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【図解】コミナティ筋注の調製手順、薬剤師がポイントを解説!

新型コロナワクチンの接種が始まりました。

私は日々、ワクチンの調製にあたっている病院薬剤師です。今回は、普段の経験をもとにコミナティ筋注の調製方法を解説したいと思います。

そもそも必要性はあるのか?

たしかに、ワクチンの調製手順は本記事でなくても、簡単に学べます。研修会の開催も予定されているし、動画も公開されているからです。特に、動画はわかりやすいですね。私もいくつか見ましたが、雰囲気を感じとったり大枠を掴むのにはもってこいです。

一方で、細かい部分や注意点がやや伝わりにくい印象を持ちました。

「ここ、もうちょっと強調して欲しい!」
「えっ?この手順は誤解を招かない?」

…みたいな箇所があります。

そこで、これから調製担当として集団接種に参加する看護師さんや普段、注射器を扱う機会が少ない薬局薬剤師さんに向けて、

ワクチンの調製を正確に行うためのコツと注意点について

あえて記事で伝えたいと思います。動画に対抗するために慣れない図解にもチャレンジしました(^_^)

もちろん、百聞は一見にしかずです。本記事は動画を補完するかたちで活用して頂けたら幸いです。それでは見ていきましょう。

目次

調製の準備

まずは、準備について。

必要物品

調製に必要な物品を確認しておきます。

  1. ワクチン
  2. 生理食塩液20mL
  3. 希釈用シリンジ(1本/バイアル)
  4. 希釈用注射針(同上)
  5. 接種用シリンジ(5〜6本/バイアル)
  6. 接種用注射針(同上)
  7. アルコール綿
  8. トレー
  9. 手袋

これくらいですかね。①〜⑥は国から支給されています。それ以外は病院で準備する形です。集団接種では物品の手配がどうなるのか、確認が必要ですね。

あと、薬液の充填後、接種までに時間がある場合は、遮光袋やアルミホイルなどを用意しておく必要があります。mRNAワクチンは光や紫外線により容易に分解されるからです。

ワクチンの取り出し

続いてワクチンの準備。

溶解方法は2パターンあり、解凍にかかる時間が異なります。

解凍までの時間
  1. 室温解凍…30分以内
  2. 冷蔵庫解凍(2~8℃)…3時間以内

実際の印象では10バイアル程度をアルミケースで解凍する場合には、室温で20分程度、冷蔵庫だと1時間くらいで溶けます。接種会場で扱うバイアル数やワクチンの移送手段、保存方法は確認しておきましょう。

また、解凍方法によって、希釈までの時間も異なります。

希釈を行うまでの時間
  1. 室温解凍…2時間以内(解凍時間30分も含め)
  2. 冷蔵庫解凍(2~8℃)…室温に戻し、2時間以内

参考)ファイザー新型コロナワクチンに係る説明資料 -ワクチンの取り扱い-

接種会場ではどのようにワクチンが供給されるかわかりませんが、冷凍庫(マイナス15〜25℃)や超低温冷凍庫(マイナス60〜90℃)から室温に戻した場合には、2時間以内(解凍時間30分も含む)に希釈を完了させる必要があります。取り出し時間は、接種開始時間と必要数等から逆算して決めるかたちです。

一方で、冷蔵庫(2〜8℃)で保管(解凍)されている場合には、室温に取り出し後、2時間以内に希釈を完了させます。キャンセルに備えて、必要分のみ室温に戻しながら、調製を行っていくことが大切です。ワクチンは無駄なく有効に使いましょう。

必要物品とワクチンの取り出しが完了したら、いよいよ調製です。

ワクチンの調製手順

準備

まずは希釈用シリンジに生食1.8mLを充填します。

大きく3ステップです。順番に見ていきましょう。

[ptimeline color=”green”] [ti label=”STEP1″ title=”生理食塩液をアルコール綿で消毒後、開封する”][/ti] [ti label=”STEP2″ title=”希釈用シリンジで1.8mL計り取る”]

ステップ2は4つの工程からなります。

  1. シリンジの空気を抜く
  2. 生食を2.0mLの目盛りまで多めに抜き取る
  3. シリンジを上向きに空気を抜く
  4. 1.8mLの目盛りまで余分な生食を抜く

いろいろと方法はありますが、私は以下の手順で行っております。 ポイントは正確に1.8mLを計量すること。ここを間違うと大変です。場合によっては貴重なワクチンが廃棄になる可能性があるので気をつけましょう![/ti] [ti label=”STEP3″ title=”リキャップで完了”]・必要バイアル数分を用意する(5Vなら5本)[/ti] [/ptimeline]

希釈

続いて、コミナティのバイアルに生食1.8mLを注入します。

こちらは大きく5ステップです。

[ptimeline color=”green”][ti label=”STEP1″ title=”ワクチンの上蓋を外し、アルコール綿で消毒”][/ti] [ti label=”STEP2″ title=”転倒混和10回(上下にゆっくりと反転)”]※ファイザーの手順書では、転倒混和→アルコール消毒ですが、順番を入れ替えています。アルコールが乾くまでの放置時間を転倒混和の時間に当てると作業効率が上がるので。

  • ゴム栓を触らない
  • 強く振り混ぜない

[/ti] [ti label=”STEP3″ title=”生理食塩液1.8mLを注入する”]

ステップ3は4つの工程からなります。

  1. バイアルに垂直に針を刺す
  2. プランジャーをゆっくりと最後まで押す
  3. 力を抜くと自然にバイアル内から空気が戻る
  4. 1.8mLの目盛に合わせシリンジを抜く

注意点が3つあります。ワクチンの調製工程でもっとも重要なポイントです!

