【肥満症治療薬】ウゴービ、サノレックス、アライの特徴・使い方

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今回のテーマは「肥満症治療薬」

GLP-1受容体作動薬ウゴービが令和5年3月27日に承認、令和6年2月22日発売されました。

令和5年2月17日にはリパーゼ阻害薬アライが承認、こちらは一般用医薬品(OTC)として令和6年4月8日に発売予定です。

遡ると1992年にはサノレックスが肥満症の治療薬として保険適用されています。

それぞれの特徴は何か、どう使うのか?

押さえておきたいポイントをまとめたので共有したいと思います。

目次

肥満症の基本

まずは肥満症の基本から。知っている方は飛ばして頂いて構いません^_^

肥満と肥満症の違い

肥満の定義
肥満症の定義

脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上のもの

(BMI25以上で)肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予想され、医学的に減量を必要とする疾患

共通点はBMI25以上です
違いは、健康障害がある(又は予想される)かどうか
ありの場合は肥満症(疾患)です

肥満症の診断方法

肥満症の診断は下記のように行います。

BMIが35を超えると、高度肥満、高度肥満症といいます。

肥満症の診断に必要な健康障害とは何か?

全部で11疾患です

  1. 耐糖能異常(2型糖尿病、耐糖能異常など)
  2. 脂質異常症
  3. 高血圧
  4. 高尿酸血症・痛風
  5. 冠動脈疾患
  6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
  8. 月経異常・女性不妊
  9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低過換気症候群
  10. 運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)
  11. 肥満関連腎臓病

肥満症に対する治療方針

薬物療法の対象は?

肥満症(25≦BMI<35)
または高度肥満症(BMI≧35)
食事や運動療法を行っても効果が十分に得られない場合です

肥満症の治療目的

肥満症の治療目的は?

高血圧や脂質異常症、糖尿病などの健康障害(のリスク)を改善することです。単に体重を減少させるだけが目的ではありません
ここ結構大事です!

肥満症診療ガイドライン2022

ここからが本題!

肥満症治療薬の特徴や使い方について具体的に見ていきましょう。

ウゴービ、サノレックス、アライの比較表

肥満症治療薬は大きく3種類です。

商品名ウゴービサノレックスアライ
一般名セマグルチドマジンドールオルリスタット
発売日2024年2月22日1992年9月2024年4月8日予定
区分医療用医薬品医療用医薬品
向精神薬(第三種)
習慣性医薬品
一般用医薬品(OTC)
要指導医薬品
分類GLP-1受容体作動薬食欲抑制薬内臓脂肪減少薬
投与経路皮下注射経口経口
規格0.25mgSD
0.5mgSD
1.0mgSD
1.7mgSD
2.4mgSD
錠0.5mgカプセル60mg
効能効果肥満症高度肥満症腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少
用法用量初回
週1回0.25mg

維持
4週間ごとに週1回
0.5mg
1.0mg
1.7mg
2.4mg
の順に増量する
通常
1回0.5mgを1日1回昼食前に投与

最大投与量
1.5mgを2~3回に分けて食前に投与
通常
1回1capを1日3回食事中又は食後1時間以内に水又はぬるま湯で服用
投与期間最大68週間
最適使用推進ガイドライン、セマグルチド(遺伝子組換え
投与期間はできる限り短期間とし、3ヵ月を限度とする

現在国内で販売されているのは、食欲抑制薬サノレックスのみです。使用頻度が少ないのか、私は今までに処方されている人に出会ったことがありません。発売日は1992年と、かなり古くからある薬なんですね。

続いて、GLP-1受容体作動薬のウゴービは期待の新薬です。有効成分は2型糖尿病治療薬オゼンピック皮下注、リベルサス錠と同じセマグルチド。血糖降下作用に加えて体重減少効果が強いのが特徴です。かなり注目されています!

