デノシン点滴静注とホスカビル注の違いは?

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今回のテーマはデノシンとホスカビル!

どちらもサイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)による感染症の治療薬です。CMVはヘルペスウイルスの1種です。

両薬剤の特徴は?
どのような違いがあるのか?

添付文書を見たところ、難解な印象を受けました…^_^

勉強がてら、まとめたので共有します。

ヘルペスウイルスの種類
名称(略号)臨床像
1単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)主に、口唇ヘルペス
2単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)主に、性器ヘルペス
3水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)水痘、帯状疱疹
4エプスタインーバーウイルス(EBV)伝染性単核球症
5サイトメガロウイルス(CMV)CMV感染症
6ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)主に、突発性発疹、脳炎
7ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7) 主に、突発性発疹
8カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(HHV-8) カポジ肉腫、AIDS関連非ホジキンリンパ腫等

MSDマニュアル プロフェッショナル版、サイトメガロウイルス(CMV)感染症

サイトメガロウイルス(CMV)とは
  • ヒトヘルペスウイルスの1種(ヘルペスウイルス5型:HHV-5)
  • 2本鎖DNAウイルス、エンベロープ(脂質二重構造)あり
  • 感染経路は血液や体液、移植臓器を介して(経胎盤または産道的にも成立)
  • 感染してもほとんどが無症状(不活性状態で組織にとどまる)
  • 重篤な症状が見られるのは、胎児の時に感染した乳児(初回感染)、エイズ、臓器移植など免疫機能が抑制された人(感染、ウイルスの再活性化)

MSDマニュアル プロフェッショナル版、サイトメガロウイルス(CMV)感染症

目次

サイトメガロウイルスに対する薬

サイトメガロウイルスの治療薬はデノシンとホスカビルだけではありません。

国内で使用可能なCMVの治療薬は全部で4成分です。

一般名商品名適応
ガンシクロビルデノシン注500mg
ガンシクロビル注500mg「VTRS」
下記におけるサイトメガロウイルス感染症、後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、悪性腫瘍
バルガンシクロビルバリキサ錠450mg
バリキサドライシロップ5000mg
下記におけるサイトメガロウイルス感染症、後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)悪性腫瘍

臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制

〈ドライシロップ〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症
ホスカルネット点滴静注用ホスカビル注24mg/mL後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎、❷造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症及びサイトメガロウイルス感染症、❸造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎
レテルモビルプレバイミス点滴静注240mg
プレバイミス錠240mg
同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
各電子添文より作成
バリキサ錠(バルガンシクロビルとデノシン点滴静注の違いは?
  • バルガンシクロビルはガンシクロビル(デノシン)のL-バリンエステル体
  • バルガンシクロビルはガンシクロビルの経口吸収性(バイオアベイラビリティー:BA)を向上させたプロドラッグ
  • BA…ガンシクロビル(6〜9%)バルガンシクロビル(約60%)
  • バルガンシクロビル(錠、DS)は臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制にも適応あり
  • バルガンシクロビル(DS)は症候性先天性サイトメガロウイルス感染症にも適応あり

バリキサ インタビューフォーム

プレバイミス(レテルモビル)の特徴は?
  • CMVターミナーゼ阻害剤(ウイルス粒子の形成を妨げる)
  • 同種造血幹細胞移植患者におけるCMV感染症の予防に保険適応を有する
  • 注射薬と経口薬は同量換算(経口薬:BA94%)
  • 経口薬を優先的に選択する(注射薬はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含み、腎障害のリスクがあるため)
  • CYP3A、OATP1B1/3等の基質であり、シクロスポリン併用時には半量(240mg)を投与する

プレバイミス点滴静注 インタビューフォーム

デノシンとホスカビルの比較表

基本情報の比較は以下のとおりです。

デノシン点滴静注点滴静注用ホスカビル注
一般名ガンシクロビルホスカルネットナトリウム水和物
規制区分毒薬毒薬
分類抗サイトメガロウイルス化学療法剤抗ウイルス化学療法剤
規格500mg/瓶6000mg/250mL瓶
適応下記におけるサイトメガロウイルス感染症、後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、悪性腫瘍後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎、❷造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症及び❸サイトメガロウイルス感染症、❹造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎
用法用量初期治療
5mg/kgを1日2回、12時間毎
1時間以上かけて

維持治療
6mg/kgを1日1回、週に5日
5mg/kgを1日1回、週に7日
1時間以上かけて

体重1kg当たり1日6mgを週に5日又は1日5mgを週に7日、1時間以上かけて
初期治療
❶❸❹
60mg/kgを1日3回、8時間毎
1時間以上かけて
❶❸
90mg/kgを1日2回、12時間毎
2時間以上かけて

