スキルアップ

薬剤師は“薬以外の知識”も大事!【習得するべき理由を考察してみた!】

薬剤師は薬の専門家。

だから、詳しくて当然。適応や投与方法、相互作用、副作用などが頭にインプットされています。

毎日、薬の勉強ばかりで、気づけば、添付文書と “にらめっこ”。ある意味、“薬漬け”の日々です。

クスリの知識は大事だけど、本当にそれだけでいいの?っていうのが今回のテーマ。

手術や検査、栄養…………などもある程度知っておくべき!薬以外の知識を習得する必要性について考察しました。

薬物療法は手術や検査、栄養と密接に関わっている

糖尿病の治療は食事や運動療法と並行して行われる

薬学部で習いました。もう当たり前のことですね。

  • どのような食事メニューを選択してるのか?
  • どのくらい運動してるのか?

まで、意識して関わることが大切です。

血糖値やHbA1cだけを見て、薬効を評価!
ときどき、やってしまいます。薬物療法だけに偏った視野で、薬の選択を提案したり、血糖コントロールを評価するのは適切ではありませんよね。

食事と運動療法を合わせて、治療の経過を観察して必要に応じて薬物療法を提案することが大切です。薬剤師も薬だけではなくて、食事療法や運動療法についてある程度知っておく必要があります。

手術の種類で休薬の要否が決まる

意外と知らない薬剤師もいるのではないでしょうか?作者も新人の頃は知りませんでした。(>_<)

血液サラサラ系は手術前に休薬すべき代表薬です。

出血の危険性を考えて、手術前に止めるのが基本ですが、どんな手術や治療でも中止するのか?というとそうではありません。

手術や治療の種類によって出血リスクが違う!

例えば、内視鏡治療では低危険度と高危険度の2つに分類されています。

出血低危険度
・バルーン内視鏡
・マーキング(クリップ、高周波、点墨など)
・消化管、膵管、胆管ステント留置法(事前の切開手技を伴わない)
・内視鏡的乳頭バルーン拡張術

出血高危険度
・ポリペクトミー(ポリープ切除術)
・内視鏡的粘膜切除術(EMR)
・内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)
・内視鏡的乳頭括約筋切開術
・内視鏡的粘膜焼灼術…など

抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン

どの治療を受けるかによって、出血リスクが異なるわけです。

・低危険度では抗血小板薬や抗凝固薬は中止しないのが一般的ですが、一方で高危険度では中止に伴う血栓症のリスクを考慮して、中止の可否を検討します。

薬剤師が休薬の指示を出すわけじゃないけど、治療ごとに出血リスクが違うことをわかってないと、医師の指示漏れに気づいたり、患者さんの誤った解釈を是正するのはむずかしいです。

手術や治療の方法がわかると、服薬指導に磨きがかかる!?

これは実体験からそう思います。服薬指導への関わり方が変わりました。たとえば、大腸ポリープや腫瘍を切除する方法は大きく3つあります。違いは以下のとおりです。

  • ポリペクトミー…スネアという金属の輪をひっかけて高周波を流して茎のあるポリープを切除する
  • EMR…粘膜の下に薬液を注入、病変部を持ち上げてスネアで切り取る(茎のないポリープに)
  • ESD…粘膜下に薬液を注入、病変部を専用のメスで切り取っていく(病変が広範囲のものに)

カルテを見ると、必ず治療法が書いています。

治療法が分からなくても、服薬指導は可能!
薬剤師が手技の説明をするわけじゃないので、クスリの説明だけを切り取って行うことができます。

でも、本当にそれでいいのか?というと、良くないと思います。治療の種類によって、薬剤師の関わりも変わるはずだからです。

EMRよりもESDの方が広範囲を切除するため出血のリスクが高いので、休薬の必要性はESDの方が高いし、治療後の再出血のリスクも高くなります。

もちろん、説明する内容は大きく変わらない
でも、リスクに対する構えは違うはずで、安全に治療が行えるように、危険性を意識した説明ができるだろうし、問題の早期発見に向けたフォローも強化されると思います。

薬剤師も治療方法を漏れなくチェックして、どのようなリスクがどの程度想定されるのかを考えて、服薬指導に臨むことが大切です。

長期不動状態が続く手術ではSERMに注意!

