ネフィー点鼻液の特徴、エピペン注射液との違いに注目!

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今回のテーマはネフィー点鼻液!アナフィラキシー治療の第一選択であるアドレナリンを成分とする点鼻型の治療薬です。投与経路が点鼻であることが注目されています。同効薬エピペン(筋注)との違いは何か?比較を加えながら、ネフィー点鼻液の特徴をまとめたので解説します。

目次

ネフィー点鼻液とエピペン注射液の比較表

ネフィー点鼻液エピペン注射液
販売2005年4月
一般名アドレナリンアドレナリン
規格1mg、2mg0.15mg・0.3mg
適応蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)
投与方法通常、体重30kg未満の患者には、1回1mgを、体重30kg以上の患者には、1回2mgを鼻腔内に投与する通常、0.01mg/kgが推奨用量であり、患者の体重を考慮して、0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する
禁忌イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)
有効期間24ヶ月0.15mg:20ヶ月
0.3mg:24ヶ月
保管室温室温
携帯ケースありあり
薬価0.15mg:9,673円
0.3mg:10,203円

ネフィー点鼻液とエピペン注射液の共通点

共通点①:成分

ネフィー点鼻液とエピペン注射液の成分はアドレナリンです。生体にあるカテコールアミンの一つで、チロシンと呼ばれるアミノ酸をもとに、ドパミン、ノルアドレナリンを経て生合成されます。主に心機能を亢進させたり、血圧を上昇させる働きがあります。

アドレナリンの作用
  1. α1:血管収縮作用の強化、血管抵抗の増加、血圧上昇、気道の粘膜浮腫の抑制
  2. β1:心収縮力増大、心拍数増加
  3. β2:メディエーターの放出抑制、気管支拡張の促進
共通点②:適応

ネフィー点鼻液とエピペン注射液の適応は、「蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応」に対する補助治療です。アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に用います。

アナフィラキシーの第一選択はアドレナリン注射液の筋肉内注射です!ネフィーやエピペンはあくまでも補助的に使用する薬剤になります。医師の診察を受けるまでに症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための治療薬という位置付けです。医療機関への受診が必要である点は押さえておく必要があります。

原則として本剤投与後は救急搬送の手配を行い、必ず医療機関を受診し適切な治療を受けること。その際、本剤投与状況の確認のため、使用済みの製剤を医療従事者に提示すること

ネフィー点鼻液 電子添文

アナフィラキシーの診断基準

アナフィラキシーガイドライン2022

ネフィー点鼻液の有効性

  • 対象:食物経口負荷試験によって誘発した症状(グレード2以上)を有する6〜17歳のアレルギー患者15例
  • 介入:15〜30kg未満の患者、ネフィー点鼻液1mg、15〜30kg以上の患者、ネフィー点鼻液2mgを鼻腔内に投与
  • 主要評価項目:投与15分後時点または15分後までの代替治療前の最終評価時点における主症状が改善した患者の割合
ネフィー点鼻液 審議結果報告書
共通点③:オンライン受講が必須

ネフィー点鼻液とエピペン注射液は処方する前に、オンライン講習の受講が必要になります。

ネフィー適正使用のフロー
ネフィー点鼻液 適正使用ガイド

ネフィー点鼻液とエピペン注射液の相違点

相違点①剤型

ネフィー点鼻液エピペン注射液
規格1mg2mg0.15mg0.3mg
製剤写真エピペン注射液0.15mg製剤写真エピペン注射液0.3mg製剤写真
投与経路点鼻筋注
携帯ケース
ネフィーガイドブック

エピペンガイドブック
製剤写真はメーカーHPより

薬物動態の比較(単回投与)において、ネフィー点鼻液2mgはエピペン注射液0.3mgに比べて、Cmaxが低く、Tmaxが遅延、AUCは高いことが示されています。一方で、薬力学の比較(単回・2回投与)では、ネフィー点鼻液2mgはエピペン注射液0.3mgに比べて、SBP(収縮期血圧)、PR(脈拍数)の変化量が大きく、同指標の変化量推移は同程度または上回る傾向が認められています。