60mg/kgを1日2回、12時間毎
1時間以上かけて

維持治療
❶❷❸
90〜120mg/kgを1日1回
2時間以上かけて

腎機能障害患者への対応Ccr70mL/min未満で要減量Ccr1.4mL/分/kg以下で減量
Ccr0.4mL/分/kg未満で禁忌
禁忌好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者、ガンシクロビル、バルガンシクロビル又は本剤の成分、ガンシクロビル、バルガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性本剤に対し過敏症の既往歴のある患者、クレアチニンクリアランス値が、0.4mL/分/kg未満の患者、ペンタミジンイセチオン酸塩を投与中の患者
デノシン、ホスカビル電子添文より作成

共通点をまとめると下記です。

デノシンとホスカビルの共通点

規制区分…毒薬
(専用の鍵付き保管庫に収納、受払い帳簿により数量管理が必要)

分類…サイトメガロウイルスの治療薬

剤型…注射(点滴静注)

排泄…腎排泄型薬剤
(腎機能により投与量の調節が必要)

デノシンとホスカビルの相違点

ここからが本題です。

違いは何か?大きく6つあります。

  1. 作用機序
  2. 適応症
  3. 臨床の位置付け
  4. 注意すべき副作用
  5. 妊婦への投与
  6. 調製方法

順に見ていきましょう!

作用機序

デノシンホスカビル
成分の活性活性なし
プロドラッグ
活性あり
活性化の機序感染細胞内でウイルス由来のUL97 protein kinaseによりリン酸化を受けてガンシクロビル三リン酸となる
作用機序ウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)の取り込みを競合的に阻害する
ウイルス増殖抑制作用
ウイルスDNAポリメラーゼのピロリン酸結合部位に直接作用し酵素活性を妨げる
ウイルス増殖抑制作用

デノシンはプロドラッグです。ウイルス感染細胞でUL97 protein kinaseのリン酸化により活性化されてはじめて、抗ウイルス作用を発揮します。成分自体に活性があり、直接作用を示すホスカビル(プロドラッグではない)と違う点ですね。

また、どちらもDNAポリメラーゼ阻害剤ですが、作用点が異なります。デノシンは核酸類似体であり、dGTPの取り込みと競合し、DNA鎖の伸長を停止させます。一方で、ホスカビルはピロリン酸類似体であり、核酸の結合箇所に作用し、DNAポリメラーゼの働きを妨げるのが作用機序です。

ホスカビルはUL97プロテインキナーゼによる活性化が不要であり、同キナーゼのコード遺伝子が変異したガンシクロビル耐性ウイルスにも活性を示します。

適応症

デノシンホスカビル
①後天性免疫不全症候群エイズ患者の網膜炎のみ
②臓器移植造血幹細胞移植患者のみ
③悪性腫瘍
造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎

デノシンの方が適応が広いです。①後天性免疫不全、②臓器移植、③悪性腫瘍に伴うサイトメガロウイルス感染症に使用できます。一方で、ホスカビルは適応が限定的です。後天性免疫不全症候群ではエイズ患者の網膜炎、臓器移植では造血幹細胞移植に限り使用可です。つまり、エイズ以外の後天性免疫不全、造血幹細胞移植以外の移植患者、悪性腫瘍患者には保険適応上、使えません。

デノシンはホスカビルのようにCMV血症の適応がありませんが、造血細胞移植ガイドライン第5版ではCMV感染(CMV血症)に対する先制治療として推奨されています。

CMV血症とCMV感染症の違い

CMV感染(CMV infection)とは、血液やその他の検体から体内にCMVが同定される状態を意味し、臓器障害など臨床症状を伴うCMV感染症(CMV disease、CMV end-organ disease)からは区別される。CMV感染は、CMV感染症の前段階にあるが、CMV感染がすべてCMV感染症に移行するわけではない

造血細胞移植ガイドライン第5版

臨床の位置付け(造血幹細胞移植における)

造血細胞移植ガイドライン第5版

①造血幹細胞移植におけるCMV感染(先制治療)
  • デノシン…第一選択薬 カテゴリー1
  • ホスカビル‥第一選択薬 カテゴリー1
  • バリキサ錠…重症の消化管GVHD(移植片対宿主病)がなければ使用可 カテゴリー2A

CMV感染の場合、注射薬のデノシン、ホスカビル、どちらも第一選択薬として推奨されています。ただし、実臨床ではホスカビルはでガンシクロビル(デノシン)で効果が不十分な場合や骨髄抑制など副作用が認められる場合、または好中球減少時(骨髄抑制のリスクが低いため)等に用いられることが多いです。電子添文にも、代替薬としての使用が明記されています。