選択的エストロゲン受容体調節薬のことです。

凝固能を高める作用があるので、手術後に静脈血栓塞栓症(VTE)を引き起こす可能性があります。まだまだメジャーではないけど、見逃せない薬です。あと、低用量ピルやエストロゲン製剤も忘れてはいけません。

手術前に中止することが基本ですが、どのような手術を受けるかで対応が変わります。

例えば、 下肢の整形外科手術では、術後のベッド上安静が長期間続くのでリスクが高く休薬は必須です。一方で、肩や腕など上肢の手術では、手術後も歩行が可能なのでリスクが低く継続するケースもあります。

手術後は長期不動状態が続くのか?この視点が大切で、薬剤師も手術の違いによる術後の経過について、ある程度は知っておく必要があります。

検査の種類によって注意すべき薬がある

薬剤師なら当然知っておくべき知識です。

◯◯の検査を受けると患者さんに言われたら、とっさに注意すべき薬剤名が浮かぶのか?代表的なものは、以下の3パターンです。

MRI(磁気共鳴画像)の検査時
ニトロダームやニュープロパッチ、ノルスパンテープなどです。貼付部位の火傷を起こす恐れがあるので注意が必要です。

冠動脈の病変を検査・治療するCAGやPCI
造影剤を使用するのでメトホルミン(ビグアナイド系)のチェックが欠かせません。乳酸アシドーシスを予防するためです。CT検査でも、造影剤を使用することがあります。

胃カメラや大腸カメラなど内視鏡検査前
検査食や絶食になるので、糖尿病薬の休薬が必要です。

検査というキーワードからの薬剤チェック!薬剤師も検査の種類について知っておきたいものです。

チーム医療や他職種カンファレンスでも、薬以外の知識が求められる

チーム医療の必要性が盛んに叫ばれる中、薬剤師が果たす役割は大きいです。

  • NST(栄養サポートチーム)
  • ICT(院内感染対策チーム)
  • 緩和ケアチーム
  • 褥瘡対策チーム
  • 糖尿病療養チーム
  • 摂食嚥下チーム

……など、薬剤師も他職種と連携して患者さんの治療やケアをサポートしています。

実際に活動して思うのが、薬の知識だけでは上手く活用できないということです。

NSTでは、栄養療法の基本が欠かせない

NST活動をしてると、医師や看護師さんからTPNやPPNメニューについてよく聞かれます。薬である栄養輸液は薬剤師が相談窓口だからです。

輸液の知識は、栄養療法とセットで活用できる!
栄養の知識が備わってないと、患者さんごとにどのような輸液や栄養剤を提案すればいいのかわかりません。

  • 必要カロリーは?
  • 1日に必要な水分量は?
  • アミノ酸はどの種類を使えばいいの?
  • たんぱく質の必要量はどのくらい?
  • 脂肪乳剤の必要性は?

……など、栄養療法の知識がないとせっかくの薬の知識を生かしきれないのです。栄養療法の基本は、NST活動だけでなく、日常の業務や服薬指導でも活躍してくれます。

ICTでは感染症治療の原則、細菌の種類などを知っておくべき

ICT活動でもそうです。

例えば、抗菌薬のコンサルテーションには、添付文書だけの知識では限界があります。

抗菌薬の選択は、感染臓器から起炎菌を推定または特定して、組織移行性に優れたもっとも狭域スペクトルの薬剤を選ぶのが原則です。

感染症治療の基本知識が必要!
起炎菌の種類や感染症のパラメータ、投与期間、培養試験結果の読み方などをわかってないと、適切な提案や投与後のフォローはむずかしいです。

抗菌薬の知識を活用するための”基本的知識と考え方“が不可欠です。ICT活動だけでなく、普段、医師から質問されることも多いので役立ちます。

他職種の視点や考え方も知っておくべき

特に他職種で行うカンファレンスの時に痛感します。

医師や看護師、栄養士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、ケアマネジャーなど他職種に交じって、治療方針や療養中の問題点、退院後の生活等を話し合うのですが、最初は議論についていけませんでした。

他職種の視点や考え方がわかっていなかったからです。

最低ラインの共通言語、知識を理解しておく必要があります。他職種がどのような視点で仕事をしているのか、薬剤師も知っておきたいです。

患者さんは薬のことだけを聞いてくれる!?わけではない

薬剤師なら共感できることですよね。

「それ、薬剤師に聞く?!」

患者さんと会話中に、ときどき心の中で思うことがあります。たとえば以下の質問です。(手術、検査目的で入院された患者さんを想定)

  • ◯◯の検査って何でするの?
  • 手術はどのくらい時間がかかるの?
  • 検査後、いつからご飯が出るの?
  • 水分はいつまで飲めるの?
  • 手術後、どのくらいしたら歩いていいの?
  • 検査の結果はどうでした?
  • ◯◯という病気はどんな治療をするの?
  • 退院後、お酒はちょっとくらいなら飲んでもいいの?

