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ソセゴン注とレペタン注の違いは?5つの視点から理解しよう!

ソセゴンとレペタンは一体何が違うのか?

今回のテーマです。

  • ソセゴン(ペンタゾシン)
  • レペタン(ブプレノルフィン)

まず、両薬剤の共通点は知ってますよね。大きく3つです。

  1. オピオイド鎮痛薬(非麻薬性)
  2. 鎮痛効果に頭打ちがある
  3. 呼吸抑制と悪心嘔吐などに注意!

どちらもオピオイド鎮痛薬に分類されます。効果が強く、NSAIDsやアセトアミノフェンの効きがイマイチの時が出番ですね。また、モルヒネと異なり投与量を増やしても一定レベル以上の効果が得られません(=有効限界)。副作用は上記が有名ですね。

一方で、相違点は何か?

これが実は難しい…。意外と知らない人が多いのではないでしょうか。私も以前、後輩に聞かれて、うまく答えられず、しどろもどろになった苦い思い出があります…(^^;)

そこで、自分なりに調べてみました。いくつかある違いの中から5つ紹介します。

  1. 作用点
  2. 鎮痛効果
  3. 適応
  4. 作用時間
  5. 相互作用

順番に見ていきましょう。

目次

作用点

まずはひとつめ、作用点に注目です。オピオイド受容体は大きく3つのサブタイプに分類できるのはご存知ですか。

μ(ミュー)・κ(カッパ)・δ(デルタ) 受容体ですね。薬剤の種類によって結合親和性に違いがあります。

モルヒネとペンタゾシン、ブプレノルフィンを比較すると下記です。

μ
δ
κ
モルヒネ
+++
ペンタゾシン
++
(P)
++
ブプレノルフィン
+++
(P)
++
(P)
++
(P)

※(p)は部分作動薬として作用、参考文献)がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020

ポイントを抜き出すと下記のとおりです。

  • ソセゴン…κ(作動薬) 、μ(部分作動、拮抗)
  • レペタン…μ(部分作動)、κ(拮抗)

ソセゴンの鎮痛作用は主にカッパを介します。一部、ミュー受容体にも結合しますが、十分に活性化できません。部分作動薬または拮抗薬として働くからです。モルヒネとの併用時に効果を減弱させる点は注意ですね。

  • 部分作動薬…受容体に結合するが、100%の活性化を起こさない薬
  • 拮抗薬…受容体に結合するものの、活性を示さない薬

一方で、レペタンの鎮痛効果はミュー受容体を介します。モルヒネよりも結合親和性に優れますが、部分作動薬でありソセゴン同様に十分な効果は得られません

押さえておきたいのは下記2点です。

①受容体、選択性の違い

ソセゴンはカッパ、レペタンはミューというように、受容体の選択性に違いがあります。

しかし、臨床において大きな意味があるかというと、残念ながらそれほどインパクトはないと思います。鎮痛効果はどちらの受容体を介しても得られるからです。

ただし、興味深い点もあります。ミューの刺激は多幸感が得られるのに対して、カッパの方は嫌悪感(不安や悪夢等)を生じる点。これは、精神依存を抑制する作用があるそうです。また、呼吸抑制はカッパの方が弱いとされています。

②受容体、作用強度の違い

下記ですね。

  • ソセゴン…μの部分作動薬または拮抗薬
  • レペタン…μの部分作動薬

ソセゴンの方がモルヒネの作用をより減弱させる可能性があります。ミュー受容体の拮抗薬として働くからです。実際に添付文書を見比べても、違いがありました!

ソセゴン
レペタン

本剤の作用が増強されることがある。併用が必要な場合には、一方又は両方の投与量を必要に応じて減らすこと。また、本剤は高用量において、モルヒネの作用に拮抗することがあるので、通常、モルヒネとの併用は避けること

本剤の作用が増強するおそれがあるので、併用が必要な場合は一方又は両方の投与量を減らすなど慎重に投与すること。また、本剤は高用量(8mg連続皮下投与)においてモルヒネの作用に拮抗するとの報告がある

つまり、下記です。

  • ソセゴン…併用注意、原則避ける
  • レペタン…併用注意、原則避けるとの記載なし

この表記だとソセゴンはダメだけど、レペタンは投与できそうですね。8mgというのは0.2mg注40Aに相当、通常の使用では問題ないと考えられます。

しかし、基本的にはどちらもモルヒネと併用しません。作用を減弱させる可能性がある薬剤をあえて使う必要はないからです。私の知る限りで、がん患者さんの疼痛コントロールに、麻薬拮抗性鎮痛薬を上乗せするケースは見たことありません。

このように、作用点に注目すると上記2つの違いがあります。オピオイド受容体の選択性、ミュー受容体の作用強度は押さえておきましょう。ただし、臨床における両薬剤の使い分けを考える上で役立つかどうかと言われると、微妙ですけどね。

鎮痛効果

次に2つ目のポイント。鎮痛作用はどちらが強いのか?

