セレコックスとロキソニンの違い・使い分け【5つの視点から考察】

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最近、セレコックス(一般名、セレコキシブ)の処方をよく見かけるようになりました。ジェネリックも出ましたし、これからもっと流行りそうな予感ですね。

一方で、ロキソニン(一般名、ロキソプロフェン)派も根強いです。ムコスタとの組み合わせ(いわゆるロキムコ)は今でも鉄板処方!いや、今はロキ・レバ(レバミピド)ですかね?^_^

ここで問題提起です

セレコックスロキソニンはどちらを使うべきか?

白黒、決着をつけましょう!というのではなく、それぞれの特徴・特性を生かして使い分けるという意味です。

「目の前の患者さんにとって、どちらがふさわしいのか?」

下記5つの視点から、セレコックスとロキソニンの違い・使い分けについて考察&解説します。

  1. 適応症
  2. 効果発現時間
  3. COX選択性
  4. 代謝・相互作用
  5. アドヒアランス

基本的な知識のおさらい感覚で読んで頂けると幸いです。さっそく見て行きましょう。

目次

セレコックスとロキソニンの適応症

まずは適応症に注目です。セレコックスとロキソニンは、以下のように適応症に違いがあります。

セレコックス
(セレコキシブ)
ロキソニン
(ロキソプロフェン)
  • 関節リウマチ
  • 変形性関節症
  • 腰痛症
  • 肩関節周囲炎
  • 頸肩腕症候群
  • 腱・腱鞘炎
  • 手術後、外傷後並びに抜歯後
  • 関節リウマチ
  • 変形性関節症
  • 腰痛症
  • 肩関節周囲炎
  • 頸肩腕症候群
  • 歯痛
  • 手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
  • 急性上気道炎(解熱鎮痛)

違いはラインを引いた3箇所です。

  1. 急性上気道炎
  2. 歯痛 
  3. 腱・腱鞘炎

急性上気道炎

ご存知のように

解熱目的セレコックスは使えません

臨床試験で有効性を確認していないからです。薬理学的には効果があると考えられますが…。

一方で、ロキソニンは、急性上気道炎に解熱鎮痛目的で使用できます。つまり、「消炎鎮痛薬(セレコックス)」か「解熱消炎鎮痛薬(ロキソニン)」かの違いですね。

セレコックスは解熱作用があるのか?

ありそうです。動物実験では解熱作用が認められています。

ラットLPS誘発体温上昇モデルを用いて、セレコキシブ 0.3〜30mg/kg及び既存のNSAIDの解熱作用を評価した。LPSによる発熱惹起5時間後に直腸温を測定して体温上昇を確認後、各薬剤を単回経口投与し、投与2時間後の直腸温を測定した。その結果、いずれもLPSによって上昇した体温を用量依存的に低下させ、解熱作用を示した 

セレコックス錠 インタビューフォーム

普通に考えると、炎症反応は発熱、発赤、腫張、疼痛の4兆候なので、抗炎症作用がある時点で、解熱作用も期待できるはずです。ただし、セレコックスは解熱剤として適応がないので、基本的には消炎鎮痛薬という扱いですね。

歯痛

適応症2つ目の違い。歯痛にセレコックスは使えません。抜歯後の歯痛には適応がありますけど…。

腱・腱鞘炎

3つ目の違い、ロキソニンは腱・腱鞘炎の鎮痛目的で使用できません。ここはあまり意識してなかったです(^_^;)。当然ながら効果は期待できますが…。実際には使用されているケースもありそうですけどね。

適応症に注目すると、「ロキソニン≠セレコックス」です。上記3つの違いは押さえておきましょう。薬剤師にとって、処方監査や処方提案の場面で使える知識です。

セレコックスとロキソニンの効果発現時間

続いて2つ目の視点。セレコックスとロキソニンの作用時間を比べてみます。Cmax(最高血中濃度)とt1/2(半減期)は下記のとおりです。

セレコックス
(セレコキシブ)
ロキソニン
(ロキソプロフェン)
  • Cmax…約2時間
  • t1/2…約5〜9時間
  • Cmax…約30分
  • t1/2…約1時間15分

