アクイプタ錠の特徴は?ナルティークOD錠との違いに注目しながら解説

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今回のテーマはアクイプタ錠!一般名はアトゲパント、国内5番手のCGRP関連薬であり、2番目の経口薬です。先行薬ナルティークOD錠との違いは何か?比較を加えながら、アクイプタ錠の特徴をまとめたので解説します。

目次

アクイプタとナルティークの比較

商品名アクイプタナルティーク
一般名アトゲパントリメゲパント
販売2026年4月17日2025年12月16日
投与経路経口経口
規格錠10mg
錠30mg
錠60mg
OD錠75mg
作用機序CGRP受容体拮抗薬CGRP受容体拮抗薬
適応片頭痛発作の発症抑制①片頭痛発作の急性期治療及び②発症抑制
投与方法1回60mg・1日1回①1回75mg・片頭痛発作時
②1回75mgを隔日
肝機能障害患者注意注意
腎機能障害患者注意
減量基準
注意
相互作用あり
減量基準
あり
薬価10mg:339.9円
30mg:831.3円
60mg:1,461.6円
75mg:2,923.2円
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文等より作成

アクイプタとナルティークの作用機序

アクイプタナルティーク
作用機序CGRP受容体拮抗薬CGRP受容体拮抗薬
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成
CGRPとは?

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)のこと

片頭痛の発症に関わる因子です。

片頭痛の発症機序

以下のように、神経終末からの過剰放出により、①血管拡張作用と②脳への刺激伝達(痛み、吐き気)を引き起こします(三叉神経血管説)

STEP
(何らかの要因で神経節から) CGRP、サブスタンスPが放出
STEP
血管拡張、血管透過性亢進、炎症…①
STEP
刺激が脳に伝達し、疼痛、悪心嘔吐などを惹起
アクイプタの作用機序

CGRPの作用である①血管拡張、②炎症カスケードの亢進、③疼痛の伝達を妨げることにより片頭痛の発症を予防します。

アクイプタはCGRP受容体拮抗薬です。片頭痛の発症に関わるCGRP(カルシトニン)の受容体への結合を妨げます。ナルティークと同じですね。

CGRP関連の注射薬:作用機序
スクロールできます
商品名アクイプタナルティークエムガルティアイモビーグアジョビ
一般名アトゲパントリメゲパントガルカネズマブエレヌマブフレマネズマブ
薬効分類CGRP
受容体拮抗薬
CGRP
受容体拮抗薬
ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体ヒトCGRP受容体モノクローナル抗体ヒト化CGRP
モノクローナル抗体
作用点CGRP受容体CGRP受容体CGRPCGRP受容体CGRP
ナルティークOD、エムガルティ、アイモビーグ、アジョビ電子添文等より作成

アクイプタとナルティークの適応

アクイプタナルティーク
片頭痛発作の発症抑制
片頭痛発作の急性期治療
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成

アクイプタの適応は片頭痛発作の発症抑制です。急性期の治療には現時点では使用できません。ここはナルティークとの相違点ですね。

2025年12月、アッヴィはアクイプタの「片頭痛発作の急性期治療」に関する製造販売承認を申請しています。今後、適応が同じになる見込みですね。

アクイプタとナルティークの剤型

アクイプタナルティーク
剤型普通錠OD錠
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成

アクイプタの剤型は普通錠です。錠剤はそこそこ大きく、嚥下機能の低下した人では飲みにくいかも知れません。この点、OD錠であるナルティークに優位性があります。

アクイプタとナルティークの投与方法

アクイプタナルティーク
予防投与1回60mg
1日1回
1回75mg
2日に1回
治療投与1回75mg
1日1回
増量設定なし設定なし
減量基準あり設定なし
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成

予防投与の場合

アクイプタは1回60mgを1日1回投与します。EM患者対象の海外第Ⅲ相試験にて、12週間における月間片頭痛日数のベースラインからの変化量がプラセボ群に比べて、60mg QD群、30mgQD群、10mgQD群で低下し、60mgQD群は30mgQD群、10mgQD群と比較して点推定値が大きかったことを踏まえて設定されています。

ナルティークは片頭痛の発症抑制に「1回75mg・2日に1回」服用します。なぜなのか?というと、効果が48時間続くことが示されているからです。臨床試験において、48時間後までの持続的な頭痛消失を認めた患者割合はプラセボに比べて高い傾向が示されています。

ナルティークOD錠 審議結果報告書

アクイプタは漫然投与にならないように投与開始後3ヶ月を目安に投与継続の要否・可否を検討します。ここはナルティークと同じです。頭痛の診療ガイドライン2021では、予防療法の効果判定時期について、治療開始後少なくとも 2~3 カ月を要し、 6カ月又はそれ以上の期間が必要になる場合もあるとされています。参考までにアクイプタは臨床試験において月間片頭痛日数が一度でも50%に低下した患者の割合が投与3ヶ月までに段階的に増えています。

アクイプタ審議結果報告書

もちろん、4ヶ月を超えて効果が見られるケースもあり、3ヶ月の時点で、個別投与を継続すべきか判断するかたちです。

アクイプタは減量基準があります。ここはナルティークとの相違点ですね。①クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の患者、②強いCYP3A阻害剤、③OATP阻害薬との併用時には設定された用量を選択します(後述します)

