今回のテーマはオーグメンチンとユナシンの違い!
どちらも経口のペニシリン系抗菌薬です。βラクタマーゼ阻害剤を組み合わせた製剤である点も同じですね。抗菌スペクトルもほぼ変わりません。
一方で、何か違いがあるのか?
気になりますよね。勉強がてら調べたので共有します。
オーグメンチン配合錠とユナシン錠の比較表
まずは基本情報の比較について。ざっと以下のとおりです。
製品名 | オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 |
---|---|---|
発売 | 1985年8月 | 1987年7月 |
一般名 | クラブラン酸カリウム アモキシシリン水和物 | スルタミシリントシル酸塩 |
略号 | CBA/AMPC | SBTPC |
規格 | 125SS、250RS | 375mg、細粒小児用10% |
作用機序 | 細菌細胞壁のペプチドグリカン合成阻害 | 細菌細胞壁のペプチドグリカン合成阻害 |
適応菌種 | ブドウ球菌属、淋菌、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、インフルエンザ菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く) | ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌 |
適応 | 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、子宮付属器炎、中耳炎 | 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、涙嚢炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎 |
用法用量 | 〈125SS〉1回2錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与 〈250RS〉1回1錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与 年齢、症状により適宜増減する。 | 通常成人1回375mg(力価)を1日2~3回経口投与する。 年齢、症状により適宜増減する。 |
禁忌 | ・過敏症の既往歴のある患者 ・伝染性単核症のある患者 ・本剤の成分による黄疸又は肝機能障害の既往歴のある患者 | ・過敏症の既往歴のある患者 ・伝染性単核症の患者 |
薬価 | 125SS:31.8円 250RS:45.7円 | 375mg:60円 細粒小児用10%1g:75.3円 |
簡単に共通点を押さえておきます。大きく3点です。
①オーグメンチンとユナシンはどちらも経口のペニシリン系抗菌薬です。また②どちらもアミノペニシリンにβラクタマーゼ阻害剤を組み合わせた製剤になります。厳密にいうと「組み合わせ」の方法(配合と結合)が異なりますが…(後述します)。
βラクタマーゼはペニシリンやセファロスポリンなどβラクタム系抗菌薬のラクタム環にあるペプチド結合を加水分解する酵素です。オーグメンチンとユナシンは、βラクタマーゼ阻害剤(クラブラン酸、スルバクタム)の作用により、βラクタマーゼ産生菌(主にグラム陰性桿菌)にも抗菌活性を示します。
ペニシリン系抗菌薬の一覧
分類 | 剤型 | 略号 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|---|---|
天然ペニシリン | 内服 | PCG | ベンジルペニシリンベンザチン | バイシリンG顆粒 |
注射 | ベンジルペニシリン | 注射用ペニシリンGカリウム、ステルイズ水性懸濁筋注 | ||
アミノペニシリン | 内服 | AMPC | アモキシシリン | サワシリンカプセル・同細粒 |
BAPC | バカンピシリン | ペングッド錠 | ||
ABPC | アンピシリン | ビクシリンカプセル、同ドライシロップ | ||
注射 | ABPC | アンピシリン | ビクシリン注射用 | |
抗緑膿菌活性ペニシリン | 注射 | PIPC | ピペラシリン | ペントシリン注射用・同静注用 |
βラクタマーゼ阻害剤配合薬 | 内服 | SBTPC | スルタミシリン | ユナシン錠、同細粒小児用 |
AMPC/CBA 2:1 | アモキシシリン/クラブラン酸 | オーグメンチン配合錠 | ||