薬のことだけを聞いてくれるわけじゃない!
治療や手術、検査、食事、病気、健康、身の回りのことなど、患者さんはなんでも薬剤師に聞いてきます。質問を選んでくれません。運良く答えられることもあるけど、自信が持てず返答できないケースが大半です。

担当じゃないからわからないと、逃げることも可能!
だけど、ケースによっては患者さんの満足度を大きく下げたり、結局誰に聞いたら良いのか分からず、たらい回しにしてしまう可能性もあります。

無理して間違った情報を伝える必要はないけど、ある程度は知っておきたいし、対処できた方がいいです。

薬剤師はクスリの専門家であり、医療者でもあるので患者さんからの病気や健康に関する相談に、それなりに答えられる知識と教養が必要だと思います。患者さんの満足度の低下は治療にも影響する場合があるので注意です。

もちろん、薬の知識があってこそ

薬以外のことを広く知っておくべきです。手術や治療、検査、栄養療法、運動療法、感染症……などですね。

でも、薬の知識は一番大事です。
薬剤師なのにクスリに詳しくないのであれば、本末転倒ですよね。

「お医者さんの方がクスリに詳しい」とか、ときどき言ってる人いますが、残念な気持ちになります。薬の専門家としてのプライドと自信を持って正しい情報を発信できることが大前提です!

でも、薬のことだけに偏っていたり、それだけでいいと考えるのはダメで、要するにバランスが大事なんだと思います。

薬以外の知識を身につける、そのためにはどうすれば?

日々、勉強することが大事です。検査や手術、栄養のことをコツコツと学んでいくしかありません。

地道な努力が欠かせませんが、何より大事なのは、普段の業務の中で、意識して学ぶこと。

おススメの方法は以下のとおりです。

  1.  まず薬の勉強をする
    (興味や関心のあるもの、例えばプラスグレル)
  2. 臨床における位置付けや適応となる病態を学ぶ
    (クロピドグレルよりも速効性、安定した効果、適応はACS)
  3. どのように診断されるのか?
    (問診、心電図、心エコー、心筋障害マーカー、CAGなど)
  4. 治療法は?食事療法は?
    (PCI、動脈硬化を予防する食事メニューなど)

というふうに、いきなり検査や手術、栄養から学ぶのではなくて、薬を始点に位置付けや病態、診断方法、治療法、栄養メニューへと順に押さえていく流れです。

薬に加えて治療や検査、栄養などをバランスよく学ぶことができます。薬剤師は日常的にあつかう薬を起点に知識を増やしていくのがおススメです。

まとめ

最後にまとめておきますね

薬剤師は、ク薬だけじゃなくて検査や手術、治療、栄養などの知識を身につけておくべき!その理由は、大きく3つです。

  1. 薬物療法は手術や検査、栄養などと密接に関わっている
    →薬の知識だけでは安全な薬物療法をサポートできない!
  2. チーム医療や他職種カンファレンスで活用できる
    →薬の知識を最大限に生かすためのベースアップに欠かせない!
  3. 患者さんは薬のことだけを聞いてくれる!?わけではない
    →薬だけでなく、病気や健康、治療、検査など幅広い相談に応えるために、不可欠!

薬以外の知識を勉強する、オススメの方法は?

  • 普段の業務の中で意識して学ぶこと。
  • クスリを始点に、位置付けや病態、診断方法、治療法、栄養療法へと順に押さえていく。

★ ★ ★ ★ ★

今回は薬の知識以外の領域を学ぶべき理由について考察しました。

薬の知識にプラスした知識や考え方をどのくらい習得できているか?薬剤師のスキルを図る指標だと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

できる薬剤師を目指すなら!

医療サイトm3.comがオススメ!

「薬剤師は一生勉強です」わかってるけど、毎日忙しいし、やる気も出ない……。でも、そんなことでは、次々に登場する新薬や最新のエビデンスについていけません!あっという間に取り残されて、待っているのは「できない薬剤師」の烙印……。それだけは避けたいですよね。

m3.comは薬剤師のための医療サイトです。日常のスキマを利用して最新情報を入手できます。

日々の積み重ねが「できる薬剤師」への第一歩です。勉強は大変だけど頑張った分だけ必ず自分に返ってきます(^ ^)

\できる薬剤師になるために必須!/

m3.comに登録する
もちろん登録は無料です。貯まったポイントで参考書を購入すれば、成長スピードもUPします!今すぐスタートしましょう♪