リパーゼ阻害薬アライはOTCとして発売予定です。処方箋なく購入可能ですが、薬剤師による対面指導が必要な要指導医薬品であり、インターネットによる販売は認められません。以前に製造承認されたものの、結局、薬価収載されずお蔵入りしたオブリーン錠(一般名:セチリスタット、リパーゼ阻害薬)と同じ作用機序を有します。

ウゴービ、サノレックス、アライの作用機序

肥満症治療薬は作用機序から大きく2種類に分かれます。

①食欲を抑制する薬
②脂肪の吸収を低下させる薬
  • ウゴービ(セマグルチド)
  • サノレックス(マジンドール)
  • アライ(オルリスタット)

食欲を抑制する薬

ウゴービの作用機序

①中枢の視床下部及び脳幹等にあるGLP-1受容体を刺激→食欲低下
②消化管にあるGLP-1受容体を刺激→迷走神経を介して中枢にシグナル伝達→食欲低下

ウゴービ(GLP-1受容体作動薬)の作用機序(イメージ図)
サノレックスの作用機序

①視床下部にある摂食中枢に作用→食欲を低下させる
②視床下部にある満腹中枢に作用→食欲を低下させる

交感神経刺激によるエネルギー消費亢進作用(抗肥満作用)もあり
(神経終末のモノアミンの再吸収抑制作用が関係している)

サノレックスの作用機序(イメージ図)
サノレックス錠 インタビューフォーム

脂肪の吸収を低下させる薬

アライの作用機序

消化管でリパーゼの働きを抑制→脂肪の吸収を低下させる

リパーゼは脂質(トリグリセリド)をモノグリセリドと脂肪酸に分解して、吸収を促す働きがあります

アライの作用機序(イメージ図)
大正製薬 内臓脂肪減少薬「アライ」の製造販売承認取得のお知らせより

ウゴービ、サノレックス、アライ:対象患者の違い

商品名ウゴービサノレックスアライ
効能効果肥満症高度肥満症腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少
健康障害の要否必要必要不要
肥満の判定BMI値BMI値
肥満度
腹囲(へその高さ)
食事・運動療法必須
効果不十分
薬物療法へ
必須
効果不十分
薬物療法へ
必須

同じ肥満症治療薬でも、対象者、使用要件に違いがあります。ここは重要ですね。

ウゴービの対象患者

肥満症
健康障害のある方
 高血圧、脂質異常症または2型糖尿病
BMI27以上であれば
 上記を含めて2つ以上の健康障害が必要
又はBMI35以上であれば
 上記を含めて1つ以上の健康障害が必要
食事、運動療法で効果が不十分の場合

ウゴービの対象は、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを合併する肥満症の患者さんです。健康障害の疾患が指定されています(サノレックスとの違い)。BMI値によって健康障害の疾患数が異なり、35までなら計2つ以上必要です。また、食事・運動療法で効果が不十分な場合にはじめて投与できます。安易な使用を防ぐために厳格に使用基準が定められている点は押さえておきましょう。

BMIの計算式

BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2

参考までに、ウゴービの対象となる患者さん、身長と体重の目安は以下のとおりです。160cmの人は69kgを超えるとBMI27、89kg上回るとBMI35と計算されます。

BMI27BMI35
140cm52.9kg68.6kg
145cm56.8kg73.6kg
150cm60.8kg78.8kg
155cm64.9kg84.1kg
160cm69.1kg89.6kg
165cm73.5kg95.3kg
170cm78.0kg101.2kg
175cm82.7kg107.2kg
180cm87.5kg113.4kg
サノレックスの対象患者

高度肥満症
BMI35以上
又は肥満度70%以上
食事、運動療法で効果が不十分の場合

サノレックスの対象は高度肥満症の方です。BMI35以上(肥満度70%以上)ないと投与できません(ウゴービとの違い)。健康障害に関しては特に記載がありませんが、適応が肥満症であり、先述の「肥満症診断のフロチャート」から、何らかの健康障害を抱えた人が対象になります。ウゴービ同様に、食事・運動療法で効果不十分な場合に使用可能です。

肥満度の計算式

肥満度(%)=(実体重ー標準体重)/標準体重×100

標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

参考までに、サノレックスの対象となる患者さん、身長と体重の目安は以下のとおりです。160cmの人は95kgを超えると肥満度70%、89kg上回るとBMI35と計算されます。

