鎮痛薬

ツートラム錠はワントラム錠の改良型!?3つの視点から特徴を考察してみた

ツートラム錠が2021年1月8日に発売されました。

一般名はトラマドール、オピオイド鎮痛薬です。同成分は以下のラインナップがあります(国内販売日順)

  1. トラマール…2010年9月
  2. トラムセット…2011年7月
  3. ワントラム…2015年6月
  4. ツートラム…2021年1月8日

いずれも①トラマールからの進化系です。

なんとなく名前から想像できるように、②トラムセットはアセトアミノフェンの“セット”(組み合わせ)により、鎮痛効果を高めた製剤、特に整形外科領域でよく使われています。

③“ワン”トラムは1日1回型、④“ツー”トラムは1日2回型、徐放化により服薬回数を減らした製剤です。どちらも①から派生した製剤ですが、ツートラムについて調べてみると、①の進化系でありながら、どうやら③の改良型である印象を持ちました。

今回は、「ツートラム vs ワントラム」と題して、以下3つの視点から優劣を判定しながらツートラム錠の特徴を考察しました。

  1. 適応に注目!
  2. アドヒアランスに着目!
  3. 薬物動態にフォーカス!

個人的な意見ですので、参考までに読んでいただけると幸いです。それでは、順番に見ていきましょう。

適応に注目!

まずは1つ目の視点、適応を確認します。

ツートラムとワントラム、どちらも成分はトラマドールです。しかし、適応が以下のように異なります。

ツートラム
ワントラム
  • 慢性疼痛
  • 慢性疼痛
  • がん性疼痛

ツートラムの適応は慢性疼痛のみです。非オピオイド鎮痛剤(アセトアミノフェンやNSAIDs等)で疼痛コントロールが不十分な場合に用います。

残念ながら、がん性疼痛には使えません。もちろん効果は期待できますが保険上の縛りがあります。適応に注目すると、現時点ではワントラムの方が優位です

ツートラムの適応が慢性疼痛に限定されている点は意外と盲点かも知れません。私も同成分だし、同じ適応だと思ってました…(^_^;)。トラマドール製剤からの切り替え時には、適応の確認が必須ですね。

他のトラマドール製剤の適応は?

  • トラマール…①慢性疼痛と②がん性疼痛
  • トラムセット…①慢性疼痛と②抜歯後の疼痛

しばらくすると、トラマール同様に、ツートラムもがん性疼痛に適応が追加になりそうな気はしますが…。

アドヒアランスに着目!

続いて2つ目の視点。服薬アドヒアランスの点で優れているのはどちらか?名前からわかるようにツートラムとワントラムの投与方法は異なります。

ツートラム
ワントラム
  • 1日2回
  • 1日1回

ツートラムは1日2回タイプ!アドヒアランスを考えるとワントラムの方が優位性があります。1日の投与回数は少ない方が患者さんの服薬負担も少ないからです。

でも、慢性疼痛のコントロールはいくつかの鎮痛薬と併用することが少なくありません。トラマドールだけで疼痛管理って珍しいですよね。たとえば、以下の併用薬をよく見かけます。

  • プレガバリン(リリカ) 
  • ミロガバリン(タリージェ)
  • セレコキシブ(セレコックス)

共通する点は何か?

分2ですね。ツートラムと同じ1日2回投与です。となると、ワントラムに比べて投与回数が増えたとしても、併用薬との関係で見ると、服薬アドヒアランスへの影響はそれほど大きくありません。

もちろん、分1の痛み止め(メロキシカムやデュロキセチン等)で固めている人は別ですが…。結局ケースバイケースなのかもしれません。

ということで、服薬アドヒアランスに着目すると優劣の判断は難しいです。引き分けですかね

トラマドール製剤の用法用量は?

