薬剤師×専門性【職場環境に適した分野を高めるのがオススメ!】

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「◯◯専門薬剤師になりたいとか、△△認定薬剤師を目指したい!」

と、やる気のある新人・若手薬剤師の方が増えています。薬学生から就職セミナーや実務実習で資格の取得について質問されることも多いです。

高いこころざしに驚かされる一方で、ある疑問が湧いてきます。

本当にその専門性を高めるの?得意分野はそれでいいの?

今回は、薬剤師が専門性を高めるとして、どの領域を得意分野とすればいいのか?考察しました。

目次

高い専門性は活用できてはじめて価値がある

当たり前のことですけど、あえて強調したい。

薬剤師×◯◯という専門性は魅力的

○○専門薬剤師と聞くと、第一印象はかっこいいですよね。

がん専門薬剤師と聞いた時点で、“すごくできる人”なんだと想像します。抗がん剤の投与設計や服薬指導のアプローチ、副作用のモニタリングなどスマートにこなせるイメージです。種類が多く、理解が難しい化学療法レジメンに関する知識の深さも魅力に感じるでしょう。

関連学会も資格の取得に積極的です!

がん、感染制御、精神科、HIV感染症、妊婦・授乳婦、小児、糖尿病、NST、腎臓病、抗菌薬など多岐にわたる領域で活躍する薬剤師の育成に力を入れています。

薬剤師×◯○」は誰もが惹かれるフレーズ!

ましてや薬学生や新人、若手薬剤師にとって魅力的に映ります。薬剤師になったら、なんらかの専門性を手に入れようとするのが今や常識になりつつあるのです。

何のために資格を取得するのか?

どうして専門性を高めるのか?

もちろん、患者さんのためですよね。立ち止まって考えて欲しいところです。資格は患者さんに還元するための手段に過ぎません。

資格取得はステータスアップのためだけではない!

作者はよく考えもせずに、「とりあえず資格でも取ろうかな、みんなとってるし自分も」と安易に考えていた時期があります。

肩書きを人前で言ってみたいし、名刺とかに書きたい。自分のステータスをアップしてくれるから、損はしないだろうという感じです。(動機が不純でm(_ _)m)

患者さんのためにという部分が、ポイント!

自分のステータスアップを否定するわけじゃないけど、専門性は患者さんのためになってこそ価値があると思います。

  1. 患者さんの薬物療法における問題点を解決したい!
  2. だからスキルアップのために資格をとろう

という流れです。順番が大事だと思います。

専門性を活かすビションが明確になっているか!

資格を取って、どういうことを患者さんに還元できるのか明確になっていることが大切です。

専門性を高めた後に、「さて、患者さんに何をやろうか」と考えるのではありません。

患者さんが抱える問題を解決するための専門性!

実際に働くなかで患者さんの薬物療法における問題点に直面し、自分の知識やスキルに限界を感じた時に、その突破口を開くために専門性を磨くというイメージです。

何をするために資格を取得するのか、専門性を高めるのかをクリアにしておくべきだと思います。

そう考えると、薬学生の頃から、○○専門薬剤師になりたいという点にやや疑問を感じてしまうのです。きっと実習中に、必要性を感じたと思うのですが……。

日常的に使える専門性を高めるのがオススメ

日常業務で使える専門知識をまず身に付けたい!

日常という部分がポイントです。理由は大きく2つあります。

日々アウトプットできる→経験値が増えていく

頑張ってようやく得意分野を手に入れた。

それなのに、使う機会が少なければもったいないです。気がついた時には知識が失われているかも知れません。

専門性は深めていくもの!

たとえば、NST専門療法士という資格を取得したとします。そこで終わりかというとそうではなく、日々の積み重ねで深めていくものです。

実際の患者さんを前に、栄養状態を評価して食事が進まない原因を考えたり、食事や点滴メニューを工夫しながら、栄養療法をサポートしていく中で、経験を積み専門性がより高まっていきます。

日常的にアウトプットできる専門性を!

逆にいうと、普段ほとんど出番がない専門性は(今の環境では)価値が低いです。

患者さんのために使えないばかりか、経験値も増やせない。なぜ専門性を高めたのかという話にもなります。

インプットした知識をアウトプットにより経験にかえるためにも、日常的に使える専門性を習得したいです。

もちろん、いざという時に活用できる専門性も大事!

例えば、がん病棟に配属されてなくても、化学療法を受けている患者さんに関わることだってあるからです。突然、妊婦さんや授乳婦さんの処方にあたる場合もあります。

でも、その機会を狙って専門性を高めるのは、普段使える専門性を身につけてからでいいと思います。

一つの領域を極めるのは簡単ではないし、最低限の基本的知識で対応可能な場合も多く、優先順位は低めだからです。難易度の高い相談は、きっと専門性を身につけた他の薬剤師が窓口になっているはずですよね。

やりがいを感じる機会が増える→モチベーションが続く

日常的に使える専門知識は仕事のやりがいをアップしてくれます。

問題解決の機会が増える!

当然の結果です。高い専門性は薬物療法における問題点を抽出し解決の機会を増やしてくれます。次から次に問題を見つけては解決するいう感じです。

患者さんの役に立てたら、嬉しい!

