今回のテーマはイノソリッドとイノラスの違い!
どちらも「経腸栄養」に用いる「半消化態」の栄養剤です。

どのような違いがあるのか?
ポイントをまとめたので共有します。
イノソリッドとイノラスの比較表
イノソリッド配合経腸用 半固形剤 | イノラス配合経腸用液 | ||
---|---|---|---|
販売開始 | 2025年1月 | 2019年6月 | 2023年5月 |
規格 | 300g/袋 | 187.5mL/袋 | 125mL/袋 |
カロリー | 1kcal/g | 1.6kcal/mL | |
糖質 | 13.8g/100g | 21.2g/100mL | |
たんぱく質 | 4.5g/100g | 6.4g/100mL | |
脂質 | 2.8g/100g | 5.2g/100mL | |
水分含量 | 約76% | 約75% | |
粘度(mPa・S) | 6000〜12000 (20℃) | 17 | |
電解質 | ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 塩素 | ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 塩素 | |
ビタミン | レチノールパルミチン酸エステル コレカルシフェロール トコフェロール酢酸エステル フィトナジオン チアミン リボフラビン ピリドキシン シアノコバラミン アスコルビン酸 ニコチン酸アミド パントテン酸 葉酸 ビオチン | レチノールパルミチン酸エステル コレカルシフェロール トコフェロール酢酸エステル メナテトレノン フルスルチアミン リボフラビン ピリドキシン シアノコバラミン アスコルビン酸 ニコチン酸アミド パントテン酸 葉酸 ビオチン | |
微量元素 | 鉄 亜鉛 マンガン 銅 ヨウ素 セレン クロム モリブデン | 鉄 亜鉛 マンガン 銅 ヨウ素 セレン クロム モリブデン | |
その他 | イヌリン カルニチン コリン | イヌリン カルニチン コリン | |
脂質成分 | トリカプリリン リノール酸 α-リノレン酸 ドコサヘキサエン酸 | トリカプリリン リノール酸 α-リノレン酸 ドコサヘキサエン酸 | |
その他 | カルニチン コリン イヌリン | カルニチン コリン イヌリン | |
用法用量 | 1日900~1,500g (900~1,500kcal) 胃瘻より胃内に1日数回に分けて投与 投与時間 100g当たり2~4分(300g当たり6~12分)とし 1回の最大投与量は600gとする | 1日562.5~937.5mL (900~1,500kcal) 経管又は経口投与する 経管投与の投与速度は50~400mL/時間とし 持続的又は1日数回に分けて投与する。経口投与は1日1回又は数回に分けて投与する。 なお、年齢、体重、症状により投与量、投与速度を適宜増減する。 |
イノソリッドとイノラスの共通点
大きく4つあります。
- 経腸栄養に用いる
- 半消化態栄養剤
- 適応
- 開発コンセプト
- ①経腸栄養に用いる
-
イノソリッドとイノラスは経腸栄養に用います。栄養療法は「静脈栄養」と「経腸栄養」に分かれ、消化管が使用できない場合には静脈栄養、使用できる場合は経腸栄養を選択するのが基本です。経口摂取が困難な周術期や胃瘻等からの長期栄養管理に用います。
大塚製薬工場HP 経腸栄養 - ②半消化態栄養剤
-
イノソリッドとイノラスは「半消化態」の栄養剤です。経腸栄養剤は主にタンパク質組成の違いにより3つのグループに分かれます。
- 半消化態栄養剤
- 消化態栄養剤
- 成分栄養剤
半消化態栄養剤 消化態栄養剤 成分栄養剤 製剤名
液体イノラス、エンシュアリキッド、エンシュアリキッド・H、エネーボ、ラコール ツインライン エレンタール 製剤名
半固形イノソリッド、ラコール 窒素源 タンパク質 アミノ酸、ジまたはトリペプチド アミノ酸 消化の要否 要 一部要 不要 イノソリッドとイノラスは窒素源がタンパク質であり、腸管で消化されたのちに吸収されます。逆にいうと、消化機能が低下した人には向いていません。消化吸収不良を起こすからです。
