ジスロマック点滴静注の特徴【経口薬との違いにも注目!】

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今回のテーマはジスロマック点滴静注!

一般名はアジスロマイシン、15員環のマクロライド系抗生物質です。

どのような特徴があるのか?
経口薬ジスロマック錠との違いにも注目しながら、
まとめたので解説します!

目次

ジスロマック点滴静注とジスロマック経口薬:比較

まずは基本情報の比較について、表にまとめました。

スクロールできます
製品名ジスロマック
点滴静注
ジスロマック
ジスロマック
カプセル小児用
ジスロマック
細粒小児用
発売2011年12月2000年6月2002年1月2000年6月2000年6月
一般名アジスロマイシン水和物
規格500mg250mg600mg100mg10%
薬効分類15員環マクロライド系抗生物質
適応肺炎、骨盤内炎症性疾患
①深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

②尿道炎、子宮頸管炎

③骨盤内炎症性疾患
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、中耳炎
適応菌種ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、クラミジア属、マイコプラズマ属マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、マイコプラズマ属
用法用量1回500mg・1日1回
2時間かけて点滴静注
①1回500mg・1日1回3日間

②1回1000mg・1回1回1日間

③アジスロマイシン注射剤による治療を行った後、1回250mg・1日1回
発症抑制
1回1200mg・週1回

治療
1回600mg・1日1回
体重1kgあたり10mg・1日1回3日間
(最大投与量500mg)
禁忌過敏症の既往歴のある患者
相互作用ワルファリン、シクロスポリン、ネルフィナビル、ジゴキシン、ベネトクラクスワルファリン、シクロスポリン、ネルフィナビル、ジゴキシン、ベネトクラクス、制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)
薬価1954円/瓶158.9円/錠505.5円/錠108.8円/cap156.6円/g
電子添文等より作成

ざっとこんな感じです!

ジスロマックは全部で5製品です。初めに250mg錠と小児用カプセル、細粒が発売されました。小児用は2剤型あり、呼吸器と耳鼻咽喉科領域の感染症に対して用います。続いて登場した600mg錠の適応はエイズに伴う播種性MAC症の発症抑制及び治療。治療ではエタンブトールとの併用療法を行います。

ところで、ジスロマックSR成人用ドライシロップ2gという製剤があったことをご存知でしょうか?2009年に発売され、用時懸濁後に空腹時投与(単回使用)という飲み方がユニークな剤型でした。主に泌尿器科領域で使用されていた印象がありますが、売れ行きが芳しくなく、販売中止に至っています(経過措置2021年3月)。

ここからが本題です!

2011年発売(結構前なんですね^_^)された注射製剤「ジスロマック点滴静注500mg」の特徴について、ジスロマック錠250mgとの比較を加えながら見ていきましょう。

ポイントは大きく8つです

  1. 適応
  2. 抗菌スペクトル
  3. 薬物動態
  4. 投与方法
  5. 投与期間
  6. 溶解方法
  7. 相互作用
  8. 臨床の位置付け

ジスロマック点滴静注の適応

製品名ジスロマック500mg点滴静注ジスロマック250mg錠
呼吸器科肺炎のみ急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染
耳鼻科咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、副鼻腔炎
歯科口腔外科歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
皮膚科深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎
泌尿器科尿道炎、子宮頸管炎
産婦人科骨盤内炎症性疾患骨盤内炎症性疾患
電子添文等より作成

適応症を診療科別に分けると上記のとおりです。

ジスロマック点滴静注の適応は限定的です。臨床試験で有効性と安全性が確認されている市中肺炎と骨盤内炎症性疾患の治療にのみ用います。ここは誤解している人が多いかも。通常、注射製剤は経口薬が適さない場合の代替薬であることが多く、私は「注射の適応」と「経口薬の適応」がイコールだと思ってました^_^。一方、ジスロマック錠250mgは適応が広く、呼吸器科、泌尿器科、産婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻科及び歯科口腔外科領域の感染症に幅広く使用できます。

ジスロマック点滴静注は肺膿瘍の適応がありません。ジスロマック錠250mgにはあるのになんで?って思いますよね。むしろ高い血中濃度と組織移行が期待できる注射薬(後述します)の方が向いているくらいです。この点、承認時に適応に含める方向で検討されていましたが、国内臨床試験において肺膿瘍の症例は認められず、「経口薬との整合性」よりも「エビデンスを重視」するとの結論に至りました。

骨盤内炎症性疾患とは?