薬剤師だけでなく医師や看護師、栄養士も含めて医療者にとっての目指すところですよね。薬物療法の問題点を解決して、いい仕事ができたらテンションが上がります。もっと頑張ろうとやる気が出てきますよね。

モチベーションの維持が不可欠!

◯◯という専門性を深めようと思っても、やる気が続かず途中で挫折してしまうこともあります。多忙な日常業務に押されて専門性どころではなくなる場合も。

そんな時にモチベーションを維持してくれるのが仕事のやりがいです。患者さんのためになっていることを日々実感できれば、やる気も継続します。自分の成長を後押ししてくれる原動力です。

仕事にやりがいを感じて、モチベーションを持続させるためにも日常的に活用できる専門性がオススメ!

自分にあった最適な専門性を見つけよう

若手、新人薬剤師は職場環境にふさわしいスキルが何かを考える

数ある専門性の中から、どれを選べば良いのか?考えることがスタート地点です。

今の職場で求められている専門性は何か?

1度、考えてみましょう。たとえば、下記です。

  • 自分の知識やスキルが不足していると感じる分野は?
  • もっと患者さんのケアを充実させるために必要だと感じる領域は?

今の職場におけるニーズを把握して、自分にふさわしい専門性が何か、まず見つけます。

できれば、興味関心がある分野!

どうせやるなら、勉強意欲を高めてくれる分野が見つかればベターです。苦痛を伴いながらより楽しく勉強できた方がいいに決まっています。

あえて苦手分野を選ぶのも賛成!

苦手分野が得意分野になれば、成長も著しいです。見える世界が変わるかも?!最初は修行のようなものがだんだん楽しく勉強できるようになっていく。得意分野よりも伸び代がある苦手分野の方を選択するのはありですね。

自分だけで決めるのが不安なら先輩に相談!

的確なアドバイスがあるはずです。

先輩からオススメの分野に加えて、勉強の仕方や資格の取得方法とか、いろいろと教わることができます。専門性をゲットするまでの道のりが短縮されるでしょう。

「一緒に勉強していこう」と、良い関係性が築ける可能性もあります。先輩や仲間と一緒に専門性を高めるのはいいです。職場全体のスキルアップ、いい感じですね。

薬学生は職場選びが重要!?

薬学生の場合は、どの専門性を伸ばすべきか判断するのは難しいと思います。

実務経験が少なく、患者さんのためにどのような専門知識が求められているかよくわからないはずだからです。(わかってる学生の方がいたら、すいません)

働く職場によって求められる専門性が違う

診療科やあつかう薬の種類などから業務内容は、ある程度予測できても実際に働いてみないとわからないことが多いです。

循環器疾患を中心とした医療機関だと思っていたら、実際にはがんの患者さんの治療やケアの方が充実していたなんてこともありえます。

それに、自分のやりたいことが必ずできる保証はありません。もちろん、意向を汲んでくれるにせよ、任された領域を全うするしかないのが実情だと思います。

◯◯専門薬剤師になりたい人は、資格取得ができる就職先へ

どうしても◯◯という分野で、◯◯専門薬剤師の資格を取りたいなら、就職希望先で資格取得ができるのかを確認しておいたほうが良いです。

施設基準の関係で、要件を満たさない場合もあります。せっかく就職できたのに資格が取れない事態は避けたいものです。

基本的には働いてから決めるでOK!

仕事をしながら考えても全然遅くないです。

実践から職場のニーズを把握して、得意分野を何にするか決めたらいいと思います。実際に働いてみると、◯◯よりも△△の方が自分にあってるなあと思うこともあるからです。

専門性の前に、ジェネラルな知識も大事!

専門性を伸ばすことも大事だけど、まずは日常業務をスムーズにこなすための広範囲にわたる薬の知識が必要です。ベースの知識を取得してから、次のステップで専門性を高めるのがいいと思います。

結論的には、就職してから、経験を積んでそれから考えたらいい!学生の頃は焦って専門分野を決めなくても大丈夫です。

ただし、面接の時には「◯◯専門薬剤師を目指してます」って言ったほうが印象がいいかも知れないですね。(*^_^*)

最後に

専門性は少しずつ、増やしていく

薬剤師×◯◯×△△ですね。がん×抗菌薬とか、循環器×NSTとか、緩和ケア×精神科とかいろんな組み合わせがあります。働く環境によって様々ですね。

最終的には、薬剤師×◯◯×△△×□□×◇◇……。

何年かかるかわからないけど、職場環境に合わせて、必要な専門性はできるだけ身につけておきたいです。薬剤師であるかぎり常に勉強ですね。

組み合わせによって、問題解決のアプローチが変わる!

ここが、面白いところです。解決方法の選択肢が増えるし、そこから最善策をピックアップできるようになります。問題に直面した時に、あたふたせずに目の前の患者さんにとっての最善策を提示できるのは本当に魅力的です。

今回は、薬剤師が専門性を高めるとして、どの領域を得意分野とすればいいのか?考察しました。

結論は、職場環境に適した、日常的に使える(薬物療法の問題を解決できる)専門知識を!です。もちろん、賛否両論あると思いますが、個人の一意見として参考にして頂けたら幸いです。♪

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