栄養管理、NST

ラコール半固形製剤の特徴を解説!【短時間で十分な量を投与できる栄養剤】

医薬品のあつかいで、唯一の半固形製剤であるラコール半固形。

ラコールNF配合経腸用半固形剤(以下,ラコール半固形)は、どのような栄養剤なのか?

ポイントを絞って解説します。

ラコール半固形剤を理解するための4つのポイント

大きく以下の4つです。

  1. ラコール半固形とラコール液体の違い
  2. ラコールを固めた、医薬品唯一の半固形製剤
  3. 短時間で十分な量を投与できる
  4. 注入トラブルを軽減できる

半固形と液体の比較

ラコール半固形は、液体のラコールを固めたもので、アルギン酸と寒天などの増粘剤を、ラコールに加えて半固形化した製剤です。

半固形と液体をざっくり比較すると、以下のようになります。

ラコール半固形 ラコール液体
カロリー 1kcal/mL 1kcal/mL
糖質 15.6g/100mL 15.6g/100mL
たんぱく質 4.4g/100mL 4.4g/100mL
脂質 2.2g/100mL 2.2g/100mL
水分含量 約76% 約85%
粘度(mPa・S) 6500〜12500(20℃) 5.5〜6.5(25℃)

基本的に栄養素の組成は変わりません。カロリーやたんぱく質、脂質だけでなく、ビタミンや微量元素も同じです。

半固形の方が水分が少ない

ラコール半固形の方が約10%くらい少なめです。

1日1500mLで栄養管理をする人では、投与するカロリーが同じであってもラコール半固形は、水分が150mL少なくなります。

心不全やCKD患者さんにはメリット!
水分制限が必要な患者さんでは、わずかであっても水分量を抑えることができます。心臓や腎臓に対する負担が減らせるのは長所です。

一方で、脱水症状に対する懸念も!
液体製剤から半固形製剤に変更するときには要注意です。水分の追加投与の必要性を検討する必要があるし、変更後の脱水症状のフォローも欠かせません。

半固形の方が粘度が高い

ラコール半固形の粘度は6500〜12500mPa・sです。

食品でいうと、ちょうどハチミツやジャムと同じくらいの粘度になります。(20℃で10000くらい)

ちなみに、ラコール液体の方は5.5〜6mPa・sなので、醤油やウスターソース(5mPa・s)と同じくらいです。

イメージはハツミツとウスターソースくらいの違いですね。

ラコール半固形は自然滴下で投与できない!
粘度が高いので、ラコール液体にように自然滴下による投与は不可です。カテーテルチップや加圧バッグなどを用いる必要があります。

液体を固めた、医薬品唯一の半固形!

半固形の食品は多いですが…医薬品はただひとつ。代表的な半固形の栄養補助食品は以下のとおりです。

  • ハイネゼリー…大塚製薬
  • アクトエールアクア…クリニコ
  • カームソリッド…ニュートリー
  • メイグッド…明治
  • PGソフト…テルモ
  • アイソカル…ネスレ日本……など

ほかにも覚えきれないくらい、いろんな種類があります。薬剤師も名前くらい聞いたことがあるかも知れません。製品ごとに液量やカロリー、たんぱく質の量、粘度などの違いがあり、バリエーションも豊富です。

・半固形の栄養補助食品は数あれど、医薬品あつかいはラコール半固形のみです。一択ですね。

短時間で投与できる!

液体製剤に比べて短時間で投与できるのがメリット!比較してみると、その差は一目瞭然です。

  • ラコール半固形…1パウチ300gあたり、6〜9分で投与
  • 液体ラコール…1.5パウチ300mLあたり、2.4〜4時間かけて投与

全然違います!

液体ラコールを1日1200kcalで栄養管理してる人の場合を考えてみましょう。

一日にかかる投与時間は9.6〜16時間くらいです。半日くらいは栄養剤を投与してる状態ですね。

一方で、ラコール半固形では、24〜36分くらいで済みます。かかる時間は30分の1くらいです。

投与時間が短いのはなぜか?

理由は、胃の伸展を促し、胃内貯留能や滞留時間を増加させるからです。

・半固形の栄養剤は、胃内にためておくことができるので、十分量を速やかに投与できます。

一方、液体製剤は、胃の伸展を促さず、貯留能や滞留時間が低下するので、液体を貯めておくことができません。

だから、ゆっくりしか投与できないのです。

ラコール半固形の方が生理的!?

