【相違点は?】フィアスプ注の特徴をノボラピッド注と比較してみた

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今回のテーマはフィアスプ注!

有効成分はインスリンアスパルト。ノボラピッド注と同じです。

どちらも超速効型インスリンに分類されます。

フィアスプノボラピッドは何が違うのか?

両薬剤を比較しながらまとめたので共有したいと思います。

目次

フィアスプとノボラピッドの基本情報

まずは基本情報の比較から。

商品名フィアスプノボラピッド
分類超速効型インスリン超速効型インスリン
有効成分インスリンアスパルトインスリンアスパルト
添加物フェノール
m-クレゾール
濃グリセリン
酸化亜鉛
リン酸水素Na
Lーアルギニン
ニコチン酸アミド
塩酸
水酸化Na
フェノール
m-クレゾール
濃グリセリン
酸化亜鉛
リン酸水素Na
塩酸
水酸化Na
塩化Na
剤型フレックスタッチ
ペンフィル
バイアル
フレックスタッチ
フレックスペン
イノレット
ペンフィル
バイアル
効能効果インスリンが適応となる糖尿病インスリンが適応となる糖尿病
投与時点食事開始時
または食事開始後
食直前
保存期間4週間(1〜30℃)4週間(1〜30℃)
添付文書より作成

相違点(マーカー部分)の前に

フィアスプとノボラピッドの共通点は下記です。

  • 分類…超速効型インスリン
  • 有効成分…インスリンアスパルト
  • 適応…インスリンが適応の2型糖尿病
  • 使い方…Basal Bolus療法(超速効型+持効型インスリン)
  • 保存期間…4週間(1〜30℃)

どちらも、Basal Bolus療法で使います。生体のインスリン分泌に合わせて超速効型と持効型インスリンを組み合わせた治療法です。

(用法及び用量)

本剤は持続型インスリン製剤と併用する超速効型インスリンアナログ製剤である。

フィアスプ注、ノボラピッド注 添付文書より

フィアスプとノボラピッドの相違点

一方で、相違点は何か?

大きく3つです。

  1. 剤型
  2. 効果発現時間
  3. 投与タイミング

順番に見ていきましょう。

剤型の違い

まず一つ目。違いはプレフィルド製剤のラインナップです。

フィアスプ
ノボラピッド
  • プレフィルド製剤
    フレックスタッチ
  • カートリッジ製剤
    ・ペンフィル
  • バイアル製剤
  • プレフィルド製剤
    フレックスタッチ
    フレックスペン
    イノレット
  • カートリッジ製剤
    ・ペンフィル
  • バイアル製剤

フィアスプはフレックスタッチのみで、イノレットやフレックスペンの設定がありません。

フィアスプの製剤写真

ノボ ノルディスクファーマ ホームページ製品情報より

ノボラピッドの製剤写真

ノボ ノルディスクファーマ ホームページ製品情報より

といっても、特に問題はないと思います。フレックスタッチは使い勝手を改良したデバイスだからです。従来の製剤よりも以下の点が改良されています。

フレックスタッチの特徴
  • 注入ボタンが軽く、より小さい力で注入できる
  • 注入単位設定時のクリック感やクリック音を強くし、視力が弱い人も確実 に単位設定できる
  • 注入完了時に「カチッ」と音がするので、注入完了を確認できる
  • 他のインスリンと識別しやすくするために、カートリッジホルダーに色づけ

ノボ ノルディスクファーマ フレックスタッチの使い方

ただし、今までノボラピッドのイノレットやフレックスペンで慣れている人にとっては、切り替えが難しいケースがあるかも知れません。

効果発現時間

続いて2つ目。両薬剤は効果発現時間が異なります。

フィアスプの方が

効果発現時間が約5分最大効果までの時間が約18分速く現れます

フィアスプノボラピッド
onset of
action(min)
20.19±6.9325.45±8.04
t50%GIRmax
(min)
37.49±7.5747.31±12.20
tGIRmax
(min)
119.42±30.62137.98±40.95
フィアスプ注、IF、日本人成人1型糖尿病患者における単回投与試験の結果

onset of action:投与から血糖値がベースラインより5mg/dL以上低下するまでの時間、 t50%GIRmax:グルコース注入速度(GIR)が最大値(GIRmax)の50%を超えた最初の時点までの時間、tGIRmax:GIRmax到達時間

