【週1回持効型インスリン】オンスイク注とアウィクリ注の違いは?

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2026年9月16日にオンスイク注が承認されました。
週1回タイプの持効型インスリン製剤です。

・どのような特徴があるのか?
・先行販売のアウィクリ注との違いは何か?

ポイントまとめたので解説します。

目次

オンスイク注とアウィクリ注の比較表

商品名オンスイク注アウィクリ注
一般名インスリン エフシトラ アルファインスリン イコデク
規格総量1500単位/3mL総量300単位/0.43mL
総量700単位/1mL
会社名リリーノボ
販売年月日2025年1月30日
適応症インスリン療法が適応となる
2型糖尿病
インスリン療法が適応となる
糖尿病
投与回数1週間に1回1週間に1回
投与時点指定なし指定なし
初期量30~140単位30~140単位
維持量30~560単位30~560単位
投与量
Basalインスリンの投与なし
初回(第1週):300単位
2回目(第2週):100単位
減量基準あり
初回(第1週):150単位
2回目(第2週):50単位
①低血糖のリスクが懸念される患者②体重60kg以下③投与開始時のHbA1c7.5%以下の患者

3週目以降:適宜用量調整
70単位以下から開始
投与量
Basalインスリンの投与あり
投与前の空腹時血糖値
120mg/dL以下の場合
初回:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安
※インスリングラルギン300単位/mL製剤又は1日2回投与の中間型インスリン製剤からの変更1日総投与量の80%の7倍

投与前の空腹時血糖値
120mg/dL超の場合
初回:Basalインスリン1日総投与量の7倍の3倍用量を目安
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍

3週目以降:適宜用量調整
2型糖尿病
初回:Basalインスリンの1日総投与量の7倍の1.5倍量を目安(推奨)
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安

1型糖尿病
初回:Basalインスリンの1日総投与量の7倍の1.5倍量を目安(原則)
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安

デバイスミリオペンフレックスタッチ
単位調節5単位10単位
空打ち10単位
注入保持6秒
保管使用開始後112日(16週間)以内に使用し、残った場合は廃棄すること。総量300単位は6週間以内、総量700単位は12週間以内
+GLP-1アナログキーンス配合注
2026年2月19日製造販売承認
オンスイク、アウィクリ注、電子添文より作成

オンスイク注とアウィクリ注の共通点

共通点は大きく3つです!
  • basalインスリン
  • 週1回投与
  • 処方目的

① 基礎インスリン製剤(Basal insulin)

 オンスイクとアウィクリはどちらも基礎インスリン(=basal insulin)製剤です。basal insulinは体内で1日中、持続的に分泌されているインスリンの不足を補い、主に空腹時血糖値を下げる目的で使います。一方で、毎回の食事による血糖上昇(食後高血糖)を抑えるために使用するのは追加インスリン(bolus insulin)製剤です。超速効型インスリン(ノボラピッドやヒューマログ)や速効型インスリン(ノボラピッド)などがあります。

 オンスイクはアウィクリと同じ基礎インスリン(basal insulin)です。インスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖を下げる効果が期待できます。

② 週1回投与

 オンスイクとアウィクリはどちらも週1回投与(皮下注射)です。従来の基礎インスリン(ランタス、トレシーバ、レベミル)は「1日1回」の注射が必須でしたが、製剤工夫(後述します)によって体内での半減期が大幅に延長され、週1回投与が可能となっています。

 オンスイクはアウィクリと同じ「週1回型」のインスリンです。毎週、同一曜日に投与します。誤って連日投与を行うと、低血糖の危険性が増大するため、服薬指導の際には、十分な説明が必要ですね。

③ 処方目的(アドヒアランス向上・注射回数の減少)

 オンスイクとアウィクリはどちらも注射回数を減らし、アドヒアランス(治療継続性)を向上させることを目的に処方されます。毎日の自己注射は、患者さんにとって刺痛の恐怖、手技の手間、外出先での管理、打ち忘れへの不安等の負担を伴うからだからです。注射頻度が「毎日」から「週1回」に変わると生活上の制限が軽減され、インスリン治療に対する心理的抵抗感の緩和につながります。