※各添付文書より

上記からいえるのは下記2点です。

  1. 急性期の痛み…ロキソニン
  2. 慢性疼痛…セレコックス

ロキソニンはシャープに効きます

半減期が短く、初回投与から効果が期待できる(定常状態がない)からです。どのくらい速く効くのか、インタビューフォームによると、効果発現時間は下記のとおりです。

手術後・外傷後痛に対するロキソニン(180mg/日、3日間)の鎮痛効果は、15分以内に20%、30分以内には54%の症例に認められた。また、抜歯後痛に対するロキソニン(120mg頓用)の鎮痛効果は15分以内に52%、30分以内には84%の症例にみられ、速効性にすぐれている

ロキソニン錠 インタビューフォーム

個人差はあるにせよ、概ね15〜30分くらいで鎮痛効果が得られるわけですね。

一方で、セレコックスはマイルドに効きます

半減期が比較的長く、定常状態で十分な効果が得られるからです。定常状態になるまでに20〜45時間(半減期×4〜5倍)かかるので、だいたい1〜2日程度で効果が安定すると考えられます。

効果のタイミングに注目すると、「セレコックス≠ロキソニン」です。急性期の痛みや頓用で使用する場合にはロキソニン、慢性期の痛みにはセレコックスが向いています

定常状態の有無はRitshel(リッチェル)理論でわかる!

以下の式で判断できます。

  • 投与間隔/消失半減期が3以下…定常状態あり
  • 投与間隔/消失半減期が4以上…定常状態なし

実際に計算すると、ロキソニンは8÷1.25=6.4≧4で定常状態なし。一方で、セレコックスは12/5〜9=1.3〜2.4≦3以下で、定常状態ありとなります。この理論は薬が効くタイミングの予測に使えるのでオススメです。

セレコックスとロキソニンのCOX選択性

続いて3つ目の視点、今回の目玉です。COX選択性から、セレコックスとロキソニンの使い分けを考えます。

その前に基本の知識を確認しましょう。

選択性の違い

セレコックスとロキソニンは、COX-1とCOX-2に対する親和性の強さによって、以下のように分類されます。

  • セレコックス…COX-2選択性
  • ロキソニン…COX非選択性

ロキソニンはCOX-1と2に非選択的に阻害作用を示します。一方で、セレコックスはCOX-2に選択的に阻害するNSAIDsとして開発されたのはご存知ですよね。

どのくらい選択性に違いがあるのか?

下図のとおり、セレコックスはロキソニンに比べて、COX-2への選択性が高いです。

発現場所と作用

COX-1(構成型)
COX-2(誘導型)
  • 消化管:粘膜の保護
  • 血小板:凝集
  • 腎臓:機能の維持
  • 炎症部位:疼痛、炎症

このような選択性と作用部位の違いから、下記3つのリスクに注目し、セレコックスとロキソニンの使い分けを考えてみます。

  1. 消化性潰瘍のリスク
  2. 腎機能障害のリスク
  3. アスピリン喘息増悪のリスク

順番に見ていきましょう。

消化性潰瘍のリスク

これはみんな知ってますよね。NSAIDsは胃粘膜障害のリスクがあります。胃への負担を考えた場合、セレコックスとロキソニンはどちらが良いのか?下記2つのケースに分けて考えてみます。

  • 消化性潰瘍の既往がない人
  • 消化性潰瘍の既往がある人

消化性潰瘍の既往がない人

セレコックスの選択が望ましい!

胃粘膜で常時発現しているCOX-1への影響が小さく、胃粘膜障害を起こしにくいからです。ここがCOX-2選択性の強み!

一方でロキソニンは選択性がありません。COX-1阻害作用(プロスタグランジン低下→組織の血流障害等)による胃粘膜への影響が懸念されます。

消化性潰瘍の頻度:セレコックスvsロキソニン

市販後の臨床試験概要の結果は以下のとおりでした。

無作為化、二重盲検比較試験です!
製造販売後臨床試験
  • 患者…健康成人187例
  • 介入…セレコキシブ100mg 1日2回を2週間投与
  • 比較…ロキソプロフェン60mg 1日3回もしくはプラセボを2週間投与
  • 結果…主要評価項目、胃・十二指腸の潰瘍発現率は以下のとおり
胃・十二指腸の潰瘍発現率
セレコキシブ
1.4%
ロキソプロフェン
27.6%
プラセボ
2.7%
  • セレコキシブ vs ロキソプロフェン p<0.0001
  • セレコキシブ vs プラセボ p=0.7979

