新人薬剤師が成長スピードを上げるために実践すべき3つのこと

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「薬剤師になって、早く一人立ちしたい!」
「いち早く仕事をマスターして同期と差を広げたい!」

と、新人の頃はみんなそう思いますよね。

でも、どうすればいいのか?というと、ハッキリした答えがわからず、やる気に任せて突き進む人も多いでしょう。

ここだけの話、

少し意識するだけ仕事の飲み込みが速くなる方法があります

「早く一人前になって欲しい」と願う、
現場の薬剤師を代表して「成長スピードを上げるために実践すべき3つのこと」を書きました。

試してみる価値はあると思います(^_^)。

目次

はじめに

4月になると国家試験に合格したばかりの新人薬剤師さんが仲間入りします。

簡単に自己紹介を済ませたあとに待っているのは、練りにねった指導スケジュール。さっそく業務を教えていくわけですが、同じことを同じ方法で教えても仕事を飲み込むスピードは人によって違います。

一通りの業務をこなせるまでにかかる期間が

・3ヶ月の人、
・半年もかかる人、
・まる1年経ってもまだ…の人

と、さまざまです。

いったい何が違うのか?

たしかに、ベースの知識が豊富でコミュニケーションスキルが高い人ほど成長スピードも速い傾向があります。要領のいい人も仕事の飲み込みが早いです。

でもそれだけではなく、

仕事に対する意識向き合い方も大きな影響があるのではないかと感じています

私が考える成長スピードを上げる方法は大きく3つです。

仕事の目的を理解する
仕事を進んでやる
仕事は辛いものとして受け入れる

即戦力として活躍できる人となかなかひとり立ちができない人の比較から考察したものです。

この3つを意識して取り組めば、一人前の薬剤師になる道のりを大きくショートカットできると考えています。順番に見ていきましょう。

仕事の目的を理解する

まずは一つ目。

仕事の目的を理解する成長スピードが加速します

一つの教えから多くのことを学べるからです。加えて応用力も身につきます。

仕事は覚えるもの?

新人の頃は「仕事を覚えて一人前になろう!」と意気込みます。みんなメモをとって覚えるのに必死ですよね。しかし、よく考えると「仕事を覚える」というのは成長スピードを速めてくれません。理由は2つです。

①すべて覚えるのに時間がかかる
②応用が効かない

薬剤師に限ったことではありませんが、業務の種類は多岐にわたり、それぞれに分厚いマニュアルが用意されています。一通り覚えるだけでも大変。かなりの時間を要するし、しばらくすると忘れてしまう可能性もあります。しかも、マニュアルに書いていないことも当然、覚えないといけません。これが意外と多いです…。

それに、仕事を覚えるだけでは応用が効きません。教えてもらっていないケースは対応できないからです。たとえば、以下のようなやりとりをよく見かけます。

指導薬剤師

◯◯という薬は、腎機能をチェックしてから調剤してくださいね

と、先輩から言われたとします。

新人薬剤師

そうか、◯◯を処方箋で見たら、腎機能を確認すればいいんだ

と、新人薬剤師は考えるわけです。ここまではOKですね。

しかし、ある時、監査を担当する先輩からこう言われます。

指導薬剤師

△△という薬を飲んでいる人がいるけど、腎機能のチェックはしたの?

その時に新人薬剤師は心の中で思うはず…。

新人薬剤師

△△という薬は腎機能チェックが必要とは教えてもらってないのに…

もし声に出して言っていたなら、先輩薬剤師は口調を強くして言うはずです。

指導薬剤師

教えなくても、◯◯がチェックすべきなら△△も同じでしょ!

こんな風に

「考えたらわかるでしょ」という指導薬剤師に、「教えてもらっていないのでわかりません」という新人薬剤師の構図は日常的によく見かける光景ではないでしょうか。

このように、仕事を覚えようと頑張るだけでは、一人前になるための道のりはショートカットできません。時間がかかるし、応用力にも欠けるからです。仕事を覚えるだけでは成長スピードは頭打ちになってしまいます。

では、どうすれば成長速度を上げられるのか?

