今回のテーマはリン吸着薬です。
慢性腎臓病の方や透析患者さんがよく飲まれている薬ですね。
国内で使用できる薬は全部で6種類あります。
- カルタン
- レナジェル
- ホスレノール
- キックリン
- リオナ
- ピートル
いずれも、血清リン値を下げる薬です。
ただ、飲み方や注意点に違いがあって…。私は毎回、添付文書を確認しては忘れて、また調べての繰り返しです…(^_^*)
・飲むタイミングは、食後それとも食前?
・どのような特徴がある薬だったけ?
といった具合に、なかなか覚えられないーー。
そこで、勉強がてら、あやふやで曖昧な知識をスッキリと整理しました。参考になれば幸いです。
それでは見ていきますね。
リン吸着薬:6種類の比較!
まとめると、ざっと以下のようになります。
商品名 | カルタン | レナジェル | ホスレノール | キックリン | リオナ | ピートル |
---|---|---|---|---|---|---|
一般名 | 沈降炭酸Ca | セベラマー塩酸塩 | 炭酸ランタン | ビキサロマー | クエン酸第二鉄 | スクロオキシ 水酸化鉄 |
剤型 | 錠 細粒(バラ/分包) OD錠 | 錠 | OD錠 チュアブル 顆粒分包 | カプセル 顆粒(バラ) | 錠 | チュアブル 顆粒分包 |
規格 | 250mg 500mg 83%細粒 | 250mg | 250mg 500mg | 250mg 86.2%顆粒 | 250mg | 250mg 500mg |
適応症※ | 高リン血症の改善 ・HD ・ND | 高リン血症の改善 ・HD、PD | 高リン血症の改善 ・HD、PD ・ND | 高リン血症の改善 ・HD、PD ・ND | 高リン血症の改善① ・HD、PD ・ND 鉄欠乏性貧血② | 高リン血症の改善 ・HD、PD |
用法用量 | 3g分3 | 3〜6g分3 ※最大9g | 0.75g分3 ※最大2.25g | 1.5g分3 ※最大7.5g | ①1.5g分3 ※最大6g ②500mg ※最大500mg×2 | 0.75g分3 ※最大3g |
投与時点 | 食直後 | 食直前 | 食直後 | 食直前 | 食直後 | 食直前 |
※血液透析(hemodialysis:HD)※保存期慢性腎臓病(non dialysis:ND)※腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)
押さえておきたいポイントは大きく5つです。
- 分類
- 作用機序
- 適応症
- 服薬時点
- 飲み忘れの対応
順に見ていきましょう。
分類の違い
リン吸着薬は大きく3種類に分類されます。
①金属塩型(カルシウム製剤)…カルタン
②金属塩型(非Ca製剤)…ホスレノール、リオナ、ピートル
③ポリマー型…レナジェル、キックリン
大きく金属塩型とポリマー型に分けて、金属塩はCaとそれ以外に分けるのが一般的です。
ホスレノールはランタン(La)、リオナとピートルは鉄(Fe)が有効成分になります。
この分類は知識を整理するための基本です。覚えておましょう。
作用機序の違い
リン吸着薬は血清リン値を下げます。食物中のリンと結合し、糞便と共にPを排泄するのが機序です。
リン酸イオンに対する結合様式は2つのパターンがあります。
- 遊離イオン型…遊離イオンとリン酸イオンが結合
- 非遊離型…基本構造の表面でリン酸イオンと結合
遊離イオン型
・カルタン…Caイオン+リン酸イオン→リン酸カルシウム
・ホスレノール…Laイオン+リン酸イオン→リン酸ランタン
・リオナ…鉄イオン+リン酸イオン→リン酸鉄
非遊離型
・ピートル…多核性の酸化水酸化鉄(III)+リン酸イオン
・レナジェル…高分子のセベラマー+リン酸イオン
・キックリン…高分子のビキサロマー+リン酸イオン
この分類は相互作用を考えるときに役立つ視点です。
遊離型で特に注意したいのは
キレート結合ですね。ニューキノロンやテトラサイクリン系など。併用注意の記載です。(ピートルも記載あり、リオナに比べて影響は小さそうですが…)
(テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤)
本剤のキレート作用により、相互に吸収が低下し、効果が減弱することがある。併用する場合には本剤服用後2時間以上間隔をあけるなど注意すること。
カルタン錠 電子添文
非遊離型も相互作用あり
レナジェルとキックリンは消化管内で自身がプラスに荷電した状態です。カルボキシル基などマイナスに荷電した分子を吸着します。併用薬との相互作用が懸念されるので、同時服用を避けるのが基本です。
(併用注意)
レナジェル、キックリン電子添文
抗てんかん剤、不整脈用剤等安全性及び有効性に臨床上重大な影響を及ぼす可能性のある経口薬剤を併用する場合は、可能な限り間隔をあけて投与し、併用薬の作用の変化についても慎重に観察すること。
また、レナジェルはカルボキシル基を持つ胆汁酸を吸着する作用が強いです。脂溶性ビタミンや葉酸の吸収を阻害する可能性があり、長期間の使用時には補給を考慮する必要があります。一方でキックリンは大丈夫です(レナジェルに比べて影響が小さいため)。
(重要な基本的注意)
レナジェル 電子添文
脂溶性ビタミン(A、D、E、K)あるいは葉酸塩の吸収阻害が起こる可能性があるので、観察を十分に行い、長期間投与の際にはこれらの補給を考慮すること
リン吸着薬は遊離イオンの形で効果を発揮するのか、それとも基本構造の表面でリン酸イオンと結合するのか、2パターンに分類できる点は押さえておきましょう。
適応症の違い
大きく血液透析(HD)と保存期慢性腎臓病(ND)に分けて考えます。
腎機能が悪くて高リン血症であれば、全てのリン吸着薬が使用できるわけではありません。保存期の適応がある薬剤は限られているからです。
処方監査や処方提案の際に気をつけたいですね。
服薬時点の違い
リン吸着薬の服用時点は食直前または食直後のどちらかです。
ときどき、「食直前、それとも食直後?」と混乱することがあります。
覚え方としては、作用機序に注目するのがオススメです。遊離型で効果を発揮するものは食直後、非遊離型のものは食直前投与という風に。
飲み忘れ時、対応の違い
リン吸着薬飲み忘れは結構多い印象があります。
メーカーQ&A、くすりのしおり等から調べると下記です。
商品名 | 飲み忘れ時の対応 |
---|---|
カルタン | 食後30分以内であれば服用、30分以上はSkip |
レナジェル | 食直後までに気づいた時点で服用、それ以外はSkip |
ホスレノール | 食後30分以内であれば服用、30分以上はSkip |
キックリン | Skip |
リオナ | Skip |
ピートル | Skip |
比較的新しい薬は一律Skipの対応です。食事中や食直後に飲めば、ある程度効果はありそうですが…。
リン吸着薬は食事を摂取しない時は飲む必要がありません。食物中のリンを吸着するのが機序であり、空腹時に飲んでも十分な効果が得られないからです。
カルタンは食事なしで服用すると危険!
効果が得られないだけではなく、カルシウムが吸収されて高Ca血症の危険があるからです。要注意ですね。
リン吸着薬:6種類の特徴
ここからは、各薬剤の特徴について解説します。
メリットとデメリットからポイントを押さえておきましょう。
カルタンの特徴
カルタンの基本情報
- 一般名…沈降炭酸カルシウム
- 分類…金属塩型(カルシウム製剤)
- 適応…HD、ND
- 投与時点…食直後
- 剤型…錠・細粒・OD錠
カルタンのメリット
・低コストである
・非アルミニウム製剤である
カルタンは安価です!250mgあたりのコストを比較するとかなり違います。
商品名 | 薬価 |
---|---|
カルタンOD錠 | ¥8.0/250mg |
レナジェル錠 | ¥15.9/250mg |
ホスレノールOD錠 | ¥92.9/250mg |
キックリンカプセル | ¥22.4/250mg |
リオナ錠 | ¥74.1/250mg |
ピートルチュアブル錠 | ¥152.8/250mg |
1日薬価で比較すると
※2022.6時点です。
カルタンは最も低コスト!