栄養剤は、消化管の機能によって選択します。たとえば、しばらく絶食が続いた人では、消化吸収機能が落ちており、消化が不要な成分栄養剤から始めます。その後、消化機能の回復に応じて、消化体栄養剤や半消化態栄養剤へ変更し、最終的には普通の食事に移行するかたちです。下図のように、消化機能に合わせて段階的に栄養剤の形態をアップしていきます。
STEPまず、成分栄養剤を選択消化機能低下
消化を要しない栄養剤を選択STEP次に、消化態栄養剤や半消化態栄養剤消化機能やや改善
消化を要する栄養剤を選択 - ③適応
-
イノソリッドとイノラスは「適応が同じ」です。周術期(消化機能が維持された)や経口摂取が難しい場合の長期の栄養管理に用います。
(効能又は効果)
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。
イノソリッド配合経腸用半固形剤、イノラス配合経腸用液、電子添文より - ④開発コンセプト
- スクロールできます
イノソリッド
配合経腸用半固形剤イノラス
配合経腸用液比較 ラコールNF
配合経腸用半固形剤ラコールNF
配合経腸用液1日量 900~1500g 562.5~937.5mL < 1200~2000g 1200~2000mL 1日カロリー
(kcal)900~1500 900~1500 < 1200~2000 1200~2000 微量元素 ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン その他 コリン、カルニチン、イヌリン 各製剤、電子添文より作成 イノソリッドとイノラスは低用量で1日に必要なビタミン・微量元素等を補給できる製剤です。また、最新の栄養学的知見に基づき、微量元素(ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン)、コリン、カルニチン、イヌリン(食物繊維)等も配合されています。最近では1日900kcal程度の低エネルギーで栄養管理されている方が多く、従来の栄養剤(ラコールやエンシュア)では標準投与量を下回り、長期栄養管理において欠乏症のリスクがありました。
維持エネルギー量の低い患者の栄養管理にも配慮し、900kcalの投与で1日に必要なビタミン・微量元素をほぼ充足できる処方設計となっている
イノソリッド配合経腸用半固形剤、イノラス配合経腸用液、インタビューフォーム
ここからが本題!イノソリッドとイノラスの相違点について見ていきましょう。大きく7つあります。
- 剤型
- 規格
- 栄養素(糖・タンパク・脂質)
- 電解質
- ビタミン
- 微量元素
- 投与方法
イノソリッドとイノラス:剤型の違い
イノソリッド 配合経腸用半固形剤 | イノラス 配合経腸用液 | |
---|---|---|
剤型 | 半固形 | 液体 |
粘度 (mPa・s) | 6000〜12000 | 17 |
ここが1番の違いですね。イノソリッドは半固形製剤です。形状はちょうどハチミツやマヨネーズ(6000〜12000mPa・s)のイメージですね。一方で、イノラスの方は液状の製剤。醤油やウスターソース(5mPa・s)と同じくらいの粘度です。
- 半固形製剤のメリットは?
-
①短時間で投与できる
理由)胃の伸展を促し、胃内貯留能や滞留時間を増加させるから
離床が進み、早期回復を促す、介護者の負担も軽減できる・イノソリッド半固形…1パウチ300gあたり、6〜12分で投与
・イノラス…1パウチ187.5mLあたり、約0.5〜4時間で投与イノソリッド配合経腸用半固形剤、イノラス配合経腸用液、電子添文より
②注入トラブルが低減できる
理由)上記同様
嘔吐や吐き気、誤嚥性肺炎、胃瘻からの液漏れ、下痢やダンピング症状等ダンピング症候群とは食物が胃に貯留されずに急に小腸に流れ込み、不快な症状を引き起こす病態です。胃切除後に起こりやすい術後の合併症のひとつ。糖分の急速な吸収による食後30分以内におこる早期ダンピング(冷汗、動悸、倦怠感など)と急激なインスリン分泌に伴う低血糖に起因する後期ダンピング(食後2〜3時間後)があります。
イノソリッドとイノラス:規格の違い
イノソリッド 配合経腸用半固形剤 | イノラス 配合経腸用液 | |
---|---|---|