「口腔内で噛み砕いて半固形状になった食塊を、直接胃ろうから胃内へ到達させる」というのが半固形製剤の投与方法です。

液体製剤に比べて、より生理的な栄養摂取の方法なので、消化管ホルモンの分泌や蠕動運動が自然に起こるという効果が期待できます。

・ラコール半固形の投与方法は液体製剤に比べて生理的であり、栄養剤投与にかかる時間を大幅に短縮できるのが最大のメリットですね。

リハビリの時間も確保できる

1日のうち10〜16時間も栄養剤の投与時間に当てると、離床が進まないし、リハビリにかける時間も少なくなります。

安静にする時間が長いと筋肉も衰えるし、褥瘡が発生する可能性だってあるわけです。

半固形製剤はリハビリを進めたい人に有用!注入時間を短縮できるので、介護者の負担も軽減できます。

注入トラブルを軽減できる

栄養剤の注入投与に際して、発生する問題を解決できます。

半固形製剤で解消可能なトラブルは、大きく3つです。

  1. 嘔吐や吐き気、誤嚥性肺炎
  2. 胃ろうからの液漏れ
  3. 下痢やダンピング症状

嘔吐や吐き気、誤嚥性肺炎など

臨床上、よく起こるトラブルです。

液体の栄養剤では、胃の進展、弛緩が起こりにくいので、胃内圧の上昇や食道への逆流などにより吐き気や嘔吐、場合によっては誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

一方で、半固形化栄養剤は、胃の伸展を促し、貯留能を正常化し、胃から食道への逆流を防ぐ効果が期待できるのがメリットです。

・ラコール半固形は消化管機能に障害がなく、嘔吐や誤嚥性肺炎を繰り返す症例に有用だと考えられます。

胃ろうからの栄養剤漏れ

栄養剤がリークして、場合によっては瘻孔周囲炎を起こすこともあります。胃ろう管理で起こりやすいスキントラブルです。

半固形化したラコールは、胃ろうからの栄養投与によるスキントラブルを回避、軽減する効果が期待できます。

・ラコール半固形は胃ろうから液体栄養剤のリークがある患者さんに有用です。

下痢やダンピング症状

こちらもよく見かける下部消化管のトラブルです。

液体の栄養剤では、胃の貯留能、滞留時間の低下によって胃から小腸への排出が早く、下痢やダンピング症状が問題になります。

ダンピング症候群とは

・食物が胃に貯留されずに急に小腸に流れ込み、不快な症状を引き起こす病態です。胃切除後に起こりやすい術後の合併症のひとつ。

・糖分の急速な吸収による食後30分以内におこる早期ダンピング(冷汗、動悸、倦怠感など)と急激なインスリン分泌に伴う低血糖に起因する後期ダンピング(食後2〜3時間後)があります。

半固形製剤は、下痢やダンピング症状を予防できる!
胃から小腸への排出が緩やかになるからです。

また、高血糖を防ぐ効果も期待できる!
小腸の通過時間がゆっくりになるので、急激な糖分の吸収を抑えられます。

・ラコール半固形は消化管障害がないのに、下痢やダンピング症状を繰り返す患者さんに有用です。

Question & answer

水の追加投与、タイミングは?

ラコール半固形の水分含有率は約76%と低めです。

1パウチあたりの水分量は228mLなので、1日あたりの水分量が不足する場合には水分の追加投与が必要になります。

追加投与はどのタイミングか?

というと、直前直後では半固形の形状が保てなくなるので、注入30分前注入2時間後が水分投与の目安です。ラコール半固形のメリットが失われないように水分補給のタイミングには注意が必要ですね。

在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定することも可!?

平成30年度診療報酬改定により“在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料” 2500点が新設されました。

対象者、条件は以下のとおりです。

・経口摂取が困難で胃ろうを増設しており、医師が経口摂取の回復に向けて半固形栄養経管栄養法を行う必要があると認めた外来患者(退院日も含む)で、胃ろう造設術を受けて1年以内に開始するもの。

算定期間は1年。

算定の対象となる半固形栄養剤は以下が該当します。

  • 薬価基準に収載されている高カロリー薬→ラコール半固形
  • 薬価基準に収載されていない流動食→ハイネゼリーやアクトエールアクアなど(市販の栄養剤のみ)

※ハイネイーゲルのように、胃液で液体から半固形に変化する栄養剤は対象外です。また、市販時に液体状の栄養剤を半固形状に調整したものも算定できません。

患者さんの経口摂取回復を目的として、半固形栄養法の指導管理とともに、経口摂取回復に向けた指導管理を実施した場合に算定できます。

まとめ

ラコールNF配合経腸用半固形剤のポイントは以下のとおりです。

  1. ラコールを固めた、医薬品ただ一つの半固形製剤
    →水分含量が少なく粘度が高い(カロリーやたんぱく質など栄養の組成は変わらず)
  2. 短時間で十分な量を投与できる
    →注入時間の短縮により、リハビリ時間を確保、介護者の負担も減る
  3. 注入トラブルを軽減できる!!
    →①嘔吐や誤嚥性肺炎、②栄養剤のリーク、③下痢やダンピング症状、高血糖など

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今回はラコールNF配合経腸用半固形剤についてまとめました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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