本剤は、造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症及びサイトメガロウイルス感染症において、他剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる場合に投与すること。

点滴静注用ホスカビル注  効能又は効果に関連する注意

投与方法…2週間の投与、CMVの消失を確認後に終了

②造血幹細胞移植におけるCMV感染症
  • デノシン…第一選択薬 カテゴリー1
  • ホスカビル‥ガンシクロビル効果不十分、骨髄抑制等忍容性に問題ある時 カテゴリー2A

CMV感染症の場合には、注射薬のデノシンが第一選択、ホスカビルは代替薬という位置付けです。CMV感染と同様に、ホスカビルはガンシクロビル(デノシン)が耐性であったり、副作用等で忍容性がない時に選択します。

本剤は、造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症及びサイトメガロウイルス感染症において、他剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる場合に投与すること。

点滴静注用ホスカビル注  効能又は効果に関連する注意

投与方法…2〜4週間の初期治療数週間の維持療法

造血幹細胞移植におけるCMV感染や感染症に対しては、デノシンが第一選択薬で、ガンシクロビル耐性、忍容性に問題がある場合にホスカビルを選択するという理解ですね。

注意すべき副作用

デノシンホスカビル
骨髄抑制警告
重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、汎血球減少、再生不良性貧血及び骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること

禁忌
好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者

重要な基本的注意
投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと
腎障害重要な基本的注意
腎不全を起こすことが報告されているので、血清Cre若しくはCcrを慎重に観察すること
警告
腎障害があらわれるので、頻回に血清Cre値等の腎機能検査を行い、腎機能に応じた用量調節を行うこと

禁忌
Ccr0.4mL/分/kg未満の患者
電解質異常警告
電解質異常に伴う発作を誘発することがあるので、定期的に血清電解質を測定するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること

重要な基本的注意
体内の2価陽イオンとキレートを形成し、血清中のカルシウム、マグネシウム濃度の低下を来すとの報告がある。また、血清中カリウム濃度の低下を来すことが報告されているので、本剤投与中は、定期的に血清電解質を測定するなど観察を十分に行い、口周囲のヒリヒリ感、四肢のしびれ感、知覚異常等の発現又は電解質異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと

デノシンは骨髄抑制の副作用に注意が必要です。投与前・投与中は好中球や血小板などの検査値checkにより投与の可否を検討し、必要に応じて減量を行う点は押さえておきたいですね。

本剤投与中、好中球減少(500/mm3未満)又は血小板減少(25,000/mm3未満)等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少(500~1,000/mm3)及び血小板減少(50,000/mm3以下)の場合は減量すること

デンシン点滴静注用 電子添文 用法及び用量に関連する注意

一方で、ホスカビルは腎障害に注意が必要です。デノシンと違って禁忌の設定(Ccr0.4mL/分/kg未満)があります。50kgの場合Ccr20未満だと投与できません。体重によって禁忌の基準が異なるのもややこしいですね。投与中は、Cre値を頻回に確認、投与継続の可否・減量の要否等を適宜判断していく必要があります。

ホスカビル:腎障害が起こる機序

腎障害の機序として、腎尿細管上皮に高濃度に分布した本剤がカルシウム等の2価陽イオンの恒常性を障害し、これらの異常が連日投与により持続すると、腎尿細管上皮細胞の傷害や壊死等を引き起こすと考えられている。

点滴静注用ホスカビル注 インタビューフォーム
ホスカビルによる腎障害を防ぐために

・本剤の腎障害を軽減するため、本剤初回投与前及び毎回の点滴静注時には適切な水分補給を行うこと(通常、本剤初回投与前及びその後本剤を点滴静注する毎にあわせて生理食塩液0.5~1L/回、最大2.5L/日までを点滴静注する)

・利尿薬を併用する場合にはチアジド系利尿薬を用いる

点滴静注用ホスカビル注 用法及び用量に関連する注意

利尿剤を併用する場合には、チアジド系利尿薬を用いることとされています。汎用されているループ利尿薬は効果が強く血管内脱水により、血中濃度が上昇し、腎障害を招く可能性があるからです。

また、ホスカビルは電解質異常にも注意が欠かせません。キレート形成により、血清Ca、血清Mgの低下を招く可能性があるからです。投与中は検査値のモニター、自覚症状の確認を行いながら、必要に応じて補正を行う必要があります。

