れが意外と多かったので^_^。それから、1回量を減らせるのも患者さんにはメリットが大きいと思います。あとは、便秘症の人では、排便コントロールに良い影響を与え、もともと飲んでいた下剤を減らせるかも知れません。

一方で、薬剤師目線だと、在庫を抱えるのがネックですかね。製剤の特性・利点を十分に引き出すなら、4種類を有効活用する必要があるものの、全ての在庫を置くのは経営的には悩ましいです…。

フォゼベルの登場により、高リン血症治療薬の使用動向がどうなるのか?注目していきたいです!

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