新型コロナワクチンの種類・特徴【5製品の比較】

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コロナワクチンの種類・特徴

令和6年度秋冬に、新型コロナワクチンの定期接種が始まります。

使用可能なワクチンは5製品です。

電子添文、メーカー情報等をもとにまとめたので共有します。

目次

新型コロナワクチン:定期接種の対象者

厚生労働省の案内によると

<対象>
・65歳以上の方
・60歳~64歳で対象となる方(
心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

接種にかかる費用は原則、有料です。自治体によって負担額が異なります。

新型コロナワクチンの比較表

定期接種に用いるコロナワクチンは全部で5種類です。

コミナティ筋注シリンジ12歳以上用スパイクバックス筋注ダイチロナ筋注ヌバキソビッド筋注1mLコスタイベ筋注用
製剤写真
製造販売ファイザーモデルナ・ジャパン第一三共武田薬品Meiji Seikaファルマ
分類mRNAワクチンmRNAワクチンmRNAワクチン不活化ワクチンレプリコンワクチン
抗原株オミクロン株JN.1系統オミクロン株JN.1系統オミクロン株JN.1系統オミクロン株JN.1系統オミクロン株JN.1系統、申請中
包装シリンジバイアルバイアルバイアルバイアル
容量
投与人数
0.3mL
1人分
2.5mL
5人分
1.5mL
2人分
1mL
2人分
粉末
16人分
包装
投与人数
10本/箱
10人分
1瓶/箱
5人分
2瓶/箱
4人分
1瓶/箱
2人分
1瓶/箱
16人分
貯法2~8℃-20±5℃2~8℃2~8℃-20±5℃
有効期限8ヵ月12ヶ月7ヵ月9ヶ月18ヶ月
投与方法筋肉内筋肉内筋肉内筋肉内筋肉内
初回免疫1回0.3mL
合計2回
(4週間)
1回0.5mL
合計2回
(4週間)
1回0.6mL
合計2回
(4週間)
1回0.5mL
合計2回
(3週間)
1回0.5mL
合計2回
(4週間)
追加免疫1回0.3mL
3ヶ月経過後
1回0.5mL
3ヶ月経過後
1回0.6mL
3ヶ月経過後
1回0.5mL
6ヶ月経過後
1回0.5mL
3ヶ月経過後
希釈・溶解生食10mL
薬液充填必要必要必要必要
調製後の期限8~30℃で12時間以内に使用(要遮光)

キャップを外した後、2~30℃で保存、4時間以内に使用(要遮光)
2~25℃で保存、12時間以内に使用(要遮光)2~8℃で保存し、24時間以内に使用(要遮光)2~25℃で保存し、24時間以内に使用(要遮光)2~25℃で保存し、6時間以内に使用(要遮光)
各製剤、電子添文より作成、製剤写真はメーカーHPより

まずは共通点を確認します。全てが①オミクロンJN1株に対応したワクチンです。分類の違いはありますが、②手技はいずれも筋肉内投与になります。基本的には③追加免疫(多くの高齢者が初回免疫を終えている)で使用しますが、初回免疫での使用も可能です。

定期接種用コロナワクチン5製品の共通点
  • 抗原株:オミクロンJN1株
  • 手技:筋肉内注射
  • 初回免疫と追加免疫に使用可能

一方で、相違点は大きく3つです!

  1. 作用機序
  2. 調製方法
  3. 接種人数

順に見ていきましょう。

新型コロナワクチン:作用機序の違い

種類mRNAワクチン不活化ワクチン自己増幅型mRNAワクチン
製品コミナティ
スパイクバックス
ダイチロナ
ヌバキソビッドコスタイベ
特徴新型コロナウイルスの膜表面にあるスパイクタンパク質(ヒトの細胞へ侵入するために必要)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだワクチン新型コロナウイルスの膜表面にあるスパイクタンパク質(ヒトの細胞へ侵入するために必要)の遺伝子をもとに作られた組換えスパイク蛋白質をナノ粒子化し、免疫の活性化を促進するためのアジュバントが添加されたワクチン新型コロナウイルスの膜表面にあるスパイクタンパク質(ヒトの細胞へ侵入するために必要)の設計図となるmRNAとそれを増幅するために必要なレプリカーゼをのアミノ酸配列をコードするmRNAを結合し、脂質の膜に包んだワクチン
作用機序投与後に、mRNAが転写、タンパク質が生成され、それに対する免疫が誘導される投与後に、組み換えタンパク質に対する免疫が誘導される投与後に、mRNAが増幅、転写、タンパク質が生成され、それに対する免疫が誘導される

ダイチロナ筋注は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(receptor-binding domain:RBD)をコードする配列のmRNAを含む点がコミナティやスパイクバックスと異なります。