仕事の目的を理解しよう

仕事を覚える時に、やるべき理由(目的)まで理解しておくと、成長スピードは格段に上がります。理由は2つです。

効率的に学べる
応用が効く

臨機応変に対応できる

目的を理解すれば

一つの教えから類推して全体を把握できます。

先の例でいくと、腎機能をチェックする理由は血中濃度上昇に伴う副作用のリスクを回避するためです。これが仕事の目的になります。

であれば、

新人薬剤師

◯◯だけじゃなくてほかに注意すべき薬剤もあるはず…。要するに腎排泄型薬剤全般にいえるということだな。□□や△△も腎機能のチェックを忘れないようにしよう。他にもあるから、家に帰ってまとめておこう。

という具合に、やるべき理由を明らかにすれば、関連性のある薬剤の存在に気づきます。一つの教えから、新たな事柄に対応する力が身につくのです。

そして次に、どういうことを勉強すべきかが見えてきます。一つの教えからそれ以上の学びを得ることができるわけです。

あと、臨機応変に対応できる!

想定外の出来事(マニュアルから逸脱すること)が起こっても、慌てる必要はありません。目的に照らし状況に合わせて手順を変えて対応することが可能だからです。

このように、仕事を行う目的まで理解する習慣を身につけておくと、応用力が養われ、効率的に知識が増えるし、状況に応じて柔軟に対応できます。成長スピードはグンと上がりますね(^^)

仕事を進んでやる

続いて2つ目。

仕事を進んでやると、成長スピードが上昇します

やりがいを見つけ、自ら学ぶ仕事スタイルに変わるからです。放っておいても日々成長してくれます。

こんな感じです

STEP
仕事を進んでやる
STEP
成功体験を積む
STEP
仕事が好きになる
STEP
自然と成長していく

仕事が好きになれば自然と成長していく!

実際に、仕事が好きな人ほど成長スピードも速い印象があります。

「好きこそ物の上手なれ」です!

たとえば、薬理が好きな人は薬の勉強が苦になりません。知らない薬に遭遇した時や新薬の登場に合わせて次第に知識が増えていくからです。

服薬指導が好きな人も、コミュニケーションスキルが自然と上達していきます。もっと患者さんに寄り添うために、苦痛を取り除くためにどうすればいいかを考える過程で多くの学びがあるからです。

調剤が好きな人は業務改善に対して積極的に意見を出してくれます。どうすれば調剤ミスを減らせるか、スピーディーに仕事をこなせるかを自ら考えていくうちに、現状の問題点を把握し解決する力が養われるからです。

仕事が好きな人に共通するのは、

与えられたことを自ら進んでやる仕事スタイルだと思います

でも、仕事が好きではない人はどうしたらいいのか?

成功体験が仕事を好きになるきっかけ!

当たり前ですが、最初から薬剤師の仕事が好きな人はいません。そもそもやったことがないのに好きになる理屈がないからです。前世が薬剤師だった人ならもしかするかも知れませんが…。

必ずと言っていいほど、

仕事が好きな人は過去に成功体験があります

ここでいう成功体験とは、自分の仕事が患者さんに良い影響を与えて評価されること。

たとえば、薬物療法の問題を解決して患者さんに「ありがとう」と感謝されたときは、まさにそう。

検討を重ねて捻り出した処方提案が医師に受け入れられた時もまた成功体験だといえます。業務改善の提案により、調剤の効率化、安全性の向上が図られ、上司に褒められた時もそうですよね。ほかにもいろんなケースがあります。

仕事のやりがいは周りにいい影響を与えたり、社会に貢献できたときに生まれます。成功体験が「もっと頑張ろう」「スキルアップを目指そう」という気持ちの原動力になるわけです。

逆にいえば、やりがいを感じられないのは、患者さんや周囲にいい影響を与えられていないだけの話。薬剤師に向いていないのかもと、悩む必要はいっさいありません。

成功体験をゲットできれば、だれでも仕事が好きになります。

成功体験を積むためには仕事を進んでやるのが近道

経験上、そう思います。

とにかく仕事を進んで引き受けて、患者さんのために頑張るのが成功体験への近道です。

薬理が嫌いでも、患者さんと話すのが上手ではなくても、調剤が苦手であっても、前向きに仕事と向き合っていたら、必ず成功体験に行き着きます。

新人の頃に避けたいのは、仕事を覚えることばかりに夢中になって、調剤室にこもってしまうこと。成功体験を遠ざけてしまうからです。対物業務が中心になり、どうしても患者さんが見えにくくなってしまいます。