フィアスプとノボラピッド:血中濃度推移

下図のように、フィアスプの方が血中濃度の立ち上がりが速いことがわかります

フィアスプノボラピッド
onset of
appearance(min)
2.98±1.137.05±3.22
AUC 0-15min
(pmol×h/L)
15.804.83
AUC 0-30min
(pmol×h/L)
65.8233.95
AUC 0-12h
(pmol×h/L)
641.13644.41
フィアスプ注IF 日本人成人1型糖尿病患者における単回投与試験結果

onset of appearance:投与からインスリンアスパルト濃度が定量下限値に最初に達するまでの時間

では、どうして速効性が期待できるのか?

気になりますよね。成分が同じなのにどうして?疑問が湧きました。

調べてみると、添加物であるニコチン酸アミドがスピードアップに関係しています。末梢の血管拡張作用により、インスリンアスパルトの血中吸収速度が上がるのがメカニズムです。

フィアスプは2種類の添加物が増えています。

フィアスプ
ノボラピッド
  • フェノール
  • m-クレゾール
  • 濃グリセリン
  • 酸化亜鉛
  • リン酸水素ナトリウム
  • 塩酸
  • 水酸化ナトリウム
  • Lーアルギニン
  • ニコチン酸アミド
  • フェノール
  • m-クレゾール
  • 濃グリセリン
  • 酸化亜鉛
  • リン酸水素ナトリウム
  • 塩酸
  • 水酸化ナトリウム
  • 塩化ナトリウム

Lーアルギニンとニコチン酸アミドを加えた目的は下記です。

・ニコチン酸アミド…末梢血管拡張(血中への吸収アップ)
・Lーアルギニン…製剤の安定化

もともと、インスリンアスパルトはヒトインスリンを改良して速効性を高めたものです。具体的にはヒトインスリンβ鎖の28位プロリン残基をアスパラギン酸に置換することで、投与後の解離スピードが速くなりました。

(作用機序・作用部位)

インスリンアスパルトは、インスリンB鎖28位のプロリン残基をアスパラギン酸に置換したインスリンアナログであり、製剤中では亜鉛イオンあるいはフェノール等の作用により弱く結合した六量体を形成している。皮下注射後は体液で希釈されることにより、六量体から急速に二量体、単量体へと解離して速やかに血中に移行し、インスリンレセプターに結合し、インスリンで認められる次の作用により短時間で血糖降下作用を発現する。

ノボラピッド注 インタビューフォーム

フィアスプは、ノボラピッドの有効成分をそのままに、添加物の追加によりさらに速く効く(超)超速効型インスリン製剤だといえます。

参考までに

ルムジェブも登場!

超速効型のインスリンリスプロにトレプロスチニルとクエン酸を加えて吸収速度を高めた製剤になります。添加物の種類は違えど、開発コンセプトは一緒です。

投与タイミング

最後に3つ目。投与タイミングが異なります。

フィアスプ
ノボラピッド
  • 食事開始時または食事開始後
  • 食直前

フィアスプの投与時点は2パターンです。

食事開始2分前以内
食後20分以内

ノボラピッドに比べてのメリットは2つあります。

  1. 投与後すぐに食事を開始できる!
  2. 食後にも投与できる!