製剤写真 | ![]() ![]() | ![]() ![]() ![]() ![]() |
規格 | 1規格 | 2規格 標準量(300kcal/187.5mL) 低用量(200kcal/125mL) |
イノソリッドは1規格のみ。1袋300gの製剤を1日3〜5袋を投与します。エネルギー(熱量)は1日900,1200,1500kcalの3パターンです。一方、イノラスは2規格あります。低規格125mLの発売により細かく投与量を調節できるようになりました。
イノソリッド300g (300kcal) | イノラス187.5mL/袋 (300kcal) | イノラス125mL/袋 (200kcal) | |
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900kcal | 3袋 | 3袋 | |
1000kcal | 5袋 | ||
1100kcal | 3袋 | 1袋 | |
1200kcal | 4袋 | 4袋 | |
1300kcal | 3袋 | 2袋 | |
1400kcal | 4袋 | 3袋 | |
1500kcal | 5袋 | 5袋 |
イノソリッドとイノラス:栄養素の違い
イノソリッド 半固形剤 | イノラス 液 | |
---|---|---|
規格 | 300g/袋 | 187.5mL/袋 125mL/袋 |
カロリー | 1kcal/g | 1.6kcal/mL |
糖質 | 13.8g/100g マルトデキストリン | 21.2g/100mL 部分加水分解デンプン (マルトデキストリン) |
たんぱく質 | 4.5g/100g 濃縮乳たん白質 カゼインナトリウム | 6.4g/100g 濃縮乳たん白質 カゼインナトリウム |
脂質 | 2.8g/100g トリカプリリン ダイズ油 シソ油 魚油 | 2.2g/100g トリカプリリン コーン油 シソ油 魚油 |
①カロリー:イノソリッド<イノラス
カロリー
イノソリッド:イノラス=1:1.6
イノラスの方が単位あたりのカロリーが高いです(イノソリッドの1.6倍)。低用量でハイカロリーを投与できる、ここが強みですね。
イノソリッド | イノラス | エンシュア | ラコールNF | エンシュア・H | エネーボ | |
---|---|---|---|---|---|---|
メーカー | 大塚製薬 | 大塚製薬 | アボットジャパン | 大塚製薬 | アボットジャパン | アボットジャパン |
カロリー | 1kcal/g | 1.6kcal/mL | 1kcal/mL | 1kcal/mL | 1.5kcal/mL | 1.2kcal/mL |
②糖質:イノソリッド<イノラス
糖質
イノソリッド:イノラス=1:1.5
イノラスの方が単位あたりの糖質量が多いです(イノソリッドの約1.5倍)。成分は一緒ですね。マルトデキストリンはデンプンを部分的に加水分解したものです。
③タンパク質:イノソリッド<イノラス
タンパク質
イノソリッド:イノラス=1:1.4
イノラスの方が単位あたりに含まれるタンパク質量が多いです(イノソリッドの約1.4倍)。成分は一緒。濃縮乳たん白質、カゼインナトリウムが原料であり、どちらも牛乳アレルギーのある方は注意が必要ですね。
禁忌
イノソリッド配合経腸用半固形剤、イノラス配合経腸用半固形剤、電子添文より
牛乳たん白アレルギーのある患者[本剤は牛乳由来のたん白質が含まれているため、ショック、アナフィラキシーを引き起こすことがある。]
イノソリッド | イノラス | エンシュア | ラコールNF | エンシュア・H | エネーボ | |
---|---|---|---|---|---|---|
タンパク質 | 4.5g/100g | 6.4g/100mL | 3.5g/100mL | 4.4g/100mL | 5.3g/100mL | 5.4g/100mL |
④脂質:イノソリッド>イノラス
脂質
イノソリッド:イノラス=1.3:1
ここはイノソリッドの方が単位あたりに含まれる脂質の量が多く、イノラスの約1.3倍です。成分は異なります。イノソリッドは、大豆油を含み、大豆アレルギーの方には投与を避けるのが基本です。
食物アレルギーのある方への対応です!