イメージしにくいですよね。

PIDとも呼びます
骨盤内炎症性疾患(Pelvic Inflammatory Disease:PID)

以下のように婦人科救急で見られる代表的な感染症です。劇症の場合や悪心、嘔吐などで経口投与が不向きなケースでは注射薬の選択が望ましいとされています。

ジスロマック点滴静注 インタビューフォーム

ジスロマック点滴静注は「ジスロマック錠の注射版」ですが、適応が限られており、「代替薬」とはならない場合がある点は押さえておきたいところ。後述しますが、同点滴静注は高い血中濃度と組織移行性が期待でき、経口薬への切り替えを前提に、肺炎と骨盤内炎症性疾患において経口投与が不向きなケースに用いる剤型という理解です。

ジスロマック点滴静注の抗菌スペクトル

ジスロマックの抗菌スペクトルは?

グラム陽性球菌、一部のグラム陰性桿菌・嫌気性菌、非定型細菌です。

適応菌種を細菌分類ごとに分けると以下のとおりです。ここは注射薬と経口薬に相違はありません。

製品名ジスロマック500mg点滴静注ジスロマック250mg錠
グラム陽性球菌ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌左記と同じ
グラム陰性球菌淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス左記と同じ
グラム陰性桿菌インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ左記と同じ
嫌気性菌ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属左記と同じ
非定型細菌クラミジア属、マイコプラズマ属左記と同じ
電子添文等より作成

①ジスロマック点滴静注は市中肺炎の起炎菌である肺炎球菌やモラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌に加えて、マイコプラズマやクラミジア等の非定型細菌、また骨盤内感染症の原因菌であるクラミジア属や淋菌、嫌気性菌(プレボテラ、ペプトストレプトコッカス)に対して抗菌活性を示します。

ご存知の通り、
マクロライド耐性の「肺炎球菌」と「マイコプラズマ」が問題視されています。アジスロマイシンに対する耐性化も進んでおり、期待した効果が得られない可能性があり、薬剤の選択時には注意が必要です。

国内におけるマクロライド耐性肺炎球菌の検出率は、第3回日本化学療法学会分離菌感受性調査(2008年度)で79.6%と報告されている。国内第3相試験において、原因菌として肺炎球菌が分離同定された14例中11例でマクロライド耐性菌(MIC≧2μg/mL)が検出された。アジスロマイシンに対する感受性も低かったが、11例中10例で臨床効果は有効と評価された。しかしながら検討された症例数が少なく、アジスロマイシン低感受性の肺炎球菌に対する本剤の有効性については明確になっていない。

国内におけるマクロライド耐性マイコプラズマの検出率は、小児感染症領域において約 32%(30/94 例)と報告されている。しかし、国内第3相試験において、原因菌として肺炎マイコプラズマが分離された4例は 本剤感受性であり、マクロライド耐性肺炎マイコプラズマに対する本剤の有効性については明確になっていない。

ジスロマック点滴静注 インタビューフォーム

ジスロマック点滴静注の成分、アジスロマイシンの抗菌スペクトルは、グラム陽性球菌と非定型細菌、一部のグラム陰性桿菌・嫌気性菌という理解ですが、実際には耐性菌の出現、より適切な抗菌薬(βラクタム薬)の存在により、第一選択の場面は限られています(後述)

ジスロマック点滴静注の薬物動態

ジスロマック点滴静注は経口薬よりも薬物動態が優れています

経口薬に比べて

3倍の血中濃度
2.2倍のAUC

が得られ、組織移行性も向上しているからです。経口薬はバイオアベイラビリティーが約38%と低く、投与量が同じの場合には、点滴静注の方が高い臨床効果が期待できます。ここは、記事を書きながら知りました^ ^。

本剤の体内動態は、経口製剤よりも優れており、ジスロマック 500mg(250mg錠×2)単回内服時と比較して、血中濃度は約3倍、24時間AUCは約2.2倍の移行性が得られている。

ジスロマック点滴静注 インタビューフォーム

ジスロマック点滴静注は、経口薬に比べて血中濃度が高く、組織移行性に優れます。ここは重要なポイントです!