AMPC/CBA 14:1 | アモキシシリン/クラブラン酸 | クラバモックス小児用配合ドライシロップ | ||
AMPC/MCICP 1:1 | アンピシリン/クロキサシリン | ビクシリンS配合錠 | ||
注射 | AMPC/MCICP 1:1 | アンピシリン/クロキサシリン | 注射用ビクシリンS | |
SBT/ABPC 1:2 | スルバクタム/アンピシリン | ユナシン-S静注用、同キット静注用 | ||
TAZ/PIPC 1:8 | タゾバクタム/ピペラシリン | ゾシン静注用、同配合静注用バッグ |
③オーグメンチンとユナシンの抗菌スペクトルはほぼ同じです。グラム陽性球菌と一部のグラム陰性桿菌、嫌気性菌に抗菌活性を示します。一方で、 MRSAや緑膿菌、セラチア、シトロバクター、エンテロバクター、アシネトバクターなどには効きません。適性使用の観点から、βラクタマーゼ阻害作用を生かして、βラクタマーゼ産生菌(モラクセラやインフルエンザ菌、嫌気性菌等)をターゲットに使用する薬剤である点は押さえておきたいところです。
ペニシリン系抗菌薬の抗菌スペクトル表
略号 | 腸球菌 | 連鎖球菌 | ブドウ球菌 | プロテウス | 大腸菌 | クレブシエラ | インフルエンザ | モラクセラ | セラチア | シトロバクター | エンテロバクター | 緑膿菌 | アシネトバクター | 嫌気性菌 |
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PCG | ||||||||||||||
ABPC AMPC | ||||||||||||||
SBT/ABPC CVA /AMPC SBTPC | ||||||||||||||
PIPC | ||||||||||||||
TAZ/PIPC |
ここからは相違点を見ていきます。大きく5つです。
- 製剤設計
- 成分の種類
- 成分の配合比率
- 適応
- 用法用量
オーグメンチン配合錠とユナシン錠の製剤設計
オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 |
---|---|
2成分 | 1成分 |
混合 ペニシリン βラクタマーゼ阻害剤 (混ぜ合わせて製剤化) | 結合 ペニシリン βラクタマーゼ阻害剤 (エステル結合で製剤化) |
オーグメンチンはアモキシシリン(AMPC)とクラブラン酸(CBA)の粉末、2成分を混ぜて固めた製剤です。いわゆる配合剤ですね。最近ではCa拮抗薬とARB、糖尿病薬2成分の配合剤なども登場しています。一方で、ユナシン錠は1成分です。アンピシリン(ABPC)とスルバクタム(SBT)をエステル結合させて、スルタミシリンとして製剤化しています。
スルタミシリンそのものが、抗菌作用を発揮するわけではなく、吸収されてから2成分に分解後、ABPCとSBTとしてそれぞれ薬効を発揮するかたちです。ユニークな特徴は「mutual prodrug」と呼ばれれています。
スルタミシリントシル酸塩水和物は、既存のバカンピシリンやタランピシリンなどのようなアンピシリンの経口吸収性を改善することを目的とした単なる prodrug とは異なり、抗生物質のアンピシリンとβ-ラクタマーゼ阻害剤のスルバクタムがエステル結合したもので、アンピシリンとスルバクタム 両者の経口吸収性を改善すると同時に、生体内ではそれぞれの成分が遊離し相互に薬効上協力作用を発揮するという特長をもっている。このようにスルタミシリントシル酸塩水和物は1つの分子の中で2つの成分が相互にprodrugとして作用するという意味で、“mutual prodrug”と呼ぶことができる
ユナシン錠インタビューフォーム
オーグメンチン配合錠とユナシン錠:成分の種類
オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 | |
---|---|---|
ペニシリン | アモキシシリン (AMPC) | アンピシリン (ABPC) |
βラクタマーゼ阻害剤 | クラブラン酸 (CBA) | スルバクタム (SBT) |
先述のように、オーグメンチン配合錠とユナシン錠は成分が異なります。ポイントは2つです。
アモキシシリンとアンピシリンの違い
①構造に注目!
アモキシシリン=アンピシリン+水酸基(ーOH)
構造自体はほとんど変わりませんが、以下のように水酸基の有無による違いがあります。
大きく異なるのは②吸収率の違いです!