  1. 操作中は針先が薬液に触れない
  2. 陽圧操作を厳守、途中で力を抜かない
  3. デッドスペースの生食は注入しない

操作中は針先の位置を常に確認しましょう。②途中で力を緩めると正確に1.8mLで希釈できません。針の中やシリンジ先端のデッドスペースにある生食がシリンジ内に逆流するからです。それから、③空気と一緒に戻る生食はそのままで構いません。「あっ!生食が残ってる」と思い、バイアル内へ注入すると、過剰希釈となり有効性への影響が懸念されます。[/ti] [ti label=”STEP4″ title=”転倒混和10回”][/ti] [ti label=”STEP5″ title=”希釈完了”]※液中に粒子や変色がないかチェック![/ti] [/ptimeline]

分注

いよいよ、最後の工程です。接種用シリンジに薬液0.3mLを充填します。

3ステップで完了です。

[ptimeline color=”green”][ti label=”STEP1″ title=”必要な本数のシリンジを用意する”]・5〜6本/バイアル※シリンジの種類によって変わります。事前に確認しておきましょう。[/ti] [ti label=”STEP2″ title=”接種用シリンジで0.3mL計り取る”] STEP2は5つの工程からなります。

  1. シリンジ内に約0.2mLの空気を入れる
  2. (空気層で)シリンジ内の空気を押し出す
  3. (液層で)プランジャーを引いて薬液をシリンジ内へ
  4. (空気層で)エア抜き
  5. (液層で)薬液を0.3mL抜き取る

ここも私のやり方です。参考程度にご確認くださいね。

ポイントは大きく4つです

  1. シリンジ内に約0.2mLの空気を入れておく
  2. エア抜きでシリンジを叩かない
  3. 極微小な空気泡は無理せずに!
  4. 0.3mLを正確に計り取る

①シリンジ内の空気は経験上、約0.2mLがちょうどいいです。少ないとバイアル内が陰圧となり、4本目くらいからシリンジを引きにくいし、逆に0.3mLの空気だと、陽圧気味となりメモリ合わせがやりにくいので…。

②エア抜きでシリンジは叩かないように。mRNAが壊れる可能性があります。もちろん、弾くのもダメですね。

③極微小な空気泡は放置でOKだと思います。ガスケット(プランジャーのゴム部分)やシリンジ壁に付着したものは、体内へ入らないし、頻回のエア抜きは成分が壊れる可能性もあるからです。一方で、シリンジの肩部分に残る空気は見落とさないようにエア抜きを行いましょう。結構大きな空気泡が残ることが多く、計量誤差につながるからです。

極微小な空気泡とは?

これは判断基準が難しいです。あくまで私の感覚ですが、通常のエア抜き(叩かない、弾かない)で無理なく抜けるかどうかが、一つの判断材料になるかと思います。実際に、極微小ではない(と見える)泡はガスケットやシリンジの側壁から簡単に剥がれますが、極微小(と見える)泡は剥がれず、いつまでも付着したままだからです。経験上の話になりますが…。

④メモリ合わせは呼吸を整えて、全集中で臨む必要があります。コミナティは1回量が0.3mLと微量であり、計量誤差が大きくなるからです。多めだと必要本数を用意できないし、少なめだと有効性への影響が懸念されます。上図のメモリ合わせ位置をご確認くださいね。

[/ti][ti label=”STEP3″ title=”リキャップで完了”]あとは、接種するまで2~30℃で遮光保存、6時間以内に使い切りましょう。[/ti] [/ptimeline]

まとめ

今回は、コミナティ筋注の調製手順について解説しました。

いくつかのポイントがありましたが、中でも生食による希釈操作は気を引き締めて行う必要があります。誤操作は過剰希釈による有効性への影響や、ワクチン廃棄の可能性もあるからです。

下記のポイントは肝に銘じておきましょう。

  • 針先が薬液に触れない
  • 陽圧操作を厳守、途中で力を抜かない
  • 生食1.8mL+α(デッドスペース)で希釈しない

可能であればダブルチェック推奨です!

最後に、ワクチンの調製は正確かつスピーディーに行わなければなりません。プレッシャーと緊張の中で、自分にできるか不安な人も多いと思います。でも大丈夫です。手順をしっかりと頭に入れて、焦らずに着実に行えば難易度はそれほど高くありません。慣れの部分が大きいです(^-^)

今後、集団接種等で薬剤師が調製担当として重要任務を全うし、活躍の場が広がればいいなと記事を書きながら強く思いました♪

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