 オンスイクはアウィクリは「毎日の注射の手間が原因でインスリン導入を躊躇していた人」や、「家族や訪問看護師などの介助を週1回受けている方」において有効な選択肢となります。

オンスイクとアウィクリの相違点

相違点は大きく5つです!
  • 構造(半減期延長の仕組み)
  • 適応(1型糖尿病の有無)
  • 投与量設計(ローディング・減量基準の有無)
  • 投与忘れ時の対応
  • 単位調節(5単位刻み、10単位刻み)

オンスイクとアウィクリの構造(半減期延長の仕組み)

オンスイクの半減期延長の仕組みは、アウィクリと異なります。

オンスイクアウィクリ
一般名インスリン エフシトラ アルファインスリン イコデク
投与タイミング週1回週1回
半減期11〜16日(日本人2型糖尿病患者23例、薬物動態試験)
164h(1型糖尿病患者24例、薬物動態試験)
分子量約67,0006,380.26
構造の改変アミノ酸置換アミノ酸置換
IgG2のFc領域との結合脂肪酸を含む側鎖を結合
半減期延長の仕組みIgG2のFc領域との結合による腎クリアランスの低下、分解抑制及び体循環への再利用、インスリン受容体に対する低い親和性(血中:長時間とどまる)脂肪酸を含む側鎖とアルブミンとの結合親和性向上、アミノ酸置換によるインスリン受容体に対する低い親和性(血中:長時間とどまる)
各製剤の電子添文、インタビューフォームより作成

オンスイクは一本鎖インスリンアナログがペプチドリンカーを介してIgG2(免疫グロブリンG2)の Fc領域に結合した構造です。上記のメカニズムにより、消失半減期(作用時間)が延長し、週1回投与が可能となっています。

オンスイク注 インタビューフォーム

一方で、アウィクリはヒトインスリン(アミノ酸置換・修飾)に脂肪酸を含む側鎖を結合した構造です。上記の機序により消失半減期(作用時間)が延長し、週1回投与が可能となっています。

 「抗体のリサイクル機構を利用したオンスイク」と、「生体のアルブミン結合の親和性を向上させたアウィクリ」半減期を延長させるアプローチが異なる点は押さえておきたいですね。

1日1回型持効型インスリンの半減期延長の仕組み
トレシーバレベミルランタス
一般名インスリン デグルデクインスリン デテミルインスリン グラルギン
投与タイミング1日1回1日1回又は1日2回1日1回
半減期18h(1型糖尿病患者22例、薬物動態試験)5.9h(ヒト、薬物動態試験、皮下投与)18.2h(IGlarBS注キット「FFP」薬物動態より)
9.75h(IGlarBS注キット「FFP」薬物動態より)
構造の改変アミノ酸欠失アミノ酸欠失アミノ酸置換・付加
IgG2のFc領域との結合ミリスチン酸(C14)を付加
半減期延長の仕組みマルチヘキサマーの形成とアルブミンとの親和性向上(注射部位:解離速度低下緩徐に吸収、血中:長時間とどまる)アルブミンとの結合親和性向上(血中:長時間とどまる)等電点を中性へ(注射部位:沈澱形成により溶解性低下緩徐に吸収)
オンスイク注、アウィクリ注、電子添文、インタビューフォームより作成

オンスイクとアウィクリの適応

オンスイクの適応は、アウィクリと異なります。

オンスイク注アウィクリ注
1型糖尿病
2型糖尿病

オンスイクの適応はインスリン療法が適応となる2型糖尿病のみです。1型と2型糖尿病に使用できるアウィクリと異なります。なぜ、オンスイクは1型糖尿病には使用できないのかというと、1型糖尿病患者を対象とした国際共同試験(692例;日本人101人含む)において、インスリンデグルデク群と比較して低血糖の発現割合が高いことが示されたからです。