1日薬価(通常量)あたりで見るとレナジェルの約6分の1、ホスレノールの約9分の1に相当します。ハイコストのリオナやピートルに比べると1日あたり430円程度費用を抑えられる計算です。
特に、1日量が多い人(増量例)では、カルタンを選択するメリットが大きいです。大幅なコストダウンが期待できます。
続いて2つ目メリット
カルタンは非アルミニウム性のリン吸着薬です。
ずいぶん前はアルミニウム製剤が使用されていたのをご存じですか?
Alイオンもリン酸イオンと結合する力が強く、血清P値を下げる効果があります。しかし、長期投与により下記の中毒症状が問題になりました。
- アルミニウム脳症
- 骨症(骨軟化症)
アルミニウムはは腎臓から排泄されるので、腎クリアランスが低い透析患者さんでは容易に蓄積されるからです。
そこで登場したのがカルタン。Al製剤の問題点を解決した製剤になります。
カルタンのデメリット
・高カルシウム血症のリスク
リンと結合せずに残ったCaが吸収され、血中Ca濃度の上昇を招く可能性があるからです。
カルタンは高Ca血症に注意が必要なリン吸着薬です。服用中はモニタリングを徹底し、高Ca血症を認める場合や、血管の石灰化が強い場合にはカルタンの中止や減量が必要になります。
高Ca血症をきたしやすい場合、血管石灰化が著明な場合、無形成骨症と考えられる場合、もしくは低PTH血症が持続する場合は、炭酸Caの減量や中止が望ましい
慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン2012
特に、活性ビタミンD3製剤との併用時は注意!
消化管からCaの吸収が増えて、リスクが高まるからです。P吸着薬と活性VD3製剤の併用はよくあります。なぜ、併用するのかは下記に理由を書きましたので、参考にしてくださいね。
P吸着薬と活性VD3製剤の併用理由は?
二次性の副甲状腺機能亢進症を防ぐためです
慢性腎不全では血清PとCaの電解質異常が起こります。
- リンの排泄低下→高P血症
- ビタミンD3の活性低下→低Ca血症
この状態をもとに戻すために分泌されるのが副甲状腺ホルモンPTHです。
しかし、過剰になると下記の疾患を招く恐れがあります。
- 骨軟化症(骨からのCa溶出)
- 血管の石灰化(血清CaとP濃度の上昇)
この状態を防ぐために、P吸着薬とビタミンD3製剤を用いるわけです。
ホスレノールの特徴
ホスレノールの基本情報
- 一般名…炭酸ランタン
- 分類…金属塩型(非Ca製剤)
- 適応…HD、PD、ND
- 投与時点…食直後
- 剤型…OD錠・チュアブル・顆粒分包
ホスレノールのメリット
・非カルシウム製剤である
・リン吸着力が強い
ホスレノールは、高カルシウム血症の心配がありません。カルシウム非含有のリン吸着薬だからです。カルタンの弱点を克服した製剤だといえます。血清Ca値がコントロールできない場合や、血管の石灰化が著しい症例に有用です。
ホスレノールはカルタンよりもリン吸着力に優れている
ホスレノールはpHによらず効果が安定しているのも特徴ですね。
ホスレノールのデメリット
・骨への蓄積性
・嘔吐、悪心が起こりやすい
ホスレノールの有効成分であるランタンは、希土類の元素、いわゆるレアアースです。吸収率は0.002%と低いものの、長期にわたるLaの骨組織への蓄積が懸念されています。Laが非生理的な物質であるのが心配な点ですね。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ホスレノール 添付文書
動物における薬物動態試験において、本剤の反復経口投与により、他の組織に比べて特に骨、消化管及び肝臓でランタン濃度が高く推移し、消失も遅延していた。
ホスレノールは吐き気や嘔吐の頻度が高め
胃内に過量のLaイオンが存在することや、炭酸ランタンが胃酸と反応し、発生した炭酸ガスが胃を刺激することが原因と考えられています。
承認時の国内臨床試験、胃腸障害の発現率は37.7%(115/305例)です。内訳は以下のとおりでした。
嘔吐15.1%、悪心11.8%、下痢6.6%、胃部不快感4.3%、便秘3.9%
ホスレノール、審議結果報告書
レナジェルの特徴
レナジェルの基本情報
- 一般名…セベラマー塩酸塩
- 分類…ポリマー型
- 適応…HD
- 投与時点…食直前
- 剤型…錠
レナジェルのメリット
・非カルシウム性の製剤である
・吸収されない
レナジェルはCa非含有のリン吸着薬です。高Ca血症の心配がありません。
ホスレノールと同様に血清Ca値がコントロールできない場合や、血管の石灰化が著しい症例に有用だと考えられます。
レナジェルは高分子ポリマーです。吸収されないため、金属型で懸念される組織への蓄積がない点もメリットですね。
レナジェルのデメリット
・1日の服薬数が多い
・便秘が起こりやすい
・アシドーシスに注意!