イノソリッド配合経腸用 半固形剤 | イノラス配合経腸用 液 | |
---|---|---|
牛乳 アレルギー | 禁忌 | 禁忌 |
大豆アレルギー | (避ける) | 注意
イノラス配合経腸用液、イノソリッド配合経腸用半固形剤、ラコールNF配合経腸用液、ラコールNF配合経腸用半固形剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、牛乳たん白アレルギーを有する患者は禁忌に該当します。
イノラス配合経腸用液には「濃縮乳たん白質」と「カゼインナトリウム」が配合されているため、牛乳アレルギーのある患者に投与することはできません。大豆由来の成分は含まれておりませんので、大豆アレルギーのある患者には投与可能です。
ラコールNF配合経腸用液の製品Q&A イノソリッド配合経腸用半固形剤には、「濃縮乳たん白質」と「カゼインナトリウム」が配合されているため、牛乳アレルギーのある患者に投与することはできません。
「ダイズ油」が配合されており、ダイズ油中のアレルゲンに関する詳細な知見は得ておりませんが、、大豆由来アレルゲン以外の物質に対してもアレルギー反応が出てくる可能性がありますので、大豆アレルギーのある患者の場合は十分に経過観察を行いながら投与してください。
イノソリッドとイノラス:電解質の違い
種類 | ①イノソリッド 半固形剤 300kcal/袋 | 比較 | ②イノラス 液 300kcal/袋 | ①÷② |
---|---|---|---|---|
ナトリウム | 393mg (17mEq) | > | 270.0mg (12mEq) | 1.46 |
カリウム | 552mg | ≒ | 551mg | 1.00 |
カルシウム | 293.4mg | > | 266.6mg | 1.10 |
マグネシウム | 123.6mg | ≒ | 123.4mg | 1.00 |
リン | 333.6mg | ≒ | 333.4mg | 1.00 |
塩素 | 663mg | > | 416mg | 1.59 |
イノソリッドとイノラスはどちらも、1日900kcalの投与により日本人の食事摂取基準(イノソリッド:2020年版、イノラス2015年版)に基づくビタミンとミネラルの推奨量又は目安量をほぼ充足できるよう設計された製剤です。
電解質に関して、押さえておきたい相違点はNaとClの量です。イノソリッドはナトリウムと塩素が強化されています。イノラスの約1.5倍です。食塩に換算すると1日3〜5g(900〜1500kcal)に相当し、長期の経腸栄養患者ではナトリウム不足に対して、食塩を補充するケースが少なくなく、この点は有用性が期待できると考えられます。
イノソリッドとイノラス:ビタミンの違い
種類 | ①イノソリッド 半固形剤 300kcal/袋 | 比較 | ②イノラス 液 300kcal/袋 | ①÷② |
---|---|---|---|---|
チアミン | 369μg | < | 466.3μg | 0.79 |
リボフラビン | 534μg | = | 534μg | 1.00 |
ピリドキシン | 468μg | ≒ | 469μg | 1.00 |
シアノコバラミン | 1.500μg | = | 1.500μg | 1.00 |
アスコルビン酸 | 66.9mg | ≒ | 66.6mg | 1.00 |
ニコチン酸アミド | 5.01mg | = | 5.01mg | 1.00 |
パントテン酸 | 2001μg | = | 2001μg | 1.00 |
葉酸 | 80.1μg | = | 80.1μg | 1.00 |
ビオチン | 16.68μg | ≒ | 16.69μg | 1.00 |
レチノールパルミチン酸エステル | 300μg | > | 283.1μg | 1.07 |
コレカルシフェロール | 5.01μg | = | 5.01μg | 1.00 |
トコフェロール酢酸エステル | 7479μg | = | 7479μg | 1.00 |
フィトナジオン | 24.99μg | = | 24.99μg メナテトレノン | 1.00 |
イノソリッドとイノラスはどちらも、1日900kcalの投与により日本人の食事摂取基準(イノソリッド:2020年版、イノラス2015年版)に基づくビタミンとミネラルの推奨量又は目安量をほぼ充足できるよう設計された製剤です。
ビタミンの含有量に関して、イノソリッドはイノラスに比べてビタミンB1が少なく、ビタミンAが多く配合されています。この点、製剤を特徴づけるだけの違いではないと考えられます。どちらもビタミンK(K1とK2の違いあり)が配合されており、ワルファリンとの相互作用には注意が必要です。
(併用注意)
イノソリッド配合経腸用半固形剤、イノラス配合経腸用液、電子添文
ワルファリンの作用が減弱することがある。
・イノソリッド:フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はフィトナジオンを24.99μg/300g含有)