ジスロマック点滴静注の投与方法

製品名ジスロマック500mg
点滴静注
経口スイッチジスロマック250mg
肺炎1回500mg・1日1回
(2時間かけて)
1回500mg・1日1回
骨盤内炎症性疾患1回500mg・1日1回
(2時間かけて)
1回250mg・1日1回
電子添文等より作成

続いて投与方法について。ポイントは3つです。

ジスロマック点滴静注は1回500mg・1日1回投与します。1回量と投与回数はジスロマック錠250mgと同様です。臨床効果はPK/PDパラメータのうち、AUC/MICに相関するとされており、1日量を1回にまとめる投与方法が設定されています。

通常、②ジスロマック点滴静注は、経口スイッチ療法を行います。点滴製剤で治療を開始し、経口投与が可能になった時点(全身状態の改善も考慮)で内服治療へつなぐ方法です。臨床試験は経口スイッチ療法で実施され、有効性と安全性が確認されています。同療法は以下のメリットがあり、ジスロマックに関わらず、βラクタム系やニューキノロン系抗菌薬においても積極的に行われるようになっています。

経口スイッチのメリット
  • 注射手技に伴う合併症を回避(血管痛、静脈炎等)
  • 離床が進む(点滴中の移動制限を解除)
  • 医療者の手技にかかる労力と時間の削減
  • 患者負担の軽減、医療費の削減

経口スイッチ後の投与量は適応によって異なります。ここは意外と見落としやすいので注意が必要ですね。肺炎の場合はジスロマック錠250mgを1回2錠、骨盤内炎症性疾患では1回1錠になります。

ジスロマック点滴静注は、経口スイッチ療法により、患者負担の軽減、早期離床等のメリットがあります。

ジスロマック点滴静注の投与期間

肺炎骨盤内炎症性疾患
点滴期間25
平均3.7日(1〜5日)
12
平均1.8日(1〜2日)
総投与期間
(点滴経口薬)
710
平均7.3日(1〜10日)
7
平均6.9日(2〜7日)

ここがややこしいですね。

ジスロマック点滴静注は適応によって、投与期間が異なります。肺炎では5日、骨盤内炎症性疾患では2日が目安です。臨床試験では経口スイッチが可能になるまで、肺炎では平均3.7日、骨盤炎症性疾患では平均1.8日かかっています。

経口スイッチ後の総投与期間も、適応によって異なります。肺炎では10日、骨盤内炎症性疾患では7日までが目安です。ご存知の通りジスロマック錠250mgは通常3日投与が原則ですが、経口スイッチ療法ではそれを超えて使用できます。

ジスロマック点滴静注は適応によって「点滴投与期間」と「経口薬を合わせた総投与期間」の目安が異なります。煩雑ですね。

ジスロマック点滴静注の調製方法

STEP
溶解

ジスロマック点滴静注は溶解操作が必要です

準備するもの:注射用水20mL、5mLシリンジ(計量用)

注射用水4.8mLを抜き取り、ジスロマック点滴静注500mgのバイアルに注入し溶解します。

100mg/mLの溶液が完成

必ず注射用水を用いなければなりません

100mg/mL溶液を調製の際には、注射用水以外での調製データはないことから、注射用水以外の溶液を使用しないこと

ジスロマック点滴静注、電子添文、薬剤調製時の注意 
STEP
希釈

ジスロマック点滴静注は希釈して投与します

準備する輸液:5%ブドウ糖500mL、生理食塩液500mL等

ジスロマック点滴静注と配合変化がないことが確認されている輸液

ソルデム1輸液、デノサリン1輸液、ソルデム3A輸液、ソリタ-T1号輸液、ソリタ-T3号輸液、KN1号輸液、KN3号輸液、リプラス1号輸液、アクチット注、ヴィーン3G注、フィジオ35輸液、トリフリード輸液、KNMG3号輸液、ソルデム3AG輸液、ソリタ-T3 号G輸液、生理食塩液

ジスロマック点滴静注 インタビューフォーム

溶解液全量(5mL)を抜き取り、500mLの輸液バッグへ注入する

1mg/mLの溶液が完成

希釈濃度が濃い(2mg/mL:250mLで希釈)と注射部位反応

国内第Ⅰ相試験で、注射液濃度が2.0mg/mLの場合、注射部位疼痛の発現頻度が上昇したため、1.0mg/mLを超える投与は原則として行わないこと。また、外国第Ⅰ相試験で注射液濃度が2.0mg/mLを超えた場合、注射部位疼痛及び注射部位反応の発現頻度が上昇するとの報告がある。

ジスロマック点滴静注、電子添文、薬剤調製時の注意 

ジスロマック点滴静注は溶解と希釈が必要な製剤です。溶解液と希釈液の種類が決まっている点は押さえておきたいですね。

ジスロマック点滴静注の相互作用

併用注意ジスロマック点滴静注ジスロマック錠
共通点ワルファリン、シクロスポリン、ネルフィナビル、ジゴキシン、ベネトクラクスワルファリン、シクロスポリン、ネルフィナビル、ジゴキシン、ベネトクラクス
相違点制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)
電子添文より作成

ジスロマック錠は消化管において制酸剤との相互作用(機序不明)があります。機序は不明であり、AUCは変わらないものの、Cmaxの低下が認められるとのことです。

ジスロマック点滴静注、インタビューフォーム

どう対応するべきか?