レナジェルは金属型に比べて力価が低いのか、1日用量が多めです。12〜36錠分3なので、1回に4〜12錠飲む計算ですね。毎日のことを考えるとかなり服薬負担が大きいと思います。
また、便秘が高頻度で起こります。水分を含むと膨張する性質のためです。腸管穿孔や腸閉塞につながる恐れもあります。投与前と投与中は、下記の確認、説明などが必要です。
・投与開始に先立ち、患者の日常の排便状況を確認すること
レナジェル、添付文書
・患者には排便状況を確認させるとともに、便秘の悪化、腹部膨満感等の症状があらわれた場合には、医師等に相談するように指導すること。
また、アシドーシスを起こす可能性があります。セベラマーが塩酸塩であり、塩素放出により血中Cl濃度の上昇を招く恐れがあるためです。
キックリンの特徴
キックリンの基本情報
- 一般名…ビキサロマー
- 分類…ポリマー型
- 適応…HD、PD、ND
- 投与時点…食直前
- 剤型…カプセル、顆粒分包
キックリンのメリット
・非カルシウム製剤である
・吸収されない
・アシドーシスが起こりにくい
メリットはレナジェルとほぼ共通。キックリンも高分子ポリマーだからです。
違いはキックリンが塩酸塩ではない点。アシドーシスの懸念がなくなりました。
キックリンのデメリット
・1日の服薬数がやや多い
・便秘がやや起こりやすい
レナジェルと共通です。しかし、使い勝手が良くなりました。服薬数が若干減り、顆粒分包の剤型があるからです。
また、便秘や腹部膨満の頻度が減りました。理由は、水分による膨張がレナジェルに比べて小さいからと考えられています。
国内第3相臨床試験における主な胃腸障害の副作用頻度は下記です。
ビキサロマー (55例) | セベラマー塩酸塩 (55例) | |
---|---|---|
全体 | 72.7% | 89.1% |
便秘 | 20.0% | 29.1% |
硬便 | 5.5% | 0.0% |
腹部膨満 | 1.8% | 12.7% |
キックリンは、レナジェルに比べて安全面が向上したポリマー型リン吸着薬といえますね。
リオナの特徴
リオナの基本情報
- 一般名…クエン酸第二鉄
- 分類…金属塩型
- 適応…HD、PD、ND
- 投与時点…食直後
- 剤型…錠
リオナのメリット
・非カルシウム、非ポリマー型
・安全性が高い(食品添加物に指定)
・貧血改善作用がある
リオナは非カルシウム性のリン吸着薬です。ホスレノールと同様に、高Ca血症の心配がありません。また、ポリマー型で問題になる便秘や腹部膨満等の副作用も起こりにくいのが特徴です。
成分はクエン酸第二鉄。食品添加物として鉄成分の補充、強化目的で長年使用されている成分です。比表面積を増やし溶解速度を高め、医薬品として開発されました。
リオナは貧血改善作用があります。副次的な効果です。
最近の話題として、リオナは鉄欠乏性貧血の効能が追加申請されました。リンを下げつつ、貧血を改善するという一石二鳥の効果を期待して、使用症例が増えるかもしれませんね。
2021年3月23日
鉄欠乏性貧血の適応が追加承認されました。
リオナのデメリット
・鉄の蓄積
・黒色便
・消化器症状
クエン酸第二鉄は一部消化管で吸収されます。鉄過剰に対する注意が必要です。投与中は血清フェリチン値等のモニタリングが求められています。
本剤は消化管内で作用する薬剤であるが,本剤の成分である鉄が一部吸収されるため,血清フェリチン等を定期的に測定し,鉄過剰に注意すること。また,ヘモグロビン等を定期的に測定し,特に赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には,過剰造血に注意すること。
