栄養管理、NST

アミノレバンEN配合散とリーバクトの使い分けとは?

今回のテーマは経口BCAA製剤の使い分け!

どちらも肝機能が低下した人の栄養療法に併用される薬です。アミノレバンENとリーバクトの臨床における位置づけは?どのように使い分けるのか?について記事にまとめました。

さっそく見ていきましょう。

製剤、適応症など基本情報の確認!

違いをざっとまとめる下記です。

アミノレバンEN リーバクト
規格 1包=50g 1包=4.15g
エネルギー 213kcal 16kcal
糖質 31.5g 0
たんぱく質 13.5g 4g
BCAAの含有量 6.1g 4g
脂質 3.7g 0

※アミノレバンEN配合散、リーバクト配合顆粒、添付文書より抜粋

アミノレバンENは糖質、たんぱく質、脂質の3大栄養素からなり、ビタミンやミネラル、電解質も配合された肝不全用の経口栄養剤です。一方で、リーバクトはロイシン、イソロイシン、バリンを配合した分岐鎖アミノ酸製剤になります。

共通点は、生体では作ることができない必須アミノ酸BCAAを含む点です。

続いて適応を確認します。

アミノレバンEN リーバクト
肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善 食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善

ここがわかりにくい!

疑問に思うのは下記です。

  1. 慢性肝不全患者と非代償性肝硬変患者はイコール?
  2. 合併症や栄養療法によって選択する薬剤が異なるの?
  3. 結局どう使い分けるの?

ぱっと見てはっきりしないのが第一印象ではないでしょうか?この部分を順番にクリアにしていきます。

臨床的な位置付け

どちらも非代償性の肝硬変に使う

アミノレバンENとリーバクトは非代償性の肝硬変が適応です。

下記のように、たんぱく質とエネルギーに代謝異常が見られる患者さんが対象になります。

  • たんぱく低栄養
    ・血清アルブミン値3.5g/dL以下
  • エネルギー低栄養
    ・非蛋白呼吸商<0.85
    ・%AC(Arm Circumference)<90%
    ・FFA(遊離脂肪酸)>660μEq/L
    など

血清アルブミン(Alb)値は血液検査で簡単に測定できます。エネルギーの代謝異常は非蛋白呼吸商による評価が推奨されていますが、専用の機器が必要なので、%ACやFFAで代用されるのが一般的です。

参考文献)肝硬変診療ガイドライン2015

非代償性の逆で、代償性という用語もあります。違いを確認しておきますね。

非代償性と代償性の違い

肝硬変は病期によって2種類に分かれます。

ざっくりいうと、壊された肝細胞が少ないのが代償性です。残された肝細胞が必要な機能を補える状態で、自覚症状はほとんど認められません

一方で、非代償性はあまりにも多くの細胞が壊されて、残りの細胞では必要な機能を補いきれない状態です。代償性肝硬変は浮腫や腹水、黄疸、肝性脳症などの症状を合併します。

アミノレバンENとリーバクトはどちらも非代償性の肝硬変が適応です。一方で、代償性の肝硬変では通常の栄養剤を選択します。エンシュアリキッドやラコールなどですね。

疑問①)慢性肝不全患者と非代償性肝硬変患者はイコールなの?→ほぼ同じ意味合いと考えてOK。

合併症や栄養療法の種類によって、薬剤の選択が変わる!

肝硬変の栄養療法の基本はバランスの取れた食事です。

以前は、高カロリー、高たんぱく食が推奨されていた時代がありましたが、肝性脳症や脂肪肝の発症リスクが指摘され、今では病態ごとに適切な栄養療法が確立しています。

非代償性ではたんぱく質制限の有無を確認!
たんぱく質の制限が必要な病態とそうでない病態とがあります。栄養療法はもちろんですが、薬剤の選択も変わるので要チェックです。(肝性脳症はたんぱく質制限あり、後述します)

では、BCAA製剤はどのように使い分けるのか?ざっくりいうと、下記です。

  • たんぱく質の制限がない…リーバクト配合顆粒
  • たんぱく質の制限がある…アミノレバンEN

病態や栄養療法の違いによって選択されるBCAA製剤の種類が異なります。ここがポイントです。

疑問②)合併症や栄養療法によって選択する薬剤が異なるの?→BCAA製剤はたんぱく質制限(肝性脳症)の有無によって使い分ける

それぞれの適応場面を見ていきましょう。

リーバクトはたんぱく質の制限がない人に使う

基本的には食事量が十分で、たんぱく質制限がない人に投与します。食事療法だけではAlb値が上昇せず、腹水や黄疸などの症状が改善しないケースです。

アミノ酸インバランスの改善!

リーバクトの処方目的はコレです。フィッシャー比の改善といいかえることもできる!

・フィッシャー比とは、分岐鎖アミノ酸(BCAA:branched chain amino acid)と芳香族アミノ酸(AAA:aromatic amino acid)の比率です。

肝硬変ではフィッシャー比が低下!
血中のAAAに比べてBCAAが減少することが分かっています。アミノ酸インバランスの状態です。

なぜ、BCAAが低下するのか?
肝硬変の患者さんでは、BCAAの消費が亢進しているからです。骨格筋でエネルギーの産生、アンモニアの代謝等に利用されています。肝臓の機能を代償するためですね。

BCAAの投与はAlbの産生を促す!
BCAAは肝臓におけるたんぱく質(アルブミン)の合成に欠かせないアミノ酸です。リーバクトはアミノ酸インバランスを改善し、Albの生成を促す効果が期待できます。

添付文書の適応は表現がややわかりにくいので、以下のように補足して覚えるがおすすめです。

食事摂取量が十分にもかかわらず(=たんぱく質の制限がない)低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者(にBCAAを補給して)低アルブミン血症の改善

投与中は、十分な栄養が摂取できているか確認を!