コスタイベ筋注は米国のアークトゥルス・セラピューティクス社が開発した自己増幅型のmRNAワクチン。投与したmRNAを複製するレプリカーゼをコードする遺伝子が組み込まれており、自己複製により従来のmRNAに比べて投与量が少なく、効果の持続化が期待される点が特徴です。

  • コミナティ:投与量0.3mL(RNA総量:30μg)
  • コスタイベ:投与量0.5mL(RNA総量:5μg)

mRNAの投与量が少ないのであれば、副反応が気になるとこですが、大きく変わりません。コスタイベによる発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状はコミナティとほぼ一緒です。一方で、紅斑や腫脹、硬結等の注射部位反応が少ない傾向が見られます。投与量の少なさは注射部位反応が軽減されるものの、複製により免疫応答を誘導するため、全身の症状は軽減されないという理解ですかね。

コスタイベ筋注用 審議結果報告書
不活化ワクチンの作用機序(ヌバキソビッド)
ヌバキソビッド筋注 適正使用ガイド
mRNAワクチンの作用機序(スパイクバックス)
スパイクバックス筋注、適正使用ガイド
samRNAワクチンの作用機序(コスタイベ)
コスタイベ筋注 製品概要

新型コロナワクチン:調製方法の違い

製品コミナティスパイクバックスダイチロナヌバキソビッドコスタイベ
形状シリンジバイアルバイアルバイアルバイアル
溶解・希釈不要不要不要不要必要
1回量1回0.3mL1回0.5mL1回0.6mL1回0.5mL1回0.5mL
薬液充填不要必要必要必要必要
各製剤、電子添文より作成、製剤写真はメーカーHPより

ここはコミナティに優位性があります。1人用のプレフィルドシリンジであり、調製の手間が不要だからです。注射針のセットは必要ですが、投与の簡便さが魅力ですね。

スパイクバックス、ダイチロナ、ヌバキソビッドは薬液が充填されたバイアルです。希釈せずに必要量を抜き取って使用します。ダイチロナは1回量が0.6mLと他の製剤に比べて多めです。

この点、コスタイベが最も手間がかかります。粉末製剤であり、生食による溶解操作が必要だからです。調製方法も細かく指定があり、煩雑な印象を受けました。


3.本剤に日局生理食塩液10mLを注入する際は、複数回(少なくとも3回)に分けて注入すること。注入後、白色の均一な液になるまでゆっくりと転倒混和する。もし泡立った場合は、泡立ちが収まるまで静置する。

コスタイベ筋注 調製方法

新型コロナワクチン:接種人数の違い

製品コミナティスパイクバックスダイチロナヌバキソビッドコスタイベ
形状シリンジバイアルバイアルバイアルバイアル
容量①0.3mL2.5mL1.5mL1mL粉末
1回量②1回0.3mL1回0.5mL1回0.6mL1回0.5mL1回0.5mL
接種人数
1人5人2人
+残0.3mL
2人16人
包装10本/箱1瓶/箱2瓶/箱1瓶/箱1瓶/箱
接種人数
(包装あたり)
10人5人4人
+残0.6mL
2人16人
各製剤、電子添文より作成、製剤写真はメーカーHPより

ここもコミナティの1人勝ちですね。1人用の製剤であり、廃棄の心配がありません。予約人数の調整・確保が不要な点も現場では好評ですよね。10本入りなのが少しネックですが…。返品対応は可能なのでしょうか?気になりますね。

ヌバキソビッドは今回2人用のバイアル製剤を発売されます。包装も1瓶であり、廃棄のリスクは少ないですね。スパイクバックスは従来株の製剤と変わらず、5人用です。

ダイチロナは薬液が残る設定です。計算上は、1包装(2瓶)あたり、5人分秤量できます。なぜ、そうなっているのか?よくわからないですね…。

この点、コスタイベは1バイアル16人用であり、廃棄の可能性が高く、予約人数を調整するのが大変です。施設における集団接種には使えますけどね。

まとめ

今回は、秋冬に始まる定期接種で用いる新型コロナワクチン5製品(JN.1株対応)について、特徴や違いをまとめました。

どのワクチンがもっとも使われるのか?

やはり、使用実績からコミナティやスパイクバックスですかね。中でも、コミナティは使い勝手が頭ひとつ分飛び抜けていると思います。1人用のシリンジ製剤であり、調製の手間がないからです。以前のように、生理食塩液で希釈後に、1バイアルから6人分を充填していたのが懐かしく感じますよね。

ヌバキソビッドもニーズが高いと考えられます。mRNAワクチンに比べて、副反応が少ないからです。接種後に発熱や倦怠感に苦しんだ人は結構おられますからね。

あと国産ワクチンのダイチロナとコスタイベはどうなるのか?発売後、使用状況に注目したいと思います!

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