糖尿病薬

メトホルミンは血糖値を下げるだけじゃない!○○を下げる効果も覚えておこう!

メトホルミンはどうして飲んでいるのか?

そんなの簡単!糖尿病のクスリなので、「血糖値を下げるため」と答えますよね。

・たしかにそうだけど、それだけではありません。
・じつは○○を下げる効果もあるのです。

今回はメトホルミンの知られざる効果に注目、2つの処方目的と臨床での位置づけについて解説します。

さっそく、見ていきましょう。

メトホルミンの処方目的

血糖値やHbA1cを下げる

メトホルミンはどうして飲むのか?

答えは簡単ですよね。
「血糖値やヘモグロビンAワンシーを下げるため」そう答える人がほとんどです。

何もメトホルミンに限ったことではなくて、糖尿病のクスリ、全般にいえることですよね。学校で習いました。糖尿病薬は血糖値やHbA1cを下げるクスリだと。

また、製薬メーカーの担当者も、「弊社の○○は△△と比べて血糖値を□%下げる効果があります」っていってますよね。もはや、糖尿病薬=血糖値やHbA1cを下げる薬っていうイメージが染み付いてます。

たしかに、メトホルミンは、血糖値やHbA1cを下げるために飲んでいる。だけど、それだけじゃなくて血糖コントロールの先には、大きく2つの目的があります。

  1. 細小血管障害(糖尿病合併症)を防ぐ
  2. 心血管イベントの発生を抑制する

それぞれについて順番に見ていきましょう。

細小血管障害(糖尿病合併症)を予防する

細小血管障害を防ぐことができる

1つめの処方目的です。

以下の、いわゆる糖尿病3大合併症を予防するために処方します。

  • 網膜症
  • 腎症
  • 末梢神経障害

メトホルミンに限らず、糖尿病薬全般にいえることです。良好な血糖コントロールは、血糖値やヘモグロビンA1cを下げて、将来の細小血管障害を防ぐことができます。これはイメージしやすいですね。

といっても、それって本当なの?
気になったので、調べて見ることにしました。

良好な血糖管理は3大合併症の予防につながるのか?

DCCT研究(1993年)、糖尿病に関する代表的な研究の一つです。

  • 対象者はアメリカとカナダの1型糖尿病患者1441人
  • 従来型のインスリン療法(従来療法)vs 強化インスリン療法(強化療法)
  • 良好な血糖管理が網膜症や腎症、末梢神経障害を予防できるのか?

上記2群に分けて、一次予防群と二次介入群(単純網膜症がある人)について調査したもの。※追跡期間中の平均HbA1cは、従来療法で9%前後、強化療法で7%前後。

結果は以下のとおり。

▽一次予防

  • 網膜症…強化療法の方が優れる(76%リスク軽減)
  • 腎症…強化療法の方が優れる(34%リスク軽減)
  • 末梢神経障害…強化療法の方が優れる(69%リスク軽減)

▽二次介入

  • 網膜症…強化療法の方が優れる(54%リスク軽減)
  • 腎症…強化療法の方が優れる(43%リスク軽減)
  • 末梢神経障害…強化療法の方が優れる(57%リスク軽減)

一次予防、二次介入ともに、強化療法の方が有意に発症・進展のリスクを軽減できることがわかりました。

参考文献 N Engl J Med.1993;329:977-86.

この研究結果から、細小血管障害を防ぐための血糖コントロールの重要性が説かれています。しっかりとしたエビデンスですね。

網膜症や腎症、末梢神経障害などの3大合併症を予防する。これが、メトホルミンの処方目的に1つ目です。

今となっては当たり前のことですが、再確認です。

心血管イベントを抑制する


心血管イベントを抑制することができる!

2つ目の処方目的です。
これは意外と知らない人が多いかも?!

心血管イベントを下げるクスリといえば、抗血小板薬やスタチンとか、を思い浮かべる人が多いですよね。まさか、糖尿病のクスリでそんな効果が!?って思うのが普通の感覚です。大合併症を予防するためだけにを飲んでいるわけではないのですね。

メトホルミンは心血管イベントを抑制できるというエビデンスが確立しています。ここがポイント。

まずは一次予防のエビデンスから

UKPDS34試験。これは1998年に発表されたものです。

  • 対象者は新たに2型糖尿病と診断された肥満患者1704例
  • 従来治療群(食事療法が基本)vs メトホルミン群 vs SU剤・インスリン群
  • メトホルミンは果たして、死亡や心筋梗塞の発生を抑制することができるの?

