脂質異常症薬

スタチン製剤の特徴を“2つの視点“【強さと特性】から解説します!

コレステロールの薬といえば、スタチン製剤です。

現在、国内で使用できるのは以下の6種類ですね。

  • プラバスタチン
  • シンバスタチン
  • フルバスタチン
  • アトルバスタチン
  • ピタバスタチン
  • ロスバスタチン

それぞれの特徴について1つずつ押さえていくのも良いですが、おススメは2つの視点から整理することです。

今回はスタチン製剤を、①強さと②性質の違いからスッキリと解説します。

スタチンの強さ…1つ目の視点

スタンダード or ストロング?

スタチンの効果はどれも同じではありません。

強さの違いからスタンダードスタチンストロングスタチンの2種類に分かれます。

LDL-コレステロールの低下率はどのくらいか?

臨床試験成績の結果を参考にすると、下記のとおりです。

  • スタンダードスタチン…15〜20%低下
  • ストロングスタチン…30〜40%低下

LDL-Cの低下率はストロングスタチンの方が約2倍高いことがわかります。マイルドに効くのがスタンダードスタチンで、シャープに効くのがストロングスタチンですね。

スタンダードスタチンは従来からある薬

国内で最初に上市されたのはプラバスタチン。

新しい構造と作用メカニズム、高い有効性から「ピカ新」と呼ばれていた時代があります。知っている人少ないかも…。

2番目にシンバスタチンが販売。その後にフルバスタチンが続きました。

ストロングスタチンは比較的新しい薬

最初に登場したのはアトルバスタチン。

過去、数年にわたり世界医薬品売り上げNO1に輝いた実績のある薬です。その後にピタバスタチン。ロスバスタチンは一番新しいスタチンですね。

ストロングスタチンは強力なLDLコレステロール低下作用により、従来のスタンダードスタチンに代わって販売シェアを拡大しています。

ストロングスタチンの処方量はかなり多い

厚生労働省のMDBデータベース平成28年度(H28.4〜H29.3)をもとに、スタチン製剤の外来院外処方数量を成分名ごとに集計すると結果は以下の通りでした。

  • 第1位 ロスバスタチン…約10億4000万
  • 第2位 アトルバスタチン…約8億6400万
  • 第3位 ピタバスタチン……約4億7300万
  • 第4位 プラバスタチン……約4億7100万
  • 第5位 シンバスタチン……約8100万
  • 第6位 フルバスタチン……約6000万

第1位はロスバスタチン、第2位はアトルバスタチン、第3位はピタバスタチンと、ストロングスタチンが上位を独占しています。

今はストロングスタチンの時代ですね。

1つ目の視点は大きく2つの場面で活用できます。

  1. 処方提案
  2. 持参薬鑑別時の代替薬の提案

順に見ていきましょう。

処方提案に活用する【強さに注目】

スタチンの強さから選択肢を絞り込むことが可能です。たとえば、スタチン製剤の選択について下記の相談があったとします。

「スタチンを処方したいんだけど、どの薬がいいかなあ?」

頻度はそれほど多くないかも知れませんが…^_^;)

どのスタチンを選択して、医師に処方提案を行えばいいのか?アプローチの仕方はいくつかあります。たとえば、以下です。

「(薬剤師)LDLコレステロールの治療目標値はどのくらいですか?スタチンは効果の強さから、ストロングとスタンダードの2種類に分けることができます」

まずは、どのくらいの効果を期待しているのかを確認です。

「(医師)糖尿病がベースにある患者さんです。一次予防で食事療法と運動療法を始めたけど効果が不十分で、目標値は120くらいと低めに設定してます。となると、ストロングスタチンの方が良さそうですね。では、どのスタチンがいいですか?」

というふうに、コンサルテーションがスムーズに進みます。患者さんの背景と治療目標値を確認して、スタンダードスタチンとストロングスタチンのどちらが必要なのか選択肢を絞り込むのがポイントです。