・オンスイク群 10.2%(35/343 例、44 件)
・インスリン デグルデク群 3.15%(11/349 例、13 件)

本剤は1型糖尿病の患者には使用しないこと。また、インスリン分泌能が著しく低下した2型糖尿病患者に対しても、本剤の適用の可否を慎重に判断すること。成人の1型糖尿病患者を対象とした52週間の臨床試験において、重症低血糖(レベル3)の発現割合は、インスリン デグルデク群と比較して本剤群で高かった

オンスイク注 電子添文、効能又は効果に関連する注意

一方で、アウィクリは1型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、インスリンデグルデク群に比べて低血糖の発現件数が高かったものの、十分な注意喚起を設けることで適切に管理可能と判断され、1型糖尿病の適応を取得しています。

 1型糖尿病患者を対象とした臨床試験において、連日投与のBasalインスリンと比較して本剤で低血糖の発現が多く、また、同一患者において複数回発現した場合も多かった。1型糖尿病患者においては、本剤の有効性及び安全性を十分に理解し、連日投与のBasalインスリン等を用いたインスリン治療を選択することも検討したうえで、本剤の適用を慎重に考慮すること。また、2型糖尿病患者を対象とした臨床試験においても、1型糖尿病患者と比較すると低血糖が発現した患者の割合は低いものの、対照群との比較においては同様の傾向が認められていることを考慮したうえで、本剤の適用の可否を判断すること。

アウィクリ注 電子添文、効能又は効果に関連する注意

 オンスイクは1型の糖尿病患者さんには使用できません。ここはアウィクリとの大きな違いですね。処方時には適応の確認を徹底する必要があります。

オンスイクとアウィクリの投与量設計

オンスイクの投与設計は、アウィクリと異なります。

2型糖尿病オンスイク注アウィクリ注
basalインスリン投与なしローディングあり
初回:300単位
2回目:100単位
を目安
ただし①低血糖のリスクが懸念される②体重60kg以下③投与開始時のHbA1c7.5%以下は
減量基準あり
初回:第1週のみ150単位
2回目:第2週は50単位
を目安(要検討)
ローディングなし
70単位以下
を目安
basalインスリンから切り替え空腹時血糖値が120mg/dL以下
ローディングなし
初回:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安

減量基準あり
インスリングラルギン300単位/mL製剤又は1日2回投与の中間型インスリン製剤からの変更1日総投与量の80%の7倍
ローディングあり
2型糖尿病
初回:Basalインスリンの1日総投与量の7倍の1.5倍量を目安(推奨)
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安

1型糖尿病
初回:Basalインスリンの1日総投与量の7倍の1.5倍量を目安(原則)
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍を目安
空腹時血糖値が120mg/dL超の場合
ローディングあり
初回:Basalインスリン1日総投与量の7倍の3倍用量を目安
2回目:Basalインスリン1日総投与量の7倍
オンスイク注、アウィクリ注、電子添文より作成

オンスイク注は用量設定・調節方法が細かく定められています。半減期が約17日と長く(アウィクリは164時間)、効果が安定するまでに時間を要するからです。低血糖と高血糖のリスクに配慮した投与方法を選択することが重要になります。

本剤の半減期は約17日であり、血中濃度が定常状態に到達するまで一定期間を要するため、治療導入時には用量設定や用量調整方法を考慮する必要がある。

オンスイク注、インタビューフォーム、製品の治療学的特性

basalインスリンの投与がない場合

オンスイクは初回ローディング(300mg/回)が必要です(アウィクリとの違い)。血中濃度を上げ、速やかな血糖降下作用を得るための工夫だと考えられます。一方で低血糖リスクへの配慮も欠かせません。体重やHbA1cの数値等に基づく減量基準が設定されており、初回のローディングは半量(150mg/回)となります。

basalインスリンからの切り替えの場合

オンスイクは空腹時血糖値によって2つの用量設定があります。ここはかなり煩雑な印象です。120mg/dL以下ではローディングなし、減量基準が設定されており、低血糖リスクを重視したという理解ですかね。一方で、120mg/mL以上の場合は、ローディングが必要です。高血糖リスクへの配慮からBasalインスリン1日総投与量の7倍量にさらに3倍した単位数が目安となります。アウィクリは血糖値に関わらずローディングの設定です。Basalインスリン1日総投与量の7倍量を1.5倍した単位数が目安となります。