リーバクトのカロリーは1包あたり16kcalしかないので、食事量が少ない人では栄養状態が悪化していきます。食事は十分に摂れているかの確認が必要です。

ここは盲点かも!?
栄養療法がうまくいっているかという視点も必要です。薬がきちんと飲めていても、食事が摂れていなかったら、効果が望めないし、栄養状態の悪化につながる可能性もあります。意識したいところです。

添付文書には以下の記載があります。

本剤は分岐鎖アミノ酸のみからなる製剤で、本剤のみでは必要アミノ酸の全ては満たすことはできないので、本剤使用時には患者の状態に合わせた必要蛋白量(アミノ酸量)及び熱量(1日蛋白量40g以上、1日熱量1000kcal以上)を食事等により摂取すること。特に蛋白制限を行っている患者に用いる場合には、必要最小限の蛋白量及び熱量を確保しないと本剤の効果は期待できないだけでなく、本剤の長期投与により栄養状態の悪化を招くおそれがあるので注意すること。

リーバクト 添付文書

ここまでをまとめると、下記です。

疑問③)どう使い分けるの?→基本的にリーバクトは、たんぱく質の制限がない非代償性肝硬変患者さんに血清アルブミン増加を目的に使用する製剤です(十分量の食事と併用して)

次はアミノレバンです。

アミノレバンENはたんぱく質制限がある人に使う

たんぱく質制限が必要な非代償性肝硬変に用います。基本的には、病期が進み肝性脳症の症状がある患者さんが対象です。

アミノ酸インバランスの改善と不足したエネルギーを補う!

これが、処方目的です。アミノレバンENはBCAAだけでなくエネルギーも補給することができます。

たんぱく質の投与は肝性脳症を誘発!
肝硬変ではアンモニア(NH3)の処理能力が落ちています。肝臓においてNH3を代謝する尿素回路が機能不全の状態だからです。たんぱく質の過量投与は、肝性脳症を誘発または重篤化させる危険性があります(蛋白不耐症)。

一方で、たんぱく質の制限は栄養状態の悪化を招く!
肝性脳症を避けようとたんぱく質の制限を行うと栄養状態のさらなる悪化を招きます。ジレンマですね。

栄養状態を維持しつつ、血清アンモニアを低下!
アミノレバンENは、BCAAの補給により骨格筋でのNH3の処理を促進し、肝性脳症を改善する効果が期待できます。加えて、エネルギーの補給によりたんぱく質制限にともなう栄養状態の悪化を防ぐこともできます。

肝硬変の患者ではNH3はおもに骨格筋で処理されます(代償作用)。グルタミン酸→グルタミンに変換される過程でNH3が代謝。このときにBCAAが利用されます。

添付文書の適応は以下のように補足するとわかりやすいと思います。

たんぱく質の制限が必要な)肝性脳症を伴う慢性肝不全患者(にBCAA+エネルギーを補給することで)栄養状態の改善

LESにも使える!

Late Evening Snackの略で、夜間就寝前補食のことです。いわゆる夜食ですね。

肝硬変患者は飢餓状態に陥りやすい!
安静時消費エネルギーの増加、グリコーゲンの早期枯渇等により、一晩の間に飢餓状態になります。わずか一夜にして健常者が2〜3日絶食したのと同じ状態になるそうです。

そこで、有効なのがLES!
就寝前に投与して夜間から早朝にかけての飢餓状態を回避するためのものです。こむら返りや起床時の倦怠感なども軽減できます。

LESは炭水化物を主体とした200kcal程度の軽食です。おにぎりやサンドウィッチなどですね。胃に負担がかかりにくものを選択することも大切です。アミノレバンENもLESとして使用することができます。

一般的な食事や補食以外に就寝前のBCAA顆粒製剤肝不全用経腸栄養剤の摂取によって栄養状態の改善が得られる

参考文献)静脈経腸栄養ガイドライン

アミノレバンENはLESに最適です。カロリーに加えてBCAAを強化した栄養剤だから。一袋で約200kcalを投与できます。リーバクトも軽食に併用する形で投与可能です。単独ではカロリーが不足します。

摂取カロリーが過剰にならないように注意!
LESを始めるときには、1日に必要な摂取カロリーからLESのカロリー分を差し引く必要があります。栄養過多にならないように1日の食事メニューの調整が不可欠です。管理栄養士さんと相談が必要だと思います。

まとめると、下記です。

疑問③)どう使い分けるの?→基本的にアミノレバンENは、たんぱく質の制限が必要な肝性脳症を合併する非代償性肝硬変患者さんに、栄養状態の改善を目的に使用する薬剤です(LESにも使える)

まとめ

ポイントは以下のとおりです。

  1. アミノレバンENは肝不全用の栄養剤、リーバクトは分岐鎖アミノ酸製剤。
  2. 基本的な使い分けは、肝硬変の病期や合併症の有無、栄養療法の種類によって決まる
  3. どちらも非代償性肝硬変の患者さんに使用する
  4. リーバクトはたんぱく質の制限がない場合、低アルブミン血症の改善目的で
  5. アミノレバンENはたんぱく質の制限がある肝性脳症を合併したケース、栄養状態の改善目的で
  6. 栄養状態の評価や食事量と合わせて薬効の評価を行うことが大切

今回は経口BCAA製剤であるアミノレバンENとリーバクトの使い分けについて解説しました。

記事を書いていて思ったのは、栄養知識の必要性。医薬品だけではなく、栄養状態の評価や病態に合わせた栄養療法の知識や考え方が不可欠であると感じました。

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