6種類からよりも、3種類に選択肢を絞り、1つを選ぶ方がわかりやすいですよね。

どのスタチンを選択するかは、目標とするLDL-C値によって決まる

たとえば、下記のケースではストロングスタチンを選択します。治療目標を低く設定する必要があるからです。

  • 糖尿病や慢性腎臓病などを合併している人
  • 二次予防の場合

一方で、スタンダードスタチンが選択されるケースは下記です。治療目標値は若干緩めに設定されます。

  • 基礎疾患がない
  • 一次予防の場合

スタチン製剤の強さは、処方提案や処方選択の場面で使い分けを考える時に不可欠な視点です。

持参薬鑑別時の代替薬提案に【強さを意識】

入院患者さんの持参薬鑑別時に活用できます。スタチンは全部で6種類です。しかし、全てを採用している医療機関は稀なので、代替薬の提示が欠かせません。

スタチンなんてどれも同じ!
無意識のうちにスタンダードをストロング、またはその逆の代替薬を提示してしまうことはないでしょうか?

処方変更後に脂質コントロールが乱れると大変。特に、心筋梗塞や脳梗塞の二次予防で服用している患者さんでは要注意です。LDL-Cの管理目標を達成できず期待したイベント予防効果が得られないという事態にもなりかねません。

  • スタンダード→スタンダード
  • ストロング→ストロング

薬効の強さを意識した代替薬の提示が基本です。

一律の対応が適切でない例も!
入院時に脂質管理が不十分な人です。スタンダード→ストロングへの代替薬を提示(処方変更)した方が良いケースですね。

持参薬鑑別時には薬効の強さを意識することに加えて、患者さんの病態や入院時のLDL-C値も考慮して代替薬の妥当性を評価することも大切だと思います。(ハードルがぐんと上がりますが…)

スタチンの特性…2つ目の視点

水溶性 or 脂溶性?

水と油どちらに溶けやすいか?特性の違いです。スタチン製剤は特性の違いから2種類に分類できます。

  • 水溶性スタチン
  • 脂溶性スタチン

水溶性は2種類、脂溶性は4種類です。違いは、肝臓で薬物代謝酵素CYPの影響をどのくらい受けるのか、その強さと関係しています。

CYPの影響を受けにくいのが水溶性スタチン、逆に受けやすいのが脂溶性スタチンです。

スタチンの相互作用を理解する

スタチンの相互作用は、各薬剤ごとに数や種類、記載内容もさまざまです。

しかも、CYP以外のものもあって、かなり煩雑で本当にややこしく、うんざりされている人も多いでしょう。そこで、おススメしたいのが以下の分類です。

  • CYPを介するもの…脂溶性スタチン
  • CYP以外のもの…水溶性スタチン、脂溶性スタチン

大きく2つに分けて整理すると比較的わかりやすいと思います。

CYPを介した相互作用…脂溶性スタチン

CYP3A4とCYP2C9に分けて考えます。

CYPの影響を受けやすいのは脂溶性スタチンです。基質の違いによりCYP3A4型CYP2C9型の2つに分類されます。

  • CYP3A4型…シンバスタチンとアトルバスタチン
  • CYP2C9型…フルバスタチンとピタバスタチン

CYP3A4型はとりわけ薬物相互作用が多い!
例えば、C型肝炎に使う抗ウイルス薬やアゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬などが有名ですね。また、グループフルーツジュースとの飲み合わせにも注意が必要です。

循環器薬との相互作用も要注意!
スタチンと併用されることが多いからですね。以下のようなものがあります。

  • CYP3A4…ベラパミルやニフェジピン、アムロジピンなどのCa拮抗薬、グリニド薬のレパグリニドなど
  • CYP2C9…ARB(テルミサルタンは除く)、SU薬グリメピリド、グリニド薬のナテグリニド、ミチグリニドなど

併用禁忌ではないので同時投与は可能ですが、併用時には薬効や副作用のモニタリングが必要です。

CYP以外の相互作用…スタチン全般

トランスポーターを介した相互作用に注意です。CYP以外にも有名な相互作用があります。

・乳癌耐性蛋白BCRPやOATP1B1、OATP-C、P糖蛋白など(※有機アニオントランスポーターポリペプチド:OATP )