 オンスイクは投与量設計がより煩雑な印象です。basal インスリンからの切り替えの有無、製剤の種類、空腹血糖値等により、投与スケジュールが明確に設定されています。誤った投与方法は低血糖や高血糖のリスクがあり、処方監査の徹底が重要だといえますね。

オンスイクとアウィクリの投与忘れ時の対応

オンスイクの投与忘れ時の対応は、アウィクリと異なります。

オンスイクアウィクリ
投与忘れ時の対応気づいた時点で
投与又はスキップを判断

忘れた日から4日以内であれば、気づいた時点で直ちに投与
4日を超えた場合は、忘れた投与は行わない

いずれの場合も、その後はあらかじめ定めた曜日に投与すること。
気づいた時点で
一律投与

気づいた時点で直ちに投与

次の投与は4日間以上の間隔をあけて開始すること。その後は、新たな開始日と同一曜日に週1回投与し、血糖モニタリングを十分に行うこと。
曜日を変更する場合やむを得ず週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、投与間隔を4日間以上とし、変更後の曜日で本剤の投与を継続することやむを得ず週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、投与間隔を4日間以上とし、血糖モニタリングを十分に行うこと。
オンスイク注、アウィクリ注、電子添文より作成

血糖コントロールの観点からは、気づいた時点で投与できるアウィクリの方が良いと考えられます。オンスイクは4日を超えるとスキップとなり、1週間分の投与ができないからです。その時には曜日変更ということで、気づいた時点に投与して、次回は4日間以上の間隔を設けた日を固定曜日として投与を継続するという方法も考えられますが、どうなんでしょうね。

オンスイクとアウィクリの取扱・保管

オンスイクの取扱・保管方法は、アウィクリと異なります。

オンスイクアウィクリアウィクリ
デバイスミリオペンフレックスタッチフレックスタッチ
規格1500単位/3mL300単位/0.43mL700単位/1mL
濃度500単位/1mL700単位/1mL700単位/1mL
単位当たりの液量0.002mL0.0014mL0.0014mL
最小5単位10単位10単位
最大400単位300単位700単位
空打ち10単位10単位
注入保持6秒6秒
開封後の保管2〜8℃
又は
室温(1〜30℃)では14日間
室温(1〜30℃)室温(1〜30℃)
使用期限開封後16週間開封後6週間開封後12週間
オンスイク注、アウィクリ注、電子添文より作成

オンスイクは開封後も冷所保管(2〜8℃)が基本です。ここはアウィクリ(毎日投与のbasalインスリンも含め)との違いですね。旅行等で携帯する時には一時的に室温保存も可能ですが、トータル14日間以内と規定されています。

やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合は、遮光し、14日以内に使用すること。14日以内に使用しない場合、再度冷蔵保存(2~8℃)することも可能だが、室温での保存は累積14日を超えないこと。

オンスイク注 電子添文、薬剤交付時の注意

オンスイクは単位数の刻みが5単位です。アウィクリ(10単位)に比べて、細かい用量設定ができます。1週あたり5単位なので、わずかですが…。

 オンスイクとアウィクリの違いとして、単位数の刻み(5単位 or 10単位)と開封後の保管(冷所 or 室温)は押さえておきたいですね。

まとめ

今回はオンスイク注の特徴について、アウィクリ注と比較しながら解説しました。共通点として週1回投与の持効型製剤であり、注射回数の減少から患者負担の軽減が期待できます。一方で、適応が限定(2型糖尿病のみ)されており、投与方法もやや煩雑である印象を受けました。また、使用後に冷所保存が基本である点も従来のインスリン製剤と異なり、注意が必要だと思います。オンスイクの登場により、アウィクリとの使い分けが気になりますね。

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