  • ツートラム…1日2回(100~300mg/日MAX400mg)
  • ワントラム…1日1回(100~300mg/日MAX400mg)
  • トラマール…1日4回(100~300mg/日MAX400mg)
  • トラムセットも1日4回(最大8錠/日、トラマドール300mgに相当)

ツートラムの服用回数は、速効性製剤トラマールと徐放性製剤ワントラムの中間です。開始用量(1日)と最大投与量は製剤間で変わりません。

※トラムセットは1錠あたりトラマドール37.5mg、アセトアミノフェン325mg含有、他の製剤と開始用量とMAX量が異なります。

ここまでは、ツートラムが1敗と1引き分け、ワントラムが1勝と1引き分けです。

ツートラムは次で挽回したいところ!

薬物動態にフォーカス!

最後に3つ目の視点です。ツートラムとワントラムの薬物動態を比較してみましょう。

ツートラム
ワントラム
  • Cmax…208(ng/mL)
  • Tmax…1.28h
  • 半減期…7.85h
  • AUC…2301(ng・h/mL)
  • Cmax…123(ng/mL)
  • Tmax…9.5h
  • 半減期…6.44h
  • AUC…2640(ng・h/mL)

※ツートラム100mg健康成人単回投与、ワントラム100mg健康成人単回投与、

注目すべきはTmaxです。大きく異なります。

なぜなのか?というと、以下のようにツートラムは2層構造で、徐放性に加えて速放性の部分を含むからです。

そのため、ツートラムの方が血中濃度の立ち上がりが早く、鎮痛効果はシャープに現れます。一方で、ワントラムは完全な徐放製剤です。ゆっくりと効きはじめ、効果が長く続きます。鎮痛効果がマイルドなイメージですね。

もう一つ違いがあります。投与間隔について定常状態の有無です。(2020年1月19日、下記の内容を一部修正しました)

定常状態のあるなしは、下記のRitshel(リッチェル)理論により計算できます。

・投与間隔/消失半減期=3以下(定常状態あり)

実際に計算してみましょう。

  • ワントラム…24/6.44=3.72
  • ツートラム…12/7.85=1.53

ツートラムには定常状態があります。12時間毎の反復投与により、安定した血中濃度プロファイルを示すわけです。

一方で、ワントラムは計算上、定常状態がないと考えられます。となると、次回投与時にはほとんどの薬剤が血中から消失する血中濃度プロファイルを示すはずです。つまり、単回投与ごとに効果が現れるわけですね。

ここで注意です!

計算上はそういえるんですが、ワントラムは定常状態がないとはいえません。Tmaxが9.5時間と長く、下記の図から分かるように2回目投与時点(24時間後)で約35%程度残存しており、蓄積性が認められるからです。

ワントラム錠 インタビューフォーム

インタビューフォームにも下記の記載があります。

本剤を1日1回5日間反復投与(200及び300mg/日)した場合、投与3日目には定常状態に達していると推察された

ワントラム錠 添付文書

つまり、ワントラムにも定常状態があり、24時間ごとの投与により安定した効果が得られるわけです。

薬物動態にフォーカスを当てると、速効性が期待できる点で、ツートラムの方がワントラムよりも優れていると考えられます。一方で、どちらも定常状態があり反復投与により安定した効果が得られる点は変わりません。

まとめ

今回は「ツートラム vs ワントラム」と題して、3つの視点から優劣をつけながら考察しました。

結果、1勝1敗1引き分けでした。

ツートラム vs ワントラム
  1. 適応…×がん性疼痛に使えない
  2. アドヒアランス…△服薬回数UPだが、分2の併用薬が多く、影響が少ない
  3. 薬物動態…◯速効性

記事を書きながら思ったのは、

ツートラムはワントラムの改良型である可能性!

トラマールから徐放製剤ワントラムを開発したけど、速効性の点で改良の余地があるなということで、ちょうどバランスを取る形でツートラムが開発された印象です。

発売前からツートラムは不要という声を耳にしますが、個人的には速効性が期待できる点でワントラムよりも使い勝手が良さそうな薬剤だと感じています。

発売後、ツートラムはワントラムやトラマールにとって代わるのか?現時点では適応が限定されておりますが、使用動向に注目していきたいと思います♪

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