アモキシシリン>アンピシリン
オーグメンチンの成分であるアモキシシリンはアンピシリンよりも吸収率が向上しています。バイオアベイラビリティーは88.7%
です。投与量の9割近くが吸収されるわけですね。ちなみにアンピシリンは30〜40%程度といわれています。じゃあ、アンピシリンを有効成分とするユナシンは吸収されにくいのかというと、そうではありません。
アンピシリン単独ではなく、スルバクタムがエステル結合された構造であり、吸収が良くなっているからです。SBTPC375mgとABPC500mgを1回経口投与した試験では、ユナシンのABPC量が少ないにも関わらず、高いAUCが得られています。ただし、吸収率について明確な表記はなく(電子添文、インタビューフォーム等)、オーグメンチンと比べてどうなのか、ハッキリとわかりませんが…。
クラブラン酸とスルバクタムの違い
(私が調べたところでは)これといった違いはなく、βラクタマーゼ阻害剤という括りで良いと思います。クラブラン酸とスルバクタムの違いによって臨床上の使い分けや位置付けが変わる訳ではないからです。どちらもクラスAに属するβラクタマーゼの阻害活性が強く(後述)、配合によりペニシリナーゼを産生する黄色ブドウ球菌、βラクタマーゼを産生するクレブシエラ、モラクセラ・カタラーリス、嫌気性菌等まで抗菌スペクトルが広がるという理解は変わりません。
腸球菌 | 連鎖球菌 | ブドウ球菌 | プロテウス | 大腸菌 | クレブシエラ | インフルエンザ | モラクセラ | セラチア | シトロバクター | エンテロバクター | 緑膿菌 | アシネトバクター | 嫌気性菌 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CVA /AMPC SBTPC |
①βラクタマーゼは大きく4つのグループ(Ambler分類)に分かれます。クラスAとC、Dは酵素の活性にセリンが、クラスBは亜鉛が必要です。クラスAは主にペニシリンを、クラスCはセファロスポリン、クラスDはオキサシリンを分解します。有名なESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)はクラスAに属し、ペニシリンに加えて、第三世代セファロスポリン、モノバクタムまで分解する酵素です。また、AmpC型βラクタマーゼはクラスCに属します(第三世代セファロスポリンまで分解、第四世代は分解されない)。一方で、クラスDはメタロβラクタマーゼと呼ばれ、カルバペネム系薬を含むほぼすべてのβラクタム薬を分解する性質を有します。
Ambler分類 | ||
---|---|---|
β-ラクタマーゼ | セリン-β-ラクタマーゼ | クラスA(ペニシリナーゼ) |
クラスC(セファロスポリナーゼ) | ||
クラスD(オキサシリナーゼ) | ||
亜鉛(メタロ)-βラクタマーゼ | クラスD(カルバペネマーゼ) |
②βラクタマーゼ阻害剤の種類によって阻害活性に違いがあります。クラブラン酸とスルバクタム、タゾバクタムは主に、クラスAの阻害活性が強いのが特徴です。一方で、レレバクタムは新規のβラクタマーゼ阻害剤。クラスAとクラスCのβラクタマーゼに強い阻害活性を示します。イミペネム/シラスタチンに配合された製剤(商品名レカルブリオ)はカルバペネム系耐性のグラム陰性桿菌による各種感染症に使用する抗菌薬です。
オーグメンチン配合錠とユナシン錠:成分の配合比率
オーグメンチン配合錠250RS | オーグメンチン配合錠125SS | ユナシン錠375mg |
---|---|---|
混合(①+②) | 混合(①+②) | 結合(③ー④) |
①アモキシシリン250mg | ①アモキシシリン125mg | ③アンピシリン | mg
②クラブラン酸125mg | ②クラブラン酸62.5mg | ④スルバクタム | mg
AMPC:CBA=2:1 | AMPC:CBA=2:1 | ABPC:SBT= | :
オーグメンチン1錠はアモキシシリンとクラブラン酸を2対1の割合で含有しています。250RS(レギュラーサイズ)の場合はAMPC250mgとCBA125mg、125SS(スモールサイズ)の場合はAMPC125mg、CBA62.5mgです。
一方で、ユナシン錠の配合比率は?