標準体重肥満度70%BMI35
140cm43.1g73.3kg68.6kg
145cm46.3kg78.7kg73.6kg
150cm49.5kg85.2kg78.8kg
155cm52.9kg89.9kg84.1kg
160cm56.3kg95.7kg89.6kg
165cm59.9kg101.8kg95.3kg
170cm63.6kg108.1kg101.2kg
175cm67.4kg114.6kg107.2kg
180cm71.3kg121.2kg113.4kg
アライの対象患者

肥満
腹囲(へその高さ)
男性85cm以上
女性90cm以上
食事、運動療法を行っている
18歳以上

アライは肥満の方(18歳以上)に用います。健康障害がない人が対象です(ウゴービ、サノレックスとの違い)。また、健康障害がなくても、BMI35を超える肥満の方は、医学的介入の必要性から対象から外れます。さらに、食事・運動療法を実施できない人も対象外です。肥満の判定はBMIや肥満度ではなく腹囲で行います。メタボリックシンドロームの診断基準と同じ、男性85cm以上、女性90cm以上です。

アライ審議結果報告書

ウゴービ、サノレックス、アライ:投与方法の違い

商品名ウゴービサノレックスアライ
投与経路皮下注射経口投与経口投与
用法用量初回
週1回0.25mg

維持
4週間ごとに週1回
0.5mg
1.0mg
1.7mg
2.4mg
の順に増量する
通常
1回0.5mgを1日1回昼食前に投与

最大投与量
1.5mgを2~3回に分けて食前に投与
通常
1回1capを1日3回食事中又は食後1時間以内に水又はぬるま湯で服用
投与期間3~4ヵ月間投与

改善傾向が認められない場合には中止

投与期間は最大68週間、最適使用推進ガイドラインより
1ヵ月以内

効果が認められない場合には中止

投与期間は3ヵ月を限度とする
詳細まち
ウゴービの使い方

週1回の皮下注射製剤です。初回は0.25mgから開始、プラセボと比べて優越性が認められている2.4mgまでドーズアップします。増量は4週ごとであり、最短で16週かかる計算です。効果があれば特に投与期間の制限はありません(後述するサノレックスとの違い)もちろん、漫然投与を防ぐため、3~4ヵ月間で効果が見られない場合には中止します。

ウゴービとオゼンピック、投与方法の比較
商品名ウゴービオゼンピック
一般名セマグルチドセマグルチド
規格0.25mgSD
0.5mgSD
1.0mgSD
1.7mgSD
2.4mgSD
2mg製剤が登場
(2022年5月)
適応症肥満症2型糖尿病
用法用量初回
週1回0.25mg

維持
4週間ごとに週1回
0.5mg
1.0mg
1.7mg
2.4mg
の順に増量する
初回
週1回0.25mg

維持
週1回0.5mg

最大
週1回1.0mg
添付文書より作成
サノレックスの使い方

経口薬です。0.5〜1.5mg(1〜3錠)を食前に投与します。食前投与の理由は、食欲の抑制が投与目的だからです。食事の影響を受けるとかではありません。

富士フィルム 製品情報サノレックス錠0.5mgQ&A

また、夕食後はできるだけ投与を避けます。交感神経刺激作用により、不眠を招く可能性があるからです。

また、投与期間の限度は3ヶ月と決められています。これは、依存性や肺高血圧症などの副作用が懸念されているからです。食欲を低下させて、食事制限を無理なく行うための補助的な役割という理解ですね

アライの使い方

経口薬です。1日3回食事中または食直後に服用します。食事中に含まれる脂肪の吸収過程に合わせて投与する必要があるからです。空腹時の投与では十分な効果が期待できない可能性があります。

ウゴービ、サノレックス、アライ:有効性

肥満症治療薬の有効性
ウゴービの有効性
日本人が参加した国際共同試験(STEP1,2,6)の1つです
STEP6試験
  • 対象:高血圧、脂質異常症もしくは2型糖尿病を有する肥満患者401例
    BMIが27.0kg/m2以上(上記疾患も含む2つ以上の健康障害あり)
    又はBMIが35.0kg/m2以上
  • 介入:ウゴービ2.4mgまたは1.7mgを週1回投与(68週間)
    週1回0.25mgで開始、1.7mg群は4週間ごとに段階的に0.5mg、1.0mg、1.7mgへ、2.4mg群は4週間ごとに段階的に0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgへ増量
  • 比較:プラセボを週1回投与(68週間)
  • 主要評価項目:ベースラインから投与68週時までの体重変化率及び投与68週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合