ネフィー点鼻液 審議結果報告書

ネフィー点鼻液の使い方
ネフィーガイドブック
エピペン注射液の使い方
エピペンガイドブック
エピペンガイドブック

ネフィー点鼻液とエピペン注射液は投与経路が異なります。ここが1番の違いですね。注射に伴う痛み、心理的ストレスがなく、簡便に投与できるネフィーを選択するケースが増えると思います。ちなみに、薬物動態や薬力学の違いによって、使い分けるのか、気になりますね。あと、携帯性はネフィーの方が良さそうな印象を受けました。

相違点②投与量

ネフィー点鼻液エピペン注射液
規格1mg、2mg0.15mg、0.3mg
用法用量体重30kg以上
・1回2mg
体重30kg未満
・1回1mg
鼻腔内に投与する
15kg未満は慎重に
成人
・0.3mg
小児
・0.3mg又は0.15mg
筋肉内に注射する
0.01mg/kgを超える場合(15kg未満に0.15mg、30kg未満に0.3mg)は慎重に

ネフィー点鼻液は2回目の投与が可能です。その際には1回目と同じ鼻孔からの投与が望ましいとされています。より高い効果(暴露量の増大)を得るためです。1回目投与で残った添加物DDMが粘膜の粘性、膜流動性を変化させ、細胞間結合を緩めることで吸収が増えると考えられています。

効果不十分な場合には、1回目の投与から10分以降を目安に、2回目の投与ができる。2回目投与時は1回目と同一鼻孔に投与することが望ましい。追加投与を行うべき状況、症状等については、本剤を患者に交付する際に患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に指導すること。

ネフィー点鼻液 電子添文

同様にエピペンも2回以上の繰り返し投与が可能です。ガイドラインや対応マニュアル(東京都)に記載されています。

アドレナリンの効果は短時間で消失するため、症状が治療抵抗性を示す場合は、5〜15分毎に繰り返し投与する

アナフィラキシーガイドライン2022
食物アレルギー緊急時対応マニュアル

ネフィー点鼻液は体重をもとに2種類の規格を選択します。15kg未満の患者では、過剰作用の懸念があり、慎重投与の扱いです。一方で、エピペン注射液は年齢(成人または小児)をもとに、小児では体重を加味して選択します。また、医療過疎地域にあたる場合には、2回投与の必要性を考慮する点は同様です。

相違点③使用期限の管理プログラム

ネフィー点鼻液エピペン注射液
登録方法WEBハガキアプリWEBハガキ
手順①ネフィー製品ホームページの登録用サイトにアクセス
②必要事項を入力
①登録ハガキに記入
②ポストに投函
①アプリ「マイエピ」のダウンロード
②エピペン新規追加ボタンをタップ
③製造番号と使用期限を撮影
①エピペンサイトへアクセス
②メールアドレス、パスワード、製品規格、製品番号、使用期限を入力
①登録ハガキに記入
②ポストに投函
案内方法メールハガキメールとプッシュ通知メール
ハガキ
案内時点使用期限が切れる約1ヶ月前使用期限が切れる約1ヶ月前

使用期限に近づくと医療機関に受診し、新しい製剤の処方を受ける必要があります。ネフィー点鼻液は①WEBと②ハガキエピペン注射液はそれに加えて③アプリで登録可能です。今までアプリで管理していた人は、ネフィーに切り替える場合に、方法が異なる点は説明が必要ですね。

まとめ

今回はネフィー点鼻液の特徴について、エピペン注射液と比較しながら解説しました。1番の違いは剤型(投与経路)ですね。点鼻薬は注射薬に比べて簡便に、躊躇なく投与できます。また、コンパクトな形状も魅力ですよね。一方で、期待した効果を得るためには、薬の使い方に対する正しい理解、有効期限の管理等も欠かせません。特に、医療機関に受診するまでの補助的な治療薬である点はエピペン同様に留意しておく必要があります。本記事が両薬剤の知識整理にお役立て頂けたら幸いです!

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