AUCが変わらないのなら、臨床効果と相関するAUC/MICパラメータにはほぼ影響がないとも考えられます。一方で、Cmaxの低下は組織移行性に影響がありそう(どの程度かはわからない)なので、同時服用は避けた方が無難かも知れません。

経口スイッチの際には、ジスロマック錠と制酸剤の「服薬時点を2時間ずらす」対応になると思います。

一般にマクロライド薬の投与2時間前あるいは2時間後に制酸剤を服用することで、相互作用を避けることができる

ジスロマック点滴静注、インタビューフォーム

ジスロマック点滴静注の位置付け

ジスロマック点滴静注は、どのような場面で用いるのか?

肺炎

ジスロマック点滴静注は入院を要する非定型肺炎(疑いを含む)に選択します。マイコプラズマやクラミジア等が起炎菌の場合が出番ですね。一方で、肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因菌とされる細菌性肺炎には、βラクタム系の抗菌薬を用います。

非定型肺炎の場合
入院治療

  • AZM点滴静注1回500 mg・1日1回
  • MINO点滴静注1回100 mg・1日2回
  • LSFX 点滴静注 初日 300 mg・1日1回、投与2日目以降150 mg・1日1回
  • LVFX点滴静注1回500 mg・1日1回
  • CPFX 点滴静注 1 回 300〜400 mg・1日2回(1回400 mg・1日3回まで増量可)

外来治療の場合には、AZM経口1回500 mg・1日1回・3日間 を選択します。

細菌性肺炎と非定型肺炎、どちらかが明らかでない場合には、βラクタム系薬+AZM点滴静注等の併用療法を行うかたちです。

レジオネラ肺炎の場合
ニューキノロン系薬と共に、ジスロマック点滴静注も推奨されています。

  • LVFX点滴静注1回500 mg・1日1回
  • CPFX 点滴静注 1 回 300~400 mg・1 日 2 回(1 回 400 mg・1 日3 回まで増量可)
  • LSFX 点滴静注 初日 300 mg・1 日 1 回,投与 2 日目以降 150 mg・1日1回
  • PZFX 点滴静注 1 回 500~1,000 mg・1 日 2 回 
  • AZM点滴静注1回500 mg・1日1回
骨盤内炎症性疾患

ジスロマック点滴静注は入院を要する骨盤内炎症性疾患において、クラミジア・トリコマティスの関与を疑う場合に用います。出番は限定的です。PIDは複数菌が関与していることが多く、経験的治療では、グラム陽性球菌、陰性桿菌、淋菌、非定型細菌、嫌気性菌等をターゲットに嫌気性活性のあるβラクタム薬にテトラサイクリン等を併用します。

C. trachomatisの関与が強く疑われる場合

  • AZM 点滴静注 1 回 500 mg・1 日 1 回 、2 時間かけて点滴静注
    その後経口投与可能と判断した時点で、静注から AZM 経口1回 250 mg・1 日 1 回に切り替え(静注薬の投与期間は 1〜2 日間、総投与期間は合計7日間程度、AZMを単剤または他剤と併用する)
  • MINO点滴静注 1 回 100 mg・1 日 2 回・3〜5 日間
    その後経口 投与可能と判断した時点で、静注からMINO経口1回100 mg・ 1日2回に切り替え(合計14日間前後)

JAID/JSC感染症治療ガイド2023

まとめ

今回はジスロマック点滴静注の特徴について、経口薬との違いに注目しながらまとめました。

本記事のポイント
  1. 適応…市中肺炎とPIDのみ(限定的)
  2. 抗菌スペクトル…グラム陽性球菌と一部の陰性桿菌・嫌気性菌、非定型細菌
    肺炎球菌とマイコプラズマは耐性化が進んでいる)
  3. 薬物動態…血中濃度約3倍、AUC約2.2倍(経口に比べて)
  4. 投与方法…経口スイッチ療法(患者負担軽減、早期離床のメリット)
  5. 投与期間…適応によって異なる(煩雑)
  6. 調製方法…溶解(注射用水で)と希釈(500mLの輸液)が必要
  7. 相互作用…経口スイッチ後は制酸剤と併用注意!
  8. 臨床の位置付け…非定型細菌の関与を疑うときに選択
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