体重変化率と5%以上の体重減少を達成した被験者の割合(主要評価項目)

プラセボ群に対するウゴービ2.4mg群の優越性が示された(p<0.0001)

血糖、血圧及び脂質パラメータの変化(副次評価項目)

ウゴービ投与群はプラセボ群に比べてパラメータの改善傾向が認められた

ウゴービの投与は体重減少に加えて健康障害の改善も期待できます!

サノレックスの有効性
体重減少効果と治療からの脱落を減らせるかを検証した試験です
サノレックスの臨床試験
  • 対象:BMI35以上の重度肥満女性患者36例
    平均年齢39.7±10.3、平均身長153.7±9.5cm、平均体重99.9±7.1kg、平均BMI43.0±4.4
  • 介入:食事・運動療法に加えてサノレックス1.5mg分3で投与
  • 比較:食事・運動療法に加えてプラセボ投与

サノレックスの投与は食欲を抑え、食事・運動療法をサポートできる効果が期待できます

サノレックスの作用機序と有用性・安全性

アライの有効性
アライ(オルリスタット)の効果はどの程度なのか?
アライの検証試験
  • 対象:内臓脂肪が過剰蓄積した日本人200例
    ウエスト周囲長、男性85cm以上、女性90cm以上
  • 介入:アライ60mgを1日3回投与(24週)
  • 比較:プラセボ投与(24週)
  • 主要評価項目:最終評価時の内臓脂肪面積変化率、ウエスト周囲長変化率
アライプラセボ
内臓脂肪面積121.54±33.90
105.31±37.73
(変化率−13.50%)
133.03±42.19
124.28±40.31
(変化率−5.45%)
ウエスト周囲97.64±7.06
95.16±7.82
(変化率−2.51%)
97.40±6.45
95.86±6.49
(変化率−1.55%)
体重80.38±10.04
78.24±10.35 
(変化率−2.79%)
78.59±8.68
77.61±8.63
(変化率−1.22%)

主要評価項目の内臓脂肪面積、ウエスト周囲においてアライのプラセボに対する優越性が認められました。また、体重においても減少傾向が示されています。

アライ審議結果報告書

ウゴービ、サノレックス、アライ:注意すべき副作用

肥満症治療薬の注意すべき副作用
ウゴービの注意すべき副作用

胃腸障害

悪心、下痢、嘔吐、便秘など

胃腸障害はGLP-1受容体作動薬の有名な副作用です。国際共同第III相試験で、ウゴービはプラセボに比べて胃腸障害の頻度が高い傾向が認められています。

ウゴービ2.4mg群…59.3%(118/199)
ウゴービ1.7mg群…64.0%(64/100)
プラセボ群…29.7%(30/101)

胃腸障害のほとんどは非重篤であり、1.7mg群に比べて2.4mg群で高い傾向は見られませんでした。

ウゴービ投与中に、消化器症状が強い場合は、減量または増量のタイミングを延長させる必要があります。また、重大な副作用に急性膵炎があり、胃腸障害との鑑別が必要な点も留意しておきたいところです。

( 用法及び用量に関連する注意)胃腸障害等の発現により忍容性が得られない場合は減量又は漸増の延期を検討すること

(重要な基本的注意)胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること

ウゴービ皮下注 電子添文

低血糖

ウゴービは低血糖症状に注意が欠かせません。体重減少作用に加えてインスリン分泌促進による血糖降下作用があるからです。2型糖尿病でない患者を対象にした試験では、ウゴービ群とプラセボ群で大きな差は見られなかったものの、2型糖尿病を対象とした試験では、ウゴービ群で高い傾向が認められました。特にSU剤との併用ではリスクが高まる傾向が認められており注意が必要ですね(オゼンピックやリベルサスと同じ)。