予防投与の場合、アクイプタは1日1回投与です。一方でナルティークは隔日投与の設定。アドヒアランスに注目するとアクイプタに優位性があります。

アクイプタとナルティーク、腎機能障害患者への投与

アクイプタナルティーク
尿中未変化体排泄率約5%約12%
尿中排泄率24%×51%(未変化体の割合)
減量基準ありなし
備考Ccr<30:1回10mgeGFR<15:投与避ける
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成

アクイプタはCcr30mL/min未満の方に投与する場合、1回10mgに減量しなければなりません。尿中未変化体排泄率が低く、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していないものの、PBPKモデル解析により、重度腎機能障害患者では曝露量が2.3倍増加すると推定されたためです。

重度腎機能障害患者、末期腎不全患者では複数の疾患があり併用薬も多く、特に慎重な対応が必要と考えられ、臨床成績から一定の有効性が認められた10mgが設定されています。

ナルティークは、末期腎不全の患者(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)には投与を避けることが望ましいとされています。腎機能障害のある方では正常な人に比べて、非結合型のAUCが約1.8倍(中等度)から2.6倍(重度)に上昇し、副作用のリスクが高まるからです。

アクイプタはナルティークが使いにくいCKDの方に使えます。減量基準がある点は押さえておきましょう。

アクイプタとナルティーク、肝機能障害患者への投与

アクイプタナルティーク
重度投与しないことが望ましい
(副作用増強のリスク)
投与を避けることが望ましい
(副作用増強のリスク)
中等度記載なし注意
(副作用増強のリスク)
軽度記載なし記載なし
備考非結合型の暴露量(正常肝機能患者に比べて)
軽度(Child-Pugh分類A):約1.8倍
中等度(Child-Pugh分類B):約1.9倍
重度(Child-Pugh分類C):約3.7倍
非結合型の暴露量(正常肝機能患者に比べて)
軽度(Child-Pugh分類A):約1.1倍
中等度(Child-Pugh分類B):約1.6倍
重度(Child-Pugh分類C):約3.9倍
アクイプタ錠、ナルティークOD錠、電子添文より作成

アクイプタは重度肝機能障害の方には投与を避けることが望ましいとされています。血中濃度上昇に伴う副作用のリスクが増加するためです。ここはナルティークと同様ですね。違いは中等度の方に対する副作用リスクに関する記載の有無です。とはいえ、アクイプタも暴露量が2倍程度まで増加するため、同様に注意が必要だと思います。

アクイプタとナルティークの相互作用

アクイプタナルティーク
併用禁忌なしなし
併用注意ありあり
避けることが望ましい薬あり
減量基準あり
CYP3A阻害剤と併用10mg
OATP阻害剤と併用
30mg
なし
備考主にCYP3Aにより代謝。P-糖たんぱく質(P-gp)、乳癌耐性蛋白(BCRP)、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の基質である。P-gpの基質であり、主にCYP3A4で代謝され、一部はCYP2C9で代謝される。

アクイプタは減量基準があります。強いCYP3A阻害剤とOATP阻害剤との併用により、AUCが大きく増加するからです。併用試験の結果に応じて半量(30mg)又は6分の1量(10mg)が設定されています。

少し気になったのがOATP阻害剤リファンピシンとの併用です。減量が必要かと思ったのですが、どうやら通常量で問題ないと考えられます。同薬はCYP3Aの誘導作用もあり、反復投与によりアクイプタのAUCが0.4倍になることが示されているからです。併用注意の項目にリファンピシンの記載はありません。実際のところは、医師と相談しながら個別対応になりそうですね。

アクイプタ錠、電子添文

ナルティークは減量基準がありません。一方で、禁忌ではないものの、併用を避けることが望ましい薬剤が設定されています。

強いCYP3A4阻害剤(避けることが望ましい)

  • クラリスロマイシン
  • イトラコナゾール
  • リトナビル等

強い又は中程度のCYP3A4誘導剤(避けることが望ましい)

  • フェノバルビタール
  • リファンピシン
  • セイヨウオトギリソウ(John’s Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
  • ボセンタン
  • エファビレンツ
  • モダフィニル等

ナルティークOD錠、電子添文

どちらも併用薬の確認が欠かせません。この点、アクイプタの方が使い勝手が良い印象を受けました。「避けることが望ましい」ではなく、減量基準に合わせて併用投与が可能だからです。一方で、2つ以上の減量基準に該当する場合はどうすれば良いのか、悩むケースも出てくると予想されます。個別対応と服薬後のフォローも重要ですね。

まとめ

今回はCGRP受容体拮抗薬アクイプタ錠の特徴について、同効薬ナルティークOD錠との違いに注目しながら解説しました。適応は狭い(現在、予防のみ)ものの、今までナルティークが使えなかった(重度腎障害:eGFR15未満)、使用しにくい(アドヒアランス不良、相互作用等)の方において選択肢となります。発売後の使用動向はどうなるのか、注目していきたいです!

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