本剤は体内の2価陽イオンとキレートを形成し、血清中のカルシウム、マグネシウム濃度の低下を来すとの報告がある。また、血清中カリウム濃度の低下を来すことが報告されているので、本剤投与中は、定期的に血清電解質を測定するなど観察を十分に行い、口周囲のヒリヒリ感、四肢のしびれ感、知覚異常等の発現又は電解質異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと

点滴静注用ホスカビル注 重要な基本的注意

妊婦への投与

デノシンホスカビル
妊婦・妊娠の可能性がある方禁忌有益性投与
動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告
授乳婦授乳しないことが望ましい有益性投与
乳汁中濃度が母体血中濃度の3倍に達した報告

デノシンは妊婦または妊娠の可能性がある方には投与できません。動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性の低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されているからです。また、生殖能を有する人は、投与期間中またはその後一定期間、避妊を行う必要があります。

・妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること

・パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること。マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている。

デノシン点滴静注用 生殖能を有する者

一方で、ホスカビルは有益性投与です。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されています。

調製方法

デノシンホスカビル
規格500mg/瓶
(粉末)
6000mg/250mL
(溶液)
溶解必要
1瓶あたり注射用水10mL
不要
希釈必要
通常100mLの生食で希釈
中心静脈:必要(2倍希釈)
末梢静脈:不要
希釈液生理食塩液
5%ブドウ糖液
(乳酸)リンゲル液
生理食塩液
5%ブドウ糖液
取り扱い強アルカリ(pH11)
手袋、ゴーグル、ガウン着用
pH7.2~7.6
局所刺激性あり注意

デノシンは溶解後に希釈する必要があります。1瓶あたり注射用水10mLで溶解し、必要分(たとえば、5mg/kg×50kg=250mg5mL)を抜き取り、生食100mLボトルへ注入(希釈)するかたちです。

一方で、ホスカビルは溶解された製剤。中心静脈からなら、原液のまま投与できます。たとえば、1回3000mg(60mg/kg×50kg)を投与する場合、125mLを瓶から抜き取り、空の点滴バッグに入れて、点滴静注を行うかたちです。末梢静脈から投与する時には、刺激性を低減するために、2倍希釈を行わなければなりません。同様に、1回3000mgを投与する場合、125mLを瓶から抜き取り、生食125mL(生食250mLバッグからあらかじめ125mLを抜き取っておく)で希釈するかたちです。

本剤を中心静脈より投与する場合は希釈せずに用いるが、末梢静脈より投与する場合には、血管への刺激を軽減するため、5%ブドウ糖注射液又は生理食塩液にて2倍に希釈して用いる(12mg/mL)こと。

点滴静注用ホスカビル注 用法及び用量 投与法及び希釈調製法

あと、調製者の注意事項として、デノシンは溶解液が強アルカリ(pH11)であり、ゴム手袋、ゴーグル、ガウン等の着用が必要です。取り扱いには十分に気をつけましょう。ちなみに、ホスカビルは原液のpHは中性ですが、刺激性がある点は注意ですね。

本剤は注射用水で溶解後はpH約11と強アルカリ性を呈することから、取扱い時にはゴム手袋、防護メガネ等の着用が望ましい。皮膚に本溶液が付着した場合には、石鹼で洗い、水で完全に洗い落とすこと。眼に本溶液が入った場合には、15分間水で洗眼すること。また、本剤は発がん性を有する可能性があるため、繰り返し直接手で触れたり、吸入したり又は眼の中へ入れないように十分に注意すること

デノシン点滴静注用 薬剤調製時の注意

局所刺激性があるため、誤って薬液が皮膚や目に触れた場合は、局所刺激及び灼熱感が生じることがある。このような場合には、流水で十分に洗浄すること

点滴静注用ホスカビル注 薬剤調製時の注意

まとめ

今回は抗サイトメガロウイルス薬、デノシンとホスカビルの違いについてまとめました。

ざっくりとポイント!

デノシンホスカビル
①作用機序プロテインキナーゼで活性化
変異ウイルス出現の可能性
左記酵素による活性化不要
左記変異ウイルスにも活性あり
②適応症広い限定的
③臨床の位置付け第一選択代替薬
④注意すべき副作用骨髄抑制腎障害
電解質異常
⑤妊婦への投与禁忌有益性投与
⑥調製・投与方法シンプル
強アルカリ調製注意
煩雑な印象

注意すべき副作用と調製方法は薬剤師として押さえておきたい部分です。処方監査、副作用のモニタリング、薬剤の調製を通して、適正使用・安全使用をサポートすべきだと感じました!

本記事で難解な添付文書が少しでもクリアになれば幸いです^ ^

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