実は、電子添文やインタビューフォームに記載が見当たりません。スルタミシリン375mgと記載があるだけです。そこで、ユナシン錠はアンピシリンとスルバクタムがエステル結合(質量比1:1)した構造であり、それぞれの分子量をもとに計算すると、以下の数値となります。
スルバクタム(C8H11NO5S:分子量233.24)
ユナシン-S静注用、電子添文より
ユナシン錠375mg1錠あたり
- ABPC:224.88mg(375 349.4 582.64)
- SBT:150.11mg(375 233.24 582.64)
メーカーによると、ユナシン錠375mg1錠はアンピシリン220mgとスルバクタム155mgを含有しているとのことでした。
ということで、ユナシン錠の配合比率はABPC:SBT=1.4:1になりますね。
オーグメンチン配合錠250RS | ユナシン錠375mg |
---|---|
混合(①+②) | 結合(③ー④) |
①アモキシシリン250mg | ③アンピシリン220mg |
②クラブラン酸125mg | ④スルバクタム155mg |
AMPC:CBA=2:1 | ABPC:SBT=1.4:1 |
1錠あたりに含まれるペニシリンの含有量は、ユナシン錠の方が少なくなります。私はオーグメンチン配合錠250RSがAMPC250mgとCBA125mg、合わせて375mgであり、同じ規格であるユナシン錠もABPC250mg、SBT125mgと思い込んでいたのですが、違うのですね。
オーグメンチン配合錠とユナシン錠の適応
オーグメンチン配合錠とユナシン錠は適応の種類が異なります。
オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 | |
---|---|---|
適応数 | 14病名 | 18病名 |
共通 | 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、中耳炎(13項目) | |
相違 | 肺炎、肺膿瘍、涙嚢炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、副鼻腔炎 | |
子宮付属器炎 | ||
保険診療上認められる | 歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎 | 手術創などの二次感染、顎炎、顎骨周囲蜂巣炎 |
①オーグメンチンは肺炎(肺膿瘍も)に適応がありません。私はこの記事を書くにあたり知りました^^;どちらも市中肺炎に対する外来治療で選択され、ガイドラインでも第一選択薬の扱いなのに…。ここは留意しておきたい点ですね。
②どちらも適応はないものの、保険診療において認められる疾患があります。オーグメンチン配合錠は、「歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎」に対して、ユナシン錠は「手術創などの二次感染、顎炎、顎骨周囲蜂巣炎」に使用可能です。
原則として、「クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物【内服薬】」を「歯周組織炎」、「歯冠周囲炎」、「顎炎」に対して処方した場合、 当該使用事例を審査上認める
原則として、「スルタミシリントシル酸塩水和物」を「手術創などの二次感染、顎炎、顎骨周囲蜂巣炎」に対し処方した場合、当該使用事例を審査上認める
医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて
オーグメンチン配合錠とユナシン錠の投与方法
オーグメンチン配合錠250RS | ユナシン錠375mg | |
---|---|---|
投与回数 | 1回250mg・1日3~4回 | 1回375mg・1日2~3回 |
最大投与量 | 1日4錠(RS錠) 成分換算 ・AMPC:1000mg ・CBA:500mg | 1日3錠 ・ABPC:約660mg ・SBT:約465mg 成分換算 |
食事の影響 | あり 海外では食事開始と同時に服用することが推奨されている(食後投与はクラブラン酸の吸収が低下し、消化器症状の副作用が問題になりやすい) | なし 食後投与の方が、ABPC、SBT共にAUCが増加する。食事に関係なく投与できる |
腎機能障害時 | 要減量 | 要減量 |
ポイントは4つあります。
①投与回数の違い
オーグメンチンは1日3~4回、ユナシンは1日2~3回です。服薬回数が少ないユナシンはアドヒアランスを考えると有利ですが、PK-PD理論においては、投与量・頻回投与の点でオーグメンチンの方が優れていると考えられます。
②食事の影響による違い