新人の頃は、

患者さんを意識することを最優先

患者さんの問題点を抽出し、どのように解決すればいいかを考える努力が必要だと思います。これを習慣にすれば自然に成功体験にたどり着き、気がつけば仕事が好きになっていると思うからです。

好きになればあとはこっちのもの。成長スピードが自然に上がっていく好循環が生まれます。

仕事は辛いものとして受け入れる

3つ目は、1年目を頑張って乗り切るためのエールです。

仕事は辛いものとして割り切ると、成長を後押ししてくれます

精神状態を健康に保ち、プラス思考で仕事に向き合えるからです。

新人の頃は先輩に怒られるのが当たり前!

4月から働き出して、しばらくは先輩から注意される日々が続きます。なかなか業務を覚えられず周囲に迷惑をかけたり、焦って調剤や監査で間違いを繰り返したりと仕事のミスも絶えないからです。

「社会人としての意識が低い、とか責任感がない」

とキツい指摘も飛んでくるかも知れません。学生気分が抜けるのに時間はかかるものなので……覚悟しておいた方がいいです。

作者も経験済みです、辛かった……(^_^;)

でも、新人が怒られるのはある意味宿命だともいえます

なぜなら、誰もが経験するものだからです。いつも頼りになる先輩も、厳しく指導に当たっているベテラン薬剤師だって、周囲からの信頼が厚い上司であっても新人の頃は怒られて凹んだ経験があります。叱られずに順風満帆な薬剤師ライフを送ってきた人はまずいないでしょう。薬剤師に関わらず社会人1年目ならみんなそうかも知れません。

だから、先輩の叱責や注意に自信を失って落ち込む必要は全然ないです。まして、毎日悩んで、心が折れて、やる気を失って、薬剤師に向いていない、なんて思う必要はありません。

仕事は辛いもの…。

もう、一層のこと、そういうもんだと割り切って受け入れた方が前向きになれます。

チャンスだと捉え、前進あるのみ!

一方で、どんなに腹が立っても、苛立ちを覚えても、自分は間違っていないと思っても、先輩の注意や指摘には耳を傾けた方がいいと思います。

先輩はあなたのことを思って、早く一人前の薬剤師になってほしいから叱ってくれているからです。自分の機嫌で怒る人も時々いますが…(これは無視でOK)

経験上も、そう言えます。業務マニュアルを作るように上司に言われ、自信を持って提出した書類に、山ほどダメ出しされたけど、こらえて書き直しました。再提出、やり直しを繰り返していくうちに、初めの文章よりも確実に読みやすくポイントがまとまっていたのは今でも忘れません。あの時、上司の意見を素直に受け入れなかったら、きっと自分の成長はなかった言い切れます。

上司や先輩は自分のためにあえて注意を与えています。

どう受け止めるかあなた次第です

・ただ口うるさい迷惑なものとして聞き流すか、
弱点を補うためのチャンスと捉えるのか

ポジティブに考えて先輩の教えを前向きに受け止める人の方が成長スピードが速いと思います(^ ^)

最後に

今回は、新人薬剤師が成長スピードを上げる3つのポイントを考察&解説しました。

仕事の目的を理解する(1を聞いて10を知る)
仕事を進んでやる(成功体験を積む近道)
仕事は辛いものとして受け入れる(モチベの維持)

上記3つを意識して仕事に取り組むと、最速で一人前の薬剤師になれると思います(^_^)

若い時はいっぱい学べる環境!

(きびしくて)やさしい先輩が色々教えてくれるし、わからないことは何でも質問できるからです。勉強しようと思えば時間の確保もそれなりにできますよね。

今思うと、若い頃に勉強したことはいつまでも記憶に残っていて日常業務を支えてくれています。

特に、働きはじめての1年は薬剤師人生に大きな影響を与える大切な時期です。

上手く乗り切ってやりがいのある薬剤師ライフを手に入れることを陰ながら応援しています♪

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