免疫抑制剤シクロスポリンとの相互作用に注意!
AUCが大きく上昇することが報告されています。これは有名ですね。

▽シクロスポリンとの相互作用
・ロスバスタチンのCmax 10.6倍、AUC 7.1倍に上昇
・ピタバスタチンのCmax 6.6倍、AUC 4.6倍に上昇
※健康成人の薬物動態と比較、添付文書より

スタチンとシクロスポリンが腸管内への排出に関わるトランスポーターを競合するためです。腸管内への排出が阻害されるので、血中濃度が上昇します。

シクロスポリンといえば、臓器移植における拒絶反応の抑制に使用するというイメージが強いですが、最近では尋常性乾癬やネフローゼ症候群などにも広く使用されています。

・スタチンと併用する機会も増えているので、処方監査の時にはチェックを忘れないようにしましょう。

ところで、従来のスタチン製剤の添付文書には、トランスポーターではなく代謝阻害(CYP3A4)が機序と記載されているものがあります。しかし、以下の理由から代謝酵素CYPではなくトランスポーターの影響と考えるのが一般的です。

  • CYPの基質にならないスタチンでも報告されている(例、プラバスタチン)
  • ピタバスタチンやロスバスタチンでは、最近の知見に基づきシクロスポリンがBCRPやOATP1B1などを阻害する可能性の記載がされている

トランスポーターを介した相互作用は、水溶性スタチンと脂溶性スタチンどちらにも認められます。

フィブラート系やニコチン酸誘導体との併用に注意!
横紋筋融解症のリスクが高くなります。特に腎機能障害の患者には注意が必要です。

↓以下追加記載(2018/11/25)

※2018年10月16日に腎機能低下を有する患者へのスタチンとフィブラート系薬との併用について原則禁忌と原則併用禁忌が解除されました。

改訂の経緯は以下の通り。

  • 臨床においてスタチンだけでは脂質管理が不十分な症例もあり併用を必要とする症例が一定数存在すること
  • 欧米では国内販売のスタチンとフィブラート系薬との併用は禁忌ではないこと

を理由に、日本動脈硬化学会が2018年4月に要望書を厚労省に提出。

PMDAが製造販売後調査や国内副作用報告を調査したところ、腎機能異常がありスタチンとフィブラートを併用した症例は少なく、安全性に関する情報は限定的であることが判明しました。

以上から、腎機能障害を有する患者へのスタチンとフィブラート系薬の投与は可能と判断され、原則禁忌が解除されたものの、依然として横紋筋融解症のリスクへの懸念があるため、必要な症例に限定的に使用し、副作用のモニタリングを徹底する旨が重要な基本的注意の項目に記載されています。

水溶性、脂溶性に関わらず、スタチンを飲んでいる人は、フィブラート系やニコチン酸誘導体との併用時には、より横紋筋融解症に注意が必要ですね。

まとめ

最後にまとめておきますね。

スタチンの基本的知識を整理するための視点は以下の2つです。

▽スタンダードorストロング

  • LDLコレステロール低下作用は、ストロングスタチンの方が約2倍強い
  • マイルドに効くスタンダード、シャープに効くのがストロングスタチン
  • 処方提案や代替薬の提示などスタチンの使い分けを考える時に不可欠な視点

▽水溶性or脂溶性

  • 脂溶性スタチンは薬物代謝酵素CYPの影響を受けやすい
  • 相互作用を理解するために必要な視点
  • CYPの相互作用(CYP3A4とCYP2C9)…脂溶性スタチン
  • CYP以外の相互作用(トランスポーターを介するもの、フィブラート系、ニコチン酸など)…水溶性スタチンと脂溶性スタチン

今回は、スタチン製剤の特徴を”2つの視点“【強さと特性】から解説しました。日常の業務にお役立ていただけたらうれしいです^_^

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