上記3つの群で、メトホルミンの有効性を調べました。

結果は以下です。
▽メトホルミン群 vs 従来治療群

  • 総死亡…RR0.64(0.45-0.91)※p=0.011
  • 心筋梗塞…RR0.61(0.41-0.89)※p=0.01

メトホルミン群の方が、従来治療群に比べて、相対リスクを総死亡で36%、心筋梗塞で39%有意に抑制できることがわかりました。

メトホルミンで心血管イベントを抑制する効果があるんだったら、SU剤やインスリンで治療を受けた人も同様の効果が期待できるのでは?

そう思いますが、残念ながら、SU剤・インスリン群は従来治療群に比べて、総死亡、心筋梗塞を有意に抑制することはできないことが示されました。

▽SU剤・インスリン群 vs 従来治療群

  • 総死亡…RR0.92(0.71-1.18)※p=0.49
  • 心筋梗塞…RR0.79(0.60-1.05)※p=0.11

・メトホルミンは実はすごい!インスリンやSU剤にはない心血管イベント抑制作用があります。

続いて二次予防のエビデンスも

SPREAD-DIMCAD研究(2013年)

  • 対象者は冠動脈疾患の既往がある中国人の2型糖尿病患者304例
  • SU剤  vs メトホルミン

心血管イベントの抑制効果を比較検討したものです。

結果は、メトホルミン群の方が心血管イベントの相対リスクを46%抑制できることが示されました。(※心血管死、非致死的心筋梗塞・脳梗塞、冠動脈血行再建など)

一次予防と二次予防どちらにおいても、メトホルミンは心血管イベント抑制できます。冒頭で述べた○○を下げるというのは、心血管イベントの発生率を下げる。これが正解でした。

メトホルミンの位置付け

メトホルミンの位置付けについて確認しておきますね。

海外では、2型糖尿病に対する第一選択薬として推奨

2018年に米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病連合(EASD)
の共同声明が出されました。

その中で、メトホルミン の位置づけは下記です。

・2型糖尿病における治療薬は、禁忌がない限りメトホルミンが第一選択薬に推奨されています。

2型糖尿病であれば、まずメトホルミンを使うのが基本になります。
低コストで心血管イベントを予防できる、加えて低血糖症状も少ないからですね。

もし、効果が不十分な場合にはどうするのか?

メトホルミンを中止して他剤へ変更するかというとそうではありません。

・効果不十分時には、禁忌や忍容性に問題がなければ、メトホルミンをベースに経口血糖降下薬を上乗せしていくことが推奨されてます。

2型糖尿病の第一選択薬はメトホルミン。併用時にもベースになります。

日本ではDPP-4阻害薬が第一選択?

一方で、日本ではどんな位置づけなのか?
国内においても、メトホルミンは2型糖尿病治療の標準薬です。これは間違いない。

ですが、糖尿病治療ガイドを見ても明確に第一選択という記載は見当たりません。
海外と病態やライフスタイルが異なる国内では、病態に応じた薬剤選択が横並びに推奨されています。

具体的には以下のように、病態を考慮して薬剤を選択するスタイルです。

  • インスリン抵抗性が増大→ビグアナイド薬やチアゾリジン薬
  • インスリン分泌能が低下→SU薬やDPP-4阻害薬、グリニド薬
  • 食後高血糖には→αグルコシダーゼ阻害薬

これが基本なのです。実際にはメトホルミンよりも、DPP-4阻害薬が第一選択で使われることが多い印象があります。

  • 糖尿病の専門医はメトホルミン
  • 一般内科医はDPP-4阻害薬

上記傾向があるようですね。

DPP-4阻害薬は”安全性が高く使い勝手が良い”というイメージがある一方で、メトホルミンは”乳酸アシドーシスなど副作用に対する懸念”があって使うのを躊躇するという感覚があるのかもしれませんね。

まとめ

最後にまとめておきますね。

メトホルミンの処方目的と臨床での位置づけ、ポイントは以下のとおり。

  1. 細小血管障害の予防
    DCCT研究。良好な血糖コントロールは網膜症や腎症、末梢神経障害など糖尿病3大合併症を防ぐ効果あり。メトホルミンに限らず血糖降下薬であれば認められる効果ですね。
  2. 心血管イベントの抑制
    有名なUKPDS34研究。2型糖尿病肥満患者に対する有効性が示されました。欧米で第一選択薬として推奨される根拠です。メトホルミンには心血管イベントを抑制できる!ここがポイントですよ。
  3. メトホルミンの使い方(位置付け)
    ①心血管イベントを抑制②低血糖が少ない③しかも低コストなので、海外の主要なガイドラインでは2型糖尿病の第一選択。一方、日本では標準薬であることに間違いないですが、病態に合わせた薬剤の選択が横並びに推奨されています。

★ ★ ★ ★ ★

今回はメトホルミンの2つの処方目的と臨床での位置づけについて解説しました。

古くから使われている。そして最近になって有用性が見直されて処方せんで見かけることが増えているメトホルミン 。この機会にポイントを整理し、日常業務の助けになれば嬉しいです♫

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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