・イノラス:メナテトレノン(ビタミンK2)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はメナテトレノンを16.66μg/125mL(200kcal)、24.99μg/187.5mL(300kcal)含有)
イノソリッドとイノラス:微量元素の違い
種類 | ①イノソリッド 半固形剤 300kcal/袋 | 比較 | ②イノラス 液 300kcal/袋 | ①÷② |
---|---|---|---|---|
鉄 | 3669μg | ≒ | 3666μg | 1.00 |
亜鉛 | 3669μg | < | 3999μg | 0.92 |
マンガン | 1335μg | ≒ | 1331μg | 1.00 |
銅 | 300μg | = | 300μg | 1.00 |
ヨウ素 | 43.5μg | ≒ | 43.1μg | 1.01 |
セレン | 16.8μg | ≒ | 16.9μg | 0.99 |
クロム | 13.5μg | ≒ | 13.1μg | 1.03 |
モリブデン | 10.2μg | ≒ | 9.9μg | 1.03 |
イノソリッドとイノラスはどちらも、1日900kcalの投与により日本人の食事摂取基準(イノソリッド:2020年版、イノラス2015年版)に基づくビタミンとミネラルの推奨量又は目安量をほぼ充足できるよう設計された製剤です。
微量元素の含有量に関して大きな差はありませんが、イノソリッドはイノラスに比べて亜鉛が少なめです。
イノソリッドとイノラス:投与方法の違い
イノソリッド | イノラス | |
---|---|---|
1日投与量 | 900〜1500g | 562.5~937.5mL |
水分含有量 | 228mL/300g | 約93mL/125mL 約140mL/187.5mL |
経口投与 | ||
経鼻胃管 | ||
胃ろう(PEG) | ||
腸ろう |
①イノラスはイノソリッドに比べて1日投与量が少なく設定されています。高濃度(ハイカロリー・高タンパク)であり、同じカロリーを投与する場合でも液量が少なくて済むからです。
切り替え時には水分量の調整が必要になります。
イノソリッド | イノラス | |
---|---|---|
水分含有率 | 約76% | 約75% |
水分含有量 | 228mL/300g | 約93mL/125mL 約140mL/187.5mL |
例えば900kcalを投与している場合
・イノソリッドの水分量は228×3=684mL …①
・イノラスの水分量は140×3=420mL…②
イノソリッドからイノラスへ変更するときには、約250mL(②−①)の水分を加える必要があります。加水のタイミングは以下の通りです。


イノソリッドは半固形製剤であり、胃ろう(PEG)から投与します。経鼻胃管や腸ろうからの投与はできません。チューブ径が細く、閉塞の可能性があるからです。また、経口投与も適応外であり、勧められておりません。一方で、イノラスは液体の製剤であり、経口投与に加えて、経鼻胃管や胃ろう、腸ろうからの投与も可能です。
- イノソリッド半固形剤、ラコールNF半固形剤を経口投与することはできますか?
-
イノソリッド配合経腸用半固形剤およびラコールNF配合経腸用半固形剤の経口投与は用法外使用です。安全性の検討なども行っていません。特に、嚥下障害のある患者では誤嚥などのおそれもありますので経口投与しないようにしてください。
大塚製薬工場ホームページ よくある質問より - イノソリッド半固形剤、ラコールNF半固形剤を空腸瘻や経鼻法を用いて投与することはできますか?
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イノソリッド配合経腸用半固形剤およびラコールNF配合経腸用半固形剤の空腸瘻や経鼻胃管からの投与は用法外使用です。また、経鼻法や空腸瘻に用いるチューブ径は胃瘻チューブと比較すると細いため、薬剤の通過性が悪く、詰まりの原因になります。さらに、本剤を短時間で腸瘻から投与すると、腹部膨満感・下痢・腹痛などの消化器症状を引き起こしたり、ダンピング症状が現れたりするおそれもあります。
大塚製薬工場ホームページ よくある質問より
まとめ
今回はイノソリッドとイノラスの違いについてまとめました。押さえておきたい相違点は以下の通りです。
イノソリッド | イノラス | |
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剤型 | 半固形 注入トラブル軽減 注入時間の短縮 | 液体 |
規格 | ①300g/袋 | ①187.5mL/袋 ②125mL/袋 用量調節に優れる |
投与量 | 900〜1500g/日 | 562.5~937.5mL/日 水分負荷が少ない |
カロリー | 1kcal/g | 1.6kcal/g ハイカロリー |
タンパク質 | 4.5g/100g | 6.4g/100g 高タンパク |
大豆アレルギー | 大豆油含有 | 避ける投与可 |
投与経路 | 胃ろうのみ | 経口、経鼻胃管、胃ろう、腸ろう |