ここも知らなかったです…。食後だとオーグメンチンに含まれるクラブラン酸の吸収が低下し、消化器系の副作用が起こりやすくなります。海外の添付文書には以下の記載があり、食事開始時に服用することが推奨されています。
本剤は食事と関係なく服用できるが、食事開始時に服用すると、体内でのクラブラン酸カリウムの吸収が高まる。消化器系の有害事象発現を最小限に抑えるために、本剤は食事開始時に服用すること。
オーグメンチン配合錠、インタビューフォーム、参考資料より
オーグメンチン:食事の影響
アモキシシリン(AMPC)は空腹時と食後でAUCはほぼ変わりませんが、クラブラン酸(CBA)は空腹時投与に比べて食後投与では吸収率が低下します
ユナシン:食事の影響
ABPC、SBTともに空腹時よりも食後投与の方がAUCが増加します
③腎機能障害時の投与量
どちらも腎機能に応じた投与設計が必要になります。以下のように腎排泄率が高く、排泄遅延により副作用のリスクが高まるからです。
- オーグメンチン配合錠
-
AMPC約67%、CBA約35%
(投与後8時間まで) - ユナシン錠
-
ABPC68.9%、SBT60.1%
(投与後8時間まで)
投与量の目安
CCr又はGFR (mL/min) | オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 |
---|---|---|
常用量 | 1回250mg・1日3〜4回 | 1回375mg・1日2〜3回 |
30〜59 | 1回250mg・1日2〜3回 | 1回375mg・1日1〜2回 |
15〜29 | 1回250mg・1日2〜3回 | 1回375mg・1日1〜2回 |
<15 | 1回250mg・1日2回 | 1回375mg・1日1回 |
HD(血液透析) PD(腹膜透析) | 1回250mg・1日2回 透析日は透析後に投与 | 1回375mg・1日1回 透析日は透析後に投与 |
④オグサワ療法はご存知ですか?
Rp | 製品名 | 用法用量 |
---|---|---|
1 | オーグメンチン配合錠250RS | 1回1錠・1日3回 |
2 | サワシリンカプセル250mg | 1回1錠・1日3回 |
上記のように、オーグメンチンにサワシリンを併用する処方です。臨床でよく見かけますよね。これは、AMPCを海外承認用量(AMPC1500mg/日)に近づけるために工夫されたものです。国内の承認用量ではAMPCを1000mgまでしか投与できません。また、国内のオーグメンチンはCBAの割合が高く、配合錠のままでの増量は消化器症状の副作用リスクも懸念されます。米国では875mgの規格を1日2回(AMPC:CBAが7:1)投与が常用量です。
つまり、オグサワ療法はオーグメンチンにサワシリンのみを追加して、AMPCをドーズアップしつつ、CBAの量はそのままに副作用リスクに配慮した、とても理にかなった処方というわけです。
細菌性肺炎(外来治療)第一選択
JAID/JSC感染症治療ガイド2023
・CVA/AMPC経口1回500mg(AMPCとして)・1日3〜4回
・SBTPC経口1回750mg・1日3〜4回
CVA/AMPCおよびSBTPCでは添付文書通りの投与方法ではAMPCとして最大1000mg、ABPCとして最大750mgまでしか投与できないので、さらにAMPC経口薬の併用も考慮する
上記のようにガイドラインでも、オグサワ療法が推奨されています。ユナシン錠にサワシリンを追加する「ユナサワ療法?」も記載されていますね。
まとめ
今回はオーグメンチン配合錠とユナシン錠の違いについてまとめました。意外な発見があって驚きでした^_^
本記事のポイント
オーグメンチン配合錠 | ユナシン錠 | |
---|---|---|
製剤 | 2成分 配合 ①AMPC ②CBA | 1成分 結合 ①SBTPC(ABPC SBT) |
成分 | ペニシリン…AMPC βラクタマーゼ阻害剤…CBA | ペニシリン…ABPC βラクタマーゼ阻害剤…SBT 吸収後にエラスターゼで分解 |
配合比率 | AMPC:CBA=2:1 | ABPC:SBT=1.4:1 |
適応 | ・肺炎、肺膿瘍なし ・適応ないが保険審査で認められる 「歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎」 | ・肺炎、肺膿瘍あり ・適応ないが保険審査で認められる 「手術創などの二次感染、顎炎、顎骨周囲蜂巣炎」 |
投与方法 | 1回250mg・1日3回 AMPC1回250mg・1日3回 オグサワ療法 食後投与 CBA吸収低下 腎機能障害 要減量 | 1回375mg・1日3回 AMPC1回250mg・1日3回 ユナサワ療法? 食事の影響なし 腎機能障害 要減量 |
日常業務にお役立て頂けたらと嬉しいです!