モルヒネの強さを1とした場合、以下のようになります。

レペタンの方がソセゴンよりも約80~100倍強い計算ですね。

それなら、強い痛みにはレペタン、弱い痛みにはソセゴンになるのか?というとそうではありません。鎮痛効果の差は、投与量の違いをあらわすだけだからです。

つまり、力価が高い薬は、その分投与量が少なくて済むだけの話。以下のように、両薬剤は低用量と高用量の2規格があり、レペタンの方が1Aあたりの投与量が低く設定されています。

  • ソセゴン…15mg、30mg
  • レペタン…0.2mg、0.3mg

レペタンは力価が高い分、投与量はソセゴンの75~100分の1で足りるわけですね。

また、鎮痛効果の違いは、用量換算の際に使える知識です。たとえば、ソセゴン1Aあたり、モルヒネ何mgに相当するのかを計算する時ですね。参考までに、モルヒネとの用量換算は以下のようになります。

  • ソセゴン注30mg ≒ モルヒネ注10mg
  • レペタン注0.4mg ≒ モルヒネ注10mg

参照)ソセゴン添付文書、聖隷三方原病院・症状緩和ガイド

ソセゴンはモルヒネよりも力価が低い分、約3倍の投与量が必要、レペタンはモルヒネよりも力価が高い分、投与量は約25分の1で足りるわけです。

このように、ソセゴンとレペタンは鎮痛効果に違いがあります。しかし、その違いをもって、痛みの強さに応じて薬剤を選択するわけではないので、役立つ知識かと言われると微妙ですね。知っておいて損はないですけど…。

適応

続いて3つ目のポイント。適応は以下のように一部異なります。

ソセゴン
レペタン
  • 下記疾患並びに状態における鎮痛(各種癌、術後、心筋梗塞、胃・十二指腸潰瘍、腎・尿路結石、閉塞性動脈炎、胃・尿管・膀胱検査器具使用時
  • 麻酔前投薬および麻酔補助
  • 下記疾患並びに状態における鎮痛(術後、各種癌、心筋梗塞症)
  • 麻酔補助

適応の違いから押さえておきたいのは、下記2点です。

①ソセゴンは疼痛の適応が広い!

ソセゴンは適応が広いです。レペタンのように、術後とがん性疼痛、心筋梗塞に限定されていません。消化性潰瘍や尿路結石の痛みなど、先述のようにNSAIDsやアセトアミノフェンで効果が期待できない場合や経口投与が困難なケースに用います。また、検査時にも使えるんですね。

②レペタンは心筋梗塞とがん性疼痛に推奨!?

一方で、レペタンの方はどのようなケースに使うのか。疼痛時に加えて、セデーションの際に鎮静剤と組み合わせて使用される印象があります。

さらに調べてみると、ソセゴンよりも優先的に疼痛コントロールに用いる場合がありました。大きく2つあります。

1)がん性疼痛

下記のようにガイドラインでも推奨されています。

安定したがん疼痛(中等度から高度)にある患者に対してブプレノルフィンの投与を条件付きで推奨する。高度の腎障害があるとき、他のオピオイド強オピオイドが使用できないとき。

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020

レペタンは肝代謝の薬剤なので、腎機能が悪い人ではモルヒネ(活性代謝物が腎排泄)よりも安全に使用できます。条件付きの推奨ですね。

ただし、実際の出番はほとんどないと思います。先述のように、部分作動薬であるし、同じ強オピオイドで代謝物に活性がないオキシコドンの方が代替薬として向いているからです。

ちなみに、ペンタゾシンは記載自体がなく、推奨されていません

2)心筋梗塞

また、心筋梗塞の胸部症状にはレペタンが推奨されています。もちろん、第一選択はモルヒネですが、代替薬としての扱いです。

胸部症状にはブプレノルフィン(0.1~0.2 mg)や鎮静目的でのジアゼパム(2.5~5.0mg)の静脈内投与も有用であるが、呼吸抑制に注意する

急性冠症候群ガイドライン2018改訂版

ちなみにペンタゾシンは心筋梗塞の患者さんが慎重投与になります。心筋の酸素消費量を増加させる可能性があるからです。レペタンは記載がありません。同じ麻薬拮抗性の鎮痛薬でも、違いがあるんですね。

本剤を投与することにより肺動脈圧及び血管抵抗を上昇させることがあるので、心筋梗塞の患者に投与する場合は、患者の状態を十分に観察するよう注意すること。

ソセゴン、インタビューフォーム

このように、ソセゴンとレペタンはどちらも強い痛み時の切り札として汎用されています。ただし、適応の範囲が違ったり、適応によって向き、不向きがある点は押さえておきましょう。

作用時間

続いて4つ目のポイント。半減期と投与タイミングを比較すると下記です。

ソセゴン
レペタン
  • 半減期…1.3~2.0時間
  • 投与間隔…約3~4時間ごと
  • 半減期…約2~3時間
  • 投与間隔…約6~8時間ごと

レペタンの方が半減期、投与間隔ともに長いです。約2倍ほど効果が続きます。持続的な疼痛の場合は投与回数を減らせるのはメリットですね。

では、速効性に関してどちらが優れているのか?