2型糖尿病でない患者
4373試験
2型糖尿病患者
4374試験
低血糖の発現割合すべての低血糖(ADA2018分類)
プラセボ…0.8%(5/655)
ウゴービ2.4mg群…0.6%(8/1306)
プラセボ…8.5%(34/402)
ウゴービ2.4mg群…21.6%(87/403)
変わらないウゴービの方が高い傾向

低血糖例でSU剤を併用していた割合(ADA2018分類レベル2と3)
プラセボ…70.0%(7/10)
ウゴービ2.4mg群…61.5%(16/26)
全集団でベースライン時にSU剤を併用していた被験者の割合22.7%と比べて高かった

(重大な副作用)低血糖

脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等の低血糖症状があらわれることがある。また、2型糖尿病患者においてインスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。

ウゴービ皮下注 電子添文
サノレックスの注意すべき副作用

依存性

サノレックスは依存性が生じる可能性があります。薬理学的特性がアンフェタミンと類似しているからです。開発時や市販後調査で明らかな依存性は認められていないものの、リスクには留意しておく必要があります。

(警告)本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、本剤を投与する際は、依存性について留意すること。また、海外においては食欲抑制剤の多くで数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告がある。

サノレックス錠 電子添文

肺高血圧症

サノレックスは重大な副作用に肺高血圧症があります。機序はハッキリとしておりませんが、アンフェタミン系の食欲抑制剤を長期に投与(3ヵ月を超える)した例でリスクの増加が報告されております。

(重大な副作用)本剤投与中に肺高血圧症があらわれたとの報告があり、また、海外で、食欲抑制剤の長期投与により肺高血圧症の発症の危険性が増加するとの報告があるので、本剤を3ヵ月を超えて投与しないこと

サノレックス錠 電子添文
アライの注意すべき副作用

消化器症状

アライは脂肪吸収阻害に伴う下痢や脂肪便等に注意が欠かせません。臨床試験の副作用頻度は以下のとおりです。特に多いのが「肛門からの油の漏れ」と「おならの時に便が漏れる」で、アライを飲んだ人のうち20%程度に認められています。便失禁も含めて、日常生活に支障をきたす場合がある点は留意しておきたいところです。

アライ
100例
プラセボ
100例
全体45%11%
便失禁4%0%
油の漏れ21%3%
便を伴う放屁21%1%
切迫排便4%2%
油性排泄物6%0%
脂肪便5%1%
水様便5%4%
排便回数増加2%0%
軟便2%0%
内臓脂肪が過剰蓄積した日本人対象の試験より

アライ審議結果報告書

まとめ

今回は肥満症治療薬ウゴービ、サノレックス、アライの特徴と使い方についてまとめました!

本記事のポイント

商品名ウゴービサノレックスアライ
一般名セマグルチドマジンドールオルリスタット
発売日2024年2月22日1992年9月2024年4月8日予定
区分医療用医薬品医療用医薬品
向精神薬(第三種)
習慣性医薬品
一般用医薬品(OTC)
要指導医薬品
分類GLP-1受容体作動薬食欲抑制薬内臓脂肪減少薬
投与経路皮下注射経口経口
規格0.25mg、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mg錠0.5mgカプセル60mg
効能効果肥満症高度肥満症腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少
用法用量初回
週1回0.25mg

維持
4週間ごとに週1回
0.5mg
1.0mg
1.7mg
2.4mg
の順に増量する
通常
1回0.5mgを1日1回昼食前に投与

最大投与量
1.5mgを2~3回に分けて食前に投与
通常
1回1capを1日3回食事中又は食後1時間以内に水又はぬるま湯で服用
投与期間最大68週間3ヵ月を限度
注意すべき副作用胃腸障害、低血糖等依存性、肺高血圧症等下痢、脂肪便等
費用0.25mg:¥1,876
0.5mg:¥3,201
1.0mg:¥5,912
1.7mg:¥7,903
2.4mg:¥10,740
¥179.6/0.5mg

サノレックスの処方はほとんど見かけませんでしたが、ウゴービは結構使われそうな印象です。あとはアライはOTCであり、適正使用において薬剤師の介入が重要だと思います。

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