Pharmacol.Ther. 37:346-354,2013

セレコックスは潰瘍発現率がロキソニンよりも低く、プラセボと変わらないという結果でした。ガイドラインにおいても、潰瘍予防のためにCOX-2選択的阻害薬が推奨されています。

NSAIDs潰瘍発症の予防にCOX-2選択的阻害薬の使用を推奨する
【推奨の強さ:強、エビデンスレベル:A】

消化性潰瘍の既往がある人

セレコックスとロキソニンどちらも慎重投与!

再発リスクが高いからです。消化性潰瘍の既往がある場合、PPI(プロトンポンプ阻害薬)が推奨、ボノプラザン(タケキャブ)との併用が提案されています。

潰瘍既往歴のある患者のNSAIDs潰瘍の予防には、PPIを推奨し、ボノプラザンを提案する
【推奨の強さ:弱、エビデンスレベル:B】

では、セレコックスとロキソニンはどちらが良いのか?

やはり、セレコックスの方がいいと思います。COX-2選択性の方が消化性潰瘍のリスクは低いと考えられるからです。ちなみに、ガイドラインではより高リスクの出血性潰瘍既往歴のある患者ではPPIとセレコックスの併用が推奨されています。

出血性潰瘍既往歴のある患者のNSAIDs出血性潰瘍の再発予防には、COX選択的阻害薬にPPI併用を推奨する
【推奨の強さ:強、エビデンスレベル:B】

実際に、NSAIDs潰瘍で入院された患者さんでは、PPIにセレコックスを併用するケースが多いです。胃への負担を考えるとやはりCOX-2阻害薬に優位性があります。

このように消化性潰瘍のリスクに注目すると、消化性潰瘍の既往に関わらず、セレコックスの選択が望ましいです。「セレコックス>ロキソニン」の図式ですね。COX-2阻害薬の利点が最も生かされる場面だといえます。

消化性潰瘍診療ガイドライン2020

腎機能障害のリスク

続いて2つめです。NSAIDsで腎障害が起こりやすいのもよく知られた事実です。

では、腎機能が低下した人の場合、どちらがいいのか?

答えは、セレコックスとロキソニンどちらも良くありません

COX-2は胃と違って腎臓では常時発現しているからです。セレコックスを選んでも安全だとは言い切れないわけですね。

それなのに、

「セレコックスは安全」と誤解されている人が多い気がします。おそらく、胃粘膜障害が少ないし、腎機能障害も同様という思考回路が働くのかも知れません。

でもこれは正しくないです。COX非選択性、COX-2選択的阻害薬ともに腎障害のリスクは変わりません。ガイドラインには以下の記載があります。

COX-2選択阻害薬とCOX-2非選択薬は同等に急性腎障害を発症させるため、COX-2選択性に限らずNSAIDsの使用の際には虚血性腎障害の発症に注意する必要がある

薬剤性腎障害診療ガイドライン2016

腎障害のリスクに注目すると、「セレコックス≒ロキソニン」です。どちらも腎障害を引き起こす可能性がある点は覚えておきましょう。代替薬はアセトアミノフェンですね。

アスピリン喘息増悪のリスク

3つ目のリスクです。NSAIDsはアスピリン喘息を悪化させる可能性があります。添付文書上も禁忌の対応です。

禁忌)アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[アスピリン喘息発作を誘発することがある。]

セレコックス、ロキソニン添付文書

じゃあ、セレコックスとロキソニンどっちもダメなのか?