リオナ錠 電子添文
リオナは黒色便を認めます。見た目に消化管出血との鑑別がつきにくいのが欠点です。粘着性があるかどうかで、ある程度タール便と区別できるそうですが…。
リオナは下痢の頻度が多い
承認時の胃腸障害発現率は下記でした。
・全811例中、下痢(20.7%),便秘(6.5%),腹部不快感(5.2%),嘔吐(4.9%)
リオナ錠 審議結果報告書参照
ちなみに下痢は、重度のものはなく、中等度が0.9%(7/811例)、その他は軽度19.9%(161/811例)でした。
ピートルの特徴
ピートルの基本情報
- 一般名…スクロオキシ水酸化鉄
- 分類…金属塩型
- 適応…HD、PD
- 投与時点…食直前
- 剤型…チュアブル、顆粒分包
ピートルのメリット
・非カルシウム、非ポリマー型
・服薬数が少なく、患者負担が減る
・貧血改善作用がある
ピートルの有効成分は酸化水酸化鉄です。リオナと違いデンプンとスクロースからなる複合体構造である点。
高Ca血症の懸念がなくポリマー型で見られる便秘や消化管の通過障害等のリスクが低いのはリオナと共通ですね。
さらにピートルは服薬数が少ないのが特徴
開始量と最大投与量はともにリオナの半分でOK。しかも、500mgの規格があるので、服薬数はさらに減ります。患者さんの服薬負担を減らせるのが魅力ですね。
- リオナ250mg…6〜24錠分3
- ピートル250mg…3〜12錠分3
- ピートル500mg…1.5〜6錠分3
同じく、貧血改善作用があります。リオナと一緒で副次的な効果ですね。
ピートルのデメリット
・鉄の蓄積
・黒色便(口腔内の着色も)
・消化器症状
鉄の蓄積はリオナと同様です。しかし、ピートルは複合体の骨格を有するため鉄が遊離しにくく、消化管からの吸収は抑えられています。
黒色便はリオナと共通ですが、加えてチュアブルでは口腔内も黒くなることがあります。歯や舌の着色は食後の歯磨きやうがいで取り除くことが可能です。
ピートルでも下痢などの消化器症状が起こりやすい
承認時の胃腸障害発現率は下記でした。
・全494例中、下痢(30.8%),便秘(3.6%),腹部不快感(2.0%),嘔吐(2.4%)
ピートル錠 審議結果報告書
下痢は152例200件に発現。重度のものはなく、軽度185件、中等度15件でした。
まとめ
今回はリン吸着薬6種類について比較、特徴をまとめました。
記事を書いていて大切だと感じたのは
各薬剤の開発経緯
◯◯という薬剤はなぜ開発されたのか、臨床的な位置づけは何か?
ということを押さえておけば、6種類もあるリン吸着薬の特徴を頭の中できちんと整理できると思います。必要な時にサッと知識を取り出せる感じです(^。^)
作者は以下のように理解しました。
- カルタン…標準薬
- ホスレノール…カルタンの改良版(高Ca血症↓)
- リオナ…ホスレノールの改良版(非生理的なLaの蓄積↓)
- ピートル…リオナの改良版(Feの蓄積↓)
- レナジェル…カルタンの改良版(高Ca血症↓)
- キックリン…レナジェルの改良版(使い勝手と安全性↑)
ざっくりと、こんな感じですね。
あとは、分類や適応症、投与時点の違いとかを一緒に覚えておけば、日常業務で「◯◯の薬の特徴は何だっけ……」と、困ることがなくなるはずです♪
高リン血症の治療薬フォゼベルが承認されました。NHE3阻害薬という新しい機序の薬剤です。特徴は別記事でまとめているので、合わせてご覧いただけたら幸いです。