ペンタゾシンは添付文書に記載がありました。投与(筋注、皮下注)後、15分くらいから鎮痛効果が現れます。

皮下注、筋注では15~20分で鎮痛効果が発現し、約3~4時間持続する

ソセゴン注 添付文書

一方で、レペタンの方はどうか。添付文書等に記載がなく、ハッキリと分かりませんでした。おそらく、大きくは変わらないと思います。ちなみにTmaxを見るとレペタンの方が、血中濃度の立ち上がりが早そうですが…。

このように、作用時間に注目すると違いがあります。これは、薬効モニターや追加投与のタイミングを考える時に使える知識ですね。

代謝

最後に5つ目のポイント、代謝に注目です。どちらも肝代謝型の薬剤ですが、代謝酵素に違いがあります。

  • ソセゴン…グルクロン酸抱合
  • レペタン…CYP3A4

ここは、意外と盲点かも知れません。私もこの記事を書くにあたり、初めて知りました!今まで気にしてなかったです…。併用注意薬を比較すると下記です。

  • モルヒネ製剤 
  • 中枢性鎮痛剤(ブプレノルフィン塩酸塩、エプタゾシン臭化水素酸塩等)
  • ベンゾジアゼピン誘導体・その他の鎮静剤(ジアゼパム、ニトラゼパム、メダゼパム等)
  • 中枢性薬剤(睡眠剤等)
  • バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール等)
  • アルコール
  • セロトニン神経系賦活作用を有する抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩等)
  • メサドン
  • モルヒネ
  • 中枢性鎮痛剤(ペンタゾシン、エプタゾシン臭化水素酸塩、酒石酸ブトルファノール等)
  • ベンゾジアゼピン誘導体・その他の鎮静剤(ジアゼパム、ニトラゼパム、メダゼパム等)
  • 中枢抑制剤(催眠剤等)
  • バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール等)
  • アルコール等
  • MAO阻害剤
  • CYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン、リトナビル、アタザナビル硫酸塩等)
  • CYP3A4誘導作用を有する薬剤(フェノバルビタール、リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)、セロトニン作動薬

レペタンは薬物代謝酵素CYP3A4との相互作用が問題になります。ここは、ソセゴンとの大きな違いですね。阻害剤と誘導剤の記載があります。

特に、長期間にわたり使う場合(貼付剤や坐薬へのスイッチも含め)には、呼吸抑制や過剰な鎮静、疼痛評価等のフォローが欠かせません。

ナルメフェンは禁忌!

表に記載はありませんが、どちらもナルメフェン(セリンクロ、アルコール依存症の薬)は禁忌になります。μ受容体の拮抗により、両薬剤の効果が減弱し、離脱症状が現れる恐れがあるからです。

このように、代謝に注目すると相互作用が異なります。まさかレペタンがCYP3A4で代謝されるとは…という感じです。まずは併用薬のチェックを意識することが大切ですね。ただ、単回使用の場合はどれだけ影響があるのか、微妙ですが…。

まとめ

今回はソセゴンとレペタンの違いについてまとめました。

ポイントは以下のとおりです。

5つの視点
  1. 作用点)ソセゴン…カッパ、レペタン…ミュー、※モルヒネの作用を減弱(部分作動、拮抗)
  2. 鎮痛効果)ソセゴン<レペタン※用量設定を反映
  3. 適応)疼痛全般…ソセゴン(がん性疼痛、心筋梗塞はレペタンがbetter)、麻酔時
  4. 作用時間)ソセゴン<レペタン※投与タイミングや疼痛評価に使える知識
  5. 代謝)レペタンはCYP3A4の相互作用に注意!

ソセゴンとレペタンは同じ麻薬拮抗性鎮痛薬でありながら、上記のような違いがあります。

個人的に①作用点は興味深かったです。学生の頃に学んだ記憶が蘇りました。薬剤師ならはずせない部分ですよね(^-^)

あと、③適応と④作用時間、⑤相互作用は日常業務に使える知識だと思います。処方監査や処方提案にご活用いただけたら嬉しいです♪

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