実はセレコックス比較的安全に使用できるとされています

アスピリン喘息はCOX-1阻害作用が大きく影響しているためです。COX-1阻害薬過敏症とも言われるくらい。

セレコックスはCOX-2選択的阻害薬。アスピリン喘息の患者さんにも使用可能です。一方で、ロキソニンは使用できません。詳しいことは下記にまとめているのでご覧くださいね。

アスピリン喘息増悪のリスクに注目すると、「セレコックスOK、ロキソニンOUT」です。同じNSAIDsであっても選択性から使用の可否に違いがあるわけですね。

セレコックスとロキソニンの代謝・相互作用

それでは4つ目の視点、代謝に注目します。違いは大きく2つです。

  1. 成分:活性の有無
  2. CYP相互作用の有無

順番に見ていきましょう。

成分:活性の有無

ロキソニンはプロドラッグです

成分自体に活性がなく、吸収後に代謝を受けて薬効を示します。発売当初は、直接的な胃への刺激が少ない特性が売りでした。

本剤は生体内で活性体に変換されたのち作用を示すプロドラッグであるため、他の非ステロイド性鎮痛・抗炎症・解熱剤に比べ消化管障害が比較的少ないなどすぐれた特性を有している 

ロキソニン錠 インタビューフォーム

一方で、セレコックスはプロドラッグではありません。成分自体に活性があります。

プロドラッグを理由に使い分けるのか?

今では胃腸障害が起こりにくい理由でロキソニンを選択することはほとんどないと思います。COX-2選択的阻害薬の登場により、消化管障害が少ないという利点が目立たなくなったからです。胃の負担を考慮するなら先述のようにセレコックスですよね。

CYP相互作用の有無

ロキソニンはCYPとの相互作用はありません。

一方で、セレコックス薬物代謝酵素CYPの相互作用があります

ロキソニンと異なる点ですね。CYP2C9で代謝を受けるとともに、CYP2D6の阻害作用もあります。

併用注意薬は下記です

  • CYP2C9…フルコナゾール、フルバスタチン、ワルファリン
  • CYP2D6…パロキセチン、デキストロメトルファン

では、CYP相互作用を理由に使い分けるのか?

ここはどうなんですかね。おそらく初回投与時に、相互作用はあまり気にしてないような印象があります。併用禁忌ではないので、セレコックスが使えないわけではないですからね。

結局、投与中の状況次第ではないでしょうか。たとえば、CYPによる影響(副作用)を疑う場面では、ロキソニンへの切り替えを考慮するケースも考えられます。

このように代謝に注目すると、同じNSAIDsなのに違いがあります。特にCYP相互作用の部分は、意外と盲点かも知れません。私自身あまり意識してなかったです。気をつけます(^_^;)。

セレコックスとロキソニン:アドヒアランスへの影響

最後は5つ目、アドヒアランスの視点です。

投与回数の違い

セレコックスとロキソニンは投与方法が異なります。

  • セレコックス…1日2回
  • ロキソニン…1日3回

単純に服用回数だけでいうとセレコックスに軍配が上がります。1日3回の真ん中、昼食後は特に飲み忘れが多いですよね。

剤型の違い

ロキソニンは剤型のラインナップが豊富

細粒や内服液等があります。嚥下機能の悪い人では、錠剤以外の選択肢があるのはメリットです。外用剤があるのも魅力ではないでしょうか。全身の副作用を回避したい時に有用ですね。

セレコキシブ
ロキソプロフェン
  • 細粒
  • 内服液(2024年3月31で経過措置切れ)
  • パップ
  • テープ
  • ゲル
  • ポンプスプレー

このように、飲み忘れや服薬負担を考えるとセレコックスの方が有利です。ただし、剤型が「錠」だけどなので、患者さんの嚥下機能等によってはロキソニンの方が向いている場合もあります。患者さんごとに使い分ける形ですね。

まとめ

今回はセレコックスとロキソニンの違いに注目、両薬剤の使い分けについて考察しました。

記事を書きながら思ったのは、意外と違いがあること!

同じNSAIDsであるのに、それなりに使い分けができます

ロキソニンは適応場面が広いです!

解熱目的でも使えるし、速効性を生かした頓服使用や1日3回の定期服用で急性期の疼痛コントロールにも向いています。剤型のラインナップも魅力ですよね。

一方で、セレコックスは慢性疼痛に特化した印象です。1日2回決まった時間に服用することで安定した効果が期待できます。長期に及ぶ疼痛管理で消化管障害の副作用が起こりにくいのは安心です!

セレコックスとロキソニン、どちらが良いのか?

結局、ケースバイケースです。記事を書き終えて、患者さんごとに処方の目的に照らして考えることが大事だと感じました♪

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