食事開始2分前以内投与でOK

フィアスプは投与後すぐに食事を始められます

血糖効果作用がよりスピーディーになり、食事の2分前以内に投与しても、食後に血糖値が上がるタイミングに間に合うからです。ここが魅力ですね。

ノボラピッドが「食直前=食事開始10〜15分前」だとすると、かなり短縮されました。

特に、食事のタイミングが不規則な人には向いています。たとえば、タクシー運転手や営業マンなど。仕事の空いた時間にささっと食事を済ませるのに、インスリン投与と食事開始までのタイムラグを気にしなくてもよいからです。

フィアスプは、食事開始2分前以内投与。「今からご飯を食べよう」と思い立った時に投与して、すぐにご飯が食べられます。食事のタイミングが不規則であったり、わからない場合に対応しやすいのがメリットですね。

インスリン投与タイミングの比較
  • ノボリンR注…食事の30分前(食前投与)
  • ノボラピッド注…食事の10〜15分前(食直前投与)
  • フィアスプ注…食事の2分前(食直前投与)

食後にも投与できる!

フィアスプは食前投与以外の用法があります

食事を始めて20分以内の投与

これが驚きですね。インスリンは食前という常識が覆されたわけです。ここがメーカーの売りですね。

ノボラピッドは食前投与なので、投与後にご飯を食べてくれない患者さんでは低血糖の危険性があります。病院や介護施設では、食事量が安定しない人が多く、投与の可否を悩むことは結構ありましたよね。

一方で、フィアスプは大丈夫。食事量を見て投与の可否が判断できるし、単位数を調節することもできるからです。

フィアスプは食後に投与可能なインスリン製剤。食欲不振や体調不良で、食事の摂取量が予想できないケースに有用だといえます。「今日は結構食べてくれた、じゃあ投与しよう」というふうに、現場のニーズに応えてくれるのがメリットですね。

ただし、注意点があります

基本は食前投与である点。なぜなら、臨床試験において投与後26週までのHbA1c変化量がノボラピッドと比べて非劣性であったものの、フィアスプ食後投与は食前投与に比べて劣る可能性が示唆されたからです。

臨床試験の結果は以下のとおりでした。

製剤フィアスプフィアスプノボラピッド
投与時点食前投与食後投与③食前投与
HbA1c(変化量)
※26週時点
-0.12
③に対して非劣性
-0.002
③に対して非劣性
-0.10
食後血糖値(変化量)
※26週時点
-18.34
③に対して優越性
16.16
③に対して劣性
-2.10

なぜ、食後投与の方がデータがよくないのかというと、投与タイミングの遅れが原因とされています。食前投与に比べて食後血糖値を十分に抑え切れないためです。

だから、通常は食前投与になります。しかし食後投与の必要性が高いと判断される患者さんでは食後投与も可という扱いです。積極的に推奨されているわけではありません。

「基本は2分前以内、必要に応じて食事開始後20分以内も可」ということ。ここは押さえておきたいポイントですね。

(用法及び用量に関連する注意)

本剤は、ノボラピッド注より作用発現が速いため、食事開始時(食事開始前の2分以内)に投与すること。また、食事開始後の投与の場合は、食事開始から20分以内に投与すること。なお、食事開始後の投与については、血糖コントロールや低血糖の発現に関する臨床試験成績を踏まえた上で、患者の状況に応じて判断すること。

フィアスプ注、添付文書

まとめ

今回は(超)超速効型インスリン製剤であるフィアスプ注について、超速効型のノボラピッド注と比較しながら相違点を解説しました。

記事を書きながら印象に残ったのは大きく3つ。

まず、①速効性を高めたメカニズムです

まさか、添加物の変更で新しい薬が開発されたと思っていなかったので、目からウロコでした。

それから、②食後投与が可能である点

驚きました。確かに臨床においてニーズがあります。今までは、あまり意識できていなかった、食前投与が実は難しいものであることを学ぶきっかけとなりました。

フィアスプは、患者さんごとの生活スタイルに合わせて、